予定は未定。そう言い始めたのは誰なのだろう?
静岡を出る時はまさかこんな事態になるとは思いもよらなかった。
僕は冷たいドアノブを回し、螢と一緒にホテルの部屋に入って、ぐるりと見回してみた。
中央に置かれたベッドの横には小さなガラステーブルがあり、可愛らしい座布団が2つ並べられている。ホテルの部屋というより、二人で同棲を始めたらこんな雰囲気の部屋になるだろうなという感じだった。
だが、ベッドの枕もと、部屋の照明のスイッチがある場所にはそっと避妊具が置かれている。そう、ここは普通のホテルではなく、レジャーホテルなのだ。
腕時計を見るとすでに23時回っていた。
東名高速に乗ったのが18時ぐらいだったが、その後、静岡県から出た直後に渋滞に巻き込まれた。ラジオやスマートフォンからの情報によると大型トレーラーや危険物質満載のタンクローリーなどが関連する事故があって、上下線とも通行止めになったのだ。危険物がかなりやばい物質らしく今現在も通行止めは解除されていない。それどころか、事故現場周辺住民の避難というニュースまで流れている。
ナビを使って第2東名まで行くのも考えたが、まだ運転に不慣れの螢に通った事もない夜道を走らせるのは避けた方がよさそうだった。
最初はサービスエリアで車中泊しようかと話し合っていたのだ。だが、ナビを操作していた螢がいきなり車を発進させると、何も言わずにこのインターチェンジ近くのレジャーホテルまで車を走らせたのだ。
「えっと……」
僕は高鳴る心臓で耳の奥がドンドンと叩かれている状態だったがようやく声を絞り出した。「とりあえず、家に連絡を入れておくよ」
「あ……」
螢も呆然としていたが僕の言葉に頷いた。「そうだね。今日帰るはずだったし、事故に巻き込まれたかもって心配してるかも」
螢はポケットからスマートフォンを取り出して電話をかけ始めた。
螢は父親に電話した後、寮で同室の佳織にも電話を始めた。確かに佳織には連絡を入れておかなければ捜索願とか出されそうだ。
僕も少し離れた場所でスマートフォンを取り出して母親の携帯を鳴らした。
「もしもし。弘人。大丈夫? 帰ってこれそう?」
電話がつながった途端、母がまくしたてるように尋ねてきた。と、いう事は事故の情報を知っているのだ。
「ごめん。ちょっと無理。全然、動かなくって」
「そうよね。わかった」
と、そこまで言った後、母は黙り込んだ。
「そ、そんなんじゃないんだから!」
突然、螢が声を上げた。
その声に驚いて僕が螢に目を向けると、彼女はため息をつきながら耳からスマートフォンを離して切ろうとしていた。
「コラァ! 勅使河原弘人! わたくしの螢に手をだ――」
螢のスマートフォンから佳織の絶叫が響いた。彼女の言葉が最後まで聞けなかったのは、螢が電話を切ったからだ。するとすぐにスマートフォンが着信音を鳴らしはじめた。
螢はそのままスマートフォンの電源を落として肩をすくめた。
「螢ちゃんも一緒よね?」
耳元で母の声がして、僕は身体を硬直させた。
「う、うん……」
今日は螢と一緒に静岡に向かった事を母は知っている。今更、ごまかしはきかなかった。
「代わって頂戴」
心なしか、クスリと母が笑った声が聞こえたような気がした。
「え?」
「いいから、代わりなさい」
ぴしゃりと母は言った。電話を切ろうかとも考えたが、後の事を考えるとそれは得策とは思えなかった。
螢と母の仲はとてもいい。それこそ、螢を抱きしめながら「わたし、螢ちゃんみたいな娘が欲しかったわ!」などと公言するほど惚れ込んでいるのだ。だから、佳織みたいな変な事は言わないだろう。
