夜の執務室に、妙な匂いが漂っていた。
肉の焼ける匂い。香草。にんにく。濃い出汁。
そこまではいい。問題は、それらが重なった奥に、薬草のような苦みと、逃げ道を塞ぐような熱が混じっていることだった。
「……エスデス」
「何だ」
俺は顔を上げた。
そして、すぐ天井を見た。
「まず服装について話そう」
「料理をするならエプロンだろう」
「その理屈は正しい。正しいが、正しさにも限度がある」
「見たいなら見ればいい」
「見ない。俺は今、天井の木目を数えている」
エスデスは笑った。
声だけで分かる。あの、獲物が罠の前で足を止めた時の笑い方だ。
皿が机に並ぶ音がした。
一枚、二枚、三枚。多い。どう考えても一人分ではない。
「食べろ」
「その前に確認させてくれ。これは何だ」
視線を皿へ落とす。
焼き上がった肉には、刻んだにんにくが山のように乗っている。隣には艶のあるうなぎ。さらに山芋の汁物、牡蠣の焼き物、レバー、卵黄を落とした薬膳粥。最後に、黒く濁った飲み物。
俺の背中に汗が伝った。
「……君は俺をどうする気だ」
「強くする」
「強くする方向性が偏っている」
「滋養に良いものを集めた。完璧だ」
「完璧に逃げ場がない」
エスデスは当然のように向かいへ座った。
こちらはまだ天井と皿の間で視線を迷わせている。
「お前は弱い。すぐ倒れそうな顔をする」
「原因の一部は君だ」
「なら、私に耐えられる身体にすればいい」
「発想が暴君なんだよ」
「私は将軍だからな」
「威張るところじゃない」
百通りの未来を開く。
食べる。追加される。断る。食べさせられる。逃げる。追われる。褒める。次回の量が増える。
詰みだった。
「……少しだけ食べる」
「遠慮するな」
「遠慮ではなく防衛本能だ」
箸を取る。肉を一切れ、口に入れた。
悔しいが美味い。火の通し方も、香草の使い方も悪くない。むしろかなり上手い。
「味は、美味い」
「当然だ。なら、もっと食べろ」
「褒めた瞬間に罠が発動した」
皿に肉が追加される。
俺は無言でそれを見た。
「エスデス」
「何だ」
「次は普通の料理にしてくれ」
「これも普通だ」
「君の普通は帝国基準に採用できない」
「では次は、さらに効くものを用意する」
「効かせるな」
黒い飲み物が差し出される。
湯気は立っていないのに、妙な圧だけがある。
「これは?」
「薬酒だ」
「却下」
「飲め」
「断る」
「百通り見ても?」
「……少しだけ飲む」
喉を通った瞬間、腹の奥が熱くなった。
まずいわけではない。だが、体が危険信号を鳴らしている。
エスデスは満足そうに頷いた。
「どうだ。力が湧いてきたか」
「胃が戦場になっている」
「鍛錬が足りない」
「胃を鍛錬対象にするな」
食後、俺は机に突っ伏した。
満腹というより、敗北に近い。
エスデスは立ち上がり、皿を片づけながら言う。
「食後は少し休め」
エスデスの声が、やけに近くで聞こえた。
机に突っ伏したまま顔を上げると、彼女が俺の隣に立っている。
いつの間に移動したのか。いや、それよりも問題がある。
「……近い」
「当然だ。料理の効果を確認する」
「何の効果だ」
「滋養強壮だと言っただろう」
エスデスは当然のように膝をつき、俺の脚の間に割り込んだ。
その手がベルトに伸びる。
「待て」
「待たない」
「将軍が膝をつくな」
