※この作品はR-18です。

性犯罪が存在しない世界の定住ガイド   作:一般ヘテロ市民

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見なよ…オレの作品を…。
日間、週間ランキング1位!
思わずスクショを撮りました。思わぬ反響と皆様のご期待には戦々恐々の気持ちです。

せっかく多くの読者様(たぶん私と同じ癖)がお気に入り登録をしてくださっているのですから、期待には応えたい。

なので、そのアンサーとして。
今回はこんなお話です。どうぞお楽しみください。


【モブ女学生】万引きごめんなさいックスと秘密のストレス解消方法

 

 やあ、俺だ。

 思えば早いもので、もう初レイプ(あれ)から二ヶ月も経つらしい。時間の流れは元の世界と同じはずなのに、やけに早く感じる。言ってしまえばそれだけ充実した生活を送っている証拠ではあるのだが、幸せほどゆっくり感じていたいのだから人生とはままならないものだ。

 

 中出しした彼女とは連絡先を交換したけれど、以降大して関わりができることはなかった。せいぜいがたまに居酒屋ぶどりで鉢合わせして軽い挨拶をする程度。

 

 そんな彼女だったが、最近ひとつのメッセージを飛ばしてきた。

 

『たぶん妊娠したので彼氏と結婚します。ご祝儀よろしく♪』

 

 訊けばアレから生理が止まって妊娠検査キットで発覚したとのこと。タイミングからして俺との子どもに違いない。

 俺の血液型が偶然にも彼氏さんと同じらしく、事情説明が面倒くさいから避妊失敗した彼氏さんの子どもとしてデキ婚するそうだ。強かな女性、怖い。孕ませた俺が言えた義理じゃないけども。

 

 しかしよくよく考えてみると、俺からすればこれは中々に違和感のあるメッセージだ。

 

 何がアレって、托卵を誤魔化したいから彼氏の子にしたわけじゃなくて、説明が面倒だから彼氏の子にした辺りがとても文化的なギャップを感じる。

 

 もしも彼女が面倒に思わず彼氏に語るつもりであれば、普通に『他所の男に孕まされたんだよねー』なんて彼氏に語っていたのかもしれない。ともすれば彼氏が我が事のように『本当に? 妊娠おめでとう!』くらい言いそうなのがこの世界だ。

 

 分かってはいたが、托卵という行為にも彼女は罪悪感を覚えた様子はない。そもそも罪の意識というか、この世界にソレを悪であると定義するキッカケすらなかったのだと思われる。

 

「『改めておめでとうございます。式の友人スピーチは別の方にしてくださいね』と」

 

 結婚式自体はまだ先になるようなので、メッセージの内容も“ご祝儀覚悟しとけよ”くらいのニュアンスなのだろう。レイプのお礼含めてしっかり包ませて頂きます。

 

 この世界の女性は『犯されました、じゃあ復讐しよう』とはならない。性犯罪が定義されていない、つまり強姦や望まぬ妊娠などの生理的な不快感は前の世界ほど強くないのだ。だってそれを知る機会がそもそもないから。

 そうなると無責任な孕ませは女性に『母親になる覚悟』を持たせる要因となり、転じて『せめて養育費くらい払え』という執念を覚えさせることになりかねない。

 

 今回こそ彼氏持ちの女性であったため、その辺りを彼氏さんに押しつけることができたが、毎回こうなるわけもなし。

 

 探そうとすると無防備な女性ってあまりいないな、なんて二ヶ月も大人しくしていたわけだが、今回のこともあってしばらくは控えることにした。犯罪どうこう関係なく、無差別に孕ませまくったら大変なことになるのは目に見えたからだ。

 

 まあ避妊具を使えばこの問題は避けられるものではあるのだけれど、俺は生挿入したいし、無遠慮に中出ししたいので却下。だからといって女性側がアフターピルを飲んでくれる前提で考えるのは楽観視がすぎるだろう。

 

 オカズ自体は今もあの動画を使っているし、性処理だけなら思い出だけでも充分。ヤるとしたら綿密な計画の下、こちらが手綱を握れる状況を作ってからの方が良い。難しい話である。

 

 

 

 

 さて、話は少し変わるが二ヶ月も暮らしていると不思議なもので、俺の中にヘテロシティへの帰属意識というものが芽生える。いや元よりヘテロシティに骨を埋めるつもりではあったのだけれど、なんというか、認識が変わったのだ。『日本人でヘテロシティ在住』から『日本生まれ日本育ちのヘテロ市民』くらいに。

 

 心境の変化、その要因が何かとなれば簡単な話。いわゆる朱に交われば赤くなるというやつ。つまり、客観視できる範囲において、いつの間にか俺はこの街の住民たちに絆されていたのだ。

 

 居酒屋ぶどりの店員、蘭丸には常連の一人として覚えられ、気さくに挨拶をする仲となった。

 

 ぶどりでできた飲み友達とは何気ない会話に花を咲かせ、美味い飯を食らって笑い合う。まあ『近所のクソガキに手持ちの骨董品を壊された』とか若干笑い話では済まないものも交じるが、本人はやけ酒で笑っていたので割愛しよう。

 

 よく受注する仕事では『今日も来たか! 頼りにしてるぜ兄ちゃん!』なんて頼れる助っ人扱いだ。お給金もしっかり払ってくれるのだから嫌いになれるわけもない。

 

 そんな生活をしていれば、俺もこの街の一員になりたいという気持ちが高まるというもの。現状に満足せず、住所不定のフリーターから脱却しようと思ったのは自然な流れだった。

 

 特に現在の俺の飯の種、シティライフは“新生活応援キャンペーン”に付随する取り組みだ。キャンペーンの終了時期こそ不明瞭で、もしかしたらずっと続くかもしれないが、急にハシゴを外されても良いように地に足をつけた収入源が欲しくもなる。

 

 で、二ヶ月の間に貯め込んだファンスを予算として不動産屋に相談。ものは試しと『仕事と住まいを両立できるような物件はありますか?』なんて無茶振りをすると、とある商店街の空き店舗を紹介された。

 

「こちらの物件であれば二階を住居スペースとして利用し、一階をお好きな店舗に改装して頂ければご要望の条件を満たすと思われます」

 

 プロって凄いな(小並感)

 正直、店舗を確保できるとなればやりたいことがひとつあった。現地の内覧でも不満点が見つからなかったので、前向きな意向を示して詳細な話を詰めていく。

 

 内装工事の業者も紹介してもらい、不慣れながらも俺、不動産屋、連絡が入ったオーナー、内装業者という四者間であれこれ話し合い、なんの問題もなく契約が締結。

 予算の八割は消し飛んだが、これで俺は一国一城の主というわけだ。話が早くて現実味は薄いが、裏を返せば万事順調ということなので心持ちが軽い。

 

 ちなみにどんな店舗なのかって?

