※この作品はR-18です。

転生いちゃラブハーレム(ハードモード)   作:ねろね

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(ちゃんとした)エロ無しの回。


#3 佳局・家族・閑却

 3人での共同生活が始まってから早くも2日が経った。さすがに毎日ブローニャにあのプレイをしてもらうのは様々な意味で危うかったのでもうちょい別のやり方は無いかと考えたのだが、「俺達が一線を越えないよう筒美さんが監視する必要がある」というところをクリアできず、結局昨日も一昨日も筒美さん監視の中ブローニャに手伝ってもらっていた。

 筒美さんと一緒に職場へお邪魔し大人しくしていたり、ちらりと話に出ていた家庭持ちの同僚男性と挨拶したり、悪魔出現の報を受けて筒美さんが出動する間その男性と留守番したり、などということがあった。男性の姿に見覚えは無かった。知らない作品のキャラということも考えられなくはないが。

 

「僕は魔法は得意だけど、腕っぷしはあんまりでね。回復魔法が使えることもあって、あまり前線には出ないように決められてるんだ。本当なら僕が君たちを預かるのが一番良いんだけど、結婚したばかりだからって皆に気を使われちゃってね」

 

 ややぽっちゃりした男性……板橋さんは指輪を眺めて苦笑する。とは言うが、俺たちのお守りを任せられているのなら恐らく最低限の戦力は備えているのだろう。本当に腕っぷしが立つようには見えないが……あるいはサマナーってやつなのかもしれない。

 

「やっぱ回復魔法使えるのって重要なんすね。ブローニャ、お前ここ就職したらどう?」

 

「ま、他の道探すよりはいいかもね」

 

「そうそう、報告書読んだよ。本当に使えるんだねえ、回復魔法(ディア系)に支援魔法(カジャンダ系)、それから攻撃魔法もメジャーな属性は一通り」

 

「やっぱ珍しいんすかそれ」

 

「珍しいねえ。あとは状態異常回復だけ覚えて身のこなしを鍛えて、装備を整えれば立派な万能型異能者の出来上がり。他の後ろ暗いとこに捕まる前に、しかも穏便に保護できて警察官としては一安心だよ」

 

「プロから見てもそのぐらいっすか。ブローニャすげえじゃん」

 

「他人事みたいに言ってるけど君もだよ? 素で神経異常も精神異常も効かないっていうのは、装備を剥がされたり不意打ちされたりしようと行動不能や寝返りがないってことだ。フィジカルも相まって、前衛役としては君も十分立派だとも」

 

 と、そこで電話がかかってきた。板橋さんが応対する。

 

「……ハイ、ハイ。ええ、件の保護した子たちと一緒に……え? 明日? それは……大分筒美には負担がかかりますが。まあ人手足りませんもんね……。彼らは僕が? え? 同行!? いやいや僕は……はい!? 明日北海道!?」

 

 ……なんか、大変そうだな。電話を切った板橋さんは心なしやつれていた。

 

「ええとね、明日僕北海道行かなくちゃいけないらしくて……で、それがちょっと極秘なやつで。君たちを連れていけないので……筒美さんと一緒に関西の方に行ってもらうことになるみたい」

 

 ブローニャはあからさまに不満げだったが、とりあえずは飲み込んだらしい。しばらくして、戻ってきた筒美さんと合流した俺達は筒美さんの家に向かった。

 

「板橋から話は聞いたみたいだな。本当なら、連れて行くにしてもツーマンセルで動いてどちらか一人は君たちを守る手筈だったんだが……緊急の案件で、一人でもすぐに動かなきゃいけない。嘘つきな大人で嫌になる」

 

「そうやって先回りして自虐されると文句言いにくいんですけど」

 

「……すまん、本当に良くない大人の振る舞いだったな。まあ安心してくれ、君たちのことは必ず守る」

 

 そんなやりとりの後、例によってブローニャに手伝ってもらい就寝。毎度ブローニャがアソコを見せつけてくるのでそろそろ解消される性欲を欲求不満が上回ってきそうだ……。別に性欲発散ではなく安眠のためなのだが。

 

 翌日、関西地方某所にて。鬱蒼とした山を登りながら、筒美さんは語る。

 

「緊急の案件と言うのは……ここの悪魔の封印が解けかかってるって話だ」

 

「悪魔? なんの変哲もない山に見えますけど」

 

「実際場所に縁は無い。戦後の混沌の中持ち込まれた外の悪魔を、とるものもとりあえずって具合でここに封じたそうだ」

 

「強さは?」

 

