私は頷いて、これまでの経緯を話した。朝起きたらSNSの通知がすごかったこと、友達やしんゆうからのメッセージのこと、家族がどこにもいなかったこと、何もかも話した。自分で話していて本当に泣きそうになったが堪えて、全てを告げた。
すると直樹は私の頭にぽんと手を置き、やさしく撫でてくれた。
「そっか。頑張ったな。もう心配するな」
さっき私に抱きついて泣いていたのが嘘みたいに、直樹はまっすぐな瞳で私を見つめて言った。そうだ。この人、大切なことはちゃんと目を見て言ってくれる人だった。嫌味も皮肉も言うけど、そういう誠実な人だ。私は安心と不安が入り混じった複雑な気持ちになり、思わず感極まって泣いてしまった。直樹はそっと包み込むように私を抱き締めて、頭をぽんぽんしたり、やさしく撫でてくれたりを続けてくれた。
泣きじゃくる私に、直樹はゆっくりと自分の経緯を話し始めた。
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「……ん」
朝、目が覚める。窓から差し込んだ眩しい光に、反射的に目をつむる。起き上がって手探りでカーテンを探し、シャッと閉めて目の安全を確保し、部屋の電気をつける。
人間は、朝になるから起きるんだろうか。それとも、人間が起きるから、朝になるんだろうか。なんてそんなことを考えながら着替える。
昨晩クーラーをつけていて正解だった。おかげで適度な涼しさを維持できている。
ふああとあくびをしながら、服の袖に腕を通し、ジーパンに足を通す。あれ、ジーパンまた短くなったかな。ちょっと前に買ったばかりなのに。
時計を見ると、午前11時。まだギリギリ朝ごはん、かな? 昼ごはんは12時からだろ。たぶん。
でもおかしいな、いつもなら遅くても9時頃には母さんが起こしにくるのに。日曜日だからゆっくりしろってことか?と少し違和感を覚えたが、まいっか、とゲームを手に取った。
小学生の頃から愛用しているこのゲームは友達とのチャットも可能で、コメント履歴も見れる。
「小坂さんいるかなあ」
小坂さんは親友だ。男同士でも名字で呼び合ったってよいではないか。
とか誰に向かって言っているのかもわからないようなことを考えながら、チャットを開いた。
「……え」
つい、馬鹿みたいな声を漏らした。普段ならこういう馬鹿に見えるような声は出さないし、いつだって平然を保っているつもりだが、さすがに無理な状況だった。30人近くいる自分のチャット友達全員のコメント履歴がのこっているのだ。普通こんなこと滅多にない。
変な不安に駆られ、ひとつひとつコメント履歴を見ていく。
みんな「こわい」や「なにこれ」などとコメントしている。だんだんと確実にふくらんでいく不安のなか、小坂さんのコメント履歴で手が止まった。
小坂:いやだたすけて、こわい、しにやysjs
ゾッとした。背筋に悪寒が走った。
一体何が起きたんだ、と状況が全く把握できず、ゲームを閉じる。と同時に不安になって家族の元へ足を走らせた。家族がいるのは一階だ。姉や兄もいるはずだ。
がちゃり。
いない。
「……出掛けたのか?」
そう言って自分を励ましながら、家中を探した。だが、どこにも誰もいない。
怖い______。今まで感じたことがなかったその感覚が、はっきりとわかった。頬を伝う冷や汗、はやくなっていく動悸。怖い。一体何が起きたのかわからない。
困惑しているなか、ひとりの人物が頭に思い浮かんだ。
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