ノーヴィ・プラスコ(生年不明〜星暦914年)
エルフィンド王国末期の聖星教宣教師、司祭、外交官。現代でも公的には理由不明のハイペースでの出世と、銃弾を受けても死ななかった、暴行されても平然としていたなどの真偽不明のエピソード、当時の外交状況から考えるにオルクセンの態度変化がありえないとされるヴィルトシュヴァイン平和条約の締結などからエルフィンドの怪僧と呼ばれることも多い。また、同時代の白エルフの高官の私生児達が人間族とのハーフが疑われることが多いため、出世の原因を高官との密通と判断した歴史家も多いが、そう言った私生児達はかなりの数に及び、また、現代において白エルフには繁殖能力が無いことも判明しているため、真実は謎に包まれている。
オルクセン王国史のウェブ小説を読んで、寝て起きたら黒い空間に放り出されてた。
「おや、起きたね。剣と魔法の異世界にマジカルチンポ+寿命まで20台の見た目で不老不死+相手をTSさせる魔法付きで転生させてあげるよ」
マジカルチンポかぁ、そうかぁ……。
「……どう言う世界なんですか?」
「エルフとか、オークとか、コボルトとか、ドワーフとかがいる普通の剣と魔法の異世界だよ」
へー、ゴブリンとかはいないんだ……。あとから思い返すと、ここで怪しいと気づいて欲しかったなぁ……。
「エルフは美女ばっかりだし、ダークエルフも綺麗だからおすすめだよ〜、他の種族も気に入ったらTS魔法で女の子にしちゃえばいいし」
「特典とかは追加で貰えないんですか?」
「こっちの事情でハックできるチートコードが決まってるから、無理だね。ま、言語チートぐらいはチートコードに足せるけど。こっちの事情で転生させることになるから断っていいし、ぶっちゃけ現代に比べると限定的な不死があっても生きにくいだろうからおすすめはしないよ」
よくよく考えたらチートを付与するんじゃなくて、チートコードの時点でちょっと怪しいなと思うべきだったかもしれない。後の祭りだ。
「いい?決断は決まった?早くしないと転生できないよ?」
怪しい、何かを隠している。そう思ったけどマジカルチンポはまあ魅力的だ、限定的な不老不死も永遠の命とかいうカスよりはだいぶまともだし、TS魔法はふつうに使い勝手やばそう。よほどのクソ世界でない限りはまあ、生きるのに困りはしないだろう。今思えばエルフィンドなんていうクソ国家に転生させられると言うのを知っていたら流石に断っていた。
「……わかりました!転生するよ」
「それじゃ、異世界形成及び体験型異次元システム『ヴィラール』オフライン版を楽しんできてね。あ、そうそう君は召喚システムとは無関係の存在だから帰還用D2脱出ゲートは使えないよ」
「神様にチートもらって起きたらここエルフィンド王国の首都かよ……」
……というかアレ自分のことは一言も神様だとは言わなかったね、と言うかヴィラールのオフライン版ってことは、良くも悪くも本筋には影響を与えないバックアップ世界、と言う認識でいいのだろうか。
教会の前で立ち尽くす、見えるのはおそらく古典アールヴ語で書かれた看板、口から出てくるのも日本語ではなく古典アールヴ語。言語チートははっきり機能しているようでありがたい、ここがエルフィンド王国の首都ティリオン市じゃなかったらもっと良かったんだけどさぁ。
「胸ポケットに紙が入ってある、日本語だな……」
どれどれ……。
「君の立場はキャメロットからの聖星教の宣教師、交易船に上手いこと潜り込んでキャメロットからエルフィンドの首都ティリオンまでやってきた〜ことになっている。まあ世界の改変はうまいこと行われてるから気にしないでいいよ、君を異教の宣教師として気にするところはあるけど、基本的に害されることはない……と言っても君は不死身だから気にしないで良かったか。
今は星暦860年、ここからエルフィンドで出世してエルフィンドを救うのも自由、オルクセンに寝返って戦後のエルフィンドで好き放題するのも自由。マジカルチンポを生かして酒池肉林するも自由、だけどベレリアンド戦争には気をつけてね。
追伸 マジカルチンポは長さ16cm、精液に媚薬効果あり、絶頂させると好感度アップ、中出しで忠誠心アップ。見せるだけでも相手を軽い催眠状態にできるぞ』
うわー、ほんとにマジカルチンポだ……。ここまでチートだと逆におもろい。
となるとどうしよっか、別にそこらのエルフを上手いこと抱いてもいいんだが、秘密警察がクソ厄介。となると直近の目標は内務大臣プレンディルだろうか。秘密警察の支配者である彼女を堕とせばエルフィンドの政権の半分は握ったと言ってもいい。後の大臣や軍人、女王はいくらでもなんとでもなる、最悪、闇エルフ虐殺前までには政府を動かせるようになるとありがたい。
「とはいえ腹ごしらえの方が先か」
なぜかどこにあるのかわかる市場で、パンとチーズ、そして果物を買って教会に戻って食べる。
明らかにこの教会も不自然というか、ノーヴィ・プラスコの経歴を考えるとどう考えても……、待て、俺の名前も変えられてるな?分不相応というやつではある。
自認が世界に馴染んで来た、というべきなのかそれとも。まあいいか。
「こんにちは、宣教師のにーちゃん」
そうして教会のすぐ外でチーズのサンドイッチを食べていると。
小柄な白エルフの少女……?に声をかけられる。まあエルフの見た目が当てにならないのははい、うん。
「こんにちは、お嬢さん。今日は告解や相談でしたら受け付けていますが……」
スルスルと言葉が出てくる。平日だし、礼拝とかはやってないよ。
「にーちゃんってキャメロットの出身なんでしょ?いろんなこと知ってるんじゃ無いの?教えてよ」
まあ、今の脳内情報を再確認する、という意味でもいいか。明らかに自分のものじゃ無い知識が入ってるのは事実だし。
聖堂の中に招き入れ、壁に星欧の地図を貼り付けておく。
「ここがオルクセン王国、この上がここ、エルフィンド、海の向こうがキャメロット、オルクセンの西がグロワール、南にアスカニア、さらに南の半島がエトルリア」
「オルクセンとキャメロット、キャメロットとエルフィンドは関係がいい、グロワールとキャメロットは仲が悪くて、グロワールとオルクセンはグロワールがかなり警戒してる、アスカニアとオルクセンも……まあ昔の魔種族弾圧の影響でね」
「キャメロットとエルフィンドは元々王家どうしの結びつきが強いし、オルクセンとキャメロットもデュートネ戦争の関係で戦友と言ってもいい。オルクセンがエルフィンドに攻め込んでも、よほどのことがない限りキャメロットがどちらかの味方をする、ということは考えにくいかな」
「そうすると、エルフィンドは孤立無援になっちゃわない?」
「そうだね、外交ラインとしてグロワールやロヴァルナ、もしくはアスカニアとの関係を持ってないと誰も助けられなくなる」
現実的なところでいえば、エルフィンドを助けるメリットはそう多くない。よほどの理由がない限り、エルフィンドは自力でなんとかしないといけない。
「ま、今日のお勉強はこんなところかな。また勉強したかったら声をかけてよ」
「ありがとう、にーちゃん先生!」