「お母さんが、代わってって……」
僕と母のやり取りを不思議そうに首を傾けて見ていた螢に僕はスマートフォンを手渡した。
「え……?」
螢は戸惑いながら、それを受け取ると覚悟を決めたように息を一つ吸って耳元に当てた。「代わりました。すみません。事故でこんな事に……え?」
螢の言葉は母にさえぎられたようだ。
螢はくるりと踵を返して、僕に背を向けた。彼女の背中で長いつややかな黒髪が揺れた。
「はい……。えっ? ……多分、もうじき……。はい、大丈夫……。えっ? そんな……」
螢の声がどんどん小さくなっていった。「はい……はい……。いえ、私の方こそ……。はい。よろしくお願いします」
螢は壁に向かって何度かお辞儀をしていた。もちろん、相手は電話の向こうの母だろう。
そして、再びくるりと身を翻すと僕にスマートフォンを差し出した。
画面を見ると、まだ通話中のようだ。
「もしもし」
僕はスマートフォンを耳に当てた。
「あなた、螢ちゃんの事、しっかり! ね!」
母の言葉は抽象的な言葉だった。妙に『しっかり!』という言葉に力が入っていた。
「うん」
『しっかり!』という言葉にはそれこそ様々な要素が含まれているのだろう。無論、螢の事はしっかり考えている。今日の≪仮プロポーズ≫もしっかり考えた結果だ。
今日は螢と肌を合わせないようにしよう。この欲望に身を任せては大変なことになる。
ここはソードアート・オンラインの中ではない。行為には結果がつきまとうのだ。そんなリスクを螢に負わせるわけにはいかない。
「じゃあ、明日。そちらを出る時に連絡しなさい。いいわね」
「うん。わかった」
「それじゃ」
母はそう言うと、ぷつんと電話が途切れた。
「ふう」
と、大きくため息のような息を吐いて僕はベッドに腰掛けた。
途端にスマートフォンが着信音を鳴らし始めた。画面を見ると見たことがない番号が表示されていた。
「電源切った方がいいよ」
どうしようかと画面を見ながら逡巡していた僕に螢はため息交じりに言った。
「なんで?」
「その番号、佳織だよ」
螢は僕の右隣りに腰かけながらクスリと笑った。
「え? どうやってこの番号を!」
僕はあわてて電源を落とした。
「私の想像だと、珪子ちゃんに電話して里香から聞き出したんじゃないかなー」
「うわー。なるほど」
僕は苦笑いをするしかなかった。また、佳織のヘイトが高まってしまっただろうか。
そんな事を考えた瞬間。僕はいきなり螢にベッドに押し倒された。
「ちょっと」
僕は抗議の声を上げると、のしかかっている螢の顔がどんどん近づいてきて、唇を重ねてきた。
「弘人のお母さんってやっぱりすごいね。全部お見通しって感じ」
長い口づけから解放されると、螢がうっとりとした表情で囁きかけた。
「え?」
と、僕は聞き返したが、螢は僕の耳を舐めまわすと甘噛みした。
母が言った『しっかり!』の意味はそっちの意味だったのか?
そんな考えが一瞬、頭をよぎったが螢の行為で与えられる快感で体がビクンと跳ねた。
「んっあ!」
螢の指が服の上から僕の乳首をまさぐり、思わず声が漏れてしまった。
そんな自分が恥ずかしくなって僕は螢を睨みつけた。
「もう! ふざけないでよ」
「ふざけてないよ」
螢はにっこり笑ってベッドから降りると立ち上がった。「シャワー浴びてくるね」
鼻歌でも歌いそうな雰囲気で螢は風呂場へ歩いて行った。
母はいったい螢に何を言ったのだろう? おかげで螢はすっかり乗り気のようだ。
僕はどうしたらよいのだろう?
