性犯罪が存在しない世界の定住ガイド 作:一般ヘテロ市民
並行世界に転移なう。
「ダメだ、ネット死んでるわコレ」
スマホ片手に一人、歩道に突っ立って呟く。
視界には車道を行き交う車の数々。それを挟んで向こう側には青い海原が広がっている。背後には線路があって、その先には様々な店が並んでいた。
思うに、今の状況は昔見たオカルト掲示板の話に酷似しているように思う。町中に見つける文字はひとつひとつを取って見れば――フォントの問題か、どう読めば良いか分からないものもあったが――知っている漢字や英語に見えた。例えば『半角街站』『Hankaku St. Station』とか。
駅の案内から読むに、素直な受け取り方をするのならばここはハンカクSt――恐らくハンカクストリートとかだろう――と呼ばれる場所なのだと思う。
いや知らん知らん。
まるっきり聞いたこともない場所だ。
しかしこれだけならばまだ『漢字と英語? あれ? 俺中国に来ちゃったかな』とか、そんな疑いようもあった。それはそれで意味が分からない状況だが、ともかく。
「みんな日本語喋ってんだよな」
会話している人たちを盗み聞きした限り、誰一人として聞き慣れない会話をしていなかった。いっそ恐ろしいくらい耳に馴染む。
「オカ板だと……どうなんだっけ、時空管理してるおっさんに助けてもらうんだったかな?」
ここに立つまでの俺は間違いなく職場のオフィスに居たはずだった。それでなんとはなしに喉が渇いて、休憩がてら外の自販機で珈琲でも買おうとしたら
「取り敢えず、それっぽいおっさん探しながら町中散策でもしてみるか」
存外、俺の心は穏やかだった。それこそ会社に無断退勤を疑われたらどうしようとか、別の心配をするくらいには落ち着いていた。
やはり言葉を理解できるという要素は大きい。看板とか見ていると不安になるが、周囲の人々に耳を傾けると疎外感は薄れてくる。
「居酒屋ぶどり! 春夏秋冬、季節の旬が味わえるよ!」
「あぁどうも」
そんなこんな歩いてちょっと。
デカいタコがトレードマークの店前を通ろうとしたら、宣伝しているお兄さんにチラシをもらった。おすすめメニューの乗ったチラシっぽいが、いかんせん重要な料理名が読めない。最悪メニューの写真を指して『これください』で頼めるだろうか。
(ただなあ、この数字……価格なんだろうけど)
値段の単位には『f』が示されていた。
なんて読むか分からない。いったい何を払えば良いんだよ。フォルテか? 力強く演奏すれば良いのか?
(¥じゃないのはまあ察してたけど、どうするべきか)
珈琲を買うために席を立ったので、当然財布はポケットにある。が、その中身はここでは使い道がなさそうだ。十中八九スマホのキャッシュレス決済も同様に。誰か両替してくれないかな。
「空腹以降が問題だよなあ」
すぐ帰る方法が見つかるなら良し。
よしんば無理そうな場合、最低限食い扶持を確保できるようにしないと本格的に状況が不味くなる。
「あ、でもヨモツヘグイって考え方も……いやいや餓死したら元も子もないし」
「あの! ちょっと今お時間よろしいでしょうか!」
「はいなんでしょう?」
とかなんとか俺が悩みながら歩いていれば、横から可愛らしい声で呼び止められた。
いざ返事をしてみて『あれこれ俺のことじゃなかったらだいぶ恥ずかしいな』と思いながら声の方に向くと、一人の女性と目が合う。
なんとビックリ、声に負けず劣らず可愛らしい人がそこにはいた。なんか見た目はソシャゲに出てきそうなとんでもないファッションで、薄ピンクの髪という個性的な人だけれど。
顔立ちからはおっとりした印象を受ける。だからか反比例するような格好が際立っていた。いや大人しそうな人でもはっちゃける時はアクセル踏み込むような決断をしたりはするし、見た目で判断は良くないか。
「その、私は『ちぃ』と申します」
「ナンパ?」
「ぁぇ、い、いえ! そうではなく、銀行口座をお作りになりませんかと!」
なるほど、営業ね。
よく見ればすぐそこに『PINK PAWS BANK』という建物がある。察するに彼女はそこの銀行員なのだろう。
「え!? そこの銀行の?」
「は、はい! 現在『にくきゅう銀行』では――」
何やら彼女がキャンペーン内容をつらつらと語っているが、俺の驚きはそこではなく。そんな原宿にもギリギリいなさそうな格好で業務が許されるのかこの世界はという驚愕が真っ先に来た。口には出さないけど。
説明を聞きつつ、まさかそれが一般的な銀行員の格好ではないだろうなと横目で銀行内を覗く。
彼女と同じ服装の人間は誰一人としていなかった。じゃあもう終わりだよ。この人の自由意志によるものじゃん。真の意味で服装自由とか、にくきゅう銀行は進んでるな。前衛的と言ってもいい。
それはそれとして、彼女ちぃ曰く、新市民応援キャンペーンなるものがあるらしい。というか、色々と新情報盛り沢山で整理したい。
この街の名前は『ヘテロシティ』という。
人以外にアノマリー? という存在もいる。
