天才幼馴染のヒモ生活 作:猫屋敷てん
インモラル――という言葉がある。
ためしに辞書で引いてみれば、背徳的、あるいは非道徳的と載っているはずだ。
特にひねりはなく、見たまんまの意味だろう。
それに照らし合わせて考えてみると、今の俺は間違いなくインモラルな状況だ。
世間には絶対に言えない背徳的かつ不道徳的な生活と言えるだろう。
休日とはいえ、真っ昼間からカーテンが閉まり外界と断絶されたリビングで、ぱんぱんっという肉と肉がぶつかる音が響いていた。
それは別にハンバーグを作っているとかではなく、男と女の肉がぶつかり合う音だ。
「はぁ♡ はぁ♡ んっ……♡♡ きもちいよぉ♡」
いつもご飯を食べている机に上半身を預けながら、荒く息を吐く少女がいた。
肩口で切りそろえられた綺麗なセミロングの黒髪は汗でじっとりしていて、可愛らしい白のブラウスは荒々しい行為で皺になっている。
下半身は露出して、スカートとパンツが地面に転がっていた。
そして肉付きの良い尻肉を掴みながら、腰を振るのが俺だ。
何度使っても飽きることない極上の膣に挿入しながら、堕落という二文字が脳裏を過る。
ああ、堕落だ。これを堕落と呼ばず何と呼ぶのだろう。
「なお兄……もっと、ぱん♡ぱん♡ってして」
甘い媚びるような声がして、俺の興奮を掻き立てた。
「琴葉っ……」
「なお兄のちんぽ♡ 奥ゴリゴリぃ♡ってしてる♡ 子宮さんトントンするの、気持ちぃ♡」
そんなことを言われれば、もうこの雌穴に種付けすることしか考えられない。
そのまま俺は覆い被さり、全身で密着しながら運動不足故に柔らかい尻へ荒々しく腰を打ち付けた。
「あっ♡ いくっ♡ おまんこ♡ 奥いじめられてっ♡ いく♡」
甘い声が理性を溶かし、このまま種付けしてやるという思考しか浮んでこない。
トロトロなのにキツく締め付けてくれるおまんこは、射精を懇願するようにうごめいている。
「匂い、甘すぎだろ」
「ひゃんっ♡♡」
すんすんと俺はその匂いを嗅ぐ。
本当に甘く、興奮を誘う体臭で脳を充満させながら、甘えるように体に抱きつきく。どこを触っても柔らかくて、全身を弄りながら大きなお尻にグリグリと腰を押しつける。
そして最大まで高まった興奮と共に、一番奥の精液を解き放った。
――ドビュッ♡ ドビュッ♡ ドビュルルルルルルル♡♡
そんな音が聞こえてきそうなほどたっぷりと子宮に精液を注ぎ込み、俺は力尽きるよう琴葉に体重をかける。
柔らかな体を抱きながら、その体臭を嗅ぐ事後はとても心地よかった。
「はぁ♡ はぁ♡ ……お腹、熱い♡ なお兄。おまんこさんは、気持ちよかった?」
「あ、ああ。最高だ、った」
そんな言葉しか出てこない。
真っ昼間からリビングで性欲に支配されるままにセックスして、原始的な快楽だけが俺を支配していた。
琴葉を抱きしめ、おまんこの温かさを感じながら、このままでは人として駄目になると確信する。
「なお兄、〝音〟が聞こえる。もっと、しよ。夜までしよう♡」
そんな誘惑するような甘い声が聞こえてきたから、俺はもう一度腰を動かした。
インモラル――。
ああ、まさにそんな感じだ。
◇
彼女の名前は朝霧《あさぎり》琴葉《ことは》。
今年大学一年の歳になった幼馴染だ。
歳は三つ離れていて、家が隣同士だったというありふれた切っ掛けから、俺達は兄妹のように仲が良かった。
しかしその関係性は、どこまで言っても幼馴染だ。恋人ではなかったし、俺にとっても琴葉とは妹みたいな存在だった。そうでなければならなかった。
それが今は――
「なお兄。気持ちよかったね。またしよう」
「……あ、ああ」
