※この作品はR-18です。

よう実 実験   作:鳥ささみ

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第2話:悪魔の「調伏」

1.絶望の5月1日:捕食者の嘲笑

 

5月1日、月曜日。

高度育成高等学校の1年Dクラスの教室は、GW直前の浮ついた空気など微塵もない、奇妙な焦燥感と重苦しい静寂に包まれていた。

いつもであれば、毎月1日の午前0時を過ぎた時点で、全生徒のスマートフォンへ一律に支給されるはずの「10万プライベートポイント」。それが、1時間目のホームルームが始まる時間になっても、誰の端末にも一向に反映されていなかったからだ。

「おい、お前らポイント入ったか……? 何回アプリを更新しても残高が変わらねえんだけど」

池寛治が、青ざめた顔でスマートフォンの画面を何度も親指で叩きつけている。彼の画面に表示されている現在の残高は、わずか**【 342 pt 】**。4月中、身の丈に合わない高級カフェでの散財や、ゲームの課金カードを買い漁ったツケが完全に回っていた。

「俺もだよ……。あと数日放置されたら、食堂で一番安い山菜うどんすら食えなくなる。残高が**【 1,200 pt 】**しかねえ……。誰かシステムエラーだって言ってくれよ!」

山内春樹が頭を抱えて机に突っ伏す。クラスの連中はおおむね、この二人のように数千円、悪くて数百円という、文字通りの破産寸前の瀬戸際まで追い詰められていた。

だが、全員が全員、完全に使い果たしていたわけではない。クラスの中でも比較的冷静、あるいは堅実な気質を持つ一部の生徒たちは、万が一の事態に備えて最低限の防衛線を敷いていた。

例えば、幸村輝彦らの学力上位グループや、気性の穏やかな一部の女子生徒たちは、手元の端末に**【 30,000 pt 前後 】**の残高を辛うじて残していた。

「みんな、そんなに焦らなくても大丈夫だよ。きっと学校側の振り込み手続きが遅れてるだけじゃないかな……? 私もまだ残高は3万ポイントくらい残ってるし、もし本当に困った人がいたら、少しなら立て替えるからね?」

クラスのアイドルである櫛田桔梗が、聖母のような笑みを浮かべて周囲の男子たちを宥めていた。その優しさに、池や山内は「やっぱり桔梗ちゃんは天使だ!」と涙を流して縋りつかんばかりの勢いを見せる。

だが、そんな「3万ポイント程度」の貯蓄など、この学校の本当の構造から見れば、焼け石に水以下の気休めでしかなかった。

教室内で唯一、窓際の席で一切の感情を排した目で校庭を眺めている茶髪の男――綾小路清隆は、隣の席の堀北鈴音が不機嫌そうに本を読んでいる姿を横目で捉えつつ、この奇妙な状況の「正解」をすでに看破しているようだった。

そして、その少し斜め前の席。

クラス中がポイントの遅延に右往左往している中、継国漣はただ一人、退屈そうに欠伸を噛み殺しながら、机に突っ伏していた。彼の視線は、心配そうに周囲に話しかけている女子生徒たちの制服の隙間――極上の肉付きをした太ももや、下着のラインがうっすらと浮かぶ背中の曲線に、いやらしい、しかし極めて冷徹な観察眼とともに注がれていた。

(残高が3万かそこらで安心してる奴も、数百ポイントで喚いてるバカも、全員まとめておめでたい頭をしてやがる。経済の基本を理解してりゃ、この状況が何を意味してるか一発で分かるだろうに)

漣のポケットにあるスマートフォンの残高は、4月中に運動部の上級生から毟り取った、文字通り国家予算レベルの力を持つ**【 15,000,000 pt 】**。彼一人だけが、この学校の生態系の頂点に君臨する圧倒的な捕食者だった。