街づくりに協力すると報酬が受け取れる。要は仕事の斡旋だ。内容に応じて一定額の『ファンス』をくれるそうだ。つまり『f』あれがファンスなわけね。
「とりあえず口座作ります。あとそのキャンペーン、参加させてください」
「ありがとうございます! では当行でお手続きいたしますので、どうぞこちらに」
渡りに船とは正にこのこと。当然この世界の身分なんて俺は持っていないので、住民票とか身分証の提示を求められたときはその手の手続きができる場所を流れで訊ねようと思う。
そんなこんなで名前を訊かれて受け答え、口座の暗証番号だとか色々決めて、ちぃさんにキャンペーン内容のより詳細な話を色々と説明されていたら、別の行員がやって来て、その場でキャッシュカードを渡された。
ヘテロシティにおける俺のキャッシュカードを即日渡されました。
気がついたら口座が開設されていたでござる。とんでもない早業、俺でなきゃ見逃しちゃうね。
というか、なんかその、身分証明とかした記憶がいっさいないのにそんな簡単に作って良いんですかね、口座。いや絶対良くないのは分かった上での疑問なんだけどね。俺は助かるんだけどさ。ざるかよヘテロシティ。
「では次に『シティライフ』……街づくりに関連した内容についてご説明いたしますね」
困惑を隠す俺に気づかず、ちぃさんは説明を再開する。
シティライフとはつまるところバイト斡旋のようなもの。口座と市民IDが紐付けられているので、市民IDでバイトを受注し、依頼完了が確認されたら受注したIDに紐付けられた口座へ報酬金が振り込まれる流れなのだそうだ。
俺の市民ID? 名前検索して無かったから口座と一緒に作ったそうだよ。やっぱざるだわヘテロシティ。なんで銀行が事実上の戸籍作れるんだよ。こちとら住所不定無職のさっきまで戸籍無しだったんだぞ。助かるけど。
さて、これらシティライフ関連の流れを簡潔にサポートするアプリがスマホにはあるらしいが、俺はこの世界準拠のスマホを持っていないのでまだアナログな方法を頼るしかない。
アナログといっても各銀行の窓口にて仕事の受注をしたい旨を話して市民IDを提示するだけである。そうすれば現在受注できる仕事を紹介してくれて、仕事現場を教えてくれる。受注すれば銀行を通してこちらが受注したことは依頼主にも伝えられるので、現場で落ち合って仕事開始というわけだ。
スマホがあればいつでもどこでもスマホから自分で依頼を探して受注できるとも言われた。
口座の残高確認もキャッシュレス決済もスマホのにくきゅう銀行アプリで管理できるそうなので、目下この世界準拠のスマホが欲しいところである。
ちなみに、ちぃさんは親切そうだと思ったので色々と銀行とは関係ないこと――携帯ショップや不動産屋、格安ホテルなどの場所――を訊ねると快く答えてくれて、なんならヘテロシティの地図までくれた。
広げた地図を指さして、「今いるのがここでして」などと懇切丁寧な対応までしてくれて感謝感激の念に堪えない。スマホを買ったらにくきゅう銀行のレビューを高評価で書き込むこととしよう。
「何から何までご親切にありがとうございました」
「いえ、お気になさらずに。ヘテロシティでの新生活、頑張ってください」
そのまま仕事の斡旋までしてもらって俺は何度も頭を下げた。最後には笑顔で送り出してくれて感無量である。ちぃさんに別れとお礼の挨拶をして、外に出てふと思った。
(銀行ってか、役場とか職業安定所も兼ねてるのかね『にくきゅう銀行』は)
ヘテロシティ新生活応援キャンペーンの実施者、ちぃさん曰く『ヘテロシティ』と『ドヴォルザーク家』の共同と言っていた。前者は行政として、後者はよく分からないが家名であることから名家のクソデカスポンサーとかだったりするんだろう。
ともかく、そんなバックがいて催しを後押ししている以上、にくきゅう銀行も銀行業務以外に行政事務手続きを行っても不思議ではない。
(んなわけ)
不思議も不思議、摩訶不思議だわ。
まさかヘテロシティで性善説が信じられているわけでもないだろうし、何かしら犯罪に重たい罰則でもあるのだろう。道端にゴミを捨てたら無期懲役、みたいな。でなきゃありえないだろう。こんなざる対応。
「今度調べとくか犯罪周り」
早いとこ元の世界に返してくれるおっさん――別におっさん限定ではない――が現れないだろうか。でないと俺、このヘテロシティに骨を埋めることになりそうだ。
一週間後。
いえーい見てるぅ? 元の世界の負け組くん、元気ぃ? 俺は今、ヘテロシティで元気に暮らしてまぁす!
いやあ笑っちゃうよね。一週間休日設けずやったとは言えさ、それでも実労働時間は一日五時間あったかどうか。それで稼いだ金額が合計で約三十万ファンス。
参考までに一食だいたい五、六百ファンス。飲み物合わせて九百から千ファンス。一日の食事代が三食で三千ファンスを超えるかどうか程度の物価だ。
それを? たかだか一週間で三十万? 元の世界に戻るわけないだろ。しかもこれは手元に残っている純利益だ。格安とはいえ今泊まっているホテル代を差っ引いた額なのだ。ヘテロサイコー!
