「じゃあ、お風呂借りるね」
食器を片付け終わり、直樹にそう告げる。すると直樹はソファに座ったまま おー、と返事をして、首だけ私の方を向いた。
「..いっしょに入る?」
直樹は悪戯っぽくそう言うと、にやりとわらった。私は途端にぼっと顔が熱くなるのを感じて、思わず反抗してしまう。
「ばっ..か!!! やだっ」
すると直樹はけらけらと楽しそうにわらい、うそだよ、とだけ言ってこちらへと歩いてきた。
そして私の目の前に立つと、少し屈んで私の頭をぽんぽんと撫でた。直樹は私の顔を覗き込み、「からかってごめんな」と言い、ふふ、と笑顔になった。
私はもう、と怒ったふりを見せたあと、直樹にお風呂の場所を案内してもらう。
お風呂場につくやいなや、私は直樹を追い出してお風呂場の扉を開け、浴槽を覗く。
直樹の家のお風呂はとても綺麗で大きくて広くて、まさに私が思い描いていた理想のお風呂に違いなかった。
浴槽を指でなぞると、大理石の感触が指に伝わる。
私が求めていた感覚にわくわくしながら、私はお風呂場から出て服を脱いだ。
棚の上にあったかごに服を入れ、そばにあった電気をつけてもう一度お風呂場の扉を開ける。
中に入り、まずはシャワーに手を伸ばした。そしてスイッチを押してシャワーを出し、浴びようとしたそのとき。
「そら、バスタオルと着替え、ここに_______」
扉ががちゃりと開く音がして、驚いた私はその声に向かってシャワーを思い切りかけてしまった。
「あ……」
気付いたときにはもう遅く、直樹はびしょ濡れだった。
直樹はしばらく黙ったあと、びしょびしょになった頭をぶるぶると振った。そして前髪を片手で掻き上げると、明らかにキレている笑顔を私に向けた。
「..こんなびっしょびしょになってる俺を放置なんてしないよなあ」
直樹は髪を掻き上げた片手を前髪からふっと離し、そう言った。
私は出しっ放しのシャワーを片手に、片手で胸を隠しながらゆっくりと頷くしかなかった。
直樹は満足そうにニコリとわらって、お風呂場の扉を閉めた。
私はため息をついて、早く浴槽に入ってしまおうとシャワーを浴び続けた。まず髪を洗い、シャンプーを三回押して髪につけ、両手で泡立てる。
髪が泡だらけになったところで、私はそれを流す。流し終わると、次はトリートメントを手に出して髪に指を通す。全体にトリートメントをつけられたところで、普段から左腕につけている髪ゴムを使って髪を結んだ。
そのあとボディーソープに手を伸ばし、そこで気付く。
_______タオルが……ない。
我が家にはタオルがあり、それにボディーソープをつけてこすり合わせたあと、それで体を洗っていたのだが、直樹宅にはどうやらタオルがないようだ。困った。これでは背中に手が届かない。
_____……そんなこんなしてるうち、彼はやってきた。