※この作品はR-18です。

あたまをからっぽにして書いてみたぶらっくぶれっと   作:謎の物体A

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披検体No.L-000

 どこで狂ったのか。

 どこで狂わされたのか。

 誰にも分らない

 誰も彼も狂っていたのかもしれなければ、狂っていなかったのかもしれない。

 一つの可能性に過ぎない事象は、一つに集約され、それが拡散する事によって、全ては揃い。総ては揃わない。

 たったの一つの歯車が狂う。それだけで時計は動かない。

 人の世も、またそれに準じた物であるのかもしれない。

 

 

 

 

―――No.L-000―――

 

 あれは起こるべくして起こった事だと言えるだろう。

 きっかけは何だったか。

 それすらも記述し、後世へと伝えるのもまた……いや、そう考える事。

 それ自体が既に間違いであるのかもしれない。

 

 ガストレア。元は何だったか。

 ああ、そうだ。

 あの細菌だったな。

 しかし、【細菌】と表現したが、それが必ずしも正解であったのかどうか。今の我々には計り知れない事だろう。

 そもそもからして、今回の実験サンプルを回収した地点も、通常ならば考えられない。

 そも、何故、その【場所】にあれがいると言うことを知りえたのか?

 そこが最大の疑問であると同時に、我々が【知ってはならない】事なのだろう。

 

 では、どこで回収したのか?

 外周区。

 そう答えられるならば、なんと幸せな事なのだろうか。

 回収地点は外周区よりも外。

 そうだ。君の考えている通りだよ。

 ガストレアの闊歩する敗戦地域さ。

 モノリスよりももっと外側。

 

 そこで信じられない事に、大量の屍。それらすべてがステージⅢ。

 その中心で無邪気に笑いながら貪るモノがいた。

 それが。それこそが彼女だよ。

 

「どうして、そんな所にアレがいたんですか?」

 

「匿名での電子メールさ。それでアレの存在を知った。ご丁寧に記録映像つきでね」

 

 記録映像つきで送り付けられてきた映像は俄かには信じがたいものであった。

 最初に映ったのは、裸の赤い目をした白い髪を靡かせる幼げな幼女。

 だが、その姿は幼女には似つかわしくない妖艶さがあった。

 幼い顔立ちは幼女のそれだろう。

 しかし、その身体から発せられるのは、異様なまでのヒトを狂わせる色香だ。

 画面越しで、それも記録映像だと言うのに、不覚にも性的興奮が抑えられなくなるほどの。

 その目を見れば、コレは呪われた子供。いや、化け物だと理解ができると言うのに、感じるのは狂おしいほどに犯したい。壊したい。征服したいという欲望だ。

 だが、それらの感情も次に映った場面を見ればすべて消えてなくなる。

 

「喰ってるんだよ」

 

「……何をですか?」

 

 そう。

 あれは喰っていたんだ。

 無数に群がるガストレアを。

 赤く光る目玉をくり抜き飲み込み。

 見るものを惑わす蠱惑的な笑みを浮かべながら、次々と―――

 

「ガストレアだよ」

 

 それを見た時に感じたのは恐怖か?

 はたまた畏怖か。

 最高の研究材料が見つかったことへの喜びか。

 

 いいや。そのどれも違う。

 私が直感的に感じたのは、見つけてはならないものを見つけた。

 ただただ、それに尽きるだろう。

 だが、私個人の主観なぞは我々には必要ない。

 それ故に。

 アレを我々は確保した。

 我々が所有しているプロモーターとイニシエーター。

 およそ100人を犠牲にして。

 別に戦ったわけではない。

 それが彼女の要望だったのだ。

 

「おじさん達についていくの? いいよ。でも、その前にね。ボク、いっぱぁぃ遊びたい。だから、ボクと遊んでくれる人しょうかいして?」

 

 遊びというのは名ばかりだ。

 彼女が遊び飽きるまでに、それだけの数が犠牲となった。

 外周区に行けば変えの効くイニシエーターはまだいい。

 だが、プロモーターに限ってはそうではない。

 仮にもプロモーターだ。

 IISOへの口止めもバカにならない。

 数々の裏取引。

 研究成果の受け渡し。

 それらをもってして、ようやく確保できたプロモーターが湯水のごとく失われる。

 プロモーターも外周区にでも転がっていればいいとこの時ほど強く感じた事はない。

 

 確保した彼女には投薬に始まり、解剖とあらゆる事を行ってきたが、彼女が死ぬことは決してなかった。

 頭を切り。脳を取り出し、それを詳しく調べるために部位別に分解してもアレは気持ちよさそうに頬を赤らめ笑っていた。

 喋ることもそんな顔をする事も、もはや脳を摘出したのだ。

 その段階でできるはずがないにも関わらず

 