雇われじゃないから休みたいときに休めるし、やればやるだけファンスが稼げる。
時空のおっさん、だっけ? 君もう来なくていいよ。未練ないし。仲の良い友人や同僚もいたにはいたが、俺はこっちで美味い飯食って暮らすからさ、そっちもそっちで頑張ってくれって感じだ。俺はもうヘテロシティに骨を埋める。そう決めた。
「大将っ! サクサク天丼と生ビール」
「あいよ」
今日も今日とて一日の終わり。
稼ぎ出してから足繁く通い始めた居酒屋ぶどり。海が近いからかここの寿司舟盛りが最高に美味く、お値段六五〇ファンスと凄く安い。が、今日は天ぷらの気分だったので天丼を注文する。
注文から手早く調理に移る大将は初見こそ顔の圧に恐怖を感じたタコ型の
ちなみに異骸とは生物型アノマリーの総称らしい。で、アノマリーは異象と書いて
俺はざっくりと『マイルドなSCP』という理解で呑み込むことにした。危険なアノマリーを収容する組織もあるそうで、民間行政問わず、それらを生業とした職業もあると聞く。
「お待ちどう」
「ありがとうございます。頂きます」
人間どうでもよい知識の定着は遅いが、興味のある知識とか必要な知識は意外なほど覚えやすかったりする。百聞は一見にしかず、とは少し違うが『数学の数式』と『ゲームのダメージ算出式』の定着率が良い例だろうか。
日常的に“使う”知識は使用先があるから忘れるべきではなく、いつ使うかも分からない知識は覚え続ける必要性が薄い。
その点において、俺がこの世界の文章をある程度理解できるようになったのは必然だったのだろう。無論、まだ読み方が分からないものもあったりするが、普段使いに支障はない程度には覚えた。
喋っている言葉が同じなのだから、ゼロからの手探りではないだけ苦労も少なかったのだと思う。そういう意味ではスマホの音声検索や読み上げソフトが大いに役立ってくれた。
そう、この世界のスマホもこの一週間で契約することができました。シティライフの受注も簡単だし、決済もにくきゅう銀行アプリからお店のQRコード読み込みで簡単に支払えるし、日常的なあれこれの手間が簡略化されて凄く楽になった。
あとエロ動画サイトへ手軽にアクセスする手段が得られたのが何気にデカい。アングラなサイトなのか見つけるのに苦労したが、URLは押さえたので今後の問題はない。
この一週間、仕事終わりは文字などの勉強でオナニーするほどの余裕がなかった。だから気にしていなかったが、つい今朝方に俺は小学生時代以来の夢精をしてしまったのだ。
そりゃあもう目覚めは最悪だった。ムラムラする暇がなかったとはいえ、処理していなかった弊害が股間周りの不快感として表出したのだから。
とりあえず今朝は朝イチにシャワーを浴びて、汚れた服は近場のランドリーに突っ込むことで対処。それから午前中にちょろっと仕事を受けて、午後は調べものをする時間に充てていた。
何を調べたかって?
ナニをするための調べものだよ。
そして以下が判明したことである。
ひとつ、ヘテロシティには性的なサービスをしてくれる店が存在しないこと。
ふたつ、ヘテロシティの書店には成人向け雑誌が存在しないこと。
みっつ、ヘテロシティにおいて性に関する法律が見つからないこと。
細かい発見を挙げ出すと切りはないが、大雑把に驚いたことはこんな感じだ。ちなみにエロ動画サイトはサーバーがヘテロシティ外の管理っぽいので、事実上ヘテロシティには性に関するアレやコレやがまったくと言っていいほど見当たらなかった。
違和感でしかない。
検索の仕方が悪いのかとか、検索サイトのインデックスが致命的なほど使えない欠陥なのかとか、色々と試行錯誤で調べてみたが、そのどれもが結果として無に終わった。
何も見つからない。
そこで「もしや」と件のエロ動画サイトにて特定のジャンルで検索をすると、『検索結果0件』の文字が返ってきた。そういうコンセプトのプレイですら存在しない、という結果が返ってきたのだ。
何のジャンルで調べたか。
それは『強姦』という単語だ。『
念のためにヘテロシティの検索エンジン『ベーグル』でも同じ単語を検索するも、“最強姦姦”という女性六人グループの名前とか“Frape de caramelo”みたいな商品名などしか検索結果に出てこない。
これは極端な例だが、俺が元いた世界では大半の国が児童ポルノを厳しく取り締まっていた。法律にもそれは明文化され、データの所有すら違法。ネットでそれ関連の単語を検索しても対象がヒットしないようにする徹底ぶりだった。
それでも法律に関することや過去の事件の記事など、“性”に直結しないものであれば検索に出てきていたはずだ。
けれどコッチだと
恐らく誰もそこまでして性に執着しようと思わないし、実際しないのだ。だからわざわざ禁止するほどでもなければ取り締まることもない。だって、事例がないのだから。
考慮に値しない。性に関して取り締まらない。全員が厳格で、もしかすると自然的に清廉潔白な性思考しか行わないのかもしれない。
そんな、ありえないことを仮定した。
そんなわけがないと冷静に考えた。
けれどヘテロシティにおいて法律で禁止されていないことは事実でしかない。だから他の犯罪行為について調べてみたのだ。
事例があるのは管理局に未登録のアノマリーを故意に使った窃盗だとか、純粋な暴力事件だとか、公共物の破壊行為だとか、詐欺だとか、そんなことばかり。
どれも悪いし、他者に被害や迷惑をかけるものだ。そこに貴賤はなく、だが性犯罪はどこにもなかった。
しかも驚くべきことにヘテロシティには裁判所がない。なら捕らえた犯罪者はどうするか。軽犯罪重犯罪関係なく、現行犯で捕まえてそのまま刑務所にぶち込まれるそうだ。現行犯だから冤罪の心配いらないもんね、馬鹿がよ。
ちなみに刑期は罪状関係なく七日満了で釈放らしい。YearsではなくDaysだ。七日帰りで縁起悪いから罰になるってか?