風呂場からシャワーの水音が聞こえてきた。
僕は決断した。
僕が曇りガラスの扉を開けると、一段とシャワーの水音が大きくなった。湯気の向こうに長い髪をタオルで頭の上にまとめあげた螢の美しい姿があった。
螢は一瞬、驚いた表情をしたがすぐに優しい表情に変わった。
「背中流してあげるよ」
僕はさも当然のことのように言った。
そうだ。恥ずかしがったら負けだ。(何と勝負しているのか自分でもさっぱりわからないが)こんな事はソードアート・オンラインで散々経験してきたではないか。
ソードアート・オンラインで囚われていた僕たちは夫婦生活を約1年間送ってきた。仮想世界のアバターとはいえ、お互いに肌を合わせた回数はゆうに3桁を越えるだろう。お互いの性癖というか、やり方というか、そういうものも十分すぎるほど知り尽くしている。
だが、現実に戻ってからお互いの全ての身体をこうして見る機会はまったくなかった。しかも体が男女入れ替わっているのだ。戸惑いがないと言えば嘘になる。
それでも僕は螢に近づいてボディーソープを手に取るとそれを両手で泡立たせた。
「うん。ありがとう」
螢はクスリと笑って僕に背を向けた。
僕は螢の背中に泡を塗り広げた。
螢の背中はジークリードのように広く逞しい。ストリートバスケで鍛えている肉体はとても引き締まっていて無駄がない美しさだ。
その背中が視界から消えた。螢が身体を折り曲げ、ボディーソープを手に取ったからだ。
螢はボディーソープを手で泡立たせながらこちらを向いた。
「私も弘人の背中を洗ってあげるよ」
にっこりと笑うと螢は僕を前から抱きしめるように腕を回すと、背中を洗い始めた。
僕も抱きしめるようにして螢の背中に手を滑らせる。螢の柔らかい二つのふくらみが僕の胸にあたってとても心地がいい。
僕はすぐ目の前にある螢の唇に唇を重ねた。お互いの舌が絡み合い、手が全身を愛撫し求めあった。
「んっ。はあぁぁ」
僕の両手が螢の脇腹から豊満な胸に移動し、先端の敏感な部分を撫で上げると、螢がうっとりとした声をあげて身体を震わせた。
螢は上気した表情で僕の乳首を撫で上げ、もう一方の手で優しく肉棒を握ってゆっくりとしごいた。石鹸のぬめりのためかそれだけで達してしまいそうな快感が背筋を貫いて僕は前かがみになった。
それでも螢は容赦なく僕の弱点を撫で上げ続けた。
僕は対抗して目の前のはち切れそうな乳房の蕾にむしゃぶりついた。
「あああん。弘人。気持ちいい」
甘い嬌声がバスルームに響き、螢は僕の頭をぎゅっと抱いて胸を押し付けてきた。
鼻の穴まで螢のふくらみにふさがれる状態になった。僕はもう何も考えられなかった。
呼吸ができない状態にもかかわらず、僕は口の中の蕾をしゃぶり、転がし、甘噛みし、一方の手でもう片方の桜色の蕾をまさぐり、さらにもう一方の手を螢の股間に滑り込ませた。指先に石鹸とは違うぬめりが感じられた。指を震わせるようにしてその隙間に滑り込ませるとささやかな尖芽が感じられた。
「あうっ。だめっ」
螢が身を震わせて崩れるように僕の肩にのしかかってきた。いつの間にか僕を攻撃していた彼女の手が止まっている。
僕は螢を抱き起すようにして身体を密着させて股間の硬い漲りを押し付けた。
「だめ。だめっ」
螢が首を振って身をよじった。そして、すがるような声で僕の耳元で囁いた。「お願い。ベッドで。ここじゃ、いや」
「ごめん」
涙で潤む螢の瞳を見て、僕は冷静さを取り戻した。
「私の方こそごめん。我がまま言って」
螢は申し訳なさそうな表情を浮かべて、そっとシャワーヘッドを持って僕の身体を清め始めた。
「螢の背中はやるよ」
僕は螢に安心してほしくて笑いかけながら、彼女の手からシャワーヘッドを奪い、彼女の身体の泡を洗い流した。
「ありがとう」
そうにっこりと微笑む螢の頬に僕は唇を寄せた。
ベッドに戻った僕は枕元に置かれたコンドームに手を伸ばした。
さっきは危なかった。
