10分ほど走ってたどり着いたのは、私の祖母がよく訪れて買い物をしていたスーパー。
「ここなら、いろいろあるはず」
息を少し切らしながら、そう言葉を発して歩き出す。直樹もそんな私のあとを追うように、小走りでついてくる。
結構足速いんだね、とかくだらない会話をしながら、スーパーのなかへ入る。
そういえば、賞味期限。
賞味期限が過ぎた食べ物ばかりになれば、まともに食べられる食料はなくなってしまう。
そう思い、不安になって、入口付近のコーナーに置いてあった商品を適当に手に取る。
恐る恐る賞味期限のところを見ると、
[賞味期限 : 永遠]
と書いてあった。
永遠? 意味がわからない。誰かの悪戯だろうか。でも、悪戯をするとしたら誰が?
こんなくだらない悪戯なんて普通この状況でしないだろう。
もしかして、他の商品も?
そう思い、直樹と共にいろいろなコーナーをまわった。お菓子のコーナーや飲み物、軽食などのコーナーにも行ったが、すべて賞味期限は永遠だった。
永遠ということは、いつ食べても大丈夫なのか?
そう思い、どこかで安心する自分がいた。直樹も同様、少し息をついて安心しているようだった。
「とりあえず、きょうなに食べたい?」
何気なく直樹に聞いてみる。
すると直樹は何やら顔を赤らめ、「いや‥別になんでも‥」と照れ始めた。
気になったので「なに照れてんの?」と聞いてみる。
すると直樹は、
「だってなんか‥夫婦みたいじゃん」
と顔を真っ赤にして言った。
そう言われると確かに夫婦みたいだと思って、私もつられて赤くなってしまう。頭からボン、と音がしそうだ。
私はロボットのようにギクシャクしながら、言葉を発した。
「とととととにかく! きょうのご飯の材料もらっていこう!」
そう言って、肉や野菜などをとにかく手に取った。そして幸い携帯の電卓は使えたので、そのすべてのお金を計算してレジに置いておいた。
直樹には置かなくていい、と言われたが、それでは私の良心が許さなかった。
スーパーから出ると、また10分ほど走り、直樹の家に帰る。誰もいない家に向かってただいま、と言う直樹に合わせ、私もただいまです、と遠慮がちに言った。
そして直樹にキッチンへ案内してもらうと、そこを借りてさっそく料理に取り組んだ。
料理は割となんでもつくれる。母が料理好きで、母と共に子供のころからよく料理をしていたからだ。
手を洗い、材料を自ら入れた袋から取り出す。私が手際よく料理をつくっていくのを、直樹は目を大きく見開いて見ていた。ご飯を炊いて、材料をテキパキと調理していく。
私はすっかり作りなれた料理、生姜焼きをつくった。直樹もすきだと言っていたのを前に聞いたこともあった気がしたし。
皿に盛り付け、机に置く。直樹は美味しい、と意外そうな顔で食べてくれた。少々不本意だが仕方ない。
私も席につき、ふたりで楽しげに雑談しながら食事をした。食事が終わるともう日も落ちていて、私は窓から暗くなった外を見ながら食器を片付ける。
「お風呂沸かしといたよ」
直樹が言う。
「あ、ありがとう」
それに答える私。
なんだか本当に夫婦みたいな気分だ。