もしくは三万ファンスの釈放金で外に出られるとのこと。保釈金じゃないぞ? 釈放金だ。つまりたった三万ファンス支払えば釈放されて『はい終わり、刑期お疲れ』と野に解き放たれるのだ。どんな罪でも一律三万ファンスで。
ほんとバーカバーカ。馬鹿ばっか。誰だこのシステム考えたやつ。そいつ実質テロリストだよ。
調べていたときの俺の気持ち、誰か共感してくれないかな。刑期日数の桁間違えてないかとか、タクシー代と大差ない値段でシャバに戻れるのかよ!? みたいな驚きとか。
これ犯罪の楽園ヘテロシティだろ。なんで平和なんだよ。治安維持できてることが意味不明だわ。もちろん治安官の見回りとかが一役買っているとは思うが、絶対それで足りるわけがないんだよ。
性善説、なんて一週間前に冗談半分で思った俺だが、どうにもこの世界の人間相手にはそれが正しいような気がしてならなくなった。もちろん例外がいるから犯罪は起こるのだろうが、それでも暴力とか金銭方面の思考回路でしかないし。
「大将、ごっそさん」
居酒屋ぶどりからすっかり暗くなった外へと出る。そこに冷えた潮風がこのハンカクストリートを吹き抜けて、食後の火照った身体を撫で抜けた。
(犯罪を犯すようなやつは馬鹿だと思ってたけど)
禁止されているわけでもなく、罰則があるわけでもない。
間違いなく今の俺は理性が効いていない。
そう冷静に判断する頭はある。けれどその冷静さは理性を取り戻すブレーキではなく、自己保身と利己的な計画にしか働かない。
(よしんば暴力行為と判断されても七日の刑務か三万ファンス)
あまりにも精神的なハードルが低い位置にあった。越えるのではなく、跨ぐような心持ちが気軽さを演出していた。
縛りのない獣が何をするかなど自明の理。
少なくともこの性善説の塊みたいな街で、これからの俺の行いは過去に事例のないものとなる。ともすれば俺以外の誰かにも性悪説を信じさせる要因になるのかもしれない。
「知ったこっちゃあないけどな」
法が禁止しない以上、残るのは倫理とかマナーとかそういった主観に重きを置く曖昧なものだけ。
もちろん俺だって誰彼構わず迷惑をかけたいわけではない。ましてや禁止されていないからやって良いなどと、そんな子供染みた屁理屈を信じているわけでもない。
踏み止まる理性が無くなったのは、ただ悪事を悪事と自覚した上でそれはそれと置いたから。行為を想像して、ムラっときて、やらかした後のデメリットが許容できたからだ。
それにほら、ヘテロシティには性的なコンテンツが少ないじゃん? だから……あれだ――。
(――文句の宛先は時空のおっさんにってな)
居るかどうかなんて、知りはしないが。
「ぶどりの酒は最高! お代わりしたくなるぜ」
「もう無理……ひっく……また今度ね、今度」
チラリと視線の先に若い男女が二人、カップルだろうか。
男は地面に座り込み、頭はふらついている。あの様子じゃ立つこともままならないだろう。対し、女は立ってこそいるが頭痛を堪えているようで限界に近いらしい。
やがて女の方が心許ない足取りで歩き出した。
(あの人にするか)
居酒屋ぶどりの初来店時、俺は読めないメニュー表を見て、写真だけで「これをください」と注文した。特別それを食べたかったわけではなく、なんとなく目が惹かれたから選んだのだ。
食事なんてそんなもんだろと言われたら、まあ否定はしない。俺は美味しければそれで良いタイプの人間だ。
そしてそれは今も同じだ。気持ち良いだろうなというシチュエーションが目の前を歩いている。なら選びたくもなるだろう?