「不明。戦争と、同時に起きてたらしい裏のゴタゴタで陰陽師やら悪魔召喚師(サマナー)やらはどっさり亡くなって、当時一時的に平均霊格(レベル)がぐっと落ち込んだそうだ。そのせいで、苦戦したとはあるが実際どの程度なのかは見当がつかん。平均は平均だからな……おまけに悪魔の名前も残ってない」

 

「それに一人、どころかお荷物ぶら下げた状態でやり合うの? 頭おかしいんじゃない公安って」

 

 口は悪いが、筒美さんの身を心配している……と、取れなくもない。

 

「たまにあるよ、そういう仕事。でもやるんだ、警察だから」

 

 諦観というよりは、誇りに思っているような口ぶりだった。

 

「……この先だ。なるべく近くにいてくれ、そっちの方が守りやすい」

 

 ゆっくりと歩を進める。やがて見えてきたのは、棒状の大きな岩だった。

 

「この前地震があって、この岩が崩れかけてるらしい。今回はこちらから封印を壊し、可能であれば討伐。不可能そうなら再度封印するのが任務だ」

 

 これ付けて、と筒美さんは俺達にいくつかのものをバッグから取り出し渡してきた。俺に渡されたのは根付とジャケット。

 

「玖寺に渡したのは耐衝撃ジャケットと呪い(呪怨属性)避けのお守り。ルプスには同じジャケットとお守りに加えて、視線を隠すゴーグル。精神干渉や神経操作の魔法は目を合わせて使うものも多いから、一応……悪魔相手だと気休めだけどな」

 

 同じゴーグルを付けながら、筒美さんは乾いた笑いを発する。

 

「付けたな? じゃあ始めるぞ」

 

 銃に詳しくはないので具体的な種類は分からないが、筒美さんがデカいハンドガンを構えている。原作じゃ腕がライフルになる個性で戦っていたが、こっちでは普通に銃器を使うらしい。原作といえば、ブローニャ……銀狼も、原作で使っていたエーテル編集──現実に対するハッキングのようなもの──は使わず、メガテンの魔法を使っている。原作の能力はオミットされるのだろうか……サンプル数が足りないな。

 ハンドガンの引き金が引かれ、岩が砕かれる。途端、割れ目から黒い靄のようなものが溢れ、やがて一つの形を成すように集まる。

 その姿を見て、俺は思わず舌打ちした。

 巨大な体、頭上の王冠、愛嬌のある顔……キングフロスト。メガテンの看板悪魔の一体、その上位種。名高い天使や悪魔ほど絶望的じゃないが、少なくとも筒美さん一人で相手するようなもんじゃない。

 即座に、筒美さんが銃弾を叩き込もうとするが。

 

「ヒーーーホーーー!!!」

 

 雄叫びとともに吹雪が吹き荒れ、銃弾は氷に阻まれた。

 

「生半可なのじゃ届かないか」

 

 筒美さんはハンドガンを放り捨て、バッグからライフルらしき大きな銃を取り出した。狙いを定めようとする筒美さんを嘲笑うかのように、キングフロストは頭上に氷の針を生成する。

 

「まずは弱っちいのからやっちゃうホ!」

 

 俺か、ブローニャか。いずれにせよ筒美さんは無視できないはず。

 

「大丈夫です筒美さん!! 俺がどうにかします!!」

 

 言って、隣のブローニャを抱きしめながら伏せる。ブローニャさえ死ななきゃ回復はどうとでもなる、今のうちにキングフロストを。そう思いながら痛みに備えるべく目を瞑った俺だったが、いつまで経っても予期した痛みはやってこなかった──まさか。

 目を開ける。振り向く。筒美さんの脇腹を、氷の針が貫いていた。

 

「筒美さん!」

 

「ツツミ……! 回復かける、ケイトこの針抜いて!」

 

「ごめんなさい、ちょっと痛みますよ……!」

 

「ぐっ……私のことはいい、早く、逃げろ……」

 

 筒美さんが息も絶え絶えにそう促す。その間にもキングフロストは氷の針を撃ってくる──その全てを拳で砕くが、キングフロストは楽しげだ。遊んでやがるなコイツ……。

 

「頭までやられたの、アレに背中向けろって? あんたを治した方がまだ可能性があるからやってんの、バカにしないで」

 

「ブローニャはちょっと口が悪すぎますが、実際俺らだけじゃ多分無理です。あのライフル、属性弾使えるやつですよね? それを扱えるのは筒美さんだけです」

 

「悔しいけど私が使えるのはアギラオまで、あの氷を抜けるとは思えない。全部ツツミに懸かってる」

 

「は……保護対象に助けられちゃ、警察の名折れだな……」

 

「だったら家族に助けられたって思えばいいでしょ。家族は助け合うものって、昔ケイトが言ってた」

 

