その部屋には、時間というものがなかった。
石壁に這う蔦の影だけが、窓の外から差す陽光の移ろいを緩やかに告げていた。天井の低い一室。壁を埋める古い本棚には背表紙の褪せた魔導書が詰め込まれ、その隙間から乾いた紙の匂いが滲み出している。暖炉は火の気がなく、代わりに小さな魔法燈がひとつ、部屋の隅で淡い橙を灯しているだけだった。
人里離れた森の奥。リチェが用意した隠れ家——というには雑然としすぎた、けれど誰の目も届かない部屋。
その床の上で、ユイニィは膝を抱えていた。
目の前に広げた羊皮紙には、描きかけの魔法陣が並んでいる。どれもこれも線が乱れて、円環を閉じきれていない。端の方には、何度も失敗した魔法陣の残骸が折り重なっていた。
「……だめだ」
消え入りそうな声。長い前髪が目元を覆い隠して、表情は読めない。でも指先が前髪をいじり始めたから、それだけで分かる。泣きそうなのを堪えている。
「手が、また震えて……誰も見てないのに。頭の中で師匠が、また出来損ないだって」
壁に背を預けたリチェは、その独り言をじっと聞いていた。
水色の髪が肩から腰を越えてさらに下まで流れ落ち、とんがり帽子の金タッセルだけが微かに揺れている。青い瞳は半ば伏せられたまま、何を考えているのか分からない。もともとそういう顔だ。感情が表に出にくい。人形みたいだと言われたこともある。
でも——見ていた。ずっと。ユイニィの震える筆先を、歪む円環を、いじり回される前髪を。
「……相変わらず」
リチェが、ぽつりと声を落とした。
ユイニィの肩がびくりと跳ねる。
「り、リチェさん……っ。す、すみません、こんなの見せて。せっかく様子を見に来てくれたのに、ボク、全然進歩してなくて——」
「いい。謝らないで」
短い。いつもこうだ。リチェの言葉は短くて、続きがない。だから余計に、その一言がどういう意味なのか分からなくて、ユイニィは前髪の奥で目を泳がせた。
リチェは壁から背を離すと、音もなくユイニィのそばまで歩いてきた。しゃがみ込み、床に散らばった羊皮紙を一瞥する。失敗した魔法陣をしばらく見つめて——それから、ユイニィの顔を見た。
「原因、わかった」
「え……?」
「ユイニィ。女を知らないでしょ」
数秒、沈黙が落ちた。
ユイニィの脳が、今の言葉を処理しようとして、盛大につっかえた。
「……え? あ、あの、それ——その、どういう」
「そのまんま」
リチェの目は眠たげに半分閉じたまま、揺るがない。
「自信がないのは、まだ半人前だから。男は、女をイかせて一人前になる」
「い——っ!? い、イかせっ……リチェさん、あの、い、いきなり何を——」
「魔法もそう。ユイニィは、ユイニィのままでできる。ただ、まだ知らないことがあるだけ」
あの時と、同じ言葉だった。
蛇の背洞窟の試験で、暗闇の中、リチェがくれた一言。あの時の声が、今も耳の奥に残っている。ユイニィはユイニィのままでできる——。でも、その続きが、今日はとんでもない方向へ曲がった。
「で、でもボクにはまだ早いですよ……っ。その、そういうのは、も、もっと大人になってからというか——」
「じゃあ、リチェが教える」
「——は?」
返す言葉が、喉の途中で固まった。
リチェは立ち上がり、ケープの前ボタンに手をかけた。淡々と、本棚から本を取るくらいの自然さで。
「手本通りじゃなくていい。練習すれば、できるようになる」
「ま、待って待って待って——リチェさん、待ってください——っ!」
ユイニィは慌てて両手を突き出した。顔が耳の先まで真っ赤に染まっている。前髪で隠した目元まで火照って、視界が揺れた。
「ほ、本気で言ってるんですか……?」
「リチェは嘘つかない」
ケープが、するりと肩から滑り落ちた。下のアイボリーのワンピースが露わになる。華奢な鎖骨、細い首。黒いタイツに包まれた膝下が、魔法燈の光を受けてかすかに艶めいた。
「教えるの、初めてだけど。でも、知ってるから」
そこに恥じらいはなかった。知識を伝えるだけ、というような淡白さ。それがリチェだった。正解なんて決めないで——自分のやり方を貫く、頑固で不器用で、どこまでもマイペースな少女。
ユイニィは膝を抱え直したまま、前髪の奥から、おずおずとリチェを見上げた。
「ボクなんかに……そんなこと、教えてくれるんですか」
「ユイニィなんか、って言わない。……それ、いちばんだめ」
静かに、でもはっきりと。リチェの青い瞳が、ほんの少しだけ——本当に少しだけ——細くなった。
◇ ◇ ◇
どうしてこうなったのか。
ユイニィは部屋の隅の寝台に腰かけて、自分の膝を凝視していた。頭の中で状況を整理しようとして、何度やっても整理がつかない。リチェさんにセックスを教わる。ボクが。リチェさんと。セックスを。
呼吸が浅い。心臓が喉まで上がってきている。前髪をいじる指が止まらない。
目の前に、リチェがいた。
寝台の端に腰かけたまま、ゆっくりと足を組み替える。黒いタイツに包まれた太腿が、ワンピースの裾からすらりと伸びていた。脚を組む拍子に裾が持ち上がって、太腿の上の方——タイツの生地がわずかに透けて、肌の白さが仄見える境界線が、ちらりと覗いた。
ユイニィの視線が、そこに吸い寄せられる。吸い寄せられて——慌てて逸らした。
「気になる?」
リチェの声は、いつもどおり平坦だった。
「べ、別に……っ。見てないです」
「見てた。目、泳いでた」
「み、見てません……っ!」
顔が熱い。耳も首筋も。自分の心臓の音が、部屋中に響いているんじゃないかと思うくらい、うるさい。
「別に、見てもいいのに」
リチェがそう言って、ゆっくりと脚を解いた。