「おっと、お姉さん大丈夫ですか?」
「わ。ありがとぉ、ぅぷ、ございます。助かりました」
酔いが回り出したのか、ふらつく足取りの女性が転びそうになったので肩を掴んで後ろから留める。
急に近づいて触れてくる異性など、助けられたとしても猜疑の目を向ける理由にはなるだろうが――。
「さては結構飲みましたか? 危ないですから家まで送りますよ」
「えへへ、バレました? でも大丈夫ですよぉ! 私はこんな元気ぃぁっと」
「ほら、言わんこっちゃない。もうまともに立ててないじゃないですか。家、どの辺りですか?」
「んふー、じゃあお願いしますね。家、結構近いんです!」
こっちの世界で送り狼方面の警戒心とか皆無なんだね。あっても盗みを警戒されるくらいじゃないかな? それも親切心に塗り固めれば信用されるようだけど。
もしくはこの人が無防備すぎるだけか? 初対面の異性に接触されて住所教えるとか正気の沙汰ではないが、酔ってるしな。今後の参考にはしない方が良さそうだ。
「ひっく。あー、ここぉ。到着でーす」
「だいぶ酔いが回りましたね」
まあ最初より酔いが酷くなっているのは、道中で俺が「ほら水飲んで」ってコンビニの安酒を飲ませたせいなんだが。
急性アルコール中毒にならないように俺が介抱する形で飲ませたら、それを信じてちびちび飲んでやんの。「水ぅ、あえー?」なんて首を傾げながらもしっかり飲んでいた。
いわゆる念には念をというやつだ。彼女には完全に酔い潰れてもらった方が好都合。これで抵抗はほぼ不可能となった。本人の体質にもよるが、翌日には今日のことを何も思い出せなければ尚良しである。
それにしても本人は酔い覚ましのつもりで酔いを加速させる様には謎の面白さがあったな。ドッキリの仕掛け人にでもなったような気分だ。
「ただぁまぁ!」
「おっと、玄関で寝ようとしないで。風邪引きますよ」
ふらっふらの彼女に肩を貸して玄関前まで来ると、「鍵ぃ、ポケットぉ」なんて言って本人は動く気がなさそうだった。なので心置きなく胸ポケットやら腰周りのポケットをまさぐって鍵を見つけたので解錠する。
すると転がるようにフッと彼女は脱力し、玄関先で寝ようとしたので支え起こす。
「ほら、立てますか? せめてベッドに……あのー? 寝ちゃいましたか? ――寝たっぽいな」
ひとまず家に入り、施錠する。
玄関でヤるにしても膝をつくにはフローリングが硬くて無理。駅弁は相手が寝てるから支えるのに苦労しそう。相手の腰だけを持ち上げてバックでも同上、なんなら不格好すぎて翌日の俺の腰も死にそうだ。
できれば寝室で、柔らかなベッドの上で快楽だけを貪りたい。
「ここが寝室かな?」
電気をつけた先にはでっかいクマのぬいぐるみが部屋の隅に鎮座していた。その隣にベッドがあって、近くの小さな丸テーブルや棚に小物が彩る可愛らしい寝室だった。
そんなベッドにすっかり熟睡した彼女を横たえて、早速と下半身の衣類をすべて引き下ろす。そうして柔らかな両足の太ももに指を滑らせ――。
「はーいご開帳」
膝裏から持ち上げて、それぞれ左右に開く。
自然、そこに広がる光景は怒張したイチモツを今すぐに突っ込みたくなるほど官能的なものだった。
綺麗な形の秘部だ。色合いも黒ずんでなくて、大して使われていないように思う。陰毛は短い。切り揃えているのか、そういう体質なのか、ともかく綺麗な芝生を見たような気持ちになった。
こうして観察している今でも当の本人はすぅすぅと夢の中。試しに人差し指の腹でまんこを撫でてやっても起きやしない。だと言うのに充てがった指には生々しい体温とイヤらしい湿り気が感触として伝わってくる。
正直、無防備というスパイスはここまで人を興奮させるのかと思わずにはいられなかった。
睡眠姦なんてオナホールと何が違うんだと前までの俺なら考えただろうが、とんでもない。相手が生きた人間だからこそ、文字通り生々しさが段違いだった。
「じゃあ準備しようねー」
早くヤりたいという衝動は抑える。早く終わらせなければという焦燥も無視をする。
どうせ彼女が目を覚ましたところで俺がやっている行為はこのヘテロシティにおいて犯罪ではない。純粋に嫌がって抵抗されようとあれだけ酔っていたのだ。ろくに力も入るまい。
だから、そう、これは彼女を介抱したお礼を貰うだけ。お礼に気持ち良くさせてもらうだけだ。だから目が覚めてもちょっと我慢していてね。何回かしたら終わるからさ。
いやはや自分を騙すのも楽ではない。良くないことをしているからと気を逸らせたところで待っている結果など碌なものではないのだ。心持ちから整えないとできることもできなくなる。
当然だが、いきなり挿入したって気持ち良くはない。どころか場合によっちゃあ痛いまである。気持ち良くなりたいからこうして襲っているのに、それすら果たせないなど本末転倒どころではない。
(逸るな、焦るな、落ち着け、獲物は逃げない)
己の指を無防備なスジに沿わせる。