ガラッ、と前方のドアが乱暴に開き、担任の茶柱佐枝が教室に入ってきた。

その表情は、4月中よりもさらに冷酷で、底知れない哀れみの色が混じっている。彼女は教壇に立つと、出席簿をドンと叩きつけ、生徒たちの浅ましい顔をゆっくりと見回した。

「先生! ポイントがまだ振り込まれてないんですけど! システムのバグですか!?」

池が真っ先に立ち上がり、悲鳴のような声をあげた。それを皮切りに、クラス中から「そうだ!」「早くしてくれ!」と不満の嵐が巻き起こる。

茶柱はふっと鼻で笑い、冷淡に言い放った。

「バグでもなければ、システムエラーでもない。ポイントは今朝、午前0時に一斉かつ厳正に振り込まれた。我が1年Dクラスの今月の支給額は――『ゼロ』だ」

「――は?」

教室が一瞬にして、極寒の吹雪に晒されたかのように凍りついた。

「ぜ、ゼロって……どういうことだよ! 毎月10万円もらえるんじゃなかったのかよ!」

須藤健が椅子を蹴り飛ばして立ち上がる。

茶柱はチョークを執り、黒板に大きな文字で書き殴った。

【 Sシステム 】

「お前たちには入学初日に説明したはずだ。この学校は『実力』を測る、と。そして1ポイントは1円の価値がある、ともな。お前たちのクラスの評価ポイント(クラスポイント)の初期値は1000だったが、4月中の度重なる遅刻、合計98回。授業中の私語、居眠り、スマートフォンの使用、その他諸々のゴミのような不品行によって、そのポイントは今月、完全に『ゼロ』へとリセットされた。結果、お前たちの今月の取り分はゼロだ。文句があるなら、自らの愚行を呪うことだな」

「そんなの、聞いてないわよ……!」

「嘘だろ……俺、マジで今月の食費どうすればいいんだよ……!」

教室内は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。昨日まで10万ポイントを湯水のように使い、贅沢の限りを尽くしていたツケが、最悪の形で回ってきたのだ。残高が3万ポイント程度ある堅実派も、「これが毎月続いたら、3ヶ月も持たずに破産する」という現実に気づき、一気に顔を土気色に変えていた。

そんな絶望の渦中、教室の端から「プッ……ククク、アハハハハ! 最高だな、オイ!」と、不謹慎極まりない、しかし狂気的なまでに高い笑い声が響き渡った。

全員の視線が、声の主――継国漣に集まる。

漣は椅子に深くもたれかかり、天井を仰ぎながら、涙が出るほどおかしそうに腹を抱えて笑っていた。

「あーあ。だから言ったのに。4月中は授業を真面目に聞いとけ、遅刻も私語も買い食いもやめとけって。なぁ? 俺、入学初日にちゃーんと親切に教えてやったよなぁ? 後で泣きを見ることになるぞってさぁ!」

漣はゆっくりと立ち上がり、クラスの連中を舐め回すように見つめた。その目は、クラスメイトを心配する色など微塵もなく、極上の娯楽番組(コメディ)を楽しんでいる人間のそれだった。

「てめえ、継国…! 何笑ってんだよ、ぶち殺すぞコラァ!」須藤が拳を握りしめて怒鳴る。

「笑うに決まってんだろ、この脳足りんどもが。自分で自分の首を絞めておいて、いざゼロになったら被害者面か? 傑作だな。特に須藤、お前なんか授業中ずっと寝てたかキレてただろ。お前みたいな歩く粗大ゴミがクラス全体の足を引っ張った結果がこれだ。お前が一番の戦犯だぜ?」

「なんだとコラァ!」

須藤が掴みかかろうとするが、すかさず池と山内が「待てよ須藤! 先生の前だ!」と必死に止める。池は漣を指差し、悔しさに塗れた負け惜しみのように叫んだ。

「お前だって同じDクラスなんだよ! 偉そうに能書き垂れてんじゃねえよ! お前だって今月の支給はゼロなんだろ! 3万ポイント残してる堅実な奴らならまだしも、お前みたいなキモいセクハラ猿は、俺たちと一緒に飢えてのたれ死ぬんだよ!」