 コンビニだよ。フランチャイズじゃないオリジナル。目指すはご当地に根差したローカルコンビニだ。

 

 そんな内装工事の工期見積もりは、レイアウトをテンプレートからある程度流用すれば二、三週間程度で終わるとのこと。看板のデザインには流石に口を出したが、それ以外は基本テンプレートを採用する形で依頼した。

 

 ではその間、俺は何をするかと言えば挨拶回りである。

 

「今度からそこでコンビニを開くことになりまして、こちら大したものではありませんが、ご挨拶にどうぞ」

「おっとご丁寧にどうも。ようこそ玉餅(たまもち)商店街へ。歓迎するよ」

 

 コンビニ予定店舗のお向かいさんは野菜屋で、清和さんという店長が自家栽培の新鮮な野菜を売っているようだ。丸メガネで茶髪、人当たりの良いお兄さんだった。開店記念としていくつか野菜もくれたし、マジで良い人だ。

 

 無難に挨拶を済ませ、次はコンビニ予定店舗の右隣。

 

「もしかしたら三週間くらい工事でうるさくしてしまうかもしれません。こちらご挨拶とお詫びに」

「なーに、構わないとも。これから俺たちは同じ商店街のよしみとなるんだ。そんなことでは怒らないよ」

 

 そこには精肉店『UNCLE PRIME'S(アンクルプリムズ)』があり、店長のプリムさんが色んなお肉を売っている。恰幅の良い和やかな表情をしたおじさんだ。

 ちなみに店名から分かるかもしれないが、プリムおじさんの複数形、つまり『アンクルプリムズ』は複数のプリムおじさんによって経営されている店舗の名前なのだ。より正確にはここが玉餅商店街支店で、プリム家のおじさんたちがヘテロシティのあちこちで精肉店を展開しているのだそうだ。

 他店に行くことがあれば兄弟によろしく、なんて言われて写真も見せてもらったが、みんなプリムおじさんだった。プリム家の遺伝子怖い。アノマリーかな。

 

 最後にコンビニ予定店舗の左隣へ足を運ぶ。

 

「今度そこにコンビニを開くことになりまして、こちら良かったらどうぞ」

「わあ、ありがとうございます。ちなみに店名ってなんて言うんですか?」

 

 商店街の端、通りに面したそこにはフルーツショップ『Myosotis(ミョソティス)』がある。店長のルーリンさんは大変可愛らしい女性で、一見して中学生くらいにしか見えない。

 

 そんな彼女が訊ねてきた内容に、俺は店舗契約を結んだときから考えていた名前を口にした。

 

「『わかばマート』っていう学生をメインターゲットにしたコンビニを予定してるんです。ほら、丁度あっちに学園があるでしょう?」

 

 俺が指す方向には車道を二つ挟んで広大な敷地を誇る学園が見えていた。

 

 その名をクレイモン学園。ここ、ヘテロシティの総合教育機関にして、俺がこの場所の店舗を契約する決め手にした理由だ。

 それはさておき、総合教育機関を名乗るだけあって、ここの卒業生はヘテロシティには多い。現にルーリンさんは懐かしそうに語った。

 

「わかばマート! イイ名前ですね。私、クレイモンの卒業生なんですけど、当時この辺にコンビニがあったら絶対便利だったと思うんです! 後輩たちのためにも応援させてください!」

 

 貴重な女性の意見、というか女学生が何を必要とするのか俺には分からない。なので応援ついでにルーリンさんにはいつかその辺りの相談に乗ってもらう約束をして、俺は帰路についた。

 

 余談だが、ここ玉餅商店街には西端の俺が押さえた店舗の対極、つまり東端に『2-Four』というフランチャイズのコンビニがある。

 そう、ガッツリ競合しているのだ。けれど学生をメインターゲットに据えているこちらとしては、わざわざ商店街を抜けて買いに行く手間を省ける分、地の利は『わかばマート』にあると考えている。ルーリンさんの反応からしてもそれは明白だ。

 

 それにあちらのラインナップは飲食物しかない。ボールペン、シャーペンの芯、メモ帳やノートなど。かゆいところに手が届く商品を揃えれば顧客は奪えるという算段だ。

 だが下手に目立つと戦略を真似される可能性が生まれる。その場合、個人VS企業とかいう血も涙もないイジメのような構図で大敗北を迎えるので、そうなる前に大半の学生を固定客として引き込みたい。

 

 そんなこんな考えると、やるべきことはまだまだ山のようにある。家具を買って二階の住居に搬入したり、コンビニに並べる商品を卸売業者のどこから仕入れるか選別したり、具体的にどんな商品を並べるか考えたり。

 

 すると資金も心許なくなるものだからシティライフでファンス稼ぎして、休日を設けず没頭しすぎて体調を崩すハプニングが発生。

 やはり程々に休まないと保たないなと自制心を新たにする生活を送り、気がつけば二週間以上の日数が経過していた。

 

 そんな折、工事が完了した旨の連絡を内装業者から伝えられた。予定通りである。

 

 既に二階へ移り住んでいた俺は工事中もちょくちょく作業員の方々にエナドリの差し入れをしていたので、その都度進捗は知っていたのだけれど、実際に完了したと言われると感慨深い。

 

 帰り支度をしていた作業員の人たちにお礼を伝えて見送り、俺は早速とばかりに自分の店を眺めた。

 

 店舗一階、真っ白な部屋。

 空っぽの陳列棚が並び、カウンターには無機質なレジスターがポツンと鎮座している風景。取り付けられた自動ドアも俺が近づけば、うぃんと開いた。

 

「自動ドアって足下に鍵穴があるんだな」

 

 工事中に施錠方法など聞いていたが、前の日常では関わることのなかった知識だ。新鮮である。

 

 明後日の早朝には卸売業者から購入した商品たちが順次配達される予定となっている。なのでスムーズな納品をしてもらうためにも、明後日は日が昇る前にここを開けなくてはならない。

 つまるところ、今日は良くても明日は夜更かし厳禁。寝坊しましたで配達の人たちを店先にほっぽり出すわけにはいかない。量からして置き配とか無理だし、出直されると朝の開店に間に合わなくなる。

 

 できうる準備は極力今日までに済ませたい。

 そして明日は最終確認程度の落ち着いた日にするのが理想だ。

 

 ただ残っている作業なんていうものは、予定している商品の値札を棚に付けたり、非飲食物だからと先に仕入れ込んだ商品を二階から下ろして並べたり、自作の簡素なキャンペーンポスターを店内に貼るくらいしかない。それでも開店期日が迫った今、言い様のない緊張とか、逸る気持ちを落ち着けるために黙々と行動する。

 