ゆっくり、じっくり、陰唇をなぞり、手のひらでクリトリスを掠め、焦らすように膣に入るかどうかの瀬戸際を愛撫する。
「――ぁ」
心なしか寝息に色を帯び始めたように聴こえた。
一瞬どきりと心臓が跳ね、手が止まってしまう。静かに視線だけ動かして確認するも、まだまだ本人は夢から抜け出せていないようだ。
ほな再開しますねー、と愛撫を続ける。俺を気持ち良くさせてくれるおまんこさんだ。丁寧にマッサージをして差し上げなければならない。お互い気持ち良くなるのだからギブアンドテイクだろう。
「そろそろ準備はいいかな」
指が膣口を触れる度、ネチネチと水気のある音が響くようになった。確認のため膣内に指を滑らせると、いとも簡単にくちゅりと呑まれてしまった。引き抜けば愛液をビッチャビチャに纏った指が女の秘部より帰還する。うむ、先見ご苦労。これより本隊を突入させる。
ようやくといったばかりに己のズボンを下げ、痛いくらいに張ったテントを引っ掛けないようにパンツも下ろす。
「ついでだし、動画も撮ろうかな。……『お酒の介抱したお礼に、セックスすることになりました! おまんこもほらっ、こんなに準備万端ってことで早速お礼を頂きます!』」
亀頭がはち切れんばかりに膨らんでいた。
ちんこ全体が今までにないほど太く勃起している。
これを早く突っ込みたい。目の前の女を犯したい。セックスしたい。そんな考えをさっきまで一旦脇に置いていた俺はなんて我慢強い男なんだろう。そしてそれを解放できるこの喜びは筆舌に尽くしがたい。
ぬちゅり――。
亀頭が陰唇を押し広げる。
奥へ奥へと沈んでいく。
スマホの録画にもそれは余すことなく捉えた。男女の接合シーンが言い逃れできないくらい明確に動画として残る。挿入の一部始終をスマホのレンズは無機質に凝視していた。
アルコールで火照った女の熱がイチモツを呑み込んでしゃぶり尽くさんとする。温かいのでなく、熱い。なのにその熱をもっと感じていたい。引き抜きたくない。この一体感を手放すのは、余りにも惜しい。
だから俺は大きな前後運動ではなく、腰を揺するような小刻みな刺激で彼女を楽しむことにした。カリ首で奥の膣壁を抉るようにグチグチと揺らす。その度にベッドが軋んで、情事らしさに拍車をかけた。
ねち、ねち。
ねちゅ、ねちゃ。
動く度、膣全体が愛液の存在を主張していた。
突いて、抉って、押しつけて、次第に水音が増す。
「ふっ……ぅ……ふ、ぁ」
腰の揺さぶりに合わせるように、俺の耳朶を打つ乱れた女の寝息がより興奮を誘う。
無意識だろうと“異性の性器”という異物を絞め上げる膣に、俺は堪らず今にも射精したくなる。
(まだだ、まだもっとこの純粋な快楽を味わいたい!)
そう思うも込み上がるソレに我慢など砂上の楼閣でしかない。ならばいっそ妊娠してしまえと鼠径部を掴み、深く深く押しつけるように限界まで彼女の腰を引き寄せる。
(ついでだ。唇ももらうぞ)
射精感を抑える限界ギリギリで上半身の体勢を崩し、無防備に空いた唇に乱雑なキスをする。そして――。
「んぅ、ん」
びゅる、びゅく、びゅう、なんて呆気なく。蛇口の栓が壊れたみたいに、避妊を考慮していない精子たちが眠る彼女の膣奥に放たれた。
(ヤバい……気持ち良すぎて頭おかしくなりそうだ)
柔らかな唇から離れて息を整える。
触れ合っている太もも同士の肌が熱い。
途中から録画のことを忘れていた。きっと射精前後の映像は酷いものになっただろう。けれど今はそれもどうでも良い。達成感やら満足感やら、形容しがたい情動が心を満たす。ともすればこの感覚が征服欲なのかもしれない。
生物の本質。子孫繁栄の要。つまり孕ませックス。それを無責任にやっているという背徳感が俺にとてつもない快感をもたらしている。きっと今頃脳内ドーパミンがドッピュドッピュと溢れているに違いない。癖になってしまいそうだ。
(嗚呼、今が幸せの最高到達点かもしれない)
吾唯足るを知る。
正直もう帰っても良いかもしれない。それくらいには満足した。ぶっちゃけ賢者タイム。金玉の中身を全部この中にぶち撒いたのかもしれない。
ただ依然として、彼女は起きていなかった。
最初より呼吸が浅く、いつ目覚めてもおかしくない様子ではある。
(胸、触ってなかったな)
ちんこを膣に突っ込んだまま、スマホを持っていない方、空いた手を彼女の上着の下から潜らせる。
お腹、ヘソ、
ブラジャーを外すためだけに眠った人間の上体を起こすのも手間なので、無理矢理ブラを押し上げて乳首までを露出させる。
上着を着せた状態なので俺の目には映らないが、どう触ってもぷっくりと可愛らしいつぼみが咲いていた。
「あーあ、こんな乳首おっ勃てて『眠ってます』は嘘だよね」
わざわざ彼女の耳元で言葉にするも反応はない。
まあ本当に眠っているのだろう。ただこれは言わずにはいられなかった。ここで彼女が少しでもピクリと反応すれば俺は興奮したので言い得なのである。
ちょいと腕を引き抜いて、彼女の上着のシワを整える。
「ちょっとおっぱい借りるよー」