組んでいた太腿が開く。タイツ越しに、内腿のやわらかな曲線が露わになる。ワンピースの裾が膝のあたりで止まっていて、その奥は影に沈んでいた。見えない。でも——そこに何があるのか、想像してしまう。想像が止まらない。
「そんなに目、そらして。……子どもみたい」
「こ、子ども……」
「男の子なら、興味あって当然。隠さなくていい」
リチェの手が、自分のワンピースの裾に触れた。指先が布を摘まんで、すぅっ、と膝の上へ引き上げていく。
「見たいなら、ちゃんと見ていいよ?♡」
無表情のまま。声色も変えず。なのに——その一言だけが、妙に甘く響いた。
ユイニィは前髪の奥で唇を噛んだ。目を逸らしたい。逸らさなきゃいけない。でも体が言うことを聞かない。視線が吸い寄せられるように、リチェの太腿を辿っていった。
黒いタイツの上端。その境界を越えた先に、むき出しの肌があった。太腿の内側、陽に当たらない場所特有の白さ。すべすべとした肌の上に、産毛すら見えない。そのさらに奥——ワンピースの裾の影の中に、下着の布地が覗いていた。薄い色の、小さな布。
「……っ」
息が、止まった。
腰布の下で、もう取り返しのつかないことが起きていた。自分の意思とは関係なく、下腹に血が集まって、布地を内側から押し上げている。
「隠さなくていい」
リチェが、同じ言葉を繰り返した。
「ユイニィのえっちなとこ、リチェは嫌いじゃないよ?♡」
否定しない。気持ち悪いと言わない。変だとも、出来損ないだとも言わない。
師匠はいつも否定した。何をしても叱られた。お前は出来損ないだ。お前の魔法は間違っている。お前には無理だ——。
でも、リチェは。
「そういうの、変じゃない。男の子なら、当たり前」
静かな声だった。
「リチェの前では、我慢しなくていい」
その一言が、何かの箍を——ほんの少しだけ、緩めた。
ユイニィは、顔を真っ赤にしたまま、それでも——前髪の奥から、リチェの顔を見た。
青い瞳が、待っていた。
「顔、真っ赤」
リチェが、かすかに——本当にかすかに、口の端を持ち上げた。笑ったのかどうかも分からないくらいの、微細な変化。
「……かわいい」
「っ——」
「ふーん。リチェのこと、そういう目で見てたんだ?♡」
「み、見てないですっ……!」
「嘘。……腰布、正直」
リチェの視線が、一瞬だけ下に落ちた。ユイニィの股間の膨らみを認めて——表情を変えないまま、小さく頷く。
「うん。じゃあ、始めよっか」
◇ ◇ ◇
リチェの細い指が、ユイニィの腰布の結び目に触れた。
「ちょ——っ、リ、リチェさん……っ!?」
「脱がす」
一言だけ。有無を言わせない淡白さで、結び目をするすると解いていく。ユイニィの手が慌てて重なったが、リチェは気にもしなかった。下衣を下着ごと太腿の途中まで引き下ろす。
ぴん、とそれが跳ねた。
仮性包茎の先端から薄い皮がずれかけて、亀頭の頂がほんの少しだけ覗いている。竿の根元から先端にかけてじわりと熱が昇っていて、薄い血管の筋が細かく脈打っていた。
「……ふーん」
リチェが、その至近距離で目を細めた。しゃがみ込んだ姿勢のまま、顔を寄せて観察している。とんがり帽子の先端がぷらんと傾いで、金タッセルがユイニィの太腿をかすめた。
「こんなに硬くなるんだ。男の子って、単純」
「み、見ないでくださいっ……! 恥ずかしい……っ」
「恥ずかしがることじゃない。おちんちんは見るもの」
平然と言い放って、リチェは根元に指を添えた。親指と人差し指で竿をそっと挟み、皮を下へ引く。にゅるり、と亀頭が完全に姿を現した。綺麗なピンク色。先端のスリットから、もう透明な先走りが一筋、糸を引いている。
「敏感。……皮被ってるから、よけいかな」
「あ……っ、そ、そこ触っちゃ……っ」
「触る。これから口でするから」
淡々と宣告して、リチェは顔をさらに近づけた。水色の長い髪がさらりと垂れて、ユイニィの剥き出しの太腿を撫でる。
「歯を立てないように、こうやって——」
自分に言い聞かせるように呟きながら、唇を薄く開いた。吐息が亀頭にかかる。それだけで——ユイニィの全身がびくりと震えた。
「あ、あのっ、リチェさん、ほんとに……ボクなんかの、こんなの——」
「ユイニィなんか、って言わない。二回目」
叱るように短く言い切って——リチェは、唇を亀頭の先に触れさせた。
ちゅ、と。
唇の内側のやわらかい粘膜が、露出したばかりの亀頭をそっと包む。乾いた唇の感触ではない。濡れている。温かい。そして——吸っている。きゅう、と唇が窄まって、先端を甘く圧迫する。
「——っ、ぁ……っ!?」
ユイニィの腰が、勝手に跳ねた。寝台の上で背中が反って、シーツを掴む指が白くなる。頭の奥で何かが弾けて、下腹から脊椎に沿って、経験したことのない種類の電流が駆け上がった。
リチェが口を離す。ぷ、と小さく息をついて。
「逃げない」
「む、無理です……っ、そんな、いきなり——」
「気持ちいいことから逃げてたら、女も気持ちよくできない」
同じ目をしていた。蛇の背洞窟の試験で、暗闇の底にうずくまるユイニィに手を差し伸べた時と。——逃げるな。お前にはできる。そう言っている目。
ただ、あの時と決定的に違うのは——リチェの唇に、ユイニィの先走りの光が残っていることだった。
「ちゃんと腰を突き出して。……リチェが全部やるから、ユイニィはされるがままでいい」
ユイニィの返事を待たずに、リチェはまた口を寄せた。
今度は、亀頭をまるごと含んだ。
ぬぷ、と唇の内側に呑み込まれていく。舌が亀頭の裏を押し上げて、カリの段差を縁取るように舐め回す。粘膜のぬめりが先走りと混ざり合い、しっとりと泡立って、竿のすべてを湿らせていった。
