天才幼馴染のヒモ生活 作:猫屋敷てん
夜崎直哉は朝霧琴葉に勝つことができない。
それが現状の課題である。
すでにあの日、琴葉に音楽における敗北を認めて逃げ出した俺は、心が琴葉に屈服しているのだ。
琴葉の狂気的な愛を前に傅くしかなく、それを振り払って自立することができない。
それを証明するように、物理的に監禁されているわけでもないのに抜け出せない現状がある。
まったくもっていかんともし難い程に度し難い。
特に今の状況は、俺と琴葉の関係が可視化されているような光景だった。
「ん♡ ふぅ♡ はぁ、はぁ♡ 良い、感じだよ♡ もっと舐めてよなお兄♡♡」
琴葉が甘い吐息を漏らしながら椅子に座り、パソコンと向かい合っている。今は確かメールチェックをしているとか何とか。
ただ俺は画面を見ることができないため、何をしているかは正確にわからない。
俺はただ、目の前にあるおまんこに舌を這わすだけだ。
今の琴葉はTシャツ一枚着ただけで、下の服は椅子の下に散乱していた。
そうなれば琴葉の大切な秘部が露出することになる。
毎日たくさん使い込んでいるというのに、とても綺麗なおまんこだ。毛は剃っているとのことでパイパンであり、クリトリスや割れ目もよく見える。
琴葉は股を開いて椅子に座り、その間に俺は跪いていた。
琴葉の股の間に顔を突っ込み、むちむち太ももで頭をロックされる。
そうなれば目の前にあるのは琴葉のおまんこだ。むわっとした性臭が鼻腔を通って脳内に充満し、俺の思考力を奪ってしまう。
ご主人様に奉仕をするのだとばかりに、屈服した俺はクリトリスに舌を這わしていた。
「んっ……♡ ふぅ……っ♡ あ、そこぉ♡ なお兄の舌♡ ざらざらしてて、いいぃ♡」
俺の舌先が、硬く勃起したクリトリスを弾くたびに、琴葉の体がビクンと跳ねる。琴葉のクリは大きめだ。故に舐めやすく、口に含みやすい。
クリを刺激するたびに琴葉の感じる快楽が、俺の頭を挟み込んでいる太ももからダイレクトに伝わってきた。
琴葉の太ももは柔らかく、それでいて確かな質量を持った女の肉だ。
普段座り仕事ばかりしているせいか、琴葉の内股は吸い付くようにしっとりとしていて、餅のように柔らかい。
俺が舌を動かすのに合わせて、そのムチムチとした太ももが俺の顔をギュウギュウと締め付けてくる。
それはまるで、逃がさないとでも言うような動きだ。
「んっ♡ なお兄……♡♡ おまんこ舐めるの♡上手すぎる♡」
琴葉の喘ぎ声を聞きながら、俺は無心で舐め続ける。
溢れ出る愛液と唾液が混じり合い、独特の粘り気を帯びた音が、机の下の狭い空間に響いていた。
視界いっぱいに広がるのは、鮮やかなピンク色の粘膜と、そこからとめどなく溢れる透明な蜜だ。
四方八方雌肉に包まれて、俺が奉仕している側だというのに気持ちよくなってしまう。
脳に充満するのは、甘ったるくて少し酸っぱい雌の匂い。
それを肺いっぱいに吸い込みながら、俺は割れ目を押し広げるように舌を差し込む。
「ひゃうっ!? あ、中っ♡ 中あついぃ♡ なお兄の舌、膣壁ざりざりぃって……んんっ♡」
キーボードを叩く音が止まり、頭上から甘い悲鳴が降ってくる。
椅子が軋み、琴葉の腰が快楽を求めて無意識にくねるのがわかった。
その動きに合わせて、目の前のおまんこがヒクヒクと痙攣し、俺の顔にさらなる蜜を垂れ流す。
「ま、待ってなお兄♡ いっちゃう♡♡ いっちゃうからっ♡♡」
そんなことを言いながら、俺の頭を掴む琴葉。待ってと口では言いながらも、体はとても正直だ。
鼻先が濡れたアワビのようなひだに擦り付けられ、唇は蜜でべとべとになる。
非常に情けない光景ではあるが、今の俺はこの状況に琴葉が喜んでくれて良かったという感想しか沸かない。
「はぁ、はぁ♡ なお兄、すごいよぉ♡ お仕事捗っちゃう♡ もっと、もっと奥まで舐めて♡ 私のおまんこ、綺麗にしてぇ♡」
琴葉が俺の頭を強く掴み、さらに深く股間へと押し付けてくる。
柔らかいお腹の肉が額に当たり、太ももの肉圧が頬を押し潰す。視界が真っ暗になるほどの「肉」の暴力。
俺はそれに抗うこともせず、言われるがままに舌を伸ばし、琴葉の最奥から湧き出る蜜を啜り上げた。