「私はお前の前では将軍ではないと言っている」
バックルが外され、ズボンが引き下ろされる。
下着の中では、すでに肉棒が痛いほど硬くなっていた。
薬酒と精力料理の効果だ。自分の意思とは無関係に、血が滾っている。
「ほう」
エスデスは下着をずらし、露出した肉棒をまじまじと見つめた。
「見事な勃起だ」
「感想を述べるな」
「事実だ」
彼女の冷たい指先が、熱く滾った竿に触れる。
ひやりとした感覚に、思わず腰が跳ねた。
「氷の帝具を使うな」
「使っていない。これは素の体温だ」
「嘘をつけ」
「本当だ。触って確かめるか」
そう言って彼女は俺の手を取り、自分の頬に当てた。
確かに冷たい。だが、それは氷の能力によるものではない。彼女の素の体温が、もともと低いのだ。
「納得したか」
「……したくないが、した」
「ならば観念しろ」
エスデスは再び肉棒に手を伸ばし、今度は両手で包み込んだ。
冷たい掌と、熱い肉棒。その温度差が、かえって感度を高める。
「立派だ。私が作った料理の成果だな」
「誇らしげに言うな」
「当然の成果だ」
彼女は顔を近づけ、先端にそっと唇を触れた。
ちゅ、と軽く吸い上げる音が、靜かな執務室に響く。
「ん……」
エスデスの口元がわずかに動いた。
まるで味を確かめるように、舌先で鈴口をなぞる。
「塩辛いな」
「当たり前だ」
「いや、悪くない」
彼女はそう言って、今度は深く咥え込んだ。
ぬるりとした口腔が肉棒を包み込む。
冷たいのか熱いのか、もはや判別できない温度が、根元まで一気に飲み込んでいく。
「んぐっ……」
喉の奥まで到達した亀頭を、彼女の咽喉が締め付ける。
ディープスロート。将軍である彼女が、俺の前で膝をつき、喉の奥まで肉棒を受け入れている。
「エスデス……!」
俺が思わず名を呼ぶと、彼女は口を動かしたまま上目遣いで俺を見上げた。
青い瞳が、獲物を見つけた獣のように細められる。
ぞりゅっ……ぞりゅっ……
ゆっくりと顔を前後に動かし、肉棒全体を唇で扱く。
時折、歯を立てずに舌全体で裏筋を舐め上げ、先端に達すると強く吸い上げる。
「んちゅっ……ちゅぱっ……」
普段は命令ばかりしている口が、今は俺の肉棒に奉仕している。
そのギャップが、さらに興奮を煽った。
「どうした。もっと味わわせろ」
エスデスは一旦口を離し、唾液で濡れた肉棒を手で扱きながら言った。
「まだまだ元気だろう。私の料理を信じろ」
「信じるも何も……!」
彼女は再び咥え込む。
今度はより深く、より激しく。
鼻先が俺の下腹部に埋まるほど深く飲み込み、喉の奥で亀頭を締め付ける。
「んぐっ……んぐっ……んぐっ……!」
苦しそうな吐息が漏れるが、彼女は顔を離さない。
むしろ苦しさを楽しむかのように、さらに強く吸引する。
俺の腰が自然に浮き、彼女の口腔をさらに奥まで突こうとした。
それに気づいたエスデスが、口を離さずに笑ったような気配がした。
次の瞬間、彼女は自ら頭を前後に激しく動かし始めた。
じゅぼっ! じゅぼっ! じゅぼっ!
唾液と先走りが混ざり合い、厭らしい水音が部屋中に響く。
「くっ……イきそうだ……!」
俺がそう告げると、エスデスはさらに深く咥え込み、喉の奥で亀頭を締め付けた。
まるで「ここに出せ」と言わんばかりの動きだ。
「うぉっ……!」
ドクッドクッ!