「は、ぁ……あたま、くちゅくちゅされるのいぃよぉ……」

 

 まるで神経がつながっているかのように。

 

 喉を切除しても恍惚とした笑みを浮かべていた。

 

 腕を足を切り離しても

『もっとしてぇ……もっとバラバラにして……きもちぃぃの』

 頭がとろけそうになる甘い声で囁く。

 部屋に充満する彼女の血の香り。

 それがどういうわけなのか。

 催淫作用でもあるというのか。

 理性が崩れ落ちそうになる。

 

 一人の研究員が、その香りにやられ。

 彼女に覆いかぶさった。

 夢中になって、自分の物を彼女にあてがい腰を振る。

 獣の様な声を漏らし、幾度も彼女の中で果て、そして―――

 

「んっぁ、ぁぁぁ♪ ボクを食べてくれるの? いいよ。いっぱぁぃ食べて……ね?」

 

 首筋に噛り付き。

 彼女の肉を貪り喰う。

 何とか理性を留めれていた私を含めた他の研究員は、その場所を離れ。

 別室にて、それを観察する事にした。

 明らかに異常な事態だ。

 通常ならば、あの場で彼を引き剥がすか、何かをするべきだったのだろう。

 しかし、それ以上にこの事態を観察する事を我々は選んだ。

 

 狂ったように叫びながら研究員だった者が彼女を食べていく。

 滑稽だが、腰を打ち付けながら、彼女の目を抉り抜き、それを口に押し込め食べる。

 彼女はぽっかりと空いた眼孔を気にも留めずに

『気持ちいいよぉ……もっともっと食べてぇ……』

 彼が食べやすいように自らを差し出す。

 異常な光景だ。

 だが、彼女が瞬きをすれば、無くなったはずの眼球が再びそこにある。

 常軌を逸した再生速度。

 確かにガストレアの因子があるにはあるが、あんな一瞬の間に果たして再生が可能だろうか。

 極めてレアケースだとしても、アレはもはや形象崩壊を起こしていないガストレアだと言えるのではないだろうか。

 事実、アレの体内浸食率は96.78%

 どうして形象崩壊を起こしていないのか。

 それが疑問でもあり、あれこそが我々が求めてきたものの答えなのではないだろうか。

 100%に至った時。

 アレは一体どういった形になるのか?

 それの答は誰にも分らない。

 私も最後までアレがどのように至るのか。

 それを見る事は恐らく叶わないだろう。

 アレを使った数々の実験を行い数か月が経った。

 もう、我々で。

 いや

 もう、私しか正気を保てている者はいない。

 いつからか、アレの父親役と母親役をやる取り決めができた。

 いつ。誰がそんなものを作ったのかもわからない。

 分かるのは、その役に選ばれたものは、皆、恍惚とした表情を浮かべ

 

「やっと彼女の糧になる時が来た」

 

「あぁぁっあの子に食べてもらえるなんて……考えただけで幸せだわ……」

 

 私以外の誰もが、選ばれた者を羨望の眼差しで見つめる。

 私自身も、そろそろ正気を保つ事は無理そうだ。

 これをこの記録を見ている者がいるならば、決して彼女を刺激してはならない。

 彼女とともにあってはならない。

 彼女は、隔離するべきだ。

 堅牢なバラニウム製の檻など何も意味は成さない。

 モノリスの外へ。

 誰もそこへ来ることの出来ないはるか彼方へ。

 彼女を隔離するべきだ―――

 

 

 

 

見られちゃった。ボクのコトが書いてあるやつ。

二人に見られちゃった。

今、見てる二人。

ボクのコトが書いてあるぱそこん。

そのうち気づくって思ってた。

それ見なくても、たぶん。違うかな。ボクの異常性に気づく。気づいてた?

たぶんだけど、そのどちらも正解なんだ。

 

ボクのコトを同じニンゲンとして見てくれた蓮太郎。

ボクのコトを同じニンゲンでトモダチとして見てくれた延珠。

ボクのコトを同じニンゲンでかわいがってくれた木更。

ボクのコトを同じニンゲンで妹みたいに思ってくれたティナ。

 

他にもボクのコトを同じように見てくれたたくさんの人たち。

嬉しかった。

ボクが、ボクとして、ボクを見てくれたコトが嬉しかったんだ。

だから我慢もできた。

違う。

だから、ボクはボクでいられたんだ。

普通じゃない。ボクだけを呼んで、ボクが今どういった状況にあるのか、教えてくれた菫。

知ってるよ。ボクの体内浸食率でしょ? とっくに100%を超えてる。

それでも形象崩壊を起こさないボク。

何が原因で、ボクに何があるのか?

