私は必死に抵抗しようと試みるが、彼の唇、両手にとらわれ、身動きがとれない。閉じようとした足の間には直樹の片足が入ってきて、閉じることができない。じたばたと足を動かすが、彼の足はじりじりと私に迫ってくる。
どうすればいいのかわからず、声を出そうとしても、ぇ、ぅあ、としか声が出ない。それでも最初はその声を出していたが、互いの唾液、舌、そして直樹の血の味が混ざってゆくうち、その声も甘くなってくる。なんだか変な気分になってきて、私は必死で抵抗する。
直樹はちゅ、と私にキスをすると、ぁ、と口を開けた私の舌にしゃぶりつくように舌を絡めてくる。そのたびに、ぐちゅ、ぐちゅり、という音が無機質な部屋に響く。
やば、い。頭がおかしくなってしまう。
私は足をひたすらじたばたと動かし、んー、んー、と声にならない声をあげた。
すると直樹はぱっと唇を離し、先ほどまで繋がっていたそれをぺろりと舐めて気味の悪いわらいかたをした。そして低い声でカラカラと笑うと、言葉を発した。
「……途中から..気付いてたんだけど」
ニヤニヤしながらそう言われ、無性に恥ずかしくなる。きっと私の顔はいま、真っ赤に染まっていることだろう。顔を覆い隠したいが、強制的に恋人繋ぎをさせられているこの状態では無理だった。
「よくもまあ..人が寝てるときにちゅっちゅしてくれたものですね」
たしなめるようにそう言い、私の目をまっすぐ見ながらわらう直樹。
______「寝てるときに」? いや、寝てなんかいなかった。彼は確かに、起きていた。直樹が気が狂ったようだったとき、彼の意識だけが飛んでいた、とでもいうのだろうか。
それなら、寝ていた、ということにしておいたほうがいいかもしれない。
「..顔赤いよ」
そんなことを考えてるいるうちも顔が赤かったのだろうか、直樹にそう言われ、再び顔を覆い隠したくなる衝動に駆られる。くすくすとわらう彼に、弄ばれているかのような感覚だった。
直樹は私の頬に突然キスをしたあと、首筋に噛み付いた。いや、噛み付いた、というより、吸い付いた、というほうが表現としては正しいだろう。
なんだか妙に痛い、変な感覚が首筋を襲う。
「っなにして..るの……っ」
荒い息混じりで問いかける。直樹は、っぱ、と吸い付くのをやめ、耳元で「キスマーク」とだけ囁いた。すると突然、彼はぱっと私から離れた。
そして、私に突如言った。
「..ごめん。こんなことしても、誰にも……見られないんだっけ」
はっとした。
こんないちゃいちゃばかりしている場合じゃない。私は急いでベッドから起き上がり、降りて立ち上がった。窓の外を見るともう夕陽が出てきていた。とりあえず、食料を調達した方がいいだろうと思い、私は急いでバッグを持つ。
「とりあえず、食料調達してくる……っ」
「、あ、え、こっちも行く!!!」
直樹も急いでベッドから降り、二人で一緒に外へ走った。
じりじりと痛む、首筋を押さえながら。