「んっ……ちゅ、れる……」
リチェの小さな口が、ゆっくりと上下し始める。水色の長い髪が大きく揺れて、とんがり帽子がずれかけた。唇の端から唾液が細く溢れ出して、ユイニィの恥毛を濡らす。
「っ、ぁ、あ……っ、リチェ、さ——」
名前を呼ぼうとして、声が途切れた。リチェの舌先が、亀頭の裏筋を——ちろちろと、執拗に舐め上げている。竿の根元を握った細い指が、口の動きに合わせて、ゆるゆると捻りながら上下する。
指の腹が竿の血管の浮いた筋をなぞるたび、脊椎を伝って快感が脳に突き刺さった。仮性包茎の皮を完全に剥かれた亀頭は剥き出しの神経の塊で、リチェの口の中の温度と湿度と圧力のすべてが、直接ぶつかってくる。
ちゅぷ♡ じゅる……ちゅ、ちゅぷっ♡
水音が、静かな部屋に響いた。卑猥で、生々しくて——それなのに、リチェの横顔は淡々としていた。目を伏せて、丁寧に舐めている。教科書を読むように、一つずつ確認するように。
「ぅ、あ……っ、やば、リチェさん、なんか——ボク——」
下腹の奥に、熱い塊がせり上がってくる。まだ数十秒しか経っていないのに。精液がぐっと持ち上がる気配——止め方が分からない。止め方なんて、知らない。
ちゅぽ、とリチェが口を離した。唾液の橋が唇と亀頭の間に架かって、ぷつりと切れる。
「出そう?」
「で、出ちゃ……出ちゃいそうです……っ」
「まだ我慢」
「む、無理です……っ!」
「出そうなの、我慢するのも練習」
リチェの目が、冷たいくらい淡々とユイニィを見上げている。教える立場の、揺るがない目だった。
「出したら、おしまい。……入れさせてあげないよ?」
「い、入れ——っ!? あの、いやその——っ」
「もうちょっと我慢できるでしょ」
言いながら——手は止めない。
むしろ、指の動きが速くなった。唾液でぬめった掌が竿をしごき上げ、親指の腹が亀頭の割れ目をくりくりと撫で回す。口では我慢しろと言いながら、指先が容赦なく射精を引きずり出そうとしている。
言ってることとやってることが、全然違う。
「ふふ。……そんな顔してもだーめ♡」
無表情の中に——ほんの一瞬、口の端が持ち上がった。いじわるを楽しんでいる。完全に。
「もっと欲しそうな顔、してる♡」
「してっ——してないですっ……! あっ、だめ、そこ——リチェさん、ほんとにだめっ——」
「だめじゃない。我慢して」
指が加速する。
ぐちゅ、ぐちゅ、と先走りと唾液が混ざり合った音が鳴る。リチェの細い手首が、一定のリズムで上下していた。竿を握る力加減は絶妙で、強すぎず弱すぎず——でもカリの段差を通過するたびに指の腹が引っかかるように圧をかけて、そのたびにユイニィの腰がびくんと跳ねる。
「が、我慢って言われても……っ! も、もう——ボク——っ」
限界だった。下腹の奥から、堰を切ったように熱が競り上がってくる。精液が尿道を突き上げるのが分かる。もう止まらない。
「だめ、だめっ、リチェさん——ボクっ、出ちゃ——でっ——」
びゅくっ——。
精液が、勢いよく飛んだ。
リチェの頬を掠めて、水色の髪に白い筋が一本走る。二発目がリチェの手の甲に降りかかって、指の間を伝い落ちた。三発目は竿の先からとろりと溢れて、リチェの握った掌をべっとりと汚す。
「あ——ぁ……っ、ご、ごめんなさい——っ!」
射精の余韻で腰がびくびくと痙攣しながら、ユイニィは真っ青になった。リチェの顔に精液をかけてしまった。最悪だ。最低だ。出来損ないだ——。
「……せっかち」
リチェが、頬についた精液を指で拭った。その指先を見つめて、一言。
「まだ舐めただけなのに」
「ご、ごめんなさい……っ、ボク、我慢できなくて——本当にごめんなさい——」
「謝らなくていい」
リチェは指についた精液を、不思議そうに眺めていた。ぬめる白濁を親指と人差し指の間で伸ばして、糸を引くのを確かめる。子供が見慣れないものを観察するような、無邪気な仕草だった。
「初めてだから。……最初はみんなこう」
淡々と。でも、突き放さない。
「リチェも、教えるの初めて」
その言葉にユイニィは顔を上げた。前髪の奥の目が、おそるおそるリチェを見る。
怒っていない。呆れてもいない。ただ、少しだけ不満げな顔をしている。もっと我慢してほしかった——それだけの、シンプルな不満。
「次は、もっと保たせて」
宣告するように言い切って、リチェは立ち上がった。髪に付いた精液を指先でつまんで取り除きながら、ユイニィを見下ろす。
「出す前に、やることがある。……ユイニィ、女の体のこと、何も知らないでしょ」
「え……?」
「教える。ちゃんと覚えて」
そう言って——リチェは、自分のワンピースの裾に手をかけた。
◇ ◇ ◇
リチェはワンピースを着たまま、タイツだけを脱いだ。
黒い布が白い脚から剥がされていく。足首、ふくらはぎ、膝、太腿——。タイツの下に隠されていた肌は想像よりもずっと白くて、薄い血管が透けるくらいきめ細かかった。脱いだタイツを畳みもせず寝台の端に投げて、次に手が伸びたのは——下着だった。
小さな布を、するり、と太腿を伝わせて足首まで。片足ずつ抜いて、それもタイツの上に重ねた。
あまりにも淡々としていた。着替えの延長みたいな手つきで、恥じらいのかけらもない。
「よく見て」
リチェが寝台に浅く腰を下ろして、膝を開いた。ワンピースの裾がめくれ上がって、太腿の付け根の奥が露わになる。
ユイニィは息を呑んだ。
そこに、あった。白い肌にツルツルの割れ目。縦に走る細い線。その両側の肉がわずかにぷっくりと盛り上がっていて、頂点のあたりが薄桃色に色づいている。
