朝の訓練場には、まだ人が少なかった。
石畳は夜露を吸って薄く光り、遠くの兵舎からは鎧の擦れる音が聞こえてくる。
俺は執務室から逃げたわけではない。そう、自分に言い聞かせた。書類の山と、誰かが置いていった朝食と、妙に整った警護計画から、少し距離を取っただけだ。
訓練場の中央で、セリューが背筋を伸ばして待っていた。
「皇子殿下!」
声がよく通る。
敬礼の角度も、靴の位置も、隙がない。真面目すぎるほど真面目で、だからこそ危うい。
「朝から元気だな」
「はい! 正義を実行するため、今日も万全です!」
その言葉に、俺の足が半歩だけ止まった。
正義。
便利な言葉だ。
口にした者の背中を押す。迷いを消す。剣を振る理由にも、誰かを裁く理由にもなる。だが一度熱を持ちすぎると、道の端にいる者まで焼いてしまう。
「セリュー」
「はい!」
「その正義は、誰のためにある?」
セリューの目がわずかに揺れた。
すぐに答えが返ってくると思った。けれど、唇が少しだけ開いたまま止まる。
「悪を討つためです。民を守るために」
「悪を討つことと、民を守ることは同じじゃない」
風が抜けた。
訓練用の旗が、乾いた音を立てる。
「悪だと決めた瞬間、相手の声を聞かなくなる。命令を正義と呼べば、疑わなくなる。怒りを正義で包めば、自分でも止まれなくなる」
セリューの拳が固まった。
反論ではない。言葉を受け止めようとしている手だ。
「殿下は、私の正義が間違っていると?」
「間違うことがある、と言っている」
俺は一歩近づいた。
彼女は逃げなかった。真っ直ぐ見上げてくる瞳には、熱がある。その熱を消すつもりはない。消せば、この子の芯まで折れる。
必要なのは、水を差すことではない。
火の向きを変えることだ。
「正義は、人を燃やすための火じゃない。暗い道で、誰かが踏み外さないように掲げる灯りだ」
セリューの肩から、少し力が抜けた。
「でも、悪を見逃せば……」
「見逃せとは言わない。踏み込む前に、一度だけ考えろ。自分が斬ろうとしているものは本当に悪なのか。命令を出した者は、本当に正しいのか。守るべき人を巻き込んでいないか」
「……一度だけ」
「一度でいい。そこで止まれるなら、悲劇は減らせる」
セリューは黙った。
朝日が横から差し、彼女の頬に細い光を作る。強く握っていた拳が、ゆっくり開いた。
「私は、正義を実行したいです」
「知っている」
「けれど、殿下の言葉を忘れません。正義が、誰かを踏みにじる理由にならないように」
深く、頷いた。
その姿はまだ危うい。けれど、まっすぐすぎる刃に、初めて鞘が与えられたようにも見えた。
「よし。なら今日の警護計画だが」
「はい! 殿下の私室前に検問所を――」
「それは駄目だ」
「小規模でも?」
「規模の問題じゃない」
セリューは少しだけ残念そうに眉を下げた。
俺は額を押さえる。
「殿下」
訓練場の朝の空気はまだ冷たい。だが、セリューの瞳には正義の熱が灯ったままだった。
俺の言葉を受け止め、新たな鞘を得たような安心感と、それ以上に高まる使命感が入り混じている。
「お言葉、胸に刻みました。これからも私は、正義の剣として殿下をお守りします!」
「ああ、頼むよ」
俺が頷いて背を向けようとした時、彼女の軍靴が一歩、踏み出した。
「ですが……」
振り返ると、セリューが顔を赤らめながらも、真っ直ぐに俺を見上げていた。
握りしめた拳が小さく震えている。
「正義を全うするためには、力が必要です。御旗が必要です。そして……褒美も」
「褒美?」
「はい! 私の忠誠が、正しい方向へ向いていることを確認するための……殿下からの褒美をいただけないでしょうか!」
彼女の声は少しだけ上ずっていた。
正義のために命を懸ける彼女が求める褒美。それは勲章や昇進などではないだろう。もっと原始的で、確かな体温としての証明。
俺は周囲を見渡した。
早朝の訓練場に人影はない。見張りの兵士も遠く、石壁が音を反響させない位置にある。
「ここでいいのか?」
「はい! どこであろうと、殿下から頂けるなら!」
俺は壁際の木箱に腰を下ろした。
朝日に照らされた石畳が白く光る。
「なら、取りに来い」
セリューの目が見開かれた。
次の瞬間、彼女は小走りで近づき、俺の目の前に跪いた。
軍服の膝が砂に触れるのも厭わない。ただ純粋に、求めるものへ向かう姿勢だった。
