そんな日々が続いていたが、Tくんは日に日に壊れていった。むしろそっちが本当の彼だったのかもしれない。
夜に電話では、「自傷行為をした」「死にたい」とまで口にするようになった。さらには、朝、夜と時間を問わず長文の病みライムが送られてくる。私はいつも真面目に長文で励ますようなライムを送り、電話も取り続けた。そう、いつからか私の中では「この人は私がいないと死んでしまうのではないか」「私が助けにならなければ」という感情が芽生えていた。
そんな中でもTくんから恋愛相談も受けていて。MさんとTくんと私で遊んだのち、仲を深めたいと誘われた。実は、Mさんからも推しの良さを一方的に話すようなライムが度々来ていたこともあり、正直行きたくはなかった。しかし、病みまくっているTくんをみてせめてでも二人の関係が進展してほしかった。それだけの感情で私は、協力した。高校1年、夏休みの出来事だった。
なぜかTくんはMさんにライムをブロックされていたので、私から連絡することになった。(この時点で脈なしだと私は思っていた)
MさんはTくんだけじゃなくて私もいるならとOKしてくれた。
私とMさんは住んでいる場所が近かったが、Tくんだけ少し遠かった。 Tくんが来てくれるというので私は最寄りから少し行った待ち合わせの駅に向かった。
ちょうど昼頃に待ち合わせた私たちは、まずお昼をとることにした。Mさんは好き嫌いが激しいので、とりあえず食べられるというお蕎麦屋さんに入った。
料理を待っている間も食べている時も、TくんとMさんは私など視界に入っていないように二人だけで話していた。話に入ろうにもこちらを見ることすらしていないので、居心地が悪かった。ちなみに、Tくんの食べ方が汚くてそれも嫌だったが、、、(麺を一本ずつ、すすらないで頭を上下に振りながら食べていた笑)食べ終わり、Tくんが3人分払うと言って聞かなかったので(私は自分の分は払うと言ったのだが)諦めた。
その後も私は空気のような感じで、とても居づらかった。Mさんが買いたいものがあるというのでお店に向かったものの、終始私には目もくれず二人は前を歩きながら笑い合っている。私は後ろをトボトボとついていくだけ。
さらによくないことがもう一つ。前かららしいのだが、MさんはいつもTくんに色々と買ってもらっていた。というか、買わせていた、が正しいのだろうか。Tくんの話では、「親にグッズを買うと怒られる」「お金がない』のような感じで言われ、買ってあげているとか。私からみても、金鶴のように使われているのは見え見えだった。
この日に関してはさらに酷かった。何件ものお店に入り、Mさんは「これほしかったんだよね、だめ?」というような感じで推しのグッズから、帰りに食べるとか言いながらお菓子などもTくんに買わせていた。
私はというと、すぐにでも帰りたい気持ちでいっぱいだった。最初に入ったショッピングビルでの買い物が終わったらしくTくんがたくさん買ったものを持ってあげていた。私はもう解散にして欲しいところだった。しかし、Mさんはまだ行きたいところがあるといい。私は何も言っていないのにも関わらず3人で行くことにされてしまった。
さらにその場所は電車で1駅行った場所でそれなりに距離があった。電車で行くのが一番楽なのだが、バスで行くと言われ、バス停まで一緒に来てしまった。私は帰りたくてしょうがなかったので二人が乗った後にこっそり帰ろうと考えた。二人が先に乗り、いざ帰ろうと思った、、、のだが二人に「乗らないの?」と言われてしまった。あいにく、その日は周りに人も多く、周りの視線が私に突き刺さる。この状況下の中では乗らざるを得なかった。
居心地悪く縮こまるようにしてバスに揺られていると目的のバス停に着いた。バスで行くことがなかったショッピングモールだったのだが、バス停からは結構歩かされる羽目になった。その日はとても暑く、存在をないことのようにされていた私は来たことを後悔しながら歩いたのだった。
目的のショッピングモールに着き、どこに向かうのかと思いきやツリーレコードというCDショップに入った。CDショップならさっきも入ったのに、、、と思いつつも私は眺めていた。
また買わせてるし、、、と思いながら店を出た。するとMさんが今度は「クレープが食べたい」と言い出した。クレープ屋の前に行くと、またもTくんが奢ると言った。散々な1日ではあったが、ここまで奢ってもらうのはなんだか申し訳ないというか、私も悪いことをしているような気分になった。しかしTくんは奢ると言うので、せめてもと一番安いものにした。桃が好きだから、桃のクレープを選んだのを覚えている。
二人に反して私は無言のまま食べ終わった。また店をまわるのかな、、、と思っていたのだが、Mさんが発したのは「もう疲れたし。解散にしよう」だった。確かに帰りたかったのはもちろんなのだが、ここまで来たのにそれだけ?と思った。だが、Tくんも「そうしよう」と言うので半ばあり得ない、、、とイライラしながら帰宅したのだった。
この日の出来事はまだ序章に過ぎないのだが、この時の私は全く気づかなかった。