理性が完全に吹っ飛んでいた。螢が拒否しなかったらそのまま突き進み、僕は望まない結果を招いていただろう。
コンドームを袋から取り出して一瞬、どうやって装着するのか考えたが、それは程なく判明した。
「弘人。お願いがあるんだけど」
僕がつけ終わるのを待っていたらしく、螢がベッドの上で座っていた。
「なに?」
「指輪、弘人の手ではめてくれる?」
螢はそう言って、僕がプレゼントした指輪ケースを差し出してきた。
「うん」
僕は頷いて指輪ケースから指輪を取り出した。
おもちゃのような安い指輪だ。シンプルで取り付けられている5月の誕生石のヒスイも本物かどうかも分からない。けれど、これが今の僕の精一杯だ。もっとしっかりしなければ……。
「お願いします」
螢がそっと左手を僕に差し伸べた。
僕は優しくその薬指に指輪を通した。
「ありがとう」
螢は左手を右手で包むようにして胸に抱いて目を閉じた。
そんな螢の隣に寄り添うように僕は座った。
螢は目を開けると僕の肩を抱きながら仰向けになると、豊満な胸に僕を招き入れた。柔らかい双丘が僕の両頬を温めた。
「弘人。大好き。言葉じゃ足りないくらい愛してる」
そう言いながら僕の頭を何度も優しく撫でた。「弘人のしたいようにしていいよ。私は全部弘人のものだよ」
「螢。愛してる。全部好き」
僕は螢の胸から抜け出し、彼女の髪を撫で上げながら唇を重ねた。
存分に唇を味わった後、螢の全身を丹念に撫で上げた。
「あ……うう……」
時折、身をくねらせたりビクリと跳ねたりしながら螢は僕の背中を撫でまわした。
快感のためだろうか、螢の全身に鳥肌が立ち始めた。双丘の先端の蕾も鋭く尖って膨らんできた。僕はその蕾にそっと息を吹きかけた。
「ああん。コー……」
螢がビクンと身を振るわせた後、『しまった』という表情を見せて口を手で覆った。
「いいよ。ジーク。いいんだよ」
僕は目を閉じて、思いっきり螢の桜色の蕾を口に含んで吸い上げた。
「んんんっ。コー。それ、気持ちいい」
僕はさらに手を螢の股間に滑り込ませ、十分に潤った秘裂に指をなじませるように侵略していった。そして、指先に螢の尖芽を捉え震わせるようにして責めたてた。
「ひゃあう。コーも。コーも。気持ちよくなってぇ」
螢は僕の責めに身を跳ねさせながら手を僕の弱点に伸ばしてしごいたり、撫で上げたりした。
目を閉じていると、あのソードアート・オンラインでジークと共に過ごした夫婦生活が甦ってくる。お互いに時を忘れて、死の恐怖におびえつつ、快楽をむさぼった時間……。
ジークの激しい責めに僕の脳が溶けて思考が停止し、僕はさらなる快感を求めてジークの身体を貪欲に食らった。
永遠にめぐる快楽の輪を断ち切ったのはジークだった。
「コー! もう、私、我慢できないっ!」
ジークが僕を押し倒し、僕の両膝を強引に押し開いた。
「うん。ジーク! 来てっ!」
僕は両手を開いてジークを迎え入れた。
…………。
…………。
僕たちはお互いに苦い表情を浮かべたあと、小さく笑いあった。
「ごめんね」
螢が照れくさそうに笑って身体を起こした。
「僕も……一緒だから」
そうなのだ。つい、夢中になって僕はコートニーの状態になってジークのモノを受け止めようとしてしまったのだ。当然、男女が入れ替わっているのだから、ソードアート・オンラインの時のようなやり方は通用しない。
螢は僕の隣で長い髪が背中につぶされないように手でそっとまとめてから、仰向けに横たわった。
「弘人、ごめん。来て」
「うん」
僕たちは先ほどと逆の体勢になった。
僕は股間の熱い塊を螢の入り口に押し当てた。
「いいよ。きて」
螢は優しく僕を促した。
僕はゆっくりと前進した。少し先端部分が入っただけなのに快感で暴発しそうになった。
「大丈夫?」
僕は暴発を防ぐために動きを止めて、螢に尋ねた。
「う……うん」
螢は歯を食いしばりながら頷いた。
快感を抑えようとしているのだろうか。それとも痛みをこらえているのだろうか。その表情だけではうかがい知れなかった。