「これが、リチェのおまんこ」
無表情のまま、真っ直ぐにユイニィの目を見て。リチェは言った。
「恥ずかしがらない。これ、勉強」
「っ——」
ユイニィの脳が一瞬で沸騰した。おまんこ。リチェさんが、今。自分の性器を指して、その言葉を、なんの躊躇いもなく——。顔だけじゃない、耳も首も、体中が燃えるように熱い。
でもリチェは待ってくれなかった。細い指が自分の股間に伸びて、割れ目にそっと触れる。左右の肉をぱくり、と広げた。
くぱぁ♥
音にするなら、そんな感じだった。
割れ目の内側が露わになる。濡れた薄桃色の粘膜。ひだの奥の奥まで見えた。頂点に小さな突起があって、その少し下に——穴がある。ぽっかりと開いた、暗い入り口。粘膜がてらてらと光っていた。
「ここが、お豆。いちばん敏感なとこ」
リチェの指先が、頂点の小さな突起をちょん、とつまむ。皮を少しだけ剥いて、中のぷっくりした粒を見せた。
「乱暴にしちゃだめ。指の腹で、くるくるって。軽く」
「は、はい……」
返事だけが口を突いて出た。目が離せない。リチェが自分の性器を広げて見せている。自分のために。教えるために。その事実がうまく飲み込めないまま、目だけが吸い寄せられている。
「ここが、おまんこの穴」
指が少し下がって、穴の縁をなぞった。
「でも穴自体は、そんなに感じない。意外でしょ」
「え……そうなんですか」
「そう。大事なのは、この奥」
リチェの細い中指が——ずぷ、と自分の穴の中に沈んだ。第一関節、第二関節まで。ぬめった粘膜が指を吸い込んでいくのが見えた。
「天井の——ザラザラしたとこ。ここ、覚えて」
内側で指を曲げて、手前の壁をこりこりとなぞっている。リチェの眉がほんの一瞬だけ寄った。自分で触っても、やっぱり感じるらしい。
「ここが、いちばん女が気持ちよくなるところ」
指を抜いた。ぬちゅ、と音がして、引き抜かれた中指の腹が愛液でてらてらと光っている。
「ユイニィ、やって」
「え——ボクが……?」
「当たり前。見るだけじゃ覚えない。……触って」
ユイニィは唾を飲み込んだ。喉がからからに乾いている。右手が震えていた。前髪をいじる左手も。全身が震えている。
おそるおそる——手を伸ばした。
指先がリチェの太腿に触れた瞬間、その肌の熱さに驚く。見た目よりもずっと温かい。指が太腿の内側を辿って、割れ目に近づいていく。リチェは微動だにしなかった。開いた膝を閉じもせず、視線だけでユイニィの手の動きを追っている。
ユイニィの中指が——おまんこに、触れた。
ぬるり。
濡れていた。想像していたより、ずっと。粘膜は熱くて、柔らかくて、指を吸い込むようにぬめっている。心臓がうるさいくらい鳴っていた。
「お、お豆……って、ここ……ですか」
「もうちょっと上。……そう、そこ」
ぷっくりとした突起を、指の腹がとらえた。
「あ……っ」
リチェの唇から、小さく声が漏れた。いつもの無表情が、一瞬だけ——ほんの一瞬だけ揺れる。
「そう。そこ。……くるくるって」
「こ、こうですか……?」
「もっと軽く。……そう、そのくらい」
指の腹でクリトリスを転がす。小さな突起が固い。くりくりと回すたび、リチェの太腿の筋肉がぴくりと引き攣った。
「じゃあ、次。穴に指、入れて」
「い、入れる……っ?」
「一本でいい。中指。……さっきリチェがやったみたいに」
中指を、穴の入り口に当てた。ぬるい愛液が指先を濡らす。ゆっくりと押し込むと——ぬぷり、と粘膜が指を呑み込んだ。
「あっ——」
ユイニィの方が声を上げていた。初めて女の体の中に指を入れた感触。熱い。柔らかいのにきゅっと締まる。粘膜の襞が指にまとわりついて、ぬめぬめと蠢いている。
「天井。手前側の、ザラザラ。探して」
指を曲げて、内壁の手前側をなぞった。つるつるした粘膜が——途中から、質感が変わる。ざらり。
「ここ……?」
「違う。そこじゃない」
リチェの声は淡々としたまま。
「もうちょっと手前に手繰り寄せる感じ。お豆の裏側のところ」
「え、えっと……この辺……」
「もう少し。……もう少し手前——」
「こ、ここ……?」
指の腹が、明らかに他と違う場所をとらえた。ぼこぼこと隆起した、ざらついた壁。そこを撫でた瞬間——。
「っ——そこ」
リチェの声の温度が、がらりと変わった。
「そこ! そこがいい♡ そこコチョコチョして——止めないで、続けて♡」
淡々としていたはずの声が跳ねる。眠たげに伏せられていた青い瞳が見開かれて、リチェの膝がびくんと閉じかけた。自分で開き直す。でも太腿が小刻みに震えていた。
普段の冷めた声との落差に、ユイニィの心臓が裏返るくらい跳ねた。
「は、はいっ——こ、こうですか——」
夢中で指を動かした。ざらついた壁をこりこりと撫でる。掻く。擦る。
「んっ——……そう、そこ……♡ 続けて……っ」
リチェの腰がわずかに浮いた。唇が薄く開いて、吐息が漏れる。頬にほんのり血が差して——いつもの無表情に、微細な亀裂が走っている。
もっとやりたい。ユイニィの中に、初めてそういう衝動が芽生えた。リチェさんが、ボクの指で。
だが——指が止まった。
おまんこの壁が、きゅう、と指を締め付けてきたのだ。
「っ……う、動かない……」
中指が、リチェの膣圧に負けている。もう一度動かそうとしても、ぬめった粘膜の襞が指を挟み込んで離さない。腕に力を入れると——前腕の筋がびきりと引き攣った。
「い、痛っ——腕が、つりそ——」
「……手、止まってる」
リチェの声が、すっと冷めた。
「ユイニィ、力ないね」