 あとは宣伝活動に関してだが、それはヘテロシティで活用されているベーグルのSNSを利用することにした。

 『わかばマート』の公式アカウントを作成し、既にどういうコンビニなのかとか、開店期日の事前告知を行っている。

 ここに開店キャンペーンと学生割引のダブルパンチを入れることで初動に流れを作るつもりだ。

 

 人事を尽くして天命を待つ。

 でも割と大金を動かしたので当日までどうなるか分からないこのドキドキはあまり経験したくないものである。

 

 

 

 そして時は流れ、開店当日。

 記念すべき初来店客は、商店街の仲間でも、ましてや学生でもなかった。

 

「なんだいなんだい、閑古鳥が鳴いてるじゃないか。こりゃあお姉さんが何か買ってやらないとねぇ」

 

 和服美人というか、花魁というか。

 ともかくやって来たのは俺のよく知る飲み友であった。

 

(ほとり)さん、まだ朝の六時ですよ。開店してないんです。今閑古鳥が鳴りを潜めてたら恐怖でしょう? つまり今は平常業務中です」

「相変わらず口が減らないね。六時も七時半も変わんないだろうよ。一緒にゲロ吐いた仲なんだ、ちょっとくらい融通しておくれよ」

 

 骨董品店『エイボン』の店長、ほとりさん。彼女の店で扱うのは骨董品もそうだが、メインはアノマリー関連の依頼解決、つまり民間組織のアノマリーハンターとして経営しているらしい。

 

 そして俺と同じく居酒屋ぶどりの常連客だ。彼女との縁もそこで繋がり、今では飲み友として奢り奢られの関係に落ち着いている。

 

 特に今回においては俺が自営業をするにあたり、税金関係のノウハウを教えてもらった恩がある相手だ。

 

 というのも今までシティライフで散々荒稼ぎしていた俺だが、アレは『にくきゅう銀行』のシステムが都度報酬金から自動で税金分を天引きして俺の口座に振り込んでくれる仕組みになっていた。

 流石はヘテロシティ(行政)とずぶずぶな銀行である。シティライフ時代の俺は『超便利だなぁ』なんて思うだけで済んでいた。

 

 翻って、個人事業主となった現在ではコンビニで稼いだ利益は自分で申告しなければならない。そして当たり前のこととして、稼いだ分の所得税を計算して申告・納税しないと脱税になる。

 

 いくら犯罪ゆるゆる都市とはいえ、罪は罪。脱税した場合は本来納税する分に上乗せする形で重たい加算税が発生するらしく、その馬鹿みたいな税率に“申告漏れだけはするまい”と決意を秘めさせられたものだ。

 

 しかし、この納税手続きが厄介だった。自分だけで調べてみるも御役所のような小難しい言い回しが散見されて理解するに苦しく、読めるけれど、本当にその理解で合っているのか分からなくなった。

 なので飲み友にして既に事業主をやっているほとりさんに、俺は酒の席で『助けてほとえも〜ん』と泣きついたのである。頭が下がるぜ。

 

「おにぎりにパン、弁当、飲み物も色々あるねえ。文房具と、菓子類もあって……ほぉ、こっちはコスメの棚か。おっと、『モフモフシッポケアスプレー』……ま、クソガキに買ってやろうかね」

 

 まだ開店時間ではないが、まあほとりさんなら良いかとカウンターに立って見守る。なんなら商品搬入後に横着して自動ドアを解錠しっぱなしにしていた俺が悪いわけだし、もう営業開始ということでも良いだろう。俺が店長、俺がルールだ。

 

「とりあえずこんだけ買わせてもらうよ。会計よろしく」

「袋はいりますか?」

「いらないよ、ありがとね」

 

 ほとりさんから商品を預かり、バーコードを読み込んで、会計金を彼女のスマホからキャッシュレス決済。なんとも呆気なく、最初の売上が生まれた。

 

「それと、当店ではスタンプカードがありまして、五百ファンス以上のお買い上げでスタンプひとつ。現在開店キャンペーンでさらにもうひとつ、スタンプを押すことができます。スタンプカードが十枠埋まると当店のお好きなドリンク一本と交換できます。いりますか?」

「へえ、じゃあ貰おうか」

 

 カウンター裏の引き出しからカードと十種類中二種のスタンプを取り出して、彼女の目の前で押印して手渡す。

 

「ほぉー、見たことない柄のスタンプだ」

「自作です。子どもの頃は消しゴム判子とか作ってたので」

「最悪コンビニが潰れてもこれで食っていけそうだね」

「不吉なこと言わないでくださいよ」

「ふふ、冗談さ」

 

 ケラケラ笑う彼女はひょひょいと購入した品を手に持つと、ふとしたように言う。

 

「ところで、だ。ここは小さなコンビニだけれど、たくさんの商品を買おうと思ったらきっと手が足りなくなっちまう。入口にカゴを積んでおくと助かるやつがいるかもだ」

「あー、盲点。ありがとうございます。用意しときますね」

「思ったのはそんくらい。なかなか様になってるじゃないか。友人として商売繁盛を願っとくよ」

「儲かったら今度良いお酒奢らせてください」

「ああ、楽しみにしとく」

 

 本当にこのヘテロシティの人たちは善人が多い。

 おかげさまで俺も心地良く暮らすことができているし、素直に恩返ししたいなと思えてくる。

 

 ほとりさんが帰ってからはしばらく静かな時間が続いた。商店街にひっそり生まれたコンビニというのもあるし、公式アカウントの告知を知っていようと常識的に考えて開店時刻以降に来るのが普通だ。

 

「ちょっと寂しいか」

 

 こうして突っ立って客を待っていると、準備段階では見えていなかった問題も見えてくる。ほとりさんが指摘したものとは別のものだ。

 

 例えばずっと立っているのが辛いこと。これは後で椅子でも用意しようと思う。

 そして今の物静かな店内。静かすぎて物足りない。気を紛らわせるためにも、小さかろうと何かしらのBGMが欲しくなる。

 

 手元のメモ帳にそういった改善点を箇条書きして、俺は何気なくガラスの向こうに映る外の様子を眺めた。

 

 すっかり日も昇り、明るくなった商店街にはいつの間にか人通りが生まれている。そんなチラホラと行き交う人々の中で、この『わかばマート』に足を向ける影があった。

 

「わあっ、ホントにコンビニがある!」

「でしょ? 昼休みに来やすい結構な穴場だよ。見つけた私に感謝してよね!」

 

 そろそろ学生の通学時間といった頃合いに、クレイモン学園生と思われる女子学生二人が賑やかに入店してきた。

 

「いらっしゃいませ〜」

「おはようございます! あのあのっ! ベーグルで見つけたんですけど、学生割引って本当ですか?」

「はい、もちろん本当ですよ。当店は学生生活を応援しておりまして、商品を購入時に学生証を提示して頂ければ割引が適応されます。適応後のお値段に関しましては、各商品の値札にある括弧内の価格となりますので参考になさってください」

