トリニティにある古書館にて。
「うーん、どこにあるんでしょう…?」
マリーが一冊の本を探して歩き回っていた。しかし、古書館に来たこと自体が少なく、さらに図書委員長たるウイが不在ということもあり、目的の本探しはかなり難航しているよう。
「…?」
その中で、一冊の古びた本が視界に入る。何故だか一際目を引き、あまつさえ「私を読んで!」と言われたような、そんな気すらした。
「少し見るだけでしたら…ウイさんにも怒られないですよね」
あまり他の子には触れてほしくないとは言われていたが、どうしても内容が気になり、その本を手に取る。表紙にはまるで魔導書のように、魔法陣が書かれていた。
「これを読めば魔法が使えたり…なんて」
にわかに期待しながら留め具を外し、本の1ページを捲ろうとした、その矢先…
がばッ!
「へっ!?」
意志と関係なく、いきなり本が限界の180°まで開かれたかと思うと、本が光を帯び始める。
「え、ほ、ほんとに魔法が…?」
その本はゆっくりと宙に浮き、なおも光を放ち続ける。やがて煙のように光が縦に伸びていき、人のような形を作り始める。胴から下はなく、いわゆる幽霊のようにゆらゆらと波打っている。腕、手、首…頭ができた時、"それ"は歓喜の声を上げる。
『ぐわぁーーはっはっはぁ!!よーうやっと出られたわい!』
「ひゃ…っ!?」
大きな笑い声を立てながら、それは本の上をふわふわと動き回る。向こうが少し透けて見えるその姿は、筋骨隆々な男性のものだった。
「だっ…誰ですか!?」
思わずそう尋ねると、それはニヤリと笑いながら自慢げに口を開く。
『ワシか?ワシの名前はインモン=ツケ・タローだ!タローって読んでくれよ、お嬢!』
「お、おじょ…?」
『あンの忌々しい呪いから解き放ってくれたんだ、ワシの得意技で是非ともお礼させてくれや!』
自分勝手に話を進め、自らをタローと名乗った謎の幽霊は手を強く合わせ、ぶつぶつと呪文を唱える。
『… ンモ … ャジャ … キヨパッ… カアルブ … ゲミカ … キュスバサ … オォ … カッワ … シロエンモンイ!』
ぱんっと手を打ち鳴らし、手のひらを放す。その手のひらを見てみれば、不思議な模様が手に刻まれていた。
『うっし、出来たぞお嬢!んっん〜、我ながら完壁な出来だァ…そんじゃ早速…』
「ま、待ってください!それは一体…」
さすがに話についていけず、説明を求める。すると彼はしたり顔を崩さず人差し指を立てて虚空の円をなぞりながら話し始める。
『今ワシが作ったのはインモンって呼ばれるもんだ。こいつをヒトのヘソのあたりに思いっきり叩きつけてやれば、はちゃめちゃに気持ちよくなれるっつーもんさ!』
「き、気持ちよく…?」
『そう、そのとーり。…どうだいお嬢、こう見えてもワシ、インモン作りなら右に出るものはいねーんだよ。そいつが対価なしで味わえるんだぜ?ぜってー味わった方がいいってもんだ!』
…きっと彼は、善意から言ってくれているのだろう。その思いを無下に断るというのは気が引けてしまう。気持ちいいといっても大したものではないだろうし…
「……わかりました。では、お願いしてもいいですか?」
悲しませないためにもと、その願いを引き受ける。途端にタローは子供のように顔を綻ばせ、両手を上げ喜ぶ。
『いよっしゃあ!そんじゃあ、行くぜェ!』
そう言うと手のひらを腹の辺りに向けて、一気に加速して飛んでくる。その行動と瞳には一切の迷いなく。
『そうら、イっちまいなァ!!』
ばちいぃん、と思い切り腹を叩かれる。しかし感じたのは痛みではなく、
「ん゛っっっ!?!!?♡♡♡♡」
脳が焼ききれんばかりの快楽だった。
シスターに淫紋ってエロすぎると思うんですよ
(そう言い残すと男は塵となって消えた)