「大丈夫だよ」
螢は動こうとしない僕を促した。
僕は再び前進した。
「うっ……ああっ」
螢が苦しそうに眉間にしわを寄せた。
根元まで螢に押し入れると窮屈な空間が僕の肉棒を跳ねるように締め付けてきた。これだけでもう僕は達してしまいそうだ。
「本当に大丈夫?」
僕は目を閉じたままの螢の髪を優しく撫でた。彼女は返事をせずに首を縦に振るだけだった。
いずれにしても、このままでは僕は耐えられない。このまま暴発してしまうよりはと、膣孔ぎりぎりまで引き抜き、一気に押し入れる。じゅぶっ! という音と共に液体が股間を濡らした。
「痛いっ!」
螢が叫び声をあげて背中全体を使って逃げ出した。
「ごめん!」
僕はそのいたいけな反応を見てあわてて抜き取った。
「ひゃっああ」
いきなり抜いたためか、螢が身をのけぞらせて叫んだ。そして、悲しげな表情で僕を見上げてきた。「ごめんね。弘人……」
「無理しなくていいよ」
僕は螢の隣で寄り添うように横になった。「現実世界なんだから、いろいろあるよね。ゲームと違ってさ」
「ごめん」
「謝んなくていいって。僕は螢の身体の方が心配だよ」
僕は心からそう思って、そっと螢の頬を撫でた。
「私。がんばるよ!」
螢が突然、身を起こして僕のコンドームを取り去ると、熱い漲りを口に含んだ。
「ちょっと! 螢。無理しないで」
螢は無類の綺麗好きである事を僕は知っている。
かつてソードアート・オンラインのアバターの状態であっても、蟲風呂に入った後の時も熱心に身体全体を洗っていたし、あの世界での情交の時もジークは決して僕の秘所に口を寄せる事はなかった。
それなのに今、現実世界にもかかわらず僕の一番汚い場所を舐めあげているのだ。相当に無理をしているに違いない。
「いいの。このままじゃ、弘人に申し訳ない」
そう言いながら螢は僕の竿をしごき、舌を這わせ、口に含んで吸い上げた。
「ああ、出ちゃう」
ただでさえイク直前だった僕は螢の責めでたちまち絶頂が襲い掛かってきた。
「いいよ。いっぱい出して!」
螢はそう言うと口いっぱいに僕を含んで舐めあげた。
「うっ」
僕は思わず彼女の頭を掴んで奥まで突き刺した。
「うげっ。うぐぅっ」
螢の口から醜い声が漏れて苦しそうにもがいた。その動きはまるで彼女の秘壺と同じだった。びくんびくんと僕の肉棒が波打ち白い雫を螢のノド深くに放った。
「ご、ごめん!」
慌てて僕は螢の頭を股間から引き離した。
ケホケホとむせながら螢は何度も頷いた。そのまま、飲み込もうと何度か挑戦しているようだったが、遂に立ち上がって洗面台に向かって走り出した。
僕も慌ててその後を追った。
「うげぇっ。おえぇっ」
咳と共に精液と唾液がまじりあったものが洗面台の水道に流されていった。
「ごめんなさい。本当に。……これぐらい、我慢できると思ったのに」
そう言いながら螢は口を水道水で清めた。
「いいんだよ。無理しないで」
そんな螢がとても健気で僕は胸が締め付けられた。
僕は背後から螢を抱きしめた。
「今度は僕の番」
「え?」
戸惑う螢を抱え上げると、僕はそのままベッドまで連れて行った。
そっと螢をベッドにおろすと、僕は彼女の膝を割ってその中心にしゃぶりついた。
「嫌っ! 弘人。そんな汚いところ」
螢は僕の意図を感じて足を閉じて身をよじらせた。
「全部、僕の物なんでしょ?」
「そうだけど……」
そう言う螢の秘所にしゃぶりついた。「ひゃああうううっ」
ほのかに血の味と匂いがする螢の女性の部分を丁寧に舐め続けると、彼女の抵抗はおさまり足を開いてきた。
「うううう。そこを……ああああん」
ついには螢が僕の頭を掴んで、自分の敏感な部分に導く。
僕はあえて責めないでおいたその場所にしゃぶりついた。
「いいいっ。いいっ。ああっ。うううん」
僕の舌の動きと完全にリンクして螢が跳ねる。
そして、とどめを刺すように激しく吸いつきながら顔を震わせて螢のすべてに刺激を与えた。