「ああああっ♡♡♡ いくぅぅぅぅ♡♡」
一際大きな琴葉の声が、狭い部屋に響いた。
そして溢れ出る、大量の愛液。まるで溺れてしまうのではというほどの蜜がおまんこから噴出され、固く頭をロックされている俺はそれを溺れぬよう飲むしかない。
とても甘美な味わいだった。恐らく本来そこまで美味いものではないはずなのに、俺はそう感じる。
それは琴葉が俺の精液を恍惚とした表情で飲むのと同じであり、相性が完璧である証明なのだろう。
「はぁ、はぁ……♡ きもちぃ♡ なお兄、ありがとね」
そう言って、琴葉は俺を解放してくれた。
見上げれば、頬を赤くした琴葉の顔がある。
その手は俺を慈しむように、優しく頭を撫でていた。
そこにあるのは上下関係だ。
俺と琴葉は対等ではない。俺が音楽で琴葉にねじ伏せられ、逃げ出してしまった日から、もう対等ではないのだ。
それを証明するような光景だろう。
「こと、は……」
「ふふ♡ ご褒美あげないとね。仕事中だけど……。ベッド行こっか♡♡」
夜崎直哉は、朝霧琴葉に勝つことができない。
それが今の法則である。
◇
俺には二つの勝利条件があった。
この条件を達さぬ限り、真の自立というのは訪れない。
一つは琴葉のトラウマの払拭だ。
琴葉の前から逃げ出して、数年ぶりに再会した俺の、人間とは思えぬ惨状に琴葉は大きなトラウマを負った。
ブラック企業で働いたせいでぶっ壊れてしまった俺は、人間としての尊厳のようなものを完全に手放していた。
その姿は酷いもので、飯もロクにくわず風呂にも入らず、ただボーッと布団の中でスマホの画面を見続ける数ヶ月だ。
あの時の俺は人間ではなかった。故に琴葉は俺を逃せばまたああなってしまうと恐怖している。
つまり琴葉の根源にあるのは恐怖である。俺はそれを払拭しなければならない。
もう一つが、俺のトラウマの払拭だ。
琴葉によって心を折られ、屈服してしまった心を立て直さなければ、真の自立はやってこない。
でなければ物理的に逃げ出したとしても、俺は永遠に琴葉に囚われたままになるだろう。
だがそのためにはどうすれば良い。
あの日、俺は格好いい兄ちゃんでなくなってしまったのだ。
あの日が全ての切っ掛けだ。今こんな状況になっている全てがあの日に起因している
――『ねえなお兄。私も、作ってみたい』
その台詞から全てが始まり今がある。
俺の転落と、琴葉の栄転。その始まりがそこにあった。
「…………」
一階のリビングで、ソファに腰掛け俺は考えた。
琴葉とのドロドロとしたセックスが終わり、息をついている一時。
今は琴葉も二階に籠もっているため、深い思考に入ることができた。
「三枝さんは大丈夫かな」
その中で、ふと俺は琴葉のマネージャー三枝桜の顔を思い浮かべる。
協力を取り付けた次の瞬間に、琴葉によって全てが引っくり返されたあの日。
あれ以来三枝さんとは会っていない。俺も外に出ることができていなかった。
買い物は全て通販で済ませることになり、俺は家を出る理由を失った。
別に鍵がかかっているわけでもないから出ようと思えば出られるが、琴葉の呪縛が俺の足を止め、外に出ることができなくなっていた。
こんな状況から逆転しようなんて、馬鹿な話だろう。
もうこのまま思考を放棄して、琴葉の箱庭で一生暮らそうという悪魔の囁きが耳元で聞こえてくる。
だがそれを振り払い、このまま堕落しては駄目だという天使の囁きに耳を貸した。
どうすれば良い。
三枝さんにどうにかして連絡を取るか。
いや、それでは根本的な解決にはならないだろう。
これはどこまで行っても俺と琴葉の問題なのだ。
ならば、俺を変えるしかない。
「……向き合えってことだろ。夜崎直哉。逃げた過去に向き合って、もう一度歩き出すしかないってことだろ」
何となくわかっているのだ。
ただ怖くて考えなかっただけ。
再起の切っ掛けは、俺のガリウスもどきにある。
だから俺は息を吸って立ち上がった。
琴葉はヘッドホンをつけて外界から遮断しているだろう。今なら多少自由に家の中を動いたところで気付かれることはない。
俺は一階の廊下の奥にある、納戸へと足を運んだ。