「アインズ様も、何を考えてるんだか分かんねぇっすねぇ」
「御方のお考えを、私たちが全て推し量れるわけではない」
場所は、プレアデスたちが集まり談笑する回廊――メイド控室の一つ。
そこでは赤毛のメイド、ルプスレギナ・ベータが椅子に腰掛けたまま、ぎぃ――っと背もたれへ身体を預け、天井を見上げていた。
そしてそんな彼女の隣で、知的な印象を持つメイド、ユリ・アルファが努めて淡々と答える。
プレアデスたちの話題は当然、昨夜“あの部屋”から聞こえていたソリュシャンの喘ぎ声についてだった。
まさか、あのソリュシャンが一方的に犯されるなど。
どう考えても信じ難い話だった。
だが、そんなソリュシャンの下品な性交とは別に、この“交配行為”そのものが彼女たちには到底理解し難かった。
アインズ様へ直接お尋ねしたくとも、その後も外で活動を続けておられる以上、そんな余裕もなかなか無い。
「でもユリ姉ぇ……。異種間交配をわざわざ私たちで実験する理由が分かんねぇっす。普通ならデミウルゴス様がこの世界の人間を連れてきてやるような案件じゃねぇっすか……。これ、普段のアインズ様なら絶対なさらなそうな判断じゃないっす?」
「そうか? 私はそうでもないと思うが」
首を傾げるエントマ。
ユリは少し思案してから口を開いた。
「それだけナザリックの状況が切迫しているということではないか。あるいは、そういった“人間”たちよりも……私たちを信頼してくださっているからこそ、“優秀な”私たちへ任せられたのかもしれない」
「それなら少しは安心っすけど……」
そもそも直接お尋ねしない限り、御方の真意など分かるはずもない。
――コン。
ルプスレギナは椅子を元へ戻し、紅茶を一口啜った。
「――あら、みんな揃ってるのね」
「おっ、ソルちゃん!」
そしてそんな彼女たちの前へ、いつの間にか普段通りの姿を見せたソリュシャン・イプシロン。
彼女も空いている椅子へ座ろうとして、何か違和感を覚えたように周囲を見回した。
人数が足りない。
「シズとナーベラルは?」
「シズはセバス様と偵察。ナーベラルはアインズ様と」
ユリはその先を濁したが、それだけで充分だった。
恐らく冒険者“モモン”と“ナーベ”として名声を築く活動を続けているのだろう。
「しかもナーちゃん、あの男絶対殺しちゃうっすからねぇ」
「うむ」
付け加えられたルプスレギナの言葉に、全員が頷いた。
彼女を過小評価するわけでは決してない。
だがソリュシャンを犯すのが人間の男である以上、止める者がいなければ衝動的に手を下すのは目に見えていた。
殺さないとしても、まず四肢くらいは切断して精液製造用ディルドへ変えるか……あるいは脳を焼くか。
全員が容易に想像できる結末だった。
「ルプ?」
「むふふ♡ 匂いが濃いっすねぇ。精液と汗と唾液の匂い……」
皆がナーベラルについて想像していた頃には、いつの間にかソリュシャンへぴったり張り付き、匂いを嗅ぎ回っていたルプスレギナ。
太腿から下腹部、乳房、唇、髪。
顔を寄せ、じっくりと匂いを辿っていく。
やがて全身を舐め回すように嗅ぎ終えた彼女は、にぃっと笑った。
「朝からたっぷり交尾してきたっすか?」
「……何のことかしら」
顔をしかめるソリュシャン。
だが彼女は一瞬、自らの右腕を鼻先へ寄せた。
「……くんくん」
そして、
「……はぁ」
床が抜けそうなほど重い溜め息を吐いた。
理由は二つ。