 

 基本価格は俺が勝手にライバル視しているコンビニ『2-Four』を参考に、学生割引額はそれより安く設定した。原価の差額からしてそれでも一応利益は出る計算だ。

 

「見てこれ、学生割引の『猫耳おにぎり』百ファンスだって!」

「このお弁当も四百ファンス。お昼絶対ここで買った方が安く済むじゃん」

 

 結局色々見て回った学生二人は簡単な軽食と飲み物を買って退店。どちらも購入金額は五百ファンスを超えなかったが、スタンプカードの説明をすると『お昼もまた来ます!』と笑顔で学園へと去っていった。

 

 それからの客足も途絶えるということはなく。

 興味本位で訪れる客や、小休憩の商店街店長たちが色々と買っていってくれた。

 

「ノートってありますか!?」

「いらっしゃいませ〜、ありますよ。そっちの文房具の棚ですね」

「ありがとうございます!」

 

 恐らくは授業の合間を縫って来たのだろう。ノートを忘れたと思われる学生が駆け込んできたりもした。

 どうにもクレイモン学園内では今朝からこのコンビニの存在が噂になっているらしい。女子グループで爆発的に広がっているそうだ。脳裏に浮かぶは今朝の二人、心当たりしかない。

 

 時計がお昼を回る頃、彼女たちは宣言通り再び来店した。

 

「いらっしゃいませ〜」

「また来ましたよ! お弁当残ってます?」

「残ってますね」

「やったー!」

 

 開店初日ということもあり、食べ物の仕入れは最低限にしてある。賞味期限やら消費期限の期日までに今の状況で大量の在庫を捌けるとは思えないからだ。

 

 なので現状、品数薄い弁当類は早い者勝ちとなる。もっと客足が安定したら品数を増やしたいんだけどね。初日の売れ行きとか準備段階で分かりようもないし。

 

「そういえば、学園内で噂になっているそうですね」

「おっ店長さん耳が早い! まあ私たちが噂を流したんですけどね! ここ便利だよーって、ねー?」

「ねー。効果ありました?」

「ええ、おかげさまで」

 

 会計中に話題を投げると、やはり彼女たちが噂の出どころだったようだ。善意のステルスマーケティングが身に沁みる。

 『わかばマート』は完全にクレイモン学園だけを狙い撃ちした戦略だからネット広告とかは費用対効果を考えると踏ん切りが付かなかったんだよね。

 だからなけなしのSNS告知活動をしていたのだけど、どうやら釣り上げた魚はデカかったらしい。

 

「おぉーっ! スタンプ超可愛い!」

「全十種類あるので、頑張って貯めてくださいね」

「マジですか! 通います通います! なんならドリンクと交換しません!」

「え、店長さん、コレ交換しないってのも有りなんですか?」

 

 なんだろう。予想してないところに火がついた気分だ。おまけ要素が本編になったような、そこに需要があるのかみたいな。

 

「まあ、そこはお客様の自由ですけど」

「うおおーっ! じゃあじゃあ、一枚目はコレクションして、二枚目から交換も有りですか!?」

「ええ、どうぞ。あっ、なんならシーズンでスタンプが変わったりって需要あります?」

 

 なんとはなしにそんな案を口に出す。

 客の求めるものが分からないのなら、客に訊けば良いじゃない。そんな気楽さで言ってみたのだが――。

 

「それってつまり、初期のスタンプにプレミア価値が付くってことですか!? え? 古参ぶって良いんですか!? 全っ然需要ありまくりですよ!!」

 

 なんか勢いが凄かった。それこそ他に客がいたら迷惑になるから注意をしなきゃいけないくらい迫力があった。

 

「あなたが、天才ですッ!!」

「その、店長さん……この馬鹿がすみません」

「いえお気になさらず。今は他にお客様がいませんので」

 

 彼女の意見自体は大変参考になるものだったので、プラスマイナスでプラス寄りだ。根強いリピーターにもなりそうなのであまり無碍にはしたくない。まだ営業妨害をされたわけでもないし、大目に見るとする。

 

「ほら早く帰んないとお昼食べ損ねるよ」

「あー! 襟引っ張んないでー! 店長さーん、スタンプのシーズンが変わる時は絶対SNSで事前に告知して――」

 

 さて、続く言葉は自動ドアの先に消えた。

 ガラスの向こうでまだ手を振っているのでこちらも苦笑しながら振り返す。

 

「……元気だったなあ」

 

 もしくはキャラが濃いとも言う。

 けれどあんなファンができれば、それはこのコンビニの強みとなる。学生割引とは別に、スタンプカード軸で『2-Four』との差別化ができそうだ。

 コレクション要素で購買意欲を刺激する。なるほど、単純だけど用意さえできれば効果的なものとなる。スタンプなんて思いつきでやったことではあるが、いやはや世の中何が役に立つか分からないものだ。

 

 そうして夕方。外の彩りも夜に傾き始め、既に店内の電灯の方が明るい時刻。

 一応閉店予定まであと一時間はあるが、今日一番の書き入れ時だった学生の帰宅ラッシュも終わっている。残るは部活動などに熱心な学生くらいだろうか。くたびれたサラリーマンが『2-Four』を無視してこちらに来る道理もないしな。

 

 しかし抑えていたとはいえ、ある程度仕入れていた在庫を想定より捌くことができた。おにぎりや弁当、惣菜パンなどは完売。今日の様子を見る限り、もう少し多く仕入れても売り切れる自信がある。

 この流れが続くようなら明々後日からでも量を増やして良いかもしれない。今日の一連の流れからして、しばらくは早起きして品入れ、後は客対応という生活になりそうだ。

 

 自動ドアが開いた。

 

「……いらっしゃいませ〜」

 

 驚かなかったと言えば嘘になる。すっかり油断していた俺は、しゃんとするように気を引き締めた。

 

 入店してきたのは一人の女学生。

 俺の挨拶にはチラと視線をくれるだけで、次には店内を物色し始めた。黒髪ロングのクール系女子って感じで、佇まいからして優等生っぽい見た目だ。クレイモン学園の生徒会長とかだったりするのだろうか。

 

 彼女はひとしきり店内を歩いて商品を見ると、コスメの棚で足を止めた。

 

 そして再び彼女は俺をチラリと見る。視線が合うと逸らされた。

 

 またもや別の商品を眺め始め、商品を手にとっては確認して棚に戻す。それを商品を替えながら少し繰り返し、再びチラリと俺を見る。

 

 

 ……。

 

 

 あっ、ふーん?

