「……うん」
気が付けば私は、返事をしてしまっていた。
私は体を後ろに向け、それに触れてみる。熱い。こんなことをしたことはなく、どうしていいのかわからないが、とりあえず両手で包んで上下に擦ってみる。
「ん、……っ」
気持ち良さそうな、直樹の声。私はそれを気持ちがいいんだと解釈して調子に乗り、激しく上下に擦る。
すると直樹は「っ?!?!」と声にならない声をあげ、反射的にだろう、私を後ろからぎゅっと抱き締めた。
私は、私のしていることで直樹が気持ちよくなってくれるのが嬉しくて、それを続けていた。
すると突如、私の擦っていたものから白い液体が飛び出る。それは湯船の中を舞うようにしてうねうねと動く。私はその液体の名前は知っていたが、実際に見るのは初めてで、それに触れようと手を伸ばす。
ねばっ
そんな効果音が聞こえてきそうなくらい、その液体は水を含んでねばねばしていた。おぉ……と何故か感動していると、私を後ろから捕まえるかのように抱き締めていた彼の手がゆっくりと離れた。
「……っはああぁ~〜~〜…っ」
疲れた、と付け加えられそうなほど深いため息をつく直樹。振り向くと、満足そうな顔。とろんとした瞳。
少し頬を染めながら、直樹はゆっくりと私の頭を撫でた。
そして、バスタブの近くにあった水色の洗面器を手に取り、水面に浮いている白い液体を丁寧にすくったあと、直樹はそれを排水口に流した。
「どうだった?」
ふと、そう聞いてみる。
すると直樹は、ふふ、と笑って、答えた。
「ん、……よかった」
よかったとは、その行為が上手かったということだと受け取っていいのだろう。私はなぜか嬉しかった。まさかお前にイかされるなんてな、とでも言いたげな顔。私も満足げに笑ってみせた。
「そろそろ出るか」と直樹が立ち上がる。
ざばっ、というお湯の音に、目が覚めたような気がした。直樹はあらかじめバスルームの外に置いておいたタオルを手に取り、その濡れた髪や身体を拭き始めた。
私も立ち上がり、もうひとつ置いてくれているタオルを取る。そして、直樹と同じように、濡れた髪や身体を拭いた。
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「ね、直樹」
なんと、私は今、直樹に髪を乾かしてもらっている。男の人、しかも彼氏に髪を乾かしてもらうなんて初めてだ。めっちゃカップルっぽくて嬉しい。
「んー?」
私の髪をわしゃわしゃと撫で、あたたかいドライヤーの風を当てながら、直樹はゆったり返事をする。
完全にリラックスしてるみたいだ。
「私たち、どうなっちゃうのかな」
私の髪をわしゃわしゃしていた手が、止まる。ドライヤーのあたたかい風の音だけが部屋に響く。
少ししてわしゃわしゃは再開され、直樹は口を開いた。
「……どうだろうな」
本当に、私達ふたりしかいないのか。もう、どうしようもないのか。このままふたりで生き続けるしかないのか。
ふたりは、寂しい。
そのとき、私にあるアイデアが思い浮かんだ。ああ、これはいい。ふたりじゃなくなるし、寂しくない。
「……子供、つくらない?」
そう、子供だ。いや、言いたいことはわかる。私達はまだ高校生だ。早いといえば早いだろう。が、新たな命を生み出さないことには、何も始まらない。そうだ、きっと、そうだ。
直樹は、はは、と笑い、「何言ってんだよ」と言った。
「冗談じゃないよ」
私は思わず立ち上がる。
すると直樹もドライヤーのスイッチを切り、話を聞いてくれる体制になった。私はそれを見て座り、何か行動を起こさないと、何も変わらない、と言った。
直樹はゆっくり目線を下に向け、ついに目を伏せた。そして深く、頷いた。
「……そうだね。つくろうか」
そこから、私達の長い夜は始まった。