一つ目は、ルプスレギナの言葉が正しかったからだった。
もちろん朝から犯されたという意味ではない。
ただ、彼女の言う通り、そういった臭いが酷く染み付いていた。
精液の臭いはもちろん、汗の臭いまで肌どころか服へ染み込んでいる。
気を遣って洗ったつもりだったが、妊娠を目的としている以上すぐには洗えず……たった一日で、この下品な臭いが身体へ染み付いてしまったらしい。
二つ目は――
「……何ですか?」
「別に? くくっ」
いつの間にか静かに背後へ回り、自分へぴったり張り付いていたこの男――ジャックの存在だった。
胸元の開いた服の隙間へ左手を差し込み、乳首を中心に愛撫してくる男。
乳首を摘み、捻り……挙句の果てには服を捲り上げ、彼女の同僚たちへ晒し始める。
「……」
他のプレアデスたちもそこで言葉を失った。
乳房を丸出しにされた時点では、多少頬まで赤らめながら――もっとも、紫髪の少女エントマだけは相変わらず無反応だったが――ジャックを見ていた。
「おっと、そうだった。おはようございますっと」
だが当の本人は全く気にしていない。
飄々と挨拶までしてみせる。
右手はソリュシャンの張りのある尻をがっちり掴んでいた。
アナルはもちろん、何度も突き込まれた秘所がその動きに合わせ開閉を繰り返す。
その乱暴な手付きが不快だった。
「ご自由にどうぞ」
「ふ、ぅっ……♡」
いつの間にか手はスカートの中へ。
黒い下着の上から弄ったかと思えば、そのまま一瞬で下着の中へ侵入してくる。
大きな手が、彼女だけの大切な場所を勝手に蹂躙し始めた。
だが身体は、腹立たしいことにぴくりと反応してしまう。
それがまた癪だった。
――おほぉっ♡♡♡?!!
初日の屈辱を思い出せばなおさらだった。
「……話の途中でしょう? その鈍い頭では、周囲の状況すら把握できないのかしら」
「じゃあ続けりゃいいだろ? なんで止まるんだよ」
「それを……言葉に……」
ソリュシャンは顔を上げた。
自分以外、この場にいるプレアデス全員の視線がまだこちらへ向いている。
ユリだけはソリュシャンの視線に気付き、ようやく顔を逸らしたが、ルプスレギナは気味が悪いほどじっと彼女を見つめていた。
「構わねぇっすよ。不愉快極まりないっすけど。今は仕方ねぇっすし」
「うむ。ルプの言う通りだ。私たちにはどうしようもない。だがやるなら、せめてアインズ様が指定された部屋でやってほしいものだ」
そう言う二人の手元は見えなかった。
呼吸は少し荒く、それでいてジャックへ本気の嫌悪を向けているようで――どこか違和感がある。
ソリュシャンは視線を下げた。
「ああ……」
見なくても分かる。
エントマを除く二人は、昨夜響き渡っていた自分の喘ぎ声で何度も自慰した。
そして今も、その気がある。
彼女たちは全員、この男へ手を出せないことを理解している。
だがだからといって自慰など。
「構わないって言ってるだろ? 普段通り話してろよ。俺も別に割り込まないし」
「それを、言葉に……っ、ふぅ♡!」
今度は、彼の指が本格的に秘所へ触れ始めた。
後ろ側から前へ。
中指と人差し指で彼女の秘裂を開閉し……そのまま中指で“穴”の入り口を執拗に擦り始める。
「ふ、ぅぅ、ぅっ……♡」
小さくだが、水音が響いた。
静まり返った回廊では誰にでも聞こえる程度の音。
愛液が本格的に入口から溢れ始めた音だった。
つまり、ソリュシャンの身体が徐々に濡れていっている証拠。