「そうよ! あなただって偉そうなこと言える立場じゃないわ! 今月からは女の子にセクハラする余裕も、奢るポイントもなくなるものね!」

女子生徒たちからも、ここぞとばかりに非難の嵐が巻き起こる。

だが、漣はただヘラヘラと笑うだけだった。

「俺もゼロかどうか、お前らに教えてやる義理はねえよ。ま、せいぜい1ヶ月、学校の裏に生えてる雑草でも貪って生き延びてみな。……あ、でもさ、可愛い女子ちゃんたちがどうしてもお腹空いて死にそうなら、俺の部屋に来いよ? 俺の『極太極上ミルク』なら、いつでもタダで腹いっぱい、孕むほど飲ませてやるからさぁ、ひゃははは!」

「最低……!」

「本当にキモい……! 息を吸うようにそんな下品なことが言えるなんて、頭がおかしいわ!」

女子たちの嫌悪感は最高潮に達した。堀北鈴音は完全に漣を「有害な汚物」として視界から締め出し、櫛田桔梗もまた、怯えたような、困惑したような可哀想な表情を貼り付けて漣を見つめていた。

だが、漣はすべてを見通していた。

(お前ら全員が地獄に落ちたここからが、俺の『狩り』の本番だ。まずはクラスの最高戦力、その可愛い皮を剥ぎ取ってやるよ、桔梗ちゃん)

 

2.獲物のセット:完璧なアイドルの「裏の顔」

 

漣の超高スペック脳は、入学以来、教室内を完璧に観察・分析していた。

中でも「櫛田桔梗」という存在は、あまりにも「出来すぎて」いた。誰にでも優しく、可愛く、クラスの精神的支柱として完璧に振る舞う聖女。

(あり得ねえんだよ、そんな人間。特に、前世で人間の醜い欲望の底辺を見てきた俺からすれば、あいつの笑顔は不自然の極みだ。脳科学的にも、あんな『全方位への善意』をノーリスクで維持できるほど人間の精神構造は頑丈にできてねえ。必ずどこかで『排熱(ガス抜き)』してやがるはずだ)

さらに、櫛田は「皆に好かれたい」という異常なまでの承認欲求に突き動かされているため、決定的な瞬間において防衛線が甘い。完璧な仮面を演じようとする人間ほど、誰も見ていないと信じ込んでいる瞬間の落差が激しくなる。

5月中旬の、ある放課後。

学校全体のポイントゼロによる飢えと緊張感が高まる中、漣は櫛田が一人で校舎の裏手、旧校舎へと続く人気の途絶えた中庭へ向かうのを目撃した。

漣は、前世から鍛え上げられたサバイバル能力と格闘術の歩法(足音を完全に消す隠密技術)を使い、気配を周囲の空気に完全に溶け込ませて彼女を追った。

中庭の奥、古い木製のベンチの前に立った櫛田は、周囲に誰もいないことを何度も入念に確認した。……だが、上空の木々の隙間、完全に死角となった遮蔽物の僅かな隙間から注がれる漣の視線には、一切気づかなかった。

次の瞬間、櫛田の顔から、あの天使のような微笑みが完全に消え失せた。

ドス黒い、怨嗟と怒りに満ちた般若のような形相が、その美貌を醜く歪める。

「――っ、どいつもこいつも、クソむかつく……!! 死ねばいいのに!!」

櫛田は持っていたスクールバッグを地面に激しく叩きつけ、ベンチの脚を何度も思い切り蹴り飛ばした。ガン! ガン! と鈍い金属音が静かな中庭に響き渡る。

「何が『桔梗ちゃん、いつも愚痴を聞いてくれてありがとう』よ! ポイントがなくなったからって、私を都合のいいゴミ箱みたいに扱いやがって! 池も山内も、須藤のバカも、全員まとめて餓死すればいいのよ! 特にあの堀北鈴音……! 何よあのすました顔、私を見下して、本当に気に入らない、あいつだけは絶対に許さない、いつか必ず引きずり下ろして学校にいられなくしてやる……!!」

口から次々と飛び出すのは、昼間の彼女からは想像もつかない、おぞましい罵詈雑言の嵐。さらに、彼女は自分のスマートフォンを取り出すと、クラスメイトの「秘密」や「弱み」が細かく書き連ねられた日記のようなアプリを開き、狂ったような形相で画面をタップし始めた。

その様子を、数メートル離れた植え込みの影から、漣は静かにスマートフォンの超高画質カメラで録画していた。

カメラは、櫛田の歪んだ表情、生々しい暴言、そして彼女のスマートフォンの画面に映る「Dクラスの裏事情メモ」の文字列まで、完璧な解像度で捉えていた。

(ビンゴ。やっぱりな、最高だぜ櫛田桔梗。お前みたいな極上のメスが、こんな美味いボロを出してくれるなんてよぉ……!)