リビングのソファに腰掛けた琴葉は、性行為で汚れた服を着替えてデニムのショートパンツと大きめのTシャツというラフな格好で足をパタパタさせている。
そして目にかかるほど長い前髪を触りながら、膝に置いたミニ鍵盤を片手で軽やかに弾いていた。
そんな姿を見ながら、俺はキッチンに立ち食事の用意をする。
今日はハンバーグの予定だ。
パンパンと肉の空気を抜きながら、考えるのはどうしてこうなったということ。
俺達は幼馴染だ。三つ歳の離れた仲の良い幼馴染だった。
それが今では同棲して性行為。一体なにがどうなってんだという話しだ。
この状況に至った経緯を話すには、長くなるため紆余曲折あったと今は端折るが、現状の俺を正しく説明するならつまり〝ヒモ〟である。
この家も琴葉の物だし、生活費は全て琴葉が出している。
俺は家事をしつつ、琴葉とセックスするというまさに男として夢のような、人として終わっているような、そんな生活をしていた。
「ねえなお兄。次の曲はどうしよっか。さっき音が聞こえたんだけど、もうちょっとしないとかも。セックスしよ」
「いやもう夕飯だぞ」
「そう? でも私のお腹、なお兄の精子でいっぱいだよ。お腹いっぱいだ」
そう言って琴葉、お腹をさすさすする。
そこには先ほどたっぷりと中出しした精液が詰まっていて、それに対し幸せそうな笑みを浮かべている。
生じゃないと嫌だという琴葉の懇願に、ヒモである俺が断れるわけなく、セックスは毎回生中出しだ。
幼馴染と同棲して毎日生セックスなんて、インモラルと言わず何と言うだろう。
「……馬鹿なこと言ってないで飯にするぞ」
「そっかー。じゃあ楽しみにしてるね。納期迫ってるし、私もがんばろー」
そう言って琴葉は、手元のミニ鍵盤を真剣に見つめる。
あの小さな鍵盤から、いくつもの名曲が生まれるというのは不思議な話だ。
「……頑張ってるんだな。この前も琴葉の曲がスーパーで流れてたぞ」
「ほんと? そんなことになってるんだね。びっくりです」
大きな瞳を見開いて、驚きを露わにする琴葉。確か琴葉は作る専門。それ以外は全て事務所に任せていると言っていたか。
この会話の示す通り、琴葉は音楽を作っている。それも趣味などではなく、仕事としてだ。
ネット上での名前はkoto。
中学生の頃から曲を作って歌った動画をネットにアップし――そして今では一流アーティストと呼ばれるまでにのし上がったのが俺の幼馴染だ。
幼馴染としてその道程を見ていた俺に言わせれば、琴葉は天才である。
最初に作った曲から凄かった。そして気付けばメジャーデビューだ。
可愛い妹分だったはずなのに、気付けば雲の上にいた琴葉。
このデカい家も琴葉が買ったもので、金も引くほど稼いでいるらしい。この前見せて貰った通帳に記されていたゼロの数は、少なくとも十代の少女が記して良い数ではなかった。
そんな琴葉のヒモをやってるのが俺である。
「…………」
ああ、情けない。俺もそう思う。
肉汁が弾ける音を聞きながら、この堕落し続ける日々に俺は目を伏せた。
「お肉の良い匂いがする。なお兄の精子ぐらい良い匂いがする」
「ぶふっ!? ……お、おい琴葉。……ここ以外でその台詞絶対言うなよ」
「ふへへ」
琴葉はまた変なことを言う。
昔から常人とは違うところが多々あったが、最近はそれがより顕著になった気がする。
とはいえそんな不思議な価値観を持っている点には慣れているため、首を振って料理を仕上げる。
「まあ取りあえず出来たぞ。飯にしよう」
「はーい」
そう言いながら、俺はさっきまでセックスしていたテーブルの上に料理を並べた。
そして机に向かい合って座り、手を合わせて食事とする。
