人間をテイムする方法 作:阿鼻巣
エリーゼを抱いた翌日。
約束通り、俺はエリーゼと二人で
学園生徒が卒業までに到達する平均階層が50階層であることを考えれば、エリーゼの戦闘能力が学園でも上位であることは疑いようがない。
そんなエリーゼが俺の補助術式を受ければ、その戦力は爆発的に増加する。
それに、恒久強化の【
勿論、一体一体は微々たる強化量だが塵も積もればなんとやらだ。
エリーゼは最終的にはマシロよりも強くなる可能性がある。
「すごい。本当に魔力の最大値が増えてる……」
「俺の感覚的な数値で言えば、今のエリーゼの段階、レベルは2、アヤは8でマシロは62くらいだ」
「60……マシロさんの強さの秘密はやっぱりあなたの術式だったのね」
「まぁそうだな。つっても、マシロはレベルアップするために毎日ダンジョンに潜ってるから、それは一応努力なんじゃないか?」
それでもそれは俺の術式ありきの努力だから、他の奴らがやってる努力とは質が違う。
ただのズルだ。
「この術式の良いところは、俺が近くにいなくても一度付与すれば俺が解除するまで持続するってところだ。だから明日からは一人でも魔獣を倒せば強くなれる」
俺の強化術式がなければ、さすがに50階層以上の探索は無理だろうが、それ以下の階層ならエリーゼの単独の能力でも通用するだろう。
そこで魔獣を倒していれば、自ずとレベルアップして、さらに上位の階層へ行けるようになる。
「なるほど、わかったわ。あまりユウヒ……ご主人様の手を煩わせてもいけないもんね」
これでいい。これが全員にとって一番幸せな形だ。
俺の開発した補助術式の奥義とも呼べる【
それは、この術式は『他人にしか機能しない』ということだ。
死に物狂いでこの術式を創り上げた時に俺は悟った。
俺は、英雄の器ではないのだと。
だから俺はダンジョン攻略なんてどうでもいいし、この学園での生活なんて若い女を見繕うためくらいにしか思ってない。
「ご主人様? どうしたの、もしかして元気ない? 私でヌく?」
才能を見るとイラ付く。
マシロを使ったのは、ゴミみたいな才能のヤツが俺の庇護を受けて才ある人間よりも優れていると証明させることで、俺自身の能力を証明したかったんだろう。
あぁ、そういう自覚があるから、なおさらイラ付く。
「さっさとしゃぶれ」
「わかりましたご主人様。私はご主人様のものだから、ダンジョンでもそれ以外でも、いつでもどこでも好きな時に好きなだけ使ってください」
そして、マシロの次にエリーゼを堕とそうと思ったのは、他人の才能を俺の才能が塗り潰すところを見てみたくなったから。
「んっ、好き。ご主人様のおちんぽ好き。ちゅっ、ご奉仕するの好き。ご主人様に所有してもらえて私はすごく幸せですにゃん」
◆
エリーゼとの探索を終えて家に戻ると鍵が開いていた。
というか、鍵穴がぶっ壊されていた。
泥棒? まぁいたとしたらとっ捕まえるだけだ。
気にせずリビングに向かい灯りを付けた瞬間、正面からなにかが俺にぶつかってくる。
それと同時に腹に強烈な熱を感じた。
「ユウヒくん、なんで……?」
そこには一人の女が立っていた。
ストレートの黒髪に縁なしの眼鏡。
最初に会った時に比べるとメイクも上手くなったし、三つ編みも解かれている。
「アヤか?」
彼女の手には血塗れのナイフが握られていた。
俺は片膝を付き、腹を抑える。
大量の出血。吐血。内臓の損傷……呼吸器系が上手く回ってない……
「ねぇどうして? どうしてエリーゼとダンジョンに行ったの? エリーゼを抱いたの? ねぇなんで? なんでそんなことするの? 私は? 私が君の彼女でしょ? なのに、ねぇなんで? 私が一番でしょ?」
ははっ、なに言ってんだこいつ……
口の中が血でいっぱいで上手く笑えない。
「ユウヒくんまでエリーゼの味方をするんだったら、私はもう生きていけないよ。でもさ、許せないよね、許せるわけないよね。私を差し置いてユウヒくんとエリーゼだけが幸せになるなんて。だったらお前たちの幸せも全部壊して死んでやる!」