漣は動画の保存を確認すると、わざとガサリと大きな音を立てて、植え込みから姿を現した。

「へえ。可愛い桔梗ちゃんの本性は、ずいぶんと情熱的で、おっかないんだなぁ?」

「――ッ!?」

櫛田の身体が、恐怖で文字通り跳ね上がった。

彼女は音速の速さでバッグを拾い上げ、いつもの「天使の笑顔」を顔面に貼り付けようとしたが、そこにいたのがクラスで最も嫌悪しているはずの「継国漣」だと知った瞬間、その笑顔が引きつり、凍りついた。

「つ、継国くん……? どうしてここに……。今のは、その、ちょっとテストのストレスが溜まってて、冗談で――」

「冗談? 冗談で堀北を学校から追い出すとか、クラスの連中を死ねとか言うのか? お前のスマホの画面まで、ばっちり俺の特等席から録画させてもらったぜ?」

漣はスマートフォンの画面を櫛田に向けた。そこには、先ほどまで彼女が般若の面で暴れ狂っていた姿が、あまりにも鮮明に、音声付きで再生されていた。

櫛田の顔から、血の気が完全に引いた。

「……消して」

その声は、昼間の澄んだ鈴の音のような声とは似ても似つかない、低く、ドスの利いたものだった。

「消しなさいよ、継国。それを誰かに見せたら、私はお前を絶対に――」

「絶対にどうするんだよ? 殺すか? 刺すか? いいぜ、やってみろよ。お前みたいな小娘の力じゃ、俺の指一本にすら触れねえよ」

漣は一歩、また一歩と櫛田に近づく。櫛田は漣の放つ圧倒的な肉体的プレッシャーに身をすくませ、後退りした結果、背中が旧校舎の冷たい壁に当たった。完璧な壁ドンの形になる。

漣は櫛田の顔のすぐ横に手を突き、彼女の豊かな胸元を見下ろしながら、下卑た笑みを浮かべた。

「この動画がクラスの掲示板にでも流れたら、お前の大好きな『みんなのアイドル・櫛田桔梗』は一瞬で社会的死亡だ。誰からも信用されず、ゴミのように扱われる。……なぁ、そんなの嫌だろ?」

「……何が望みなのよ。金を要求する気? ポイントなら、今月のDクラスはゼロよ。私だって4月の残りの3万ポイントくらいしか持っていないわ。それを全部よこせって言うの?」

櫛田は憎しみを込めて漣を睨みつける。だが、漣の目的は金などではない。

「金? んなもん、俺は腐るほど持ってるんだよ。俺が欲しいのは――お前のその、美味そうな身体だよ」

「――は?」

漣は櫛田の顎を強引に指で掴み、上を向かせた。

「条件は一つだ。今から俺の部屋に来い。そして、俺の気の済むまで、その身体を貪らせろ。俺に抱かれろ。それが動画を消去する唯一の条件だ」

「な、何言ってるのよ……! ふざけないで! 私があなたみたいなキモい男に、そんなことするわけないじゃない!」

「拒否するなら今すぐこれ、学校の裏サイトにアップロードするけど? 5、4、3……」

「待って! 待ちなさいよ……!」

櫛田の瞳に、絶望と、激しい屈辱の涙が浮かぶ。彼女にとって、学校内での地位と信頼を失うことは、死よりも耐え難いことだった。

漣はポケットから自分の学生証を取り出し、櫛田の端末にピッと接触させた。

【 プライベートポイントを50,000pt 譲渡しました 】

「な、何これ……!? 5万ポイント……!?」

櫛田の端末に、見たこともない通知が表示される。クラス中が数千ポイント、数百ポイントで飢えているこの時期に、目の前の男は平然と大金を動かしたのだ。

漣はニヤリと笑い、彼女の耳元で残酷に囁いた。

「これでお前を『買った』わけじゃない。これはただの手付金、そして――今から俺の部屋に来る前に、学生会館のコンビニに寄れ。そこでコンドームの特大サイズを3パック、一番高いやつを買ってこい。お前が自分の手でそれを買って、俺の部屋に持ってくるんだ。それが、お前が俺の『牝犬』になる最初の儀式だ」