そうして彼女の下乳をスマホスタンド代わりに俺の両手を空けた。録画画面は彼女の胸で真っ暗だ。早いとこ終わらせよう。
さて、すっかり自由になった手で何をするか。言わずとも知れたこと。窮屈そうな彼女の上着のボタンを外すんだよ。
ひとつふたつと野暮ったいそれを外す度、胸のゆとりが取り戻され、豊満な塊が徐々に姿を現す。
(脱衣ゲームやってるみたいだ……いやそりゃそうだ。脱衣させてるんだもんな)
我ながら馬鹿なことを思ってしまった。
現在時刻は深夜帯。一杯だけとはいえ俺もビールでアルコールが入っている。これは早いとこ切り上げないと帰宅する余力がなくなるかもしれない。
それはそれとして、現れたのは綺麗な乳首だった。壮観だ。下乳スタンドからスマホを手にとって、勃った乳首から乳輪、片手で静かに揉みしだいた胸の柔らかさなど、確かに記録する。上下余さず視姦させてもらったし、今後もオカズに困ったらこの動画を使わせてもらおう。感謝感謝。
「じゃあ、二回戦、よろしくね」
そんなこんなしていたらすっかり硬さを取り戻したイチモツが内側から膣を押し広げんとばかりに勃起していた。
既に内部は愛液と精液でぐちょぐちょだ。締めつけも最初ほどではなく、小刻みな動きではそこまで気持ち良くない。なので今度はピストンで堪能しようと思う。
ぐぢゅ、くちゃ、ぢゅぶ――。
本気で叩きつけても、たぶん今の膣内の状況なら問題はないだろう。混ざり合った愛液と精液がクッション材になるはずだ。ただそれをすると代わりに俺の腰が死ぬ。
帰り道を想定する以上、体力をすべてここに使うわけにはいかない。なのでゆっくり、ゆったり、いわゆるスローセックスで情事に耽る。
押して、引いて、押す。それを頭空っぽにして繰り返し。頭に残すのは伝わる気持ち良さを味わうことだけ。
亀頭が膣口に近づく度に、空気を含んだ精液と愛液が漏れ出て彼女のアナルへと垂れ落ちる。
「ん、きもち、いぃ」
「――!」
腰が止まる。
小さかったが、明確にうめきや吐息以外の意味ある言葉が聞こえたからだ。
「なにぃ、ぁ……ぇ? あぇ? なん、え?」
寝惚けて蕩けたような眼差しが次第に現実を取り戻す。やがて俺は困惑に揺れる瞳と目が合った。
なので、腰振りを再開する。割と強めに。
「大丈夫、夢だよ。気持ちの良い、ただの夢だ」
「んえ、なん、ん、あ、んっ待っぁ……ん、んんっ、あっ」
意識が覚醒したからか、敏感に感じ取る快楽に彼女は必死に声を抑えようとする。それでも奥を突くと抑えられないのか、言葉になっていない声が漏れた。
既に彼女の膣内はぐじゅぐじゅに解れている。後はもう快楽を感じるだけの段階で目が覚めたのだ。それで心の準備が間に合うわけもなく、今の彼女は不意打ちでイキ狂うだけの存在でしかない。
「気持ひぅ、ぁ、んぁ、ま、って、んっ、ん、な、ってってば、止め、ぇぁ」
俺の身体に彼女が手をあてがう。押し止めようと、ピストンを止めようと抵抗しているのだ。けれどそこに力はなく、為されるがまま。いじらしい抵抗は無意味であり、どころか俺の興奮を助長させ、ただ添えているに等しかった。
「や、ぁあ、っ、んんっ!」
ぶるりと痙攣に似た振動が膣越しに伝わる。
感覚として二度目の射精はまだまだ先だが、見るからに辛そうなので一旦腰を止めてやる。
肩で息をするように彼女は酸素を求めていた。
静かな室内。
聞こえるのは女の荒い呼吸のみ。
少しして息も絶え絶えだった彼女は口を開いた。
「……待ってって、言ったのに」
吐息混じりに涙目でそんなことを言う。
強姦されて、絶頂して、最初に出る言葉がソレとはだいぶ余裕があるらしい。メンタル強者なのか。はたまたそこまで貞操が重要視されていないのか。
どちらにせよ、俺としては願ってもない態度だ。
「話せるくらい回復したようなら続きをするぞ」
「いやそもそもッ! やっ……ぁ、んっ……んぐっ……まっ、でぇ!」
ぱちゅ、ばちゅと腰を打ち鳴らす。
奥を押し潰すように、膣壁のヒダを抉るように。空いた手でクリトリスを弄び、制止を無視して涙目の彼女をよがらせる。
「イッ、ぁたばっ、かりなの……ひぁ……ぁ、ぐっ、ん、せめて、んぁ、ゆっくり……ん、ひゅっぐり、してぇ! 馬鹿に、なるがらあっ!」
乱れる彼女のせいでベッドのシーツは皺だらけ。押し寄せる快楽をどうにか逃がそうとでもしているのだろう。シーツの上で身体をよじる様は蠱惑的な踊りに見えた。
それで、ゆっくりだったか。
なるほど。彼女としては敏感な今に激しくされても気持ち良すぎて辛いのかもしれない。女の快楽は男の何倍もあると聞くし、それが続くのはさぞ大変なのだろう。
「大丈夫だ」
「ぇ? ぁ、ん、んっ、だっ、から、腰、止めてッ……ってば!」
「もうすぐ出るから」
言って、込み上がる射精感を促すためにピストンのペースを上げてスパートをかける。膣でイチモツを扱くような、セックスと呼ぶべきかも怪しい自慰の延長線上の行為だ。そこに労りはなく、ただ性欲のみが存在していた。