ボクの事を詳しく調べれば、浸食率が40%を超えてる延珠を救うコトだって。

他の娘達が浸食率に怯える事もなくなって、回りの人たちもいつかはボクたちが化け物になるんだって、怯えないで済むステキな。あったかい世界になるかもしれないんだって。

それもわかってるし、知ってるよ。

きっと、みんなはボクのホントを知っても、いつも通りに接してくれる。

そういう確信だってあるんだ。

でも、今はまだダメなんだ。

ボクがそれを信じきれてない。

だから、今、ここで、それを見られちゃったら……

 

「それ、見ちゃったんだ? 二人とも」

 

蓮太郎はボクの言葉を聞いて、ボクがどうしてここにいるのか。

ちょっと驚いた風に、それでいて、どこか警戒してボクに振り替える。

だめ、だよ? そんな風にボクを一瞬でも見つめたら。

ボク、ダメになっちゃうよ。

いひっも、うダメ、かも?

蓮太郎。好きだったな。すき。だいすき。あいしてる。ヒトツニナリタイ

 

「……これに書いてあるのは……お前、なのか?」

 

ボクに問いかけてくるのがニンシキできない。

蓮太郎。れんたろう。

ひとつ、ひとつになる?

 

「どうだろうね? 仮にそれがボクだとして、里見さんはどうするの? ボクを壊すの? バラバラに? ぐちゃぐちゃに? ボクがボクでいられなくなるようにぶっ壊してくれるの?」

 

延珠が必死な顔して言ってくる。

嬉しい。うれしいよ延珠。本当に嬉しいんだ。

ボクは延珠のコトも好き。

友達として? ちがう。

女の子としてだいすき。蓮太郎みたいにだいすき。アイシテル

だれ? これだれ? すき。アイシテル

ヒトツニナル。

みんな、ひとつ。ボクとひとつになる。

そうすれば、ボクはヒトリじゃない。

ヒトリじゃナクナル。

ボクのナカにたくさんいるみんなと一緒になる。

それってすごく、幸せなコトだよね?

みんな一緒になって、ボクをあいしてくれる。

ボクをボクで、ボクでぼくにしてくれる。

木更もすき。ティナも好き。みんなだいすき。

ボクのコトを見てくれたみんながだいすき。

食べたくない。

食べたく、ない。

みんなのあったかい手が。

みんなの顔が見れなくなる。

食べたら見れなくなる。

食べたら触れられなくなる。

食べたら、ボクを見てくれなくなる。

 

―――どうして? どうして見てくれなくなるの? ボクの中にみんないるんだよ?

 

見てくれる?

ボクの中からみんな見てくれてる?

 

―――そうだよ。みんなボクを見てくれてるよ? ボクの恥ずかしいところもみんな見てくれてるよ? 触ってくれてるよ? 感じてみて?

 

ほんとうだぁ……ボクのおっぱい。いま、揉まれた。

おまんこ。中にいっぱい突っ込まれてるしあわせ。

 

違う。違うよ。

そうじゃない。違う。

違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う

 

―――違うなんてことはないよ。ほら、ほらぁ……♪

 

「そんなコトはしないぞ! りりあ! そうだろう!? れんたろー!」

 

「……ああ。延珠の言うとおりにそんな事はしない。これに書いてあった事が本当の事だったとしてもな」

 

嘘でも良かった。

嘘でも良かった。

ボクを壊してくれるって

ボクをバラバラにして

ボクをボクじゃないようにしてくれるって言ってくれるだけでよかった。

あったかい。あったかいよ。

ボクを見てくれる。ボクを、ボクをあたためてくれる二人は、あったかいよ。

その手で、その笑顔で、ボクを包んで。

ボクを抱きしめて。

ボクを愛して。

ボクを見つめて。

ボクを壊して。

ボクをボクでいさせて。

 

でも、ダメだったんだ。ボクを壊してくれない。ボクをちゃんといなくならせてくれない。

暖かさが。

温もりが。

それが、ボクを壊す。

矛盾してるよね?

でもね。

ボクが、結局求めてるのは、ボクの事をちゃんと殺してくれる人なんだ。

ボクはどうやっても壊れないし死ねない。

モデルは多すぎて最初は何だったのかなんて、わからない。

でも、バラバラにしてバラスのは楽しい。

どうしようもなく楽しかったんだ。

気持ちいし、ボクが今ここにいるって感じられた。

影胤や、小比奈もボクを見てくれてた。

小比奈は何度もボクをバラバラにしてくれたし、影胤は押しつぶしてくれた。

結局。ボクを壊すことは出来なかったけど。

何度もボクを潰して斬って、バラして。

でも、ダメだった。

ボクはボクだったんだ。

そうやって、ボクを誘ってもくれたけど、ボクはれんたろう? に飼われてるし、アイシテルから断ったんだ。

その時にも言われたっけ。

ボクはいつか、その二人をも壊すって。

そうだね

そうだよ。

壊すよ。

ぜったい壊すよ?