「――っ、くっ……!」

櫛田は唇を噛み締め、爪が手のひらに食い込むほど強く拳を握りしめた。

「わかったわよ……。買っていけば、いいんでしょ、買っていけば……!」

彼女は漣を突き飛ばすようにして、逃げるように中庭から走り去っていった。その後ろ姿を見送りながら、漣は狂喜に震える手で髪をかき上げた。

「最高だ……! 5月のメインディッシュ、最高の味がしそうだぜ!」

 

3.調伏の儀式:傲慢なアイドルの墜落

 

数十分後。高度育成高等学校の男子学生寮、継国漣の部屋。

コンコン、と控えめだが、どこか激しい怒りと屈辱を孕んだノックの音が響いた。

漣がドアを開けると、そこには制服のフードを深く被り、顔を完全に隠した櫛田桔梗が立っていた。彼女は周囲を警戒するように部屋に滑り込むと、すぐにドアを閉めて鍵をかけた。

「……持ってきたわよ。これで満足?」

櫛田はスクールバッグから、コンビニの黒いビニール袋を取り出し、床に投げつけた。中から転がり出たのは、漣が指定した通りの、特大サイズのコンドームの箱が3つ。

「よくできました、桔梗ちゃん」

漣はヘラヘラと笑いながらそれを拾い上げ、ベッドの上に放り出した。

「じゃあ、さっそく始めようか。まずはその制服、自分で脱いで俺に見せてみろよ」

「……動画は。私が言う通りにしたら、本当に今すぐ消してくれるんでしょうね」

「ああ、約束する。俺は嘘はつかねえよ。女を美味しくいただくための、紳士的な協定(ディール)だからな」

櫛田は漣を激しく睨みつけながら、震える手で首元のリボンを外し、ブラウスのボタンを上から一つずつ外していった。

彼女のプライドは完全にズタズタだった。クラス全員を手のひらで転がしていると思っていた自分が、クラスで最も見下し、軽蔑していたはずの「キモいセクハラ男」に、動画で脅され、自ら服を脱いでいる。

ブラウスが床に落ち、現れたのは、十代のものとは思えないほど豊満で、完璧な形をした爆乳だった。白い肌が、部屋の蛍光灯の光を浴びて妖しく輝いている。

「ほう……素晴らしいな。さすがクラスのアイドルだ。Dカップ、いやEはあるか? 中学の時の女どもより、遥かに上質だぜ」

漣の目が、獲物を前にした獣のそれへと変わる。

「うるさい……。見るなら早く見て、勝手にすればいいじゃない……っ」

櫛田はスカートを脱ぎ捨て、下着だけになった。上下お揃いの、可愛らしいピンクのレース。それがかえって、彼女の現在の境遇の淫らさを際立たせていた。

漣はベッドから立ち上がり、櫛田の目の前に歩み寄った。彼の身長と圧倒的な肉体の威圧感に、櫛田は思わず後ずさりするが、すぐに漣の強靭な腕が彼女の細い腰を抱き寄せた。

「ひゃあッ……!?」

「おいおい、そんなに怯えるなよ。俺の医術のスペックを舐めるな。人間の身体がどこをどう触られたら、一番狂うか、俺はすべて知り尽くしているんだからな」

漣の大きな手が、櫛田の豊かな胸を容赦なく掴み、揉みほぐした。

「ん、んんっ……! や、やめて……乱暴に、しないで……!」

「乱暴? 違うぜ、これは『調教』だ」

漣は櫛田をベッドに押し倒し、その上に覆いかぶさった。

彼の超高スペック脳は、櫛田の呼吸の乱れ、肌の温度の上昇、心拍数の変化を完全に感知していた。彼女がどれだけ拒絶の表情を作ろうとも、肉体が生理的に「快楽」へと傾いていくのを、漣は見逃さない。