 

 俺は唐突に外の様子が気になったので、自然な感じで彼女から視線を外す。あー、もう外こんなに暗いなあ(すっとぼけ)

 

 顔の向きをそのままに目だけを彼女のいた方に動かす。

 

 はい盗った。

 

 今何かの商品を制服のポケットに忍ばせたねえ。一応まだ購入する意思があるかもしれないから泳がすが、こっそり自動ドアの電源は切っておく。これでもう簡単には逃げられない。

 

 その後もしばらく商品を見て回った彼女は、俺のいるレジに来ることもなく、何食わぬ顔をして退店しようとした。

 

「え?」

 

 が、自動ドアは反応せず開かない。

 そこへすかさず動く。

 

「お客様、レジに通してない商品があるようですが?」

「あっ、いや、そんなことは」

「ありますよね? ちょっと事務所で確認するのでついてきてください」

「言いがかりです!」

「うち、分かりづらいですが監視カメラあるんですよ。あぁ治安官に通報した方が良かったですか? 学園やご家族にも連絡がいくでしょうが、それがお望みなら今すぐにでも――」

「やめてッ!」

 

 切実な嘆願が俺の裾を掴む。

 実のところ、今の『わかばマート』には監視カメラなんて設置するほどの資金はない。なので治安官に通報しても証拠不十分なのだが、そんなこと彼女に分かるわけもなし。捕まるかもという状況が確実に彼女の視野を狭めている。

 

「なら、ついてきてください」

 

 俺の言葉に、沈痛な面持ちで彼女は頷く。

 泣くくらいならやらなきゃいいのに、なんて思いながら少し早い閉店作業をして、俺は二階の自宅に彼女を連れ込んだ。

 

「じゃ、盗ったのここに出して」

 

 ひとつしかない椅子に彼女を座らせて、俺はテーブルをトントンと叩く。そこに彼女は制服ポケットから取り出した小さなハンドクリームを置いた。

 

 動作はそれだけだった。

 

「盗ったのはそれだけ?」

「これ、だけです。本当に……すみませんでした」

 

 彼女は重苦しい声色で俺に謝罪をしてくる。

 が、それで済ませてやるわけがないだろ。何のために学園近くでコンビニ経営始めたと思ってるんだ。収入源確保兼、こんなときを夢見たからだよ。

 

 恰好のシチュエーション。

 食べてくれと言わんばかりの据え膳。

 美味しく調理しないのはもはや罪だ。

 

「信じられないな。よし、いったん制服は全部脱ごうか」

「えっ、なんで」

「まだ盗んだものを隠し持ってるかもしれないでしょ? ああそうだ、君のためにも証拠として動画は撮っとこうか。本当にそれだけしか盗ってないなら無実を証明できるんだし、良いよね?」

「でも、流石に裸は」

「俺は全然治安官のお世話になっても良いんだよ?」

「……分かり、ました。脱ぎますから」

 

 脱ぐから通報しないでくれと。弱みを握ると扱いやすくて助かるね。

 

「綺麗な肌だね」

「や、あの、あんまり見ないでください」

 

 上も下も全部脱いだすっぽんぽんの学園生女子が、俺の暮らす部屋に立っている。

 両手で申し訳程度に胸とまんこを隠そうとしているが、そんなことで乳輪がすべて隠れるわけもなく、陰毛も覗いていた。

 

 というか、この世界にも羞恥心はあるんだよな。

 いや馬鹿にしているわけではなく。

 

 少し前に町中を散策していたら、ブラに前掛けをしたような下乳空調の機能美みたいな猫耳痴女を見かけたことがあるので、てっきり恥を知らないのかと勘違いしかけたのだ。

 が、後の調べでアレが外れ値だったと分かったので俺は今のところヘテロシティにおけるコミュニケーションで致命傷を負わずに済んでいる。

 

 閑話休題。

 

「パッと見では隠していなさそうだな」

「だから言ったじゃないですか! もう着て良いですよね!?」

「なんだか早く着たがるのは怪しいなあ、もしかしてまだ隠し持ってて、バレたくないから焦ってるのかな?」

「な、違います! そのっ、裸でいるのが恥ずかしいから制服を着たいだけで……それに、もう隠せるところなんてないじゃないですか!」

「あるでしょ」

 

 言って、近づく。

 

「そんなの、どこに」

「ここに」

 

 指を沿わせる。

 彼女の手が隠す、女の秘部。

 

「は、なっ、ば、馬鹿なんですか!? そんな、隠せるわけないでしょ!?」

「おっと、そんな強く反論されると余計に怪しく見えてくるな」

「ちがっ! 論理的に考えてこんなところに隠すわけが」

「万引きなんていう非常識なことをした君が言うのかい?」

 

 彼女は押し黙る。

 そこには確かな葛藤があった。

 いくら反論しようと俺はそれをこじつける。

 じゃあ、彼女がとれる選択肢なんてひとつしかない。

 

「なら、確認してください。中には何も無いですから」

「もうちょっと具体的に言おうか」

「っ! ……私のっ、おまんこの中も確認して、ください」

 

 ほお、そうかそうか、君がそこまで言うのなら確認作業を手伝ってあげるのも吝かではない。

 

「ここに立って、しゃがんで、こら足閉じない。確認ができないでしょ。それとも止める? なら開いて」

 

 俺は早速とばかりに彼女を椅子の上に立たせ、M字開脚をさせる。これも確認のためだから。確認をしやすくするためにね、自分の手でおまんこ開こうか。

 

「そうそう、そんな感じ。そのままね」

「見え、ますか。何もないですよね」

「あー、どーだろ。ちょっと分かりづらいなあ」

 

 彼女の両手の指が陰唇を拡げて乙女の膣内を俺に晒す。

 スマホの録画画面にはひくつくまんこがイヤらしく映っていた。穴が狭いし、アレは処女膜かな? ともかくこんなやり方では奥の奥、子宮口までは確認できない。

 

「おっと、これは盗んだものじゃないかな?」

「へ? ちょっと何、ひゃうっ」

 

 すっとぼけた俺は膣口に己の指の先端を潜らせ、クチクチと上下に動かす。それはまるで探し物を指先の感覚で探すかのように、執拗にネチネチと。

 

「んー、もうちょっとで出てきそうな気がするんだよなあ」

「待って、ください。ん、そんな、待って、盗ったもの、なんてないっ、から、ふ、は、そんな、んっ、イジらないで」

「もうちょっと激しくしてみれば出てくるかな」

「や、あ、ぐっ、ん、んん、んんっ、ぁ、や、ぁっ」

 

 確認と称して始めたが、それは既にほとんど手マンへと移行している。

 電マのようなリズムで小刻みに揺すって、休息なしの刺激を若き学生の身体へと与え続けた。

 

 やがて彼女の四肢は耐えかねたように跳ねて――。

 

「ひぅ」

 

 ――プシッ。

 