ボクを壊してくれないなら、みぃぃぃんなボクがバラバラにする。

ボクが解体してコワシテころす。

 

ハジメテなんだ。

ボクがこんなに。

壊したくないって思ったのは。

壊したくないのに壊したいって思ったのは。

バラしたくないって思ったのは。

バラしたくないのにバラしたいって思ったのは。

食べたくないって思ったのは。

食べたくないのにタベタイって思ったのは。

反する二つのキモチ。

わからないよ。

わかんないよ!

どうすればいいの!?

だいすきだよ!

みんなだいすきなんだ!

おとーさんもおかーさんも大好きだったんだ!

みんな知らない人で、ホントの親じゃないのも知ってた!

それでも、それでも大好きだったんだ。

愛してたんだよ。

ボクをあそこから連れ出して救ってくれた。

バラして壊すことしか知らなかったボクを必要としてくれた。

だから、タベタイっておもったんだ。

だから、ヒトツになりたいっておもったんだ。

 

お腹の中身を食べた。

腕を食べた。

筋肉を繊維のひとつひとつをはがして食べた。

目をくり抜いて食べた。

ぷるぷるで、おいしぃおめめ。

ふわふわで、おいしぃのうみそ。

こりこりで、おいしぃないぞう。

 

おいしかったなぁ……

きもちよかったなぁ……

 

こわれてる。

さいしょからこわれてた。

ぼくはこわれてた。

うまれたときにさいしょにしたのは、ホントのおかーさんをたべること。

そこにいたひとたちを

みんな

ばらばらにした。

おぼえてる。

きゅうげきに

せいちょうするぼく

うまれてからすぐにいまのかっこうになった

おかーさんのおなかがはじけとんだ。

たくさんのこえ

しってる

しってる

しってる―――

 

だから。

 

「くふっそうなんだぁ? 壊してくれないんだ……じゃぁ、さ」

 

 恐ろしいほどまでに妖艶な微笑み。

 すべてを狂わせる色香があたりに漂う。

 蠱惑的に、魅惑的に。

 言葉を区切り、二人を見つめ

 

「ボクが、二人のコト。バラバラに分解してもいい? もぅがまんできないんだぁ。二人を見てるとね、すっごく食べたくて、壊したくて、解体したくてたまらないの。ボクのここもね? 二人がそれ見ちゃった時から、ぐちゅぐちゅに濡れてるんだよ? ねぇ、どうしてボクのコト壊すって言ってくれなかったのかなぁ? ねぇ、ねぇねぇねぇねぇ? だからね、だからぁ、ね? ボクが二人を壊してあげる。バラバラにしてあげる。解体してバラしてバラしてバラバラに。それでそれで、ボクと一つになろぉ? ボクがぜぇぇんぶ食べて、ボクと一緒にずっとずぅぅぅっと一緒になろ? 一つになろぉよ♪ なってくれるよね? 里見さんはボクのご主人様。延珠ちゃんはボクのお友達。だいじょぶだよ? 二人とボクが一つになったら、ちゃぁんとティナちゃんも天童さんも♪ ボクがバラバラにして、全部ぜんぶ! 食べてヒトツにナルカラ。だから、ね? くふっひひひっ ああああああ! ね? ね? ステキ、すてきだよ。いひっいひひひひひっ! あは、あはははははははははは!!」

 

ボクを壊してくれないならいらない。

ボクを壊さないならいらない

ボクを殺さないならいらない

いらない。

全部いらない。

ボクを消してくれない世界なんていらない

ボクはいちゃいけないのに

ボクをバラしてくれないならいらない。

ボクをずっとバラしてボクが再生しちゃうならいらない。

みんないらない

いらない

すき。だいすきだよ

あいしてるよ

 

もう、ナマエも思い出せないけど、あいしてるよ

 

「れたろーとえじゅ。だいすき。らから、しんで?」




あとがきって、うぃーうぃるうぃーうぃるろっけんろー! だと思うんだ。

感想が1ついたら、からっぽにしてとりあえず続きのような何かを書こうと思ったら感想がきてた。ありがとうございます。
からっぽにしすぎて、何を書いてるのかよく分からなくなってきた。
短い? 自分もそう思う。
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