漣の唇が、櫛田の首筋、臨戦態勢の鎖骨へと這い回り、強い力で吸い上げた。

「あ、あっ……! んんっ……、やだ、痕が、残る……っ!」

「いいじゃねえか。明日からクラスの連中に見せつけてやれよ。『私は継国漣のメスです』ってな」

「そんなの、絶対ダメ……! 嫌、嫌ぁっ!」

櫛田は涙を流して抵抗するが、漣の格闘術仕込みのホールドは、彼女の華奢な力ではビクともしなかった。それどころか、漣の手指が彼女の太ももの内側を愛撫し、秘丘へと伸びていくと、櫛田の身体はビクンと大きく跳ね上がった。

「お、おいおい、口では嫌がってても、ここはずいぶんと正直じゃねえか、桔梗ちゃん?」

「ち、違う、これは、ただの生理現象で……私はあなたみたいなキモい男、大嫌い……っ!」

「大嫌い、結構。その生意気な口が、いつまで持つか試してやるよ」

漣はベッドの上のコンドームを一つ破り、手際よく装着すると、櫛田の細い両脚を強引に割り開いた。

「待って、本当に待って! 痛くしないで……っ!」

その瞬間、漣の指先に触れた確かな抵抗感――。

(――ほう。お前、処女かよ)

クラスの男子全員を魅了し、男慣れしているように見えた櫛田桔梗が、まさかの未経験。その事実に、漣の征服欲は最高潮に達した。だが、彼はただの乱暴な獣ではない。医術の知識を持つ彼は、処女の肉体を無理に貫けば、激痛によってその後の馴染みが悪くなることを知っていた。

「安心しろ。初めてなら、最高に優しく抱いてやるよ」

漣はいつもの下卑た笑みを消し、酷く穏やかな、しかし情熱的な声で囁いた。

彼は櫛田の耳元や首筋を優しく愛撫し、彼女の身体の緊張を時間をかけて解きほぐしていった。十分に愛液が分泌され、彼女の肉体が受け入れの準備を整えたのを見計らい、漣はゆっくりと、しかし確実にその障壁を貫いた。

「――ぁあッ!?!? 嘘、大きい、入らな……っ、あ、あぐっ……!」

櫛田は目を見開き、あまりの質量と衝撃に呼吸を詰まらせ、漣の背中に細い腕を回してしがみついた。

だが、そこからの漣の動きは、まさに「悪魔的」だった。

ただ激しく貪るのではない。彼の持つ医術的知識が、櫛田の肉体の最も敏感なスポットを正確に把握し、そこを執拗に、かつ完璧なリズムで抉るように突き上げ始めた。

「あ、ひ、あぁっ! 何、これ……何、これぇッ!」

櫛田の脳内に、快楽の電流が走る。拒絶していたはずの精神が、肉体から湧き上がる圧倒的な快感によって、強制的に塗り替えられていく。

「どうだ、桔梗? 俺のスペックは夜のベッドでも世界最高峰なんだよ! お前みたいな高慢なメスには、このくらいの衝撃が丁度いいんだろ!」

「んあッ! あ、ダメ、そこ、お、おかしくなるぅ! 嘘、継国、くん、漣、れん、あぁッ!!」

完璧なアイドルとしての仮面は、快楽の奔流の中で完全に粉砕された。

櫛田は漣の逞しい背中に爪を立て、何度も何度も激しく腰を震わせ、絶頂を迎えた。彼女の口からは、先ほどの暴言ではなく、ただただ漣を求める淫らな喘ぎ声だけが溢れ出ていた。

激しいピストンの音が室内に響き渡り、漣もまた、櫛田の極上の肉体の締め付けに咆鴦をあげながら、彼女の最深部へと熱いモノを叩き込んだ。

「――あ、あはぁ……っ、はぁ、はぁ……」

ベッドの上で、完全に魂を抜かれたように呼吸を荒くする櫛田。その顔は、昼間の猫かぶりの笑顔でも、中庭の般若の顔でもない、完全に一人の男に調伏された「雌」の顔だった。

 

4.悪魔の再契約:終わらない支配

 