「ふーむ、なんだ違ったか。しっかし、ただの確認で潮を吹かれて汚されるとは思わなかったよ。いったいどうしてくれるのかな?」

 

 向かい合わせだったために、俺の服はビショビショだ。荒い呼吸の彼女は涙を浮かべて答えない。こんな理不尽な質問への答えなど存在しないので、沈黙はある意味正解だ。

 

 そして、同時に不正解でもある。

 

「ま、汚されたのは目を瞑るとしても、だ。やっぱり指先だけじゃあ限界があるね。奥の方まで確認ができない以上、もう治安官さんたちに助けてもらうしかないかなあ」

「そんなっ! 待ってください、ほんとにアレだけしか盗ってないんです!」

「でも確認のしようがねぇ? ……あぁそうだ。ちょっと椅子から降りてくれるかな」

 

 焦りと不安。

 どうしようもないのに、どうしようと悩む彼女は俺の誘導にも素直に従う。いや、今は従うしかないのだ。

 

 そうして俺は全裸の彼女を隣に立たせたまま、どっかりと空いた椅子へ座り込む。

 ついでズボンのチャックを下ろし、硬く勃ち上がるソレをずるりと取り出した。

 

「おちん――ッ!?」

「これを挿れて奥まで確認するの」

「え? だって、え? そ、それって、セックスじゃ」

「別に、君が確認させたくないならそれでもいいよ。それならそれで治安官に通報すれば済む話だからさ」

「でも!」

「確認、やるの? やらないの?」

 

 二者択一。

 お前に逃げ場なんてないんだ。そう迫れば、重たい沈黙の後、彼女は震える声で口を開いた。

 

「や――り、ます」

 

 やるんだ。やっぱ凄いなこの世界。

 

 窃盗罪はあるから、このヘテロシティにおいて彼女は明確な悪だ。

 けれど処女窃盗罪という罪はないので、これからの行為に罪は発生しない。もしかしたらギリギリ傷害罪なのかもしれないが、現行犯でなければ言い逃れはできる。録画を消せば俺がやったという証拠はなくなるからだ。

 

 それに、俺は譲歩した立場だ。

 君が頼み込んだ立場だ。

 なら、そこに発生する行為は同意のある結果だろう?

 

「ならこっちに来て、またがって。ほら、腰を浮かせるんだ」

 

 俺は座って指示しかしない。

 行為のすべては彼女の主導で行われる。

 

 天井を向いたイチモツに彼女は恐る恐る手を沿えた。やがてその亀頭の上に、ゆっくりと己の秘部の入口を定める。

 

「はぁっ、はぁっ」

 

 過呼吸気味の彼女は強迫観念に迫られたように俺のちんこだけを見ている。そうして腰をゆっくりと下ろし、自身のまんこにソレが沈み込む様を凝視していた。

 

 ちぷ、ちぷ、と。

 

 エロいが、もどかしいくらい動きは遅い。

 まるで大容量ファイルのダウンロード進捗のようだ。ゆっくりとイチモツは膣口へ進行するが、未だに進捗は亀頭の先端ほどしか挿入されてはいなかった。

 

 だというのに、亀頭がまんこに隠れたかどうかのところで先端に何かがぶつかった。同時に挿入も止まり、彼女がふるふると首を振る。

 

「む、無理です。やっぱり、これ以上は、その、駄目で」

「ほぉー、何かに当たってるんだけどね? もしかして隠していた商品かな?」

「違います! あ、や、だからその、許して、ください」

 

 なるほどなるほど、つまり膣内にはちんこの侵入を阻むものが存在していて、けれど彼女はそれが何かを口にはせず、窃盗した商品かもしれないのに店長である俺に見逃せと言っているわけだ。

 

 俺は優しく彼女の肩に手を掛ける。

 

「こんなところで、止めるワケないだろッ!!」

()ぁッ」

 

 そして一気にその女体を押し下ろした。亀頭先端にプチッと何かを貫く感触が伝わり、俺のイチモツはしっかりと奥の方まで挿入される。

 

 ずっぷりと根元まで呑み込まれたイチモツ。

 確かな痛みと受け入れたこともない異物感は、きっと彼女に明確な処女喪失体験として刻まれたに違いない。

 

「……ぁ、私の処女……ぁあ、ううっ、好ぎな人にっ、あげたかったのにぃ!」

 

 と思っていたら、彼女は到底受け入れられないとばかりにグズグズと泣き出した。

 

 ふむ、妙だな。この世界の貞操観念からしてそこまでショックだったか? と疑問が浮かぶ。けれど、それはすぐに思い直した。

 

 簡単な話、例えば知らない男の子種で身籠らされたとして、じゃあ二度と好きな人の子は孕めないのかと言えば、そうではない。つまり取り返しがつくわけだ。

 けれど処女喪失は人生において基本的に最初が最後。好きな人に捧げたいと思っていればいるほど、それは前の世界の貞操観念と酷似するのだろう。

 

 この子の場合、それはとてもピュアで夢見がちな、それこそ性教育初等の女児みたいな価値観だったというわけだ。で、レイプで処女喪失ときた。そりゃあ泣きもする。ちょっと可哀想なことをしたかもしれないな。

 

 まあ、止めるつもりないけど。

 

「ここにはなかったかぁ。あ、そうだ。口の中も確認してなかったな。ほら、口開けて。噛んだら傷害罪だから気をつけてね」

「もういや、んぐっ」

 

 無理矢理顔を向けさせて、その口に俺の舌をねじ込む。

 

「んすっ、ん、ふゔ、んぐ、んんっ」

 

 チュプ、チュパ、と唾液が混ざり、吐息を交換し、口内を一方的に蹂躙する。

 

 それとは別に、彼女の後頭部を優しく撫でつける。逃げないように、けれど児童をあやすように。優しく、繊細に、壊れものを扱うがごとく撫でた。

 

 たぶん、それに数分くらいの時間を使った。

 スマホもなんだか邪魔になったので録画を止めてテーブルの上だ。

 

 感情の維持というものは存外にエネルギーを使う。彼女の注意を処女喪失の痛みから別方向に逸らしたということもあり、今の彼女の表情に悲観のそれはない。

 代わりにあるのは不明瞭な困惑だ。だって彼女からしてみればコレは万引きの確認作業なんだから。こんなねちっこく情事を続ける意味がないと考えているのかもしれない。

 

 だが、それが建前で俺がただ彼女を犯したいだけなどと。そんなこと、この世界に生きてきた彼女が思うわけもなかった。

 

「はあ、はあ……もう、終わりですよね? 確認、終わりましたよね?」

「そうだね。君は素直に盗んだものを返してくれていたようだ」

 

 正確にはまだ尻穴の中が未確認ではある。が、俺にアナル趣味はないので茶番でしかない確認作業はここで終わりだ。

 