まぁ、大体の具合はわかった。
損傷箇所把握。適切処置選択。術式構築完了。
普段使いの万能性のものとは違う。今の俺の傷を治すために再構築した特化型の回復術式。
――
その発動と同時に、俺の傷は一瞬で修復される。
「で、お前の話はそれで終わりか?」
血は止まり、立ち上がった俺はアヤにそう問い返す。
「なんで……そんな重症こんな一瞬で……」
「ほら、どうした? 終わりかって聞いてんだよ。俺がこの程度で死ぬとでも思ったのか?」
俺がアヤへ迫ると、アヤは一歩下がる。
「なぁ、俺が今までやって来たことがその程度だと、お前はそう言いたいのか!?」
俺は進み、アヤは下がる。最終的にアヤの背中はリビングの壁につく。
「ほら、刺せよ。お前が何百回それを振り下ろそうが、俺は死にやしねぇんだ」
ナイフを握ったアヤの腕を掴み、俺はそれを首にゆっくりと持ってくる。
「頸動脈。心臓。脳。人間の身体にはいくつも弱点がある。お前が狙うべきは俺を即死させられる場所だ。ほら、やってみろ。お前如きじゃ俺を殺すなんて不可能だって、教えてやるよ」
アヤの持つナイフが俺の首に当たると、アヤの身体は明らかに震えはじめた。
ポロリと、ナイフが床に落ちる。
「アヤ」
「は、はいっ……」
脅えるような瞳で俺を見るアヤに俺は命令する。
「おすわり」
「わ、わん!」
俺の言葉に従って急いで両膝を床に付いたアヤは、両手を犬のように丸めて上目遣いで俺を見る。
「お前さ、また勘違いしたのか?」
頭に手を置いて、撫でて、荒く髪を掴み上げる。
「答えろ。お前はなんだ?」
「ご、ごめんなさ……」
「答えろって言ってんだろうが。そんなこともわかんねぇのか?」
「い、犬です! ペットで肉便器で性処理道具で奴隷で、ご主人様の所有物です!」
「じゃあ、そんなお前が俺の行動にケチを付けて許されると思ったのか?」
「ごめんなさ――」
アヤが最後まで言い終える前に、俺はアヤの口、喉の奥へ指を突っ込む。
「あげっ、おごっ」
「ほら答えろって。許されると思ったのか?」
「ごほっ、ごぼっ!」
「なぁ、ごほごほ言ってねぇで言うことがあんだろうが」
「ぐげ、げぇ!」
「聴こえねぇぞカス」
「ぎょげんざゃじゃぎ!」
「まぁけど……」
俺はアヤの口から指を引き抜く。
「ごめんなさい、ご主人様ごめんなさい!」
「今は機嫌がいいから、許してあげるよ」
「ほ、本当ですか……? わ、わん! 嬉しいですわん!」
「その代わり、今日は俺の好きなことさせてくれるよな?」
「も、もちろんです。なんでもします!」
「じゃあアヤ、ちょっとお前のこと縛るけど、いい?」
「え、縛る……?」
アヤの服を脱がせ、寝室まで引っ張っていき、アヤの身体を椅子に固定していく。
両腕を背中に固定し、足も開いた状態で椅子に縛って、全裸で開脚の姿勢のまま動けないようにする。
「俺はお前のこと甘やかしすぎたみたいだ。お前は犬なんだから、ちゃんと躾けないとダメだよな」
「へっ、へっへっ……躾けてくださいわん」
「そうやって従順なフリしてれば俺を都合のいいように使えるとでも思ったか?」
「そ、そんなことなっ――」
「黙ってろ」
頬を叩いて言葉を中断させ、口と目も覆う。
「お前のせいで汚れたから風呂入ってくる。それまでその姿勢のまま想像だけで濡らしとけ。できなきゃ捨てる」
「んんっ!」
なんつってるかわかんねぇが、わかる必要もない。
できてなきゃ言った通りにするだけだ。
それから俺は『魔道通信機』を取り出す。
これも探索者の必需品で数kmの距離までなら離れていても会話することができる魔道具である。
探索者が儲かるのはこの魔道具を造るための重要素材が、基本的にダンジョンにしか存在しないからだ。
通話相手はもちろん、エリーゼだ。
安心しろよアヤ、お前の心、ちゃんと折り切ってやるから。