数分後、漣はシャワーを浴びてスッキリした顔で戻ってきた。

ベッドの上では、櫛田がシーツを胸元まで引き上げ、まだ放心状態でいた。

漣は自分のスマートフォンを操作し、櫛田の目の前に突きつけた。

「ほら、約束通り、中庭でお前を撮った動画は、今ここで完全に削除してやるよ」

漣が画面の「削除」ボタンを押すと、ファイルは完全に消去された。

「……本当、に……消してくれたのね……」

櫛田はホッとしたように息を吐き、ようやくいつもの冷淡な視線を漣に戻した。

「これで、私とあなたの関係は終わりよ。明日からは、またクラスメイトとして――」

「終わり? 誰が終わりって言ったよ、桔梗ちゃん」

漣は下卑た笑みを浮かべ、自分のスマートフォンをもう一度、櫛田に向けた。

「――え?」

画面に表示されたのは、つい数分前、このベッドの上で、漣に激しく突かれながら、白目を剥いて淫らな喘ぎ声をあげ、漣の身体にしがみついている櫛田桔梗の完全な痴態の動画と写真だった。それも、彼女の顔がはっきりと写り、「漣くん、すごいの、もっと突いてぇ!」と叫んでいる音声まで鮮明に記録されていた。

「な、何よこれ……!? いつ、いつの間に……っ!」

櫛田は顔を真っ赤にし、ベッドから飛び起きてスマートフォンを奪おうとした。だが、漣は軽々とそれをかわし、彼女の手首を掴んでベッドに押し戻した。

「いつの間にかって、俺の超高スペック脳と器用な指先を舐めるなよ。お前が絶頂してイッてる最中、スマホを固定してバッチリ撮影してたんだよ。解像度4Kの最高画質だ。お前のその、淫らな表情、めちゃくちゃエロいぜ?」

「――っ、卑劣漢……!! 悪魔! 最低のクズ!!」

櫛田は狂ったように漣を罵倒し、涙を流した。せっかく中庭の動画を消させたのに、今度はそれ以上に致命的な「証拠」を握られてしまったのだ。

漣は櫛田の涙を優しく指で拭い、その耳元で、悪魔の囁きを囁いた。

「そうだよ、俺は悪魔だ。最初から言っただろ、お前を完全に囲って、俺の牝犬にしてやるってな。……なぁ桔梗、お前はもう、俺の鎖から逃げられねえんだよ」

漣は再び端末を操作し、櫛田のスマートフォンへ、さらに10万プライベートポイントを転送した。

「な、何よ、これ……」

「お前の『今月の維持費』だよ。Dクラスの連中がポイントゼロで苦しむ中、お前だけは俺のおかげで、毎月贅沢ができる。美味しいものも買えるし、アイドルとしての地位も守れる。……悪くない取引だろ?」

櫛田は自分の端末の残高(18万ポイント)と、漣のスマートフォンに映る自分の痴態の動画を交互に見た。

拒絶すれば、人生が終わる。

受け入れれば、ポイントという「力」と、この恐ろしい男からの経済的庇護が手に入る。

「……私は、どうすればいいの」

櫛田は、ぽつりと呟いた。その声には、もう反抗の意思は残っていなかった。

漣は満足そうに彼女の頭を撫でた。

「簡単さ。明日からは今まで通り、クラスの可愛いアイドルを演じろ。 影として俺に尽くせ。そして、俺が命令した時は、いつでもこの部屋に来て、今日みたいに身体を開くんだ。それから――クラスの連中の動向、特に堀北鈴音や、あの茶髪の綾小路清隆の動きを、俺に逐一報告しろ」

櫛田は絶望に目を伏せながらも、小さく、コクリと頷いた。

「……わかったわよ、ご主人様」

「よくできました」

漣は櫛田の唇を強引に奪い、深い深い、支配のキスを交わした。

5月、学校全体が「ポイントゼロ」という絶望に叩き落とされる中、継国漣は誰にも知られることなく、クラスの最高戦力である櫛田桔梗を完全に調伏し、自らの配下(性の玩具)へと仕立て上げた。

彼の「楽園ハーレム計画」は、いま、最悪かつ完璧な一歩を踏み出したのだった。

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