「最初からそう言って……いえ、では」

「うん、じゃあセックスの続きをしようか」

 

 言い終わるや否や、俺はバチュッ、バチュッと柔らかな彼女の膣奥に肉棒を打ちつけ始める。

 

「ひゃ、ぁ、ん、なん、なんで」

「気持ち良いね」

「訊いてなあっ、んん、ぁ」

「気持ち良くない?」

「んぐ、気持ち、いい、けどっ、んっ」

「だよね」

 

 喋っていないと愛液の音が酷く響く。

 俺はそれでも良いけれど、やはり言葉も交わしたい。だってよがる女の子の嬌声交じりの声とか、可愛くて最高じゃないか。

 

 既にディープキスの段階でカウパーなんてダラダラで、それを膣奥でやっていたものだからほぼ中出ししたようなものだけれど、それでも射精は中でしたい。

 

「おかしっ、こんな、んっ、おかしぃって!」

「うんうん。ご要望通り、たっぷり犯してあげるね」

「違、ぁ、あ、ぁっ、ん、んぁ、んん」

 

 徐々にペースを上げながら、カリ首で膣壁を擦り続ける。グチャグチャ、グチュグチュなんて響かせて、見れば血の混じった愛液がピストンの度に垂れて落ちていた。

 

「そろそろ、出すよ」

「ぁ、やぁっ、ん、駄目、ですっ、赤ちゃん、ぁ、まだ、私、ん、学生っだから」

 

 嗚呼、本当に癖になってしまいそうだ。

 どうしてこうも中出しを拒む女の子は可愛いのか。抵抗したところでカウパー経由で精子を受け取っているのに、今更ダメと言われて中出ししない理由がないだろう。

 

「ほら、さーん、にーぃ」

「駄目っ、だめだめだめっ! 育てっ、られないのっ」

「いーち」

 

 いじらしい可愛さを発揮した彼女に、俺は耳元で囁く。

 

「ぜろ」

 

 ――ビュッ、ビュル、ビビュッ、ビュルル、ビッ。

 

「ふう。妊娠、おめでとう」

 

 孕んだかどうかなんてまだ分かりようはないが、言ったほうが俺のテンションは盛り上がるので口にする。

 

「はぁっ……はぁっ……中に、本当に、中に出した……わた、私っ、育てられ、ぅあ」

「君がママになるんだ」

 

 揺れる瞳が潤み出したので、すかさず追撃。

 

 するとまた大きく泣き出したので、今度は強く抱きしめて背中をポンポンと叩いてあやした。彼女の耳が俺の胸にくるようにして、心音を聞かせてやる。他人の鼓動は鎮静効果があるとかなんとか昔ネットで見たので、とりあえずやってみる。

 

「良い子良い子、大丈夫だよ、大丈夫だ。もし君の万引きがバレて治安官に捕まりそうになったら、俺が君を守ってあげる。もし赤ちゃんがデキちゃったら俺が君を支えてあげる」

 

 身を委ねても良いんだと、そう誤認するような言葉を甘く聞かせる。

 

「ほら、何も問題なんてないだろう? 不安に思わなくて良いんだ。安心して良いんだよ。大丈夫、君は独りじゃない」

 

 まったく、どの口が言ってるんだ、なんて内心で自分にツッコミをしてしまいそうになる。無論、顔には出さない。鳥肌が立ちそうな甘言も、彼女を落ち着かせるためだ。我慢我慢。

 

 それに言ったことはあながち嘘でもない。

 俺が通報しなければ彼女は今回の罪でどうこうなることはなく、彼女の社会的立場は守られる。孕んだのなら多少の金銭的援助をしても良いし、ボテ腹セックスや女学生経産婦プレイのために家事くらいは手伝おう。結婚とかはしないけど。

 ほらね、嘘じゃない。

 

 そうしてあやすことしばし。静かになって、もしかして寝ちゃったかな、なんて思っていたところで彼女が言葉を紡いだ。

 

「ぁの……店長さん。私の話を、聞いてくれますか?」

 

 それは慎重な、けれど俺の服を掴んで離さない彼女の懇願だった。

 

「もちろん」

 

 答えると、幾分落ち着いた声色でゆっくりと彼女は語り出す。

 

「私、クレイモンだとそれなりに有名人なんです。優等生で才色兼備、クレイモン学園生の模範だーって先生方からも言われて、後輩からも人気なんですよ?」

 

 実は今日も後輩に告白されたんです、と彼女は擦れた笑みを浮かべた。

 

「今日“も”?」

「はい、いつも色んな人から告白されるんです。でも恋愛したいなって、そういう風にピンとくる人がいなくって。それで断り続けていたら、いつの間にか高嶺の花扱いで」

「まあ、君は美人さんだからね。そう扱う周囲の気持ちも分からなくはない」

「美人……えへ、そうですか。んんっ、でも告白してくる人は減らないのに、周りとのコミュニケーションには遠慮っていう距離が開くんです」

「優等生で高嶺の花だからね、住む世界が違うと思われたわけだ」

「はい、たぶんそんな感じで、私も先生方の期待を無碍にできず、優等生の仮面を被るために勉学に逃げて」

 

 今日、その限界がきたと。

 

「ストレスが知らない内に溜まっていたんだと思います。噂でこのコンビニのことを知って、警備が甘いんじゃないかって思ったら……その、つい魔が差して」

「それで盗っちゃったかあ」

「……はい」

 

 真面目過ぎて息抜きが下手。それで非行に走って、俺に捕まった。運が良いのか悪いのか。他所で犯罪者になるのと、俺にレイプされたのは、いったいどちらがマシな結末なんだろう。

 

「それで……ですね」

 

 ぎゅっと彼女の手に力が入る。

 

「もし、その……こんなことをした私が言って良いのか分かりませんが」

 

 ひとつひとつ言葉を選ぶ様子で、不意に彼女と目が合った。

 

「店長さんに、甘えてもいい、ですか?」

 

 ……。

 

 えっ、嘘だろ? 落ちたの? どこで? まさかあの臭いセリフで? チョロくない? 

 

「言ったろ、君は独りじゃないって。日頃感じたストレスの分、好きなだけ甘えて発散するといい。俺もそれに付き合うよ」

「んふ、嬉しいです」

 

 俺の胸、やや脇寄りに顔を埋めて彼女は思いっきり呼吸をする。

 

「貴方のにおい、落ち着きます」

 

 たぶん君の潮も混ざった体臭だと思うよ。

 そんなデリカシーのない発言をするわけもなく、何とも言えない俺はただ彼女の頭を撫でた。抱き締めた時点でお互いに体液で汚れているので、ナチュラルなニオイなど分かりようもない。

 

「匂いフェチだったりする?」

「分からないです。でも、これ好き」

 

 すぅはぁ吸われてなんだか俺が小っ恥ずかしい。

 なんで彼女はちんこ突っ込まれたままで平然としていられるんだ。もう再勃起して膣内で声高に存在を主張していると思うんだが。

 

「じゃあ今度は嗅ぎながらヤッてみようか」

「今度は? ……あっ、えへへ、そうでしたね。セックス、もう中で受け止めちゃったんですし、二回も三回も一緒ですよね」

 

 恥ずかしそうに笑い、彼女は俺の背後に手を回す。そして俺の肩に顎を預けるようにして、呟く。

 

「動いて、良いですよ?」

 

 エッチ確認ヨシ!