「す、すみません……っ、もうちょっと——あっ、だめ、指が——」
「ひ弱。……もっと筋力も鍛えないと」
リチェを気持ちよくさせたいのに、指が動かない。膣圧に負けている。情けなさすぎて泣きたい。
リチェの中で指がぐったりと止まったまま、ユイニィはひたすら謝った。でもリチェは怒ってはいなかった。少しだけ不満そうな顔をして——でも、その不満の下に、別の何かが覗いている。
言わない。言わないけれど——自分でいじってイこうかと、一瞬だけ考えた。
でも、それをしたら。
ユイニィが、余計に自信をなくす。
「……もういい。指だけじゃ、届かない」
リチェは短く言い切った。その判断の速さに、ユイニィが感じ取れない気遣いが滲んでいた。
「続きは、ちゃんと入れてから。そのほうが、ユイニィのためにもなる」
「い、入れるって……そのっ——」
「おちんちんを、おまんこに」
真顔で、直球で。ユイニィは言葉を失った。
リチェは指で自分のおまんこの縁をなぞった。さっきまでのレクチャーで愛液の分泌が増えていて、指先がてらてらと光っている。粘膜が上気して、薄桃からほんのり赤みがかった色に変わっていた。
「見て」
二本の指でぐっと広げて見せる。愛液の糸が指の間に架かった。
「こんなに濡れてる。これが、準備できたサイン」
ユイニィは生唾を飲んだ。
「覚えて。女がこうなってないのに入れたら、痛いだけ」
教える声は淡々としていた。でもリチェの太腿は、まだ微かに震えている。さっき、ユイニィの指がGスポットをとらえた時の余韻が——体の奥に、まだ残っているみたいだった。
「ユイニィが見つけた場所、覚えた?」
「は、はい……ザラザラの、天井の——」
「そう。そこが、いちばん大事」
リチェが立ち上がった。ワンピースの裾がふわりと落ちて、一瞬だけ剥き出しの股間を隠す。
「次は——おちんちんで、そこを突いて」
寝台を振り返ったリチェの目は、もう先生の目に戻っていた。さっきの震えた声も、なかったことみたいに。でも上気した頬の色だけが——嘘をつけないでいた。
◇ ◇ ◇
「最初は、リチェが上」
寝台の上で仰向けに寝かされたユイニィの腰を跨いで、リチェがしゃがみ込んだ。ワンピースの裾が二人の繋がる部分を覆い隠していて、その中で——リチェの手が、ユイニィのおちんちんを掴んでいる。
「こうすれば、ユイニィは動かなくていい。じっとしてて。全部、リチェがやる」
「は、はい……っ」
声が震えた。さっきの射精から少し経って、ユイニィのおちんちんはもう完全に硬く勃ち直していた。リチェのおまんこを間近で見て、指を入れて、あの締め付けを感じて——回復しないわけがなかった。
リチェの手が、亀頭をおまんこの入り口に宛てがった。濡れた粘膜と亀頭の先端が触れ合う。ぬるりとした熱。その感触だけで、腰がびくりと跳ねそうになる。
「力抜いて」
「ぬ、抜いてます……っ」
「抜いてない。ガチガチ」
確かに、全身に力が入っていた。肩も腕も太腿も。初めてだ。今から、本当に——入る。
リチェが、ゆっくりと腰を沈めた。
にゅぷ——っ。
亀頭が、粘膜を押し広げて中に滑り込んでいく。
「あ——」
二人の口から同時に声が漏れた。
ユイニィの側は——圧倒だった。口とは全然違う。さっきのフェラの時とは次元が異なる熱さと圧力が、亀頭のすべてを包み込む。粘膜の襞がうねうねとまとわりついて、先端を奥へ奥へと引きずり込もうとしてくる。温かいのではなく、熱い。内臓の温度が直接伝わってくるような、生々しい熱。
リチェがさらに腰を落とした。竿が半分、三分の二——そして根元まで。
「……入った」
リチェの声は、少しだけ息が上がっていた。
「ユイニィのおちんちん、リチェのおまんこに入ってる」
無邪気に、繋がりを確かめるみたいに。リチェが手を伸ばして、ワンピースの裾をめくり上げた。
「見て。……ここで、繋がってる」
ユイニィは首を持ち上げて、視線を下に向けた。
見えた。
リチェの白い太腿の間で、ユイニィのおちんちんが根元までおまんこに呑み込まれている。割れ目の肉が竿の根元にぴったりと密着して、隙間から透明な愛液がとろりと溢れていた。結合部の粘膜が薄桃色に上気して、竿を締め付けるたびにぷくりと膨らむ。
リチェも、それを見ていた。
二人で、繋がっている部分を、じっと。
子供が虫を観察するような、純粋な好奇心の目。初めて見るものを確かめている顔。リチェの青い瞳に、不思議そうな光が宿っていた。
「ユイニィの顔、変」
「え……っ」
「口、半開き。……目も半開き。……変な顔」
「だ、だって、こんなの——初めてだから——」
「リチェも、こうするの、久しぶり。……ん、じゃあ動くよ」
リチェの腰が、ゆっくりと持ち上がった。
ずるり、と竿が半分ほど抜けていく。粘膜が竿に吸い付いて、一緒にめくれ上がるのが見えた。それからまた——沈む。
にゅちゅ、と粘膜の音が鳴って、亀頭が内壁を擦り上げながら奥へ押し込まれた。
「ん……っ」
リチェの吐息が漏れた。短く、こらえるように。
腰の動きは丁寧だった。速くない。一定のリズムで、上下を繰り返す。しゃがみ騎乗位の姿勢で太腿の筋肉を使って体を持ち上げ、重力に任せて沈める。その繰り返し。
でもただ上下しているだけじゃなかった。
沈み込むたびに——腰が、くい、と前後に揺れる。小さな動き。腰を前に押し出すように角度を変えて、亀頭の先端を内壁の特定の場所に当てている。こする。擦り上げる。ぐりっ、と角度を変えて、また当てる。
「こうやって——」
リチェの息が少し上がっていた。
「魔法陣の線を引くみたいに、一定のリズムで。速さ、変えない」
腰使いの見本だった。