「失礼します!」
彼女の手が俺のズボンのベルトに伸びる。震える指先でバックルを外し、前を寛げる。
下着の中から屹立したモノを取り出すと、セリューは感嘆の息を漏らした。
「わぁ……殿下の……」
熱く滾る肉棒を両手で包み込む。白手袋越しに伝わる彼女の体温と緊張。
彼女は顔を近づけ、ちろりと舌先で先端を舐めた。
「んっ……」
「どうした? 遠慮はいらないぞ」
「はいっ! 頂戴します!」
セリューは大きく口を開け、俺自身を咥え込んだ。
「んぐっ……ぅぷっ……!」
喉奥まで届かせようと顔を上下させるが、その動きはぎこちなく、一生懸命すぎた。
歯がわずかに当たり、舌が不規則に動く。
「うぐっ……んぅっ……はむっ……!」
だが、その不器用さこそが彼女らしい。
真面目に奉仕しようとするあまり、頬を大きく膨らませ、唾液を垂らしながら喉を鳴らす。
時折、上目遣いで俺の反応を伺う瞳には、不安と期待が入り混じっている。
「いいぞ、セリュー。その調子だ」
頭を撫でてやると、彼女は嬉しそうに目を細め、さらに激しく頭を振った。
ちゅぱちゅぱという水音が、静かな訓練場に響き渡る。
彼女の口内は狭く、熱く、俺を締め付ける。
「んっ……んぅっ……ちゅぷっ……!」
俺は限界が近いことを感じた。
だが、彼女が求めているのは口での奉仕だけではないだろう。
「もう十分だ」
俺の声に、セリューは名残惜しそうに唇を離した。
涎と先走りで濡れた唇が、朝日の中で艶かしく光る。
「次は……こっちだ」
俺は彼女の手を引き、立ち上がらせた。
そして再び木箱に座り直し、彼女の腰を引き寄せる。
「えっ? 殿下?」
「受け取れ。俺からの褒美だ」
セリューの顔が真っ赤に染まる。
だが、彼女は拒否しなかった。むしろ、待ち望んでいたかのように軍服のスカートを自ら捲り上げた。
白いタイツに包まれた脚が露わになる。
その中心、下着の布地はすでに湿っていた。
「準備はいいようだな」
「はぃっ……見られていたから……その……」
彼女は震える手で下着を横にずらした。
秘所は淡い茶色の産毛に縁取られ、蜜糸を引いて濡れ光っている。
「挿れるぞ」
「お願いします! 殿下の褒美を……私の中に!」
セリューは俺の首に腕を回し、自ら腰を沈めた。
屹立した先端が割れ目に触れ、ゆっくりと肉壁を押し広げていく。
「あぁぁっ!!」
彼女の背筋が反り返る。
きつい。処女に近い締め付けだ。だが、自ら求めて飲み込もうとする意志が、痛みを快楽へと変えていく。
「んっ……くぅっ……入ってきます……殿下のが……おおきい……ですっ!」
ずぶりと根本まで飲み込むと、セリューは安堵したように息を吐いた。
そしてすぐに腰を動かし始めた。
「はぁっ! あぁっ! これっ……褒美っ……ですっ!」
騎乗位。
自ら主導権を握り、快楽を貪る姿勢。
彼女の腰使いは、剣術の型を思わせるほど規則正しく、そして激しかった。
石畳の上で軍靴が踏ん張り、白タイツの太股が俺の腰を挟み込む。
「セリュー……!」
俺は彼女の軍服の上から豊かな胸を掴んだ。
激しい動きで揺れる乳房を掌で捉え、指先で乳首を擦り上げる。
「ひゃぁっ! そこっ……ダメっ……ですっ! でもっ……いいっ……!」
セリューの声が裏返る。
普段の敬語仕立てが崩れ、本能的な喘ぎへと変わっていく。
「もっとっ! もっと奥へっ! 正義の証を! 殿下の全てをください!」
「くっ……!」
俺も下から突き上げた。
彼女の体重を受け止めながら、最奥を目指して腰を叩きつける。
パンッ! パンッ! パンッ!
肉と肉がぶつかる音と、汁の混ざり合う音が朝の空気を汚していく。
「ああっ! あぁっ! イきますっ! イきますっ!!」
セリューが仰け反り、軍服の背中が波打つ。
俺は彼女の腰を強く引き寄せ、限界まで深く突き入れた。
「くうっ……!」
ドクッドクッと熱い奔流が注ぎ込まれる。
彼女の子宮が痙攣し、俺を受け入れているのが分かる。
「あぁぁぁぁっ!!!」
長い絶頂の後、セリューは俺の肩に顔を埋め、力なく崩れ落ちた。
荒い息遣いと汗の匂いが混じり合う。
「殿下……ありがとうございます……」
耳元で囁く声は、満足感と忠誠心に満ちていた。
俺は彼女の汗ばんだ背中を優しく撫でた。
これが彼女の求める「正義」と「褒美」なのかもしれない。
狂気じみた純粋さが、今はただ愛おしかった。