「うう。くるっ。いくっ。いくっううう!」
螢がつま先から太ももまでピンと伸ばして身体を震わせた。次の瞬間、全ての力が抜けぐったりとなった。
本当にいったのだろうか? そんな疑念が僕に湧いた。
僕がコートニーであった時は確か、達した瞬間に射精のように潮をふいていたはずだ。だが、螢の身体にはそのような変化がなかった。
まだ、螢はいっていないのかも知れない。僕は再び、螢の股間の唇に唇を重ねてその奥を舌で侵略した。
「ああ。もう、だめ」
螢はイヤイヤと頭を振りながら僕に攻撃の声を上げた。
「螢。まだいってないでしょ?」
そんな螢の言葉を無視して、僕は彼女のデルタ地帯のささやかな茂みを引っ張り上げて、尖芽の皮をむいてむき出しにして口に含んだ。
「もう駄目っ。いってる。いってるからあああ」
螢は身をよじらせて僕から逃げようと身体を上にずらした。
僕は両手で抱えるように引きずり戻して、さらに彼女の秘所への圧力を高めた。そしてさらに両手を伸ばし、激しく抵抗して揺れる螢の胸の先端を指でつまみつぶした。
「嫌ぁっ! 上も下も気持ちいぃぃっ! うううう。いってるのに、いってるのにぃ。ああああん。もっといくぅぅ。ああああああ」
頭がみしみし音を立てるほど、硬直した螢の太ももに挟まれた。そして、飛び跳ねるように全身を震わせるとやがてすべての力が抜けて彼女は四肢を投げ出した。
僕の攻撃にもまったく反応せず、ただ、肩と大きな胸を揺らして激しく呼吸を繰り返すだけになった。
僕は身体を起こして螢の下半身から抜け出し、彼女の頭を撫でた。
ゆるみきった表情で見開かれた瞳の焦点は定まっていない。
「螢。螢。大丈夫?」
心配になって僕は螢の頬を軽く叩きながら呼びかけた。
螢はわずかに焦点が戻った瞳で僕を見ながら、小さく頷いた。まだ、忘我の旅人のようだ。
僕は螢に寄り添って、彼女の頭をそっと胸に抱きしめた。
僕は螢の役に立てているだろうか? もっと、もっと螢を悦ばせてあげたい。
そう願いながら優しく腕の中のかけがえのない人の髪を撫でた。
私は暖かい空間の中で目が覚めた。
しくしくと下腹部が痛む……。この痛みは……ああ、もうすぐ生理が始まる……。私は下腹部をさすりながらぼんやりと考えた。
ここはどこだろう? 目の前の柔らかい物を指で撫でる。――これは男性の胸だ。
「あ、気がついた。大丈夫?」
ビクンとその身体が跳ねてすぐ上の方から声をかけられた。見上げると優しい顔――。優しい弘人の顔がそこにあった。
身体を起こして周りを見るとまったく見慣れない風景だ。
「螢?」
心配そうに弘人が私を見つめてきた。
急速に私の頭は覚醒した。
ああ、ここはホテルだ。さっき、弘人のせいで気を失ったんだ。
私は気を失った原因を思い出して顔が赤くなるのを感じた。
「もう。弘人!」
弘人を睨みつけ、彼を抱きしめる。「ひどいよ。駄目って言ったのに」
途中から完全に意識が飛んでいた。変な事、いやらしい言葉を口走っていなかっただろうか? それだけが少し心配だ。
「ごめん。本当にいったかどうかわからなくて」
本当に申し訳なさそうな弘人の表情がとても可愛らしい。
「もう一回チャレンジしてみてもいい?」
私は身体をぶつけるように弘人をベッドに押し倒して、その可愛らしい乳首を舐めた。
「んあっ」
可愛らしい弘人の声を聞いて私はさらに興奮が高まった。今日の私はどうかしている。でも、もう自分が抑えきれない。
「動かないでよ」
私は枕元のスキンをもどかしく取り出すと、弘人の逞しいそそり立つものにかぶせた。
弘人は私の勢いに呆然としながら頷いていた。
今日はこんなものをつける必要はないかも知れない。けれど、弘人が傷ついて悲しむ姿は見たくなかったので念を押すことにしたのだ。
「あっ……」
弘人に跨り、熱いたぎりを股間に押し当てて、ゆっくりと腰を下ろすと、じわっとした快感に襲われて口から吐息が漏れた。