「あっあっあっ待っ! や、んんっ、ダメッ、だめだって! ぁっ、あっ、あっあっ、ん、んんっ!」
ダメ、なんて言われて止まるわけもなし。そもそも既に中出しはキメているので、今更言われても手遅れな話だ。とはいえ一度目の中出しは彼女の意識がない状態で済ませたことだし、これは知らぬが仏というやつだろうか? 今から台無しにするけど。
「外ぉ! 外に!」
「おまえはっ、ラヴ・クラフトかっての!」
金玉から産地直送。我慢汁にも精子が混ざる以上、生挿入した時点で外に出そうが中に出そうが大差はない。いやまあ妊娠確率は多少変わるだろうが、妊娠するときはする。ならば中出しした方がお得だろう。
「俺の、元気な赤ちゃん産めよッ」
「ダメッ!」
――ビッ、ビュッ、ビュルル、ビュウビュク。
「ぁっ……ぁ」
制止も虚しく子宮へ解き放たれる精子。
射精が良いとこにでも当たったのか、その一瞬は彼女も身を震わせて気持ち良さそうにしていた。が、次第にそんな悦楽も姿を隠す。
「中ぁ、なんでぇ」
行為が終わった第一声、彼女はそんなことを言った。瞳は潤んでいて、声も震えていた。膣を充たす異物感が嫌でも現実を直視させるからだろう。
その様は可愛らしさとか、庇護欲より以前に、俺に罪悪感を感じさせた。彼女をレイプしたことに後悔はないが、彼女に二度同じようなことをしようとは思えなくなった。興奮より申し訳なさが勝つ。
「なんでって、中出ししたかったからですが?」
「訳わかんないぃ、もうヤダぁ!」
まんこにイチモツを咥え込んだまま、彼女はしゃくりあげるように泣き出した。
ちんこを引き抜いて、精液塗れのまんこを最後にカメラに映して録画を止める。
俺もなんだかんだセックスを続ける気にもなれず、というか二回も出して満足してしまった。今の興奮度合いでは勢いがつかず、泣き喚く異性を犯すことなど到底できない。なので今回はもう事後処理をする。
それに伴い、まず俺はいわゆるお姫様抱っこの形で、股周りを精液で汚した彼女を抱え上げる。
「はいはい、泣いてて良いから暴れないでくださいね。あとシャワー借りますよ」
「うぅぅ、ひぐっ」
「ちなみにお風呂の部屋ってどこにあります?」
「ぐすっ、ぅぅ、……あっち」
質問への回答にはもうどうにでもなれという投げやり感を感じたが、目元を拭いながら素直に教えてくれた。
浴室へと向かう道中、廊下にポタポタと膣から押し出された精液が落ちた。踏まないようにしつつ、これも後で掃除してあげよう。絆されたというより、立つ鳥跡を濁さずの精神だ。
風呂場で互いに全裸になって、為されるがままになっている彼女を丁寧に洗う。俺も汚れや汗を流してサッパリだ。
そうしてレイプする前よりも身綺麗にして、俺達はシャワーを終えた。その頃には彼女もある程度落ち着きを取り戻したようで、泣くことは止めていた。
代わりに複雑そうなジト目を向けてくるが、文句は言ってこないので気づいていないフリをする。
「ティッシュとか除菌シートってあります?」
「あるけど……なんで?」
「掃除の手伝いをするからです。それとも一人で床に落ちた精液とか片付けます?」
「……や、手伝ってくれるなら、ありがたいですけど……うぅ元凶に感謝したくないぃ」
ほんと、複雑そうだ。
この後、一緒にシーツの取り替えをしたり、見落とした精液を踏んじゃった彼女と一悶着あったりしたが、元の世界では考えられないくらい穏当に話は進んだ。
「次からこんなことしないでくださいね?」
「ええ、分かりました。ちなみに、赤ちゃんできてたらどうします?」
「どうって、孕んじゃったらまあ、仕方のないことですし、産みますよ。することしたんですから」
曰く、中出しで泣いていたのは『彼氏でもない男に孕まされるから』ではなく、『母親になる覚悟がまだできていなかったから』らしい。
また、赤ちゃんがデキたとして血縁上の父親は俺になるわけだが、彼女的にその辺の認識はどう受け取っているのか訊ねると。
「いや貴方と結婚とかは、ちょっと……その、私、彼氏いるので。あ、でも子どもに会いたいとかなら全然、遊びに来て良いですよ」
なんか告白して振られたみたいになったが、托卵はアウトじゃないんですか。いや誰もそんなことしないからセーフもアウトもないってことなんだろうな。でも彼氏くんはビックリするだろ。
そんなこんなで連絡先を交換したりして、俺は彼女の家を出た。
俺の知っている価値観に照らし合わせれば、やったこととその後の対応が釣り合っていないように思う。だがヘテロシティは、否、この世界ではこれが普通なのだろう。
「最高だな」
思わず呟く。
吹いた夜風は異様に心地良かった。
初めてR-18書くので感想とかバシバシくれると筆者は喜びます。お気に入りとか評価をくれると舞い踊ります。NTEの二次、増えないかな。
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