琴葉に養われるようになってから料理を本格的に始めたが、最近は腕が上がっている気がした。
「あむっ。……んー! なお兄のハンバーグ美味しいよ」
「なら良かった。新しいレシピを試したんだよ」
「最高だね。花丸を上げます」
そうやって食事をする空気は、ただの仲良い幼馴染のよう。
しかし俺達の関係はとても複雑で、とても背徳的だ。
「新しい曲を作るためになお兄の音が必要なんだ。寝る前もしよう。ね?」
「……琴葉」
「断っちゃやだよ。沢山気持ちよくしてあげる」
そう琴葉が暗に言うのは、男女の性行為だ。
琴葉にとってセックスとは、快楽のために男と女が体を重ねる行為――であると同時にまた別の側面を持つ。
俺との触れあいをするたびに、音が聞こえると言う琴葉はセックスをしてアイデアを生み出す。
何を言っているかわからないと思う。俺もわからない。
ただ一つ言えるのは、琴葉は常人とは違う視点で物事を見て、違う世界に生きているということ。
「なお兄とセックスするようになってね、音が良く聞こえるんだ。長かったスランプが終わったような、雨が上がったような、そんな気分。だから、何も気負う必要はないよ。ずっとずっと、私としようね♡」
柔らかな笑みを浮かべながら、琴葉は言う。
俺と琴葉がセックスをするようになったのは、ここ半年のことだ。俺が琴葉のヒモになってからのことであり、確かにその日から琴葉の曲は質が上がった。
その前からすでに世間に認められる天才だったのに、その日からもう一段階レベルアップしたのだ。
セックスで曲の質が上がるなんて馬鹿な話だと思うが、実際それを体感すれば嘘だなんて言えない。
だからkotoが新たな曲を作るために、俺も断れない。
そんな言い訳をして、溺れていた。
「わかった。今夜も、沢山しような」
その台詞を口から吐く度に、堕落していることを感じる。
でも、このままじゃ堕ち続けるとわかっているから、次の言葉が口から出てくる。
「けど、そろそろ仕事を探すよ。もう大丈夫だ。琴葉には、本当に世話になった」
「――――」
俺がそう言った瞬間、琴葉の空気が変わった。
「駄目。また、
黒に染まった瞳が、真剣な声音でそう言いながら迫ってくる。
ガタッと席を立った琴葉、決して逃がさないと言いたげに俺の傍まで歩いてきた。
「琴葉。い、いや。もう大丈夫だ。もう壊れないよう気をつける――」
「駄目だよ、なお兄。私との生活は嫌?」
「っ!」
そう言いながら、琴葉俺の腕を掴んで己の胸へと押し当てた。
Tシャツ一枚だから、その大きさや柔らかさが良くわかる。学生時代から大きかったが、大人になったことでより魅惑的になった。
「ふふ♡ えっちな手つきだ。そんなに私の胸が好き?」
「あ、いや。……男なら、当たり前だろ」
その魔力に逆らうなんてできるはずがないのだ。男がここから性欲を自制できるなら、とっくに世界から性犯罪は消えている。
俺は柔らかな琴葉の胸を揉みしだき、琴葉に導かれるままに顔を埋める。
「ほら、おっぱいで寝ようね。ずっとここにいて良いんだよ♡」
その誘惑は、
もうこのままで良いじゃないか。ずっと琴葉の胸の中で暮らして、ムラムラしたらおまんこを使う。
それで、良いじゃないか。
「琴葉……」
「ずっと一緒だよ、なお兄」
琴葉の体臭を吸い込むたびに、脳が動くことを止めてしまう。おっぱいは羽毛布団のように柔らかく、その香りは男を狂わす。
今夜も気持ちいい夜が来るだろう。今日もまた俺はこの日々から脱却できず、快楽に溺れるのだ。
これは俺達の物語。
ぶっ壊れた凡人の俺と、スターダムを駆け上がる天才な幼馴染。そんな俺達の、インモラルな日常の物語だ――