揺れるたびに、ユイニィの亀頭がおまんこの天井のザラザラした場所——さっき指で見つけた、あの場所を、何度も何度も撫でていく。
「お互いの、いちばん気持ちいいとこを擦り合わせる。それがセックス」
教えるように言いながら——リチェの頬が、さっきより明らかに赤い。
「今、亀頭が当たってるとこ——そこがリチェのお気に入り♡」
お気に入り。そう言った瞬間だけ、リチェの唇の端がわずかにゆるんだ。
「ん……っ、ここ、いい♡」
腰の動きが、少しだけ深くなる。沈み込む角度が変わって、亀頭がGスポットを押し潰すように圧迫した。リチェの吐息がふっと乱れて、指先がユイニィの腹の上のシャツを掴む。
「はぁ……っ、ユイニィの、当たってる……♡」
淡々としていた声に、熱が混じり始めていた。息の合間に♡が滲む。膝がユイニィの腰の横できゅっと締まって、太腿の内側が竿の根元を挟み込む。
ユイニィは——もう限界だった。
リチェのおまんこが、気持ちよすぎる。粘膜が亀頭を包んで吸い付いて、上下するたびにぐにゅりと搾られる。カリの段差が膣の入り口を通過する瞬間、きゅうっと締まって——ぬるりと呑み込まれる感触が、下腹を直撃する。
「り、リチェさん……もう、ボク——」
「まだ」
にべもなく、一言で切った。
「そんなんじゃ、女の子を満足させられない」
「でも——っ、無理……っ、気持ちよすぎて——」
「動くの止めない。我慢、我慢」
言いながら——腰を止めなかった。むしろ、少しだけリズムが上がっている。ぬちゅ、ぬちゅ、と結合部が鳴って、愛液がユイニィの腹の上に垂れ落ちた。
「もう? ……ふふ、はやいなあ♡」
余裕のあるからかうような声。リチェの青い瞳が、上からユイニィを見下ろしている。
「リチェはまだ全然なのに。……ざんねん♡」
「っ——ぁあ、だめっ、リチェさん——出る、出る、出ちゃう——っ」
我慢。フェラの時に言われた、あの言葉が頭をよぎった。まだ我慢だ。リチェさんが女の子を満足させてからだ——。ユイニィは奥歯を噛みしめて、下腹に力を込めた。せり上がってくる熱を、押し戻そうと。
でも。
もう遅かった。踏ん張ろうと意識した瞬間には、堰はとっくに決壊しかけていた。締め付けてくる粘膜が、逆に射精を促すように竿を搾り上げる。
止められなかった。
精液が、リチェの奥に向かってどくどくと吐き出された。射精の衝撃で腰が持ち上がって、リチェの体がぽん、と跳ねる。おまんこの中で亀頭がびくびくと脈打って、白濁がリチェの膣壁を汚していく。
「……あ……っ」
リチェの声が、小さく漏れた。中に出された瞬間の感触——熱い精液が子宮口を叩く温度に、一瞬だけ、青い瞳が揺れた。
「……また、ユイニィだけ」
騎乗位のまま、繋がったまま。リチェは見下ろしていた。射精の余韻で痙攣しているユイニィを、淡々と。
「ご、ごめんなさいっ……っ! また、ボクだけ——リチェさんに気持ちよくしてもらって、それなのに——」
「……いい」
不満だった。顔に出さないだけで。またアクメできなかった——二度目のお預け。でも怒らない。
「魔法の練習と同じ。繰り返して慣れる」
そう言って——リチェは腰を持ち上げて、ずるりとおちんちんを引き抜いた。
ぬぷ、と根元まで抜けると、亀頭の先から精液と愛液が混ざった白い液体がとろりと垂れる。リチェのおまんこからも、ユイニィが出した精液がつ、と太腿を伝って流れ落ちた。
「一回でできる子なんて、いないから」
淡々と。突き放さず。でもリチェの太腿は、微かに震えていた。快感の余韻を——飲み込んだ。自分は後回しにして。
◇ ◇ ◇
「今度は、後ろから」
リチェが寝台の上で四つん這いになった。
ワンピースの裾がずり上がって、むき出しの尻が無防備に晒される。小さくて白い尻。華奢な腰骨から丸みを帯びて下に落ちるラインが、魔法燈の薄い光を受けてやわらかく影を作っていた。
「自分で腰を振ってみて。おまんこの感触に慣れる練習」
振り返りもせずに言う。尻だけがこちらを向いていた。
ユイニィは——動けなかった。
リチェの尻の割れ目が、目の前にある。その中心に、さっきまでユイニィの精液を吸い込んでいたおまんこが、ぬらぬらと濡れて覗いている。愛液と精液が混ざった白い液が、割れ目を伝ってぽたりと寝台に落ちた。
そして——その少し上に。
ぴくり、とも動かない小さな窄まり。お尻の穴まで丸見えだった。薄桃色の、きゅっと閉じた——。
「……そんなに見て」
リチェの声がした。振り返っていた。
「リチェのお尻の穴、そんなに珍しい?♡」
からかいの♡。無表情のまま。でもほんの少しだけ——頬が赤い。
「み、見てないですっ……! 見てません!」
「嘘。さっきから凝視してた」
見ていた。否定できない。
でもそのおかげで——ユイニィのおちんちんは、もう完全に屹立していた。二度射精したはずなのに。リチェのおまんこと、お尻の穴と、精液で汚れた太腿を見せつけられて——萎えている暇がなかった。
「ほら。もう硬くなってる。……じゃあ、入れて」
「じ、自分で……?」
「自分で。リチェのおまんこに、おちんちん入れて。後ろから」
手が震えた。おちんちんの根元を掴んで、リチェのおまんこに宛てがう。濡れた粘膜が亀頭の先にぬるりと触れて——角度を探す。リチェが少し腰の位置を下げて、受け入れやすい角度を作ってくれた。
ずぷ、と入った。
「あ……っ」
ユイニィの声が漏れる。騎乗位の時とは、感触が違った。バックの体勢ではおまんこの内壁が亀頭に触れる角度が変わって、竿の下側——裏筋のある面が、膣の手前の壁を擦り上げるように当たる。ザラザラした肉ヒダが、裏筋に沿ってぞりぞりと走った。