「……それでは、ふぅ……っ! ぅ、はぁっ……♡?!」
「この角度でも乳吸われるとか、下品な乳牛メイドめ! くそっ、初めて見た時から、あの下品極まりないドレスで乳揺らして歩いてた時から、こうして思い切り吸いたかったんだよ!」
「ま、待っ……♡!」
なおも彼女の身体を貪り続けるジャック。
軽く腰を屈め、ソリュシャンの身体を少し傾けると、その乳房へ吸い付いた。
ソリュシャンは下唇を噛み、無視しようとする。
だが舌で弾かれる感触が。
乳首を噛まれる、痛みに近い刺激が。
絶対的な快感を生み出していた。
「ぅぐ、ぅっ♡!」
ジャックは彼女の桃色の乳首を好き放題貪った。
さらに谷間へ滲んだ汗を舐め上げ、鎖骨を辿り――
「ふぅっ?! ……ちゅぅ♡ ぅ、んぅ♡♡」
唇を奪った。
乳首と同じく淡い桃色を帯びた柔らかな唇を舐め。
舌を絡める。
唾液を交換する。
一方的と言っていいほどだったが、彼女の舌までもがジャックの口内で下品に愛撫されていた。
「……ぷは、ぁ……! ひぐっ、ぅ♡♡?!」
ようやく唇が離れたと思えば、今度は再び乳房への責め。
本当に、気が狂いそうだった。
「……はぁ、はぁ……♡!」
ソリュシャンは拳をぎゅっと握り締めた。
一人は未開な人間に捕まって無理やり愛撫され、
二人はそんな一人を見ながら人知れず自慰に耽り、
もう一人は……ただ黙って眺めているだけ。
こんな状況で普通に会話しろだなんて、馬鹿げた話にも程があった。
少しでも試そうとした自分自身が滑稽に思えるほどだ。
「これはお前の主人から命じられたことなんだぜ? いつでも、どこでも好きにしろってな」
「……そ、それは……!」
「こうやって好き放題に乳を揉むのも、この淫らなマンコを指でぐちゅぐちゅ蹂躙するのも、全部お前の主人の許可付きってわけだ」
だが、反論はできなかった。
彼が自分の胸を好き勝手に揉み、秘所を擦り、掻き回して蹂躙しても――それは至高の御方、アインズ様の命令のもとで行われている行為。
彼女には拒否する権利などない。
「……ちっ!」
「クヘヘッ!」
――ドン。
ジャックはソリュシャンを無理やりテーブルの上に押し倒し、そのままズボンの中から勃起した肉棒を取り出した。
そして割れ目の間へ挟み込み、彼女の体温を味わう。
男の感嘆混じりの吐息が、不快だった。
「……」
ソリュシャンにも、その男根の熱が伝わっていた。
太い。熱い。昨夜のことを思い出し、思わず身体が震える。
本音を言えば、このまま溶かしてしまいたい。
だが――待て。
この男、本当にここでやるつもりなのか?
ソリュシャンの呆れが頂点に達した、その瞬間。
「ひぐっ、うぐっ……♡♡♡?!」
それは一気に膣内へと侵入してきた。
「ふぅ〜、あったけぇなぁ」
幸いにも、今回は意識を失わなかった。
覚醒剤の効果……というより、既に最大の関門だった“初体験”を越えていたからだろうか。
意識が飛ぶような惨事にはならない。
だが、辛いことに変わりはない。
昨夜の経験で、覚醒剤を過剰使用するのは逆効果だと理解していた。
純粋な精神力だけで“交尾”の性的刺激に耐えることほど、苦しいものはない。
今の彼女は、悪い意味で正気だった。
「うっ、ぅぅ……♡!」
しかも、目の前にはプレアデスの姉妹たちがいる。
そんな視線で、自分を……ただの人間男に犯されている自分を見ている。
しかも、興奮している。
……軽蔑、しているのだろうか?
