「触れる……本当に、あなたに触れてるよ……っ」
俺の胸にすがりつき、子供のように声を上げて泣く美咲の背中に、恐る恐る両手を回す。
その瞬間、脳の奥が痺れるような衝撃が走った。すり抜けない。手のひらが、彼女の細い背中の、滑らかな皮膚の感触をしっかりと捉えている。肩甲骨の確かな硬さ、その下に包まれた肉の柔らかさ。抱きしめる強さに応じて、ぐっと押し返してくる生々しい「質量」が、確かにそこにあった。
「美咲……美咲、本当に美咲なんだな……」
俺の目からも熱いものが溢れ、彼女の豊かな髪に顔を埋めた。
彼女の身体からは、あの世の冷気を含んだような、ひんやりとした独特の温度が漂っている。まるで、冷暗所に保管されていた絹織物のように冷たくて、けれど狂おしいほどに滑らかだ。衣服を透かして伝わるその冷涼な肉の重みが、今の俺にはどんな生身の人間よりも愛おしかった。
俺が背中を擦ると、美咲はビクッと愛らしく身体を震われ、涙に濡れた顔を上げた。
いつもならどこか現実味のなかった彼女の瞳が、今は潤みを帯びて、遮光カーテンの隙間からのわずかな闇をきらきらと撥ね返している。その唇が、微かに震えながら俺を呼んでいた。
どちらからともなく、引き寄せられるように唇が重なった。
「ん……っ……」
重なった唇は、驚くほど冷ややかだった。真冬のガラスに触れたかのような冷たさ。だが、その奥にある舌が絡み合った瞬間、脳髄が焼き切れるような熱情が弾けた。
これまでは脳に直接響くだけだったキスの感覚が、今は「粘膜の摩擦」という圧倒的な現実を伴って俺を支配する。美咲の小さな口内から溢れ出た、ひんやりとした、けれど甘い蜜のような唾液が、俺の舌にねっとりと絡みつく。美咲は生まれて初めてキスを覚えた少女のように、俺の首に細い腕を絡みつけ、何度も、何度も、狂ったように唇を押し付けてきた。
「はぁ、っ……あなた、すごい……ちゃんと、口の中まで、繋がってる……っ」
離れた唇の間から、銀色の糸がとろりと垂れる。美咲の吐息は冷たいはずなのに、俺の耳元を掠めるそれは、卑猥なほどに熱を帯びて感じられた。
俺は彼女をベッドに組み伏せ、その薄い衣服をゆっくりと剥ぎ取っていった。露わになった美咲の裸体は、息を呑むほどに美しかった。生前よりもどこか陶器のように白く、血色がない代わりに、浮き世離れした妖艶な肉の起伏を描いている。
その豊満な胸の膨らみを両手で優しく包み込み、ゆっくりと顔を埋めた。
「あ、っ、あなた……」
冷たく滑らかな乳房に舌を滑らせると、美咲が甘い声を漏らしてシーツを強く掴む。ツンと硬く尖った乳首を口内に含み、舌先で転がすようにねっとりと舐め上げると、彼女の細い身体がビクビクと愛らしく跳ねた。
「んあぁっ……冷たいのに、あなたの舌が……私、おかしくなりそう……っ」
胸を愛撫される快感に、美咲はうっとりと瞳を潤ませ、俺の髪を冷たい指先で愛おしそうにかき混ぜる。
すると、美咲は愛撫の快感に顔を火照らせながら、今度は自ら動き出した。
「私にも……あなたを、もっとたくさん感じさせて……?」
彼女は俺の身体を仰向けに寝かせると、その細い体を這わせるようにして、俺の股間へと割り込んできた。
露わになった俺のペニスを、美咲は驚きと歓喜の混じった瞳で見つめる。そして、ゆっくりと顔を近づけ、初めて手に入れたリアルな割り開かれた唇で、その先端を優しく咥え込んだ。
「んむ……っ、ん、うぅ……」
「っ……! 美咲……!」
脳裏に電流が走る。美咲の口内は、驚くほどひんやりとしていて、まるで極上の絹の粘膜で包まれているかのような贅沢な締め付けだった。彼女はまだ慣れない手つきで、けれど俺を喜ばせたい一心で、両手でペニスの根元を握り締めながら、舌を小刻みに動かして亀頭を舐め転がしてくる。どろりと溢れ出る愛液ごと、冷たい舌でねっとりと巻き取られる快感に、俺の腰が思わず浮き上がった。
「は、っ……ん、むぅ……じゅぷ、じゅるぅ……」