「ん……っ」
リチェの肩がぴくりと震えた。
「バックだと、さっきのお豆の奥は突きづらい。代わりに、いちばん奥を突きやすい」
教える声。でも息が少し混じっている。
「奥に、コリコリしたのがあるでしょ。子宮の入り口。そこも、感じる」
「し、子宮……?」
「そう。おちんちんが当たる場所。……腰、動かして」
ユイニィはリチェの尻に両手を添えて、おそるおそる腰を引いた。
ずる、と竿が半分抜ける。粘膜が亀頭にまとわりついて離さない。そのまま——押し込む。
にゅちゅっ。
亀頭が、奥に当たった。硬いものがある。コリッ♥と。子宮口だ。
「っ——」
リチェの背中が、小さく跳ねた。
「わかる? 奥が、吸い付いてくる感じ」
分かる。子宮口が亀頭の先端に触れた瞬間——きゅぷ、と吸盤みたいに吸い付いてきた。粘膜が亀頭の頭を包み込むように窄まって、引き込もうとする。
その感触が、あまりにも強烈で。
「うっ——」
腰が止まった。
動けない。動いたら、出る。引き抜こうとすれば裏筋をザラザラの肉ヒダが擦り上げて、押し込めば子宮口が亀頭を呑み込もうとする。どちらに動いても、快感が脊髄を直撃する。童貞卒業したてのおちんちんには刺激が強すぎた。
「止まるな」
リチェの声が、鋭くなった。
「気持ちいいからって止まってたら、いつまでも半人前」
「で、でも——出ちゃ——」
「ユイニィが気持ちいいのは、後。女が先」
冷たいくらいの正論だった。
ユイニィは唇を噛んだ。前髪の奥で目を瞑って、精液がせり上がってくるのを必死に押し戻す。腹に力を入れる。歯を食いしばる。リチェのお尻にしがみつくように両手を回して——震える腰を、また動かし始めた。
ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ。
ぎこちない。リズムも深さもバラバラで、腰の振り方は稚拙そのものだった。でも止まらない。止めない。リチェさんを気持ちよくするまでは——止めちゃだめだ。
「そのまま。おちんちんの裏側を、ザラザラの上で滑らせる感じ」
リチェの指導が途切れ途切れに続く。教えながら、リチェ自身も感じていた。ユイニィの亀頭が子宮口をこつこつと突くたびに、白い背中がびくりと震える。
「ん……っ、そこ、奥……♡」
声が漏れた。淡々としていたリチェの声に、快感が滲む。
「はぁ……っ、いい。奥、当たってる♡」
もっと聞きたい。もっとリチェさんのこういう声が聞きたい——。
でも、もう限界だった。
「リチェさん——出ちゃう、もうだめ——っ」
「……しょうがない」
リチェが息をついた。諦めと——かすかな落胆。でも、声は柔らかかった。
「一番奥に先っぽをくっつけて、そこで出して」
「え——奥に、ですか……?」
「奥で出されるの……リチェ、嫌いじゃない♡」
本音が、ぽろりと漏れた。嫌いじゃない。嫌いじゃない、は——好き、の裏返しだ。リチェの言い方で。
ユイニィは、最後の力を振り絞って腰を突き出した。
亀頭が子宮口にかぷりと押し当てられて——。
びゅくっ、びゅく、びゅくっ——。
精液が、リチェの子宮口を直撃した。
「……っ、ぁ……」
リチェの背中が小さく仰け反る。精液の熱が子宮口を叩く感触に、指が寝台のシーツを掴んだ。白い指の関節が浮き上がるほど、強く。
射精の痙攣で、ユイニィの腰がびくびくと震える。おちんちんを奥に押し込んだまま、全身が硬直していた。出している。リチェさんの、いちばん奥に——。
「射精したからって、腰を止めない」
リチェの声が、背中越しに飛んできた。
「え——っ?」
「最後まで、扱き出す。残ってるの、全部」
「で、でもボク、もう出して——」
「止めない」
一言。有無を言わせない声。先生の声だ。
ユイニィは目を白黒させた。射精の直後だ。おちんちんは敏感の極みで、少し動かしただけで電気が走るように全身が跳ねる。でもリチェが止めるなと言っている。止めちゃいけない。
震える腰を——もう一度、動かした。
ぬちゅ……ぬちゅ……。
最初は、震えているのかピストンしているのか分からないくらいだった。腰がガクガクと痙攣しながら、ほんの数ミリずつ前後に揺れている。亀頭が過敏になりすぎていて、粘膜に触れるたびに腰が引ける。でも引いた分だけまた押し込む。
ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅっ——。
一分も経てば、そこそこ様になってきた。射精直後の過敏さが少しずつ引いて、腰の動きにリズムが戻る。リチェの膣の中に残った精液が、ピストンのたびにぐちゅぐちゅと泡立って、結合部から白い泡になって溢れ出した。尿道に残っていた精液の残りが、リチェのおまんこの中に絞り出されていく。
「……うん」
リチェが振り返った。
少しだけ——ほんの少しだけ、満足げな顔をしていた。唇の端が、わずかに上がっている。
「よくできた」
「ほ、ほんとですか……?」
「さっきより、ちょっと様になってた」
それだけ言って、リチェは前を向き直した。
褒めてくれた。リチェさんが。ユイニィの胸の奥で、小さな灯りがぽっと点いた。
でも——リチェは、まだアクメできていない。三度目のお預け。その不満を、リチェは飲み込んだ。飲み込んで、黙って。
ぬぷ、とおちんちんが抜ける。精液まみれの亀頭が、リチェのおまんこから滑り落ちた。
ユイニィは自分のおちんちんを見下ろした。さっきまで張り詰めていたそれが、三度の射精を終えてぐったりと萎えかけている。
「……ボク、もう勃たないかも」