そう思った瞬間、脳の神経が一気に焼き切れていくようだった。
「おっとぉ、急に締めつけてきやがって!」
「ふごっ、――――っ♡?!!」
尻を叩くジャックの手。
再び子宮口を打ち据える男根。
今回は必死に喘ぎを堪えた。
少なくとも彼女たちの前で、昨夜のような下品な喘ぎ声を漏らすわけにはいかない。
それが彼女の矜持だった。
歯を食いしばる。
何としてでも耐えたかった。
「ふぅっ♡♡! ぅ、ふぅ、ぅぐっ♡!」
ソリュシャンは目を固く閉じ、歯を噛み締め、テーブルクロスを握りながら――その後背位の交尾に耐え続けた。
ジャックに何度も尻を叩かれても、
テーブルに押し潰された胸を弄ばれ、乳首を摘まれても、
アナルの入り口を親指で擦られても、
クリトリスを乱暴に擦られても、
膣を高速で擦り上げる肉棒にも、
子宮を叩く男根にも――耐えた。
喘ぎは口の中で押し殺し、できる限り漏らさないようにした。
――だが、それだけだった。
「妊娠しろォ! 俺の精子で孕めぇぇッ!!」
「――――ふごぉおおっ♡♡♡!?!?」
それすら、最後の絶頂で一瞬にして崩れ去った。
「……おぉ」
「……ぉ、ご、ぉぉ……♡!」
その下品な嬌声に、自慰に没頭していた二人ですら驚くほどだった。
半ば意識を失いかけながら耐えていた彼女が、“快楽”の終わりを悟ったのは、
膣内射精と同時に押し寄せた絶頂、
そして口から漏れ出した雌豚のような悲鳴によってだった。
子宮に満たされる白濁液の感覚。
ぱんぱんに、内側から渦巻くように満ちていく精液。
そして許容量を超え、子宮口からとろとろ溢れ始める彼のもの。
……雄の人間とは、本来これほどまで大量の精液を吐き出す生き物なのか?
そんな疑問が浮かんだが、答えを出す余裕はなかった。
絶頂が、思考回路そのものを焼き切ってしまっていた。
涙がじわりと滲み、
テーブルクロスを握る手も、今何を掴んでいるのかすら曖昧。
頭が回らない。
意識を保てたのは初日に比べれば大きな進歩だったが、
こんな有様では大差なかった。
――スポン。
ジャックが肉棒を引き抜くと、
まるでそれに支えられていたかのように、ソリュシャンの姿勢は崩れ落ちた。
脚がぷるぷる震え、
辛うじてテーブルへ上半身を預ける形で座り込む。
閉じていた口から、荒く震える息が漏れた。
「んじゃ、俺は先に行くぜ、雌犬。ククク」
「……ぅ、ぅぅ……♡」
そして再び、ぶらぶらとどこかへ去っていくジャック。
メイド室の床は、先ほどまでの一方的な交尾によってソリュシャンが撒き散らした淫らな愛液と潮、
そして彼女のマンコから溢れ出る“余った”精液で汚れ始めていた。
どこか質素でありながら古風な雰囲気を持っていたメイド室は……
一瞬にして淫靡な空気に満たされる。
それが重たくのしかかり、意識がくらくらした。
「……うわぁ、ユリ姉?」
「わ、私……?!」
「……かなり濡れちゃってるっすねぇ」
「……っ!」
何やらねっとりしたものが付着した中指と薬指を開いて見せながら、
どこか妖しく笑うルプスレギナ。
そんな彼女に名前を呼ばれたユリは、図星を突かれたように慌てて顔を伏せた。
異性同士の性交を見る機会が少ないプレアデスにとって、
同じ仲間が快楽に震えながら犯される姿は、最高の肴だった。
たとえ相手が下等な人間だとしても――
不快であることとは別に、その光景はひどく淫らだったから。
「……はぁ、はぁ」
ソリュシャンはようやくテーブルクロスを握り締め、痙攣する下半身を落ち着かせた。
もちろん、今回の性交でも彼女は妊娠しなかった。
こんな下品な交尾が、これからも続く。
何度も何度も繰り返さなければならない。
そう思うだけで、下半身の震えは止まらなかった。
:)