※この作品はR-18です。

愛の形を知らない   作:未白音

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恋を知らない私が奏でた音

その日の夜、ライムにて。

Tくん 楽しかったね

私 うん

 違う。楽しくなんてなかった、とは言えなかった。というより、言うのが面倒だったというほうが正しいかもしれない。私はもう。疲れていたんだ。その後も鳴り止まない通話にメッセージ。私はそれに耐えかねて、ある日、ライムで言ったんだ。

私 ほんとは遊んだ日、楽しくなかったし相談とかも疲れた。

Tくん そっか、ごめん

 それだけだった。そしてまた次の日からライムが来た。なんで?言ったのに、、、。そこで限界だと思った私は、ブロックするのは怖いからと、無視をすることにした。

 その日の夜、いつものようにライムが来た。Tくんは私が返信しないでいるとどんどんと送ってくる。翌朝見ると、100件近くまで増えていた。

なんで無視するの?

おれ、なんかした?

ごめん

おれが悪いのかな

おれってだめなやつだよな

死にたい

 どんどん病んでいった文面の最後の方には死にたいばかりが並んでいた。私は恐怖を覚えた。それまで見て見ぬふりをしていた異様な部分が見えたような気がした。まだ知り合ってそう時間は経っていないしここまで執着するのはおかしい、それに後輩だし。狂っている。

 そう感じた私は距離を置くことにした。ライムはブロックし、学校で話しかけられたとしてもそっけない態度をとった。最初のうちは怒っているのかとたびたび謝りに来たTくんだったが、そのうち関わってこなくなった。

 そのまま、Mさんは卒業し、Tくんは3年。私は2年に進級した。

 私はファゴットという楽器で音楽大学を目指していた。総合型選抜という、自己推薦で受験しようとしていた。一般選抜より時期が早い受験になるため、2年に入ってからは受験曲にひたすら打ち込んだ。

 定期的に先生の指導を受けながら練習していたのだが、一つの壁にぶつかる。先生が恋愛の感情の表現を入れる部分らしく、熱弁してくれるのだが、いまいちわからない。今まで失恋経験しかなく、彼氏がいたことのない私には幸せな恋愛、付き合いというものを知らなかった。とりあえず、恋愛をテーマにした映画やアニメを見あさって見るものの、先生にはわかっていないと言われる。そんな日々が数ヶ月続いた。

 そしてある時、先生に言われたんだ。「誰でもいいから、恋愛をしてきなさい」と。

 家に着いて、お母さんとどうしようかと話し合った。そこで、お母さんの口から出た名前がTくんだった。私は、どうしようかと迷った。その時にはもう、ライムのブロックは外していたものの、会話は止まっていたし、相談されることもなくなっていた。Tくんはとてもというわけではないのだが、少し顔が良かった。たとえ好きではなくとも、多少はドキッとするだろうし、恋愛を学べるかもしれない。しかし、去年のあのことを考えると不安だった。

 お母さんはそのころ、占いにハマっていて、タロットやオラクルカードでたびたび趣味で占っていた。今回のことについても占ってあげると言われたので、当たるかどうかはわからないが、占ってもらった。結果はというと、まあ、大丈夫じゃないかと言われた。それでも迷ったが、他に方法も思いつかないし、Mさんのことを諦めようかとも言っていたので、とりあえず連絡をしてみることにした。

 疑似恋愛ということで、演奏に活かすためにしばらく彼氏のふりをしてほしいという私に対して意外にもすぐにTくんは承諾してくれた。

 こうして、私とTくんは疑似恋愛をすることになった。このことが全ての始まりだったことも、この後どんなことになるのかも、この時の私はまだ知りもしなかった。

 

 

 

 

 

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