私の言いつけを守って、身体を硬直させていた弘人の肉棒が突然ビクンとはねた。
「ああんっ!」
わずかな変化だったが、私の全身に快感が駆け抜け力が抜けてしまった。ゆっくり入れようとしていた私の意志は砕かれ、一気に私は弘人に貫かれた。
押し広げられた女性の部分は先ほどと違ってほとんど痛みを感じなかった。それどころか弘人を受け入れた途端、新たな快感が全身を襲った。
「んんんっあっ」
私は身体を震わせ、快感の吐息を漏らした。私の意志とかかわりなく、弘人のものをぎゅうぎゅうと締め上げているのを感じた。
「すごい、締まる……」
弘人が身体を震わせている。
「もう、動かないでって言ったのに!」
私は弘人に身体を重ねて、彼の頭を撫でながら怒った風に言った。
「だって、気持ちよすぎちゃって」
そう言う弘人がとても可愛く、愛おしくなって、私は左の胸を彼の口に含ませた。
「あああん。いい。いいよ」
チロチロと舌が私の敏感な部分を舐めまわり、私は快感に震えながら弘人の頭を我が子のように抱きしめながら何度も優しく撫でた。
「おしまい。もう。おとなしくしてるのよ」
しばらく、快感を味わった後、私はそっと上半身を起こした。
今日の私は我がままだ。だけど、ジークリードだった時もかなり我がままにコートニーを凌辱していた。私の醜い所だ。だけど、コーは――弘人はそれを許してくれる。私のかけがえのない存在だ。
身体を起こすと深く、奥まで貫かれ、再び快感が背筋から脳天に駆け抜けた。
「んんんっ。ああ。はぁ。はぁ。はぁ」
ゆっくりと確かめるように腰を揺らせる。
大丈夫だ。もう痛みは感じない。
もっと、もっと、快感をむさぼりたい。
思考力が奪われる中、無意識のうちに左手で左のふくらみの蕾を責め、右手で股間の肉芽をさすった。
「見ないで、恥ずかしい」
忘我の中、弘人の熱いたぎりを体に感じながら腰を揺らせ、自分の左乳首と陰核を責めるなんてまるで自慰だ。わずかに残っていた理性が弘人の視線を感じて私の動きを止めさせた。
「いいんだよ。螢のもっと、いらやしい姿を見せて」
弘人はそう言うと、私の右の蕾を指で責め、そして腰を使って私を突き上げた。
「ああん。いや……。う……。いいっ。気持ちいいっ」
再び、私は快楽の海に沈んだ。もう、どうなってもいい。この瞬間に死を迎えてもいい。
「んんん。いい。いくっ。いくっ。いくっううっ」
私は弘人と一緒になって自分の身体の責めて快感の嵐に突き落とした。
閉じた目の向こうに閃光が走って、絶頂が全身を貫き、がくがくと体が震えた。
絶頂に達して全身の力が抜け、弘人に倒れ込もうとしたところで、彼は身体を起こして私の左乳首を口に含んで、吸い、噛んだ。
「ひゃっ。それ、きもちいい」
先ほどとは違う快感に襲われる中、今度は弘人に押し倒されて両足を抱え上げられた状態で貫かれた。そして、跳ね上げるように激しく抽挿を始めた。
さっきより、深い。奥にあたるたび、何とも言えない悦楽が背筋を何度も駆け抜ける。
「あん。あん。あん。もっと、いいい。いくっ。いくっ。いくっ」
じゅぶっ。ぐぼっ。弘人に貫かれるたびに私の股間のぬかるみから恥ずかしい音が漏れる。もう、そんな事もどうでもいい。体がばらばらになりそうな快感をただ貪りながら叫んだ。
「待って、いかないで。僕も一緒にいきたい」
弘人が汗の雫を振りまきながら私の頬を撫でた。
私はこくこくと頷いた。私は弘人のために何もしていない事に気が付いた。
「いって。弘人。いってぇ!」
私は夢中で弘人のかわいい二つの乳首を両手で責めたてた。
だが、弘人が先ほどより激しく速く私を突き上げた。もうだめだ。こらえきれない。
「うううぐうっ。もう、だめぇ。私、いっちゃうっ」
「僕もいくよ!」
弘人がドンと私の奥まで貫いた。その一撃で私は完全に砕かれた。
「あああ」
全身が溶け出しそうな快感に包まれて私は震えた。
(弘人の出てる! 感じる!)