美咲が頭を前後させるたび、彼女の唇と俺の肉が擦れ合い、ジュブジュブと卑猥な水音が暗い寝室に響き渡る。冷たい口内と、彼女の喉の奥が持つ確かな「壁」が、俺のペニスを容赦なく締め上げていく。
その狂おしい愛撫に耐えきれなくなってきた俺は、彼女の腰を抱き上げ、その身体を反転させた。
互いの顔と股間が向き合う形——シックスナインの体勢へと、自然に雪崩れ込んでいく。
「あ、あなた……っ、これ、すごい、目の前に……っ」
美咲の顔が、俺のペニスのすぐ根元にある。そして俺の目の前には、彼女の最も秘められた割れ目が、ぐっしょりと濡れそぼって晒されていた。
俺たちは競い合うように、互いの秘部へと舌を伸ばした。
「ん、んぅーーーっ! じゅぶ、ん、む……っ」
「ひゃあぁっ! あ、あぁっ、そこ、おねがい……っ、もっと舐めてぇ……っ!」
美咲が俺のものを喉の奥まで深く咥え込み、舌を激しく絡みつかせるのと同時に、俺もまた、彼女の割れ目に舌先を深く挿し込み、その最奥の粘膜を激しく抉り取った。
美咲のそこからは、冷たい結露のような、透き通った蜜が溢れんばかりに溢れ出している。人間の体温とは違う、冷たくて粘度の高い蜜。けれど、お互いの舌が激しく交わり、粘膜を擦り合わせるうちに、その冷たさは確実に、ドロドロとした退廃的な「熱」へと変わっていった。
「んじゅ、じゅる……ぷはっ、あ、あぁっ!とろけちゃう……っ、あなた、もう、我慢できない……っ!」
美咲が顔を上げ、蜜と唾液で濡れた唇を震わせながら懇願する。彼女の太ももは、俺の舌の愛撫によって痙攣するように震え、完全に割り開かれていた。
俺はシックスナインの体勢を解き、彼女の身体を正面から組み敷いた。
美咲の割り開かれた太ももの間、冷たい蜜でぐちょぐちょに濡れそぼったその場所に、猛り狂ったペニスの先端を押し当てる。
「美咲、入れるぞ……」
「うん……っ、壊してもいいから……あなたの美咲に、いっぱい、頂戴……っ」
その淫らな誘いに応じるように、俺は一気に腰を進めた。
「あぐっ……!? んんんっ……!」
結合した瞬間、あまりの快感に脳裏が真っ白に染まった。
彼女のそこは、きく、ねっとりと絡みついてくる極上の粘膜で俺を迎え入れた。柔らかい肉の氷に包まれているかのような錯覚。けれど、俺が腰を動かすたびに、摩擦によってその冷たさが内側からじわじわと甘い熱へと変わっていく。
「ひゃあぁっ! あ、あぁっ……入ってる、あなたの、おっきいのが、奥まで、全部……っ!」
美咲は俺の肩に歯を立て、白目を剥くようにして絶頂の波に呑まれていく。
実体化した彼女の身体は、俺のピストンに合わせて、どぷ、どぷ、と、冷たい蜜の泡を立てて鳴いた。
俺は狂ったように腰を振り続けた。
彼女の腰を掴み、シーツに叩きつけるようにして何度も彼女の最奥を抉る。すり抜けない。どれだけ激しくぶつかっても、彼女は確かにそこにいて、俺のペニスをその冷たい肉体で、貪欲に締め付け、愛してくれている。
「美咲! 美咲……っ!」
「あなた、好き、大好きぃっ! もっと、もっと奥に……私を、あなたの生気で満たしてぇ……っ!」
お互いの汗と、美咲の身体から溢れる冷たい蜜が混ざり合い、ベッドの上はぐちゃぐちゃに濡れそぼっていく。
俺は彼女の細い腰を限界まで引き寄せ、彼女の肉の最も深い場所へと、自身のすべてを叩きつけるようにして激しく射精した。
「あ、あぁぁぁーーーっ!!」
ドクドクと注ぎ込まれる熱い精液。それを受け止めた美咲の身体が、ビクビクと大きく波打ち、内側の粘膜が俺のペニスをちぎらんばかりに締め上げる。
彼女の冷たい胎内が、俺の熱を受け入れて、キュウキュウと嬉しそうに鳴いているようだった。
行為の後、俺たちは濡れたシーツの上で、互いの鼓動を重ね合わせるようにして強く抱き合った。
美咲の身体には、まだずっしりとした確かな質量が残っている。
俺は彼女の冷たい頬にキスをしながら、この手応えこそが、俺たちが手に入れた本物の愛の形なのだと、深く、深く確信していた。