 ともなれば俺も彼女の背中と腰に手を回し、抱き潰さんとばかりに腰を突き上げる。

 

 チュブッ、ブチュッ、バチュッと粘度の高い水音が部屋の中を支配する。腰と腰、太ももと太ももがぶつかり合う肉の音もそこにはあった。

 

「んっ、ぁす、凄いっ、気持ちっ、ニオイ、癖になんっ、ぁっ、好きっ、コレ好きですっ! ぁ、ん、あ、あっ、そこ、んぁっ」

 

 荒い鼻息が俺のうなじを撫でる。

 彼女が喘いで喋るたび、温かい吐息が肌を伝った。

 

 首筋がそわそわする。耳元で甘い嬌声が響く。その刺激が俺を興奮させる。

 

 そういえば彼女は今日後輩に告白されたとか言っていたな。で、それを断ったとも。だがこんなチョロい女の子が高嶺の花とか、まったくもって似合わない。

 

「身体の相性が、良いらしいな」

「そぁ、んっ、なん、ですかね。んぐ、確かにっ、凄い、気持ち、良いっです、けどっ」

「もしかしたら、君が今日うちに万引きに来たのは運命だったのかもしれないね?」

「運命っ、ぁ、だと、んへっ、嬉しっ、んっ」

 

 やはり満更ではなさそうな受け取り具合。これに断られた男子学生たちがいるってマジ? まあ取っ掛かりが弱みに漬け込むところから始まるから難易度は高いか。男子学生諸君、なんかごめんな。

 

「きっとそうだよ。だって君はストレス解消のためにセックスを楽しめる、ダメダメな学生なんだ。そんな女の子の相手なんて俺くらいしか務まらない。だから俺と出逢ったんだよ」

「そんにゃっ、ストレスの、解消のためになんて、んっ、ないっです」

「あるよ。それにほら、そういうことにしたら、君は優等生を演じなくても良くなるだろう? 今だけは、君はただの女の子だ」

「ぁ、んふ、あはっ、んっ、それっ、それはっ、んぁ、なら、私っ、それで、それが、良いですっ。ダメダメな学生で、ダメダメな女の子がっ」

 

 学園で築き上げた“優秀たれ”というベールを今だけは脱ぐことができる。それはどうやら彼女にとって酷く魅力的な話だったらしい。

 

「でもっ、店長さんとじゃなきゃ嫌、ん、ですからね。貴方としかっ、ストレス解消したくっ、ない、から。ぁ、いっぱい、いっぱい甘え、させてっ、ください!」

 

 なかなかにいじらしいことを言う。俺の中ではポイント高めだ。

 これで俺が他の女のところに行ったとき、面倒くさいことを言おうものならそれっきりだが、彼女が許容できるのなら定期的に可愛がりたいくらいには気に入った。俺としては是非とも許容してほしいものである。

 

「あぁ好きなだけ甘えろ。俺も、中に出すぞ」

「良い、ですよ。ん、店長さんも、私に甘えてっ、好きに出して!」

 

 柔らかな肢体を抱き締めて、彼女を胸元に仕舞うように強く、逃さないとばかりに固定して昇り上がるソレの我慢を止めた。

 

 ――ビゥッ、ビュク、ビュルル、ビュウ、ビュビッ。

 

 二度目だというのに勢いは強かった。

 たっぷりとドロドロの精子を注入して、俺の満足感は本日最高潮だ。余韻が凄い。

 

「はあ……はあ……ね、店長さん」

「ん、どうした?」

「私、さっきもう少しでイケそうだったの。だから、その、ですね」

 

 俺の服が掴まれて、衣擦れの音がする。

 耳元で艶美な声が囁いた。

 

「三回目のストレス解消、しませんか?」

 

 夜に耽る男女の営み。

 俺と彼女の一日は、その日だけやたらに長く続いた。けれどそのすべてを明かすのは野暮というものだろう。

 

 

 

 次の日の早朝には彼女も家に帰っていった。そのまま荷物を整えて学園へと通学するのだ。

 

 家族には昨晩の情事の途中で友達の家に泊まると伝えたらしい。素直に男の家に転がり込んでセックスに耽ってますと伝えないのには理由があった。

 

 この世界には性に関する法律がない。

 けれど大っぴらに性に関して話すのは恥ずかしいという羞恥心はあるようだ。それこそカップルが公然でセックスをするのは変人の奇行と同列に考えられているくらいには。もちろんこの世界でその行為は公然わいせつ罪ではないので、やったところで問題はないが、奇異の視線は向けられるだろう。

 

 で、その価値観からして流石に『こういう方法でストレス解消をしている変態です、なんて家族には言えない』と言われた。それはそう。

 

 なので今後も二人っきりの秘密としてストレス解消を約束させられた。それは良いのだが、もし毎回今回みたいに搾られるとすると早朝の品入れ作業が辛くなるのだが、そこは考慮してくれるだろうか。

 

 もしかしたら俺は性欲モンスターの卵を羽化させてしまったのかもしれない。今度からは道具も使ってみようかな。途中、俺が楽をするために。

 

「ふぅ、痛って、つら」

 

 いやほんと、真面目に検討するべきだな。ちんこも腰も使いすぎて痛い。天罰かな。だが無意味だ。俺は懲りるつもりがない。

 

 開店時刻を針が過ぎる。

 さて、今日も『わかばマート』の自動ドアは開いた。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

 俺のヘテロシティでの日常が再び緩やかに始まった。




ちなみにここまでがネームドキャラまでの導入です。
はい、導入です。
情事でいう前戯です。
次回、ちぃちゃん!
お楽しみに!

それと、6月は私事で忙しくなるかもなので、ご留意をば。

実際に書くかは別として参考までに、どれ読みたい?

  • 【ナナリ】身体で返済、二代目を孕めオラ!
  • 【ちぃちゃん】足が地面につかない駅弁案内
  • 【日食】これが人間の交尾? セックス講座
  • 【ほとり】時間停止AVの九割は偽物
  • 【ハソール】ガソスタ給油、精液満タンッ!
  • 【ハニア】深夜テンション、好奇心ックス
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