私の女性の部分がビクビクと弘人の男性を搾り取っている。そして、その奥で暖かいものが広がっていくのを私は感じた。
「はあ」
絶頂に達した弘人がぐったりして私の上にのしかかってきた。
私は汗でぐしょぐしょに濡れた弘人のこめかみの匂いをかぎながら、彼の頭や背中を撫でた。汗のせいでまるでローションを塗ったようにつるつると指先が滑って心地いい。
「ありがとう」
まだ、息が落ち着いていない状態で弘人が私の頬を撫でた。
「ああん」
それだけで、私の全身に快感が走って、再び弘人の肉棒を締め上げた。
「うっ」
びくびくと弘人が私の中でうごめき、それがまた快感の呼び水になって私は再び絶頂に震えた。
そんな余韻を一つにつながった状態のまま、私たちは長い時間を過ごした。
お互いの息が落ち着き、心地いいけだるさを感じる中、弘人が身体を起こして私から離れた。
「あっ」
引き抜かれる瞬間もゾクゾクとした感覚が背筋を駆け抜け、思わず声を漏らしてしまった。
「あ!」
弘人が突然叫んだ。
「なに?」
「コンドームが破けてる」
呆然とした表情で弘人が股間に視線を落としていた。
「え?」
私は身体を起こして弘人を見た。確かに弘人のスキンの先端部分は無残にも破けていた。
私は自分の股間に視線を移した。弘人の白濁と私の血がまざったそれがわずかに私のもっとも醜い場所から洩れていた。
と、いう事はあれだけ感じていた弘人の一部はほとんど私の中にとどまっているのだ。
(弘人の一部がここにあるんだ……)
私は鈍痛を感じる下腹部を撫でながらぼんやりと思った。撫でる左手には弘人がくれた指輪が輝いている。
きっと、この種は実を結ぶことはない。けれど、弘人と一体になったような気がする。
なぜだろう。とても満たされた幸せな気持ちだった。
突然、ふわりと暖かく優しい空間に包まれた。
「何があっても、僕は螢を守る! なにがあっても頑張る!」
弘人が私を抱きしめて、頭を何度も撫でてくれた。とても実直で誠実な宣誓だった。
この人ならすべてを委ねられる。この人は間違いなく私の半身。
ああ、私は幸せだ。ぎゅうっと胸が締め付けられて、涙がこぼれた。
私のこの涙を見て、弘人が動揺の表情を見せた。きっと、私が悲しんでいると誤解しているのだ。
そうじゃないよ。
その思いを込めて、私は満面の笑みを浮かべながら弘人の頬を両手で包んだ。
「感動した……。安心して。多分今日は大丈夫だから」
私は弘人と唇を重ねた。「弘人の言葉。嬉しい。これからも、ずっと、ずっと信じてるよ」
「うん。僕を信じて。今は頼りないけど、絶対、螢を守れるようになるから」
弘人は真剣な表情で私を見つめてきた。
「だーめ」
私は意地悪く笑った。そして、再び唇を重ねた後に甘えるように彼のストリートバスケで鍛え上げられた逞しい胸板に抱きついた。「私だって弘人を守るんだから……ね」
あのソードアート・オンラインの中で私は思ったのだ。私たちは支え支えられてこの世界を生きていると。
私はずっと弘人と一緒だ。何があっても。
私はそう誓って腕に力を込めた。
現実世界に戻ってきてからの二人の営み。むふっ。
こちらが真エンドとなります。
コーとジーク。弘人と螢の旅はこれで終わりです。
長い間、ご愛読ありがとうございました。
R18なんて一生書かないと思っていましたので、すべてが手探りでした。
これほど、ヒットポイントが削られる作業だったとは思いませんでした。
もう、書かねーよ。(たぶん)
エタる心配はこれでなくなりましたので、こちらでも感想、評価。どんどんつけてあげてください。
では本当にありがとうございました。