彼女の喉の奥に、熱い精液が迸る。
エスデスは一瞬息を詰まらせたが、すぐに喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。
ごくん、ごくんと嚥下する音が聞こえる。
長い射精が終わるまで、彼女は決して口を離さなかった。
最後の一滴まで吸い尽くすと、ようやく口を離し、舌で唇を舐めた。
「悪くない味だ」
エスデスは立ち上がる。
「悪くない味だ」
エスデスは立ち上がる。
その姿を見て、俺は息を呑んだ。
彼女は軍服の上着もシャツも、一切脱ぎ捨てていた。白い肌が執務室のランプの光を浴びて妖しく輝く。身につけているのは、腰から下を覆う白いエプロン一枚だけ。
「……いつの間に」
「料理の最中に決まっている。汚れてはいけないからな」
裸エプロン。
青い長髪が白い布の上を流れ、腰の紐が華奢な骨格を強調する。
エプロンの裾から覗く太股は引き締まっており、その奥の秘所が布に隠されて想像を煽る。
だが、隠す時間は与えられなかった。
「さて、まだ元気だろう?」
エスデスは俺の肉棒に視線を落とした。
精力料理の効果か、あるいは目の前の光景のせいか。俺のモノは萎えるどころか、さらに硬度を増して天を突いていた。
「料理の効果は口だけではない。実践してこそ意味がある」
彼女は俺の腰を跨いだ。
エプロンの布が擦れ、俺の太ももに彼女の体温が伝わる。
エスデスは手をエプロンの下に伸ばし、濡れそぼった秘所を露わにした。
ぐちゅりと粘ついた音が、密室に響く。
「入れろ。私の中に」
命令だ。だが拒否権など最初から存在しない。
彼女は俺の肉棒を握り、エプロンの下に隠された割れ目へと導いた。
亀頭が濡れた肉壁を割り開き、ぬるりと滑り込む。
「んっ……!」
ずぶり、と根本まで飲み込まれる。
きつい。熱い。そして深い。
将軍としての地位に見合うほどの圧倒的な締め付け。内壁がひだ一本一本まで俺の形をなぞり、搾り取ろうと蠕動する。
「はぁっ……! 相変わらず、いい締まりだ……」
「当たり前だ。これは私の所有物を受け入れるための器だ」
エスデスは腰を下ろし切ると、俺の胸板に両手をつき、見下ろすように顔を寄せた。
青い瞳が、獲物を味わうような色に染まっている。
「動くぞ」
彼女は腰を振り始めた。
単なる上下運動ではない。前後左右に腰をくねらせ、肉棒を膣壁の隅々まで押し付け擦り上げる。
エプロンの白い布が、激しい動きに合わせて揺れる。
その下で肉と肉がぶつかり合う音が、濡れた水音と共に響き渡った。
ぱんっ! ぱんっ! ぱんっ!
「はっ! あっ! どうだ、皇帝! 私の中は!?」
「くっ……すごい……! 締め付けが、狂いそうだ……!」
「いい反応だ! もっと声を上げろ!」
エスデスはさらに腰を加速させる。
騎乗位。彼女が上であり、支配する側だ。
俺は下から突き上げようとするが、彼女の体重と腰の動きに翻弄され、為すがままに快楽を貪られる。
「私の料理を食らい、私の中に出せ! それがお前の役目だ!」
「うぉっ……! エスデス……!」
エプロンの紐が揺れ、彼女の汗ばんだ肌が光る。
青い髪が乱れ、白い肌にかかる。
その姿は、まさしく戦場を支配する将軍そのものだった。ただ、支配の対象が軍勢ではなく、俺の肉棒と精液であることを除けば。
「近い……! 奥に当たる……!」
彼女の動きが、さらに狂乱したものとなる。
自ら最奥を突かせようと、腰を沈める角度を深くする。
子宮口に亀頭が当たるたび、電流のような刺激が背骨を駆け抜けた。
「皇帝! 私の中に! 注げ! 満たせ!」
エスデスの命令に、俺の肉体が抗えるはずもなかった。
限界を超えた瞬間、俺は彼女の腰を強く掴み、深く突き入れた。
「くうぅぅっ……!」
どくっ! びゅくっ! びゅるるっ!
熱い奔流が、彼女の子宮の奥へと注ぎ込まれる。
「あぁぁっ!! 熱い……! 注がれてくる……!!」
エスデスは背を反り返らせ、絶頂の波に乗った。
彼女の内壁が痙攣し、俺の精液を一滴残らず搾り取ろうと絞め上げる。
長い射精と絶頂の余韻が続く。
やがて、エスデスは力なく俺の胸に崩れ落ちた。
荒い息遣いが、俺の首筋にかかる。
「……ふっ……悪くない……」
耳元で彼女が囁く。
「料理も……これも……最高の味だ」
俺は天井を見上げた。
精液と汗と愛液の匂いが充満する執務室。
逃げ場はどこにもなかった。