 あー……そういやそんなこと言ったな。施設に入ってきたばかりのブローニャを案内してやった時だったかな。まあ、その時の俺はまだまだ希望に満ちあふれていたからそんなことが言えた節はあるんだが……。

 

「ブローニャの言う通りですよ、筒美さ……じゃなくて、火伊那さん」

 

「……会ったばかりで、家族も何もないだろう。君たちは、どうして……」

 

「これからなってけばいいだけの話です。俺とブローニャはそうでした」

 

 俺がそう言うと、火伊那さんは柔らかく微笑んだ。

 

「そうだな。そういうものか……ありがとな。啓斗、ブローニャ」

 

 ふう、と息を吐いて、火伊那さんは再びライフルを構えた。

 

「啓斗、そのまま針の迎撃を頼む! ブローニャは啓斗に支援と、撃ち漏らしのフォローを!」

 

「任せて、とっておき見せたげる───ヒートライザ!」

 

 ヒートライザ。攻撃・防御・命中・回避の全てを上昇させる、単体にかける支援魔法としてはとびきりの性能を誇るもの。これまで組織の任務で死なずにすんだのはこれの存在による所が大きい。無論言葉通りのとっておきであり、今のブローニャの魔力(最大SP)では1日に2度は撃てないが。

 強化された目で氷を捉え、強化された身体でもって先回りし拳をぶつける。それを何度か繰り返していると、火伊那さんの鋭い声が聞こえた。

 

「装填完了──啓斗、左に避けろ!」

 

 言われた通り、最大限の速度で左へとステップを踏む。

 直後、巨大な熱が通り抜けた。氷の壁を容易く貫き、それはキングフロストの腹に過たず着弾した。瞬間、爆発。

 キングフロストのMAGが散っていくのを眺めながら、火伊那さんは呟いた。

 

「属性弾は高いんだよなあ……ったく、給料増やしてもらわないと割に合わん。ま……今回は、家族が増えたってのが最上の報酬かもな」

 

 かっこよ…………。

 俺が思わずときめくのを、ブローニャは胡乱な目で見ていた。

 

 ◆

 

(それにしても、これから家族に……ね)

 

(……ちょっとだけ、プロポーズみたいだな。いやいや、もちろんそういう意味なはずもないが)

 

 筒美火伊那。生来可愛いもの好きの、少女趣味的なところがあった。仕事が仕事だけに、弱点になりかねないと諦めつつも……最近結婚して幸せそうな同僚の姿と、自身の年齢にダブルで焦りを覚えてもいる。

 その思いが明確に形を成すのは、まだ先の話。

 

 ◆

 

 キングフロスト退治から数日。あの件の功績を種に火伊那さんが上司に訴えかけてくれたおかげで、俺たちは早くも外出が許され、中学校への編入手続きも始まったとのことだった。

 そういう訳で俺達3人は近所のショッピングモールを訪れ、昼食を取っていたのだが……火伊那さんが職場からの連絡で離席した直後。

 

「あら? ごめんなさいね、そこの坊や。ひょっとして、玖寺啓斗君ではありませんか?」

 

「───ええ。確かに俺は玖寺啓斗ですが」

 

 声をかけてきたのは、長い黒髪、楚々とした白いドレス姿、紫の瞳を持つ妖艶な女性。

 

「やっぱり! 覚えていないでしょうけど、私(わたし)、啓斗君のお母様のお友達の牡丹と申します……彼女も旦那さんも亡くなられたと聞いて心配したのですけれど、お元気そうで安心しました」

 

 この女を、俺は前世で知っている。ブローニャ(銀狼)と同じく、『崩壊:スターレイル』の登場キャラ。

 数々の勢力を裏切っては銀河を渡り歩く、満たされない何かを抱える謎めいた女……ダリア、あるいはコンスタンス。

 

「今はそちらのお嬢さんとご一緒? お邪魔だったかしら。ごめんなさいね、少しだけお時間を頂いても?」

 

 何かを企んでいるのは間違いない。この女が、ただ偶然俺の実母と知り合いなだけの一般人であろうはずがない───。

 

「もちろん、俺も母さんの話が聞きたいです!」

 

 だがその嘘に乗る! なぜならダリアはスタレで一番おっぱいがデカいから(推定)!

 ……ブローニャの好感度が下がる音が聞こえた気がした。




理想を言うならナガンとのフラグはもうちょい丁寧に立てたいところですが出したいキャラいっぱいいるのでサッと。まだ落ちるには程遠いですし。

20/05/29:ダリアの言葉遣いちょっと変更。上っ面なのであんま意味があることではありませんが。
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