情けなさが、ずしりと胸にのしかかる。リチェさんは一度もイけてないのに。ボクだけ三回も出して。それなのに、もう勃たないなんて——。
「自分だけイって、情けない……リチェさんに何もできてないのに……」
前髪をいじる指が、いつもより速く動いていた。目の奥が、じわりと熱い。
リチェが体を起こして、振り返った。
「まだできる」
短い。けれど、確かな声。
「ユイニィが決めることじゃない。勃つか勃たないか、リチェが決める」
そう言って——リチェは、ユイニィの前にしゃがみ込んだ。
萎えかけのおちんちんが、目の前にぶら下がっている。精液と愛液でべとべとに汚れて、亀頭が赤く上気したまま、力なく垂れていた。
リチェは、それを——口に含んだ。
ちゅぷ、と。
「っ……リチェさん、だめ——汚いです——」
汚い。リチェさんのおまんこの中を二度もかき回した後のおちんちんだ。精液も愛液もこびりついている。なのにリチェは眉ひとつ動かさず、柔らかくなった竿を根元まで口の中に収めた。
萎えた状態だから、ぜんぶ入る。頬の内側のやわらかい粘膜が竿を包み込んで、舌がのっそりと亀頭の上を這った。
「ん……ちゅ、れろ……」
お掃除フェラ。汚れを舐め取るように、丁寧に。舌先が亀頭の裏筋をなぞり、カリの段差にこびりついた精液の塊を舐め取る。竿の側面を唇で挟んで、ちゅう、と吸い上げる。べとべとだった表面が、唾液で濯がれて少しずつ綺麗になっていった。
ちゅぽ、と口を離して——リチェは、舌の上に残った白濁を見下ろした。
「……べとべと」
感想が、子供みたいに素直だった。
「ユイニィの精子と、リチェの味。混ざってる」
「っ——そ、そんなこと言わないでください……っ」
「変な味。……でも、嫌いじゃない♡」
ユイニィの下腹に、ぴくり、と反応が走った。
リチェはそれを見逃さなかった。
再び口に含む。今度は舌の動きが変わった。お掃除の丁寧さから——先生の本気に。
ちゅぷっ♡ じゅる……にゅる、ちゅるるっ♡
舌が竿に巻きつくように這い回る。頬がきゅっと窄まって、陰圧がかかった。萎えていた竿を、口の中でしごくように、舌と頬と唇が三方向から同時に圧迫する。先端のスリットを舌先がこりこりと穿って、唇の間から溢れた唾液が竿を伝い落ちた。
「ほら。……もう固くなった。ユイニィの体、正直♡」
口を離して、リチェが囁いた。掌の中で、さっきまで萎えていたおちんちんが——じわりと熱を取り戻し始めている。血が巡って、芯の部分から少しずつ硬さが戻ってくる。
「口でされるの、好きでしょ。男の子だもんね♡」
からかうように。でも手は止めない。唾液でぬめった掌が竿の根元を握って、ゆっくりと上下する。親指の腹が裏筋を撫で上げるたびに、おちんちんがびくりと脈打った。
リチェが亀頭を唇で挟んだ。上目遣いで——水色の長い睫毛の下から、青い瞳がユイニィを見上げる。
「んっ……ちゅ♡」
先端にキスするように吸い付いて、ゆっくりと離す。唇と亀頭の間に唾液の糸が架かった。
「ほら、また大きくなってきた♡」
リチェの口と手に導かれて、おちんちんは三度の射精の前と変わらないくらいに硬く、熱く屹立していた。
リチェが口を離した。唾液でてらてらと光る唇を、軽く舌で拭う。
「ね。やればできる。勝手に諦めないで」
♡はなかった。真面目な声。
「魔法と同じ。無理って決めつけるの、いちばんだめ」
——ユイニィはユイニィのままでできる。
何度目だろう。その言葉が、形を変えて繰り返される。魔法の時も。フェラの時も。騎乗位の時も。バックの時も。そして今も。リチェは一度もユイニィを否定しなかった。一度も「無理」とは言わなかった。
だから——ユイニィも、もう言わないと決めた。
「……はい」
小さく、でもはっきりと頷いた。前髪の奥で——瞳が、少しだけ変わっていた。
◇ ◇ ◇
「最後は——向かい合って。顔、見ながら」
リチェが仰向けに寝転がった。水色の長い髪が枕の上に扇のように広がって、ワンピースの裾が太腿の付け根まで捲り上がっている。その間に覗くおまんこは、ここまでの行為で愛液と精液に濡れそぼって、粘膜がぬらぬらと赤みを帯びていた。
ユイニィは、リチェの上に覆い被さった。
近い。こんなに近くでリチェの顔を見るのは——初めてかもしれなかった。
白い肌。薄い眉。眠たげに伏せられた青い瞳。前髪がぱっつんと額にかかっていて、その下の瞳が、ユイニィの顔をまっすぐに映している。
「な、なんで……正面から、なんですか」
「……なんとなく。深い意味ない」
リチェが、ふいと目をそらした。
頬が——赤い。今までで、いちばん赤い。なんとなく、と言ったけれど——それが照れ隠しなのは、どんなに鈍いユイニィにも分かった。
顔を見ながらしたい。それは——先生と生徒の関係から、ほんの半歩だけはみ出した言葉だ。
「……入れるよ」
「は、はい……」
亀頭をおまんこに宛てがって——ずぷり、と沈めた。
「ん……っ」
リチェの唇から声が漏れる。バックでも届かなかった深さまで——竿の根元がリチェの割れ目に密着するまで、一息に呑み込まれた。
「この体位、いちばん深く入る」
息が混じった声で、リチェが呟いた。ユイニィの顔を見上げながら。
「ユイニィの顔、よく見える。……変な顔」
「へ、変って——」
「嘘。……変じゃない」
小さく。ほとんど聞こえないくらいの声で。リチェは目をそらしたまま、それだけ言った。
「さっき教えた場所、覚えてる? ザラザラの所と、いちばん奥。両方」
「は、はい……」
「浅く突いてから、奥まで。交互に」
ユイニィは腰を引いた。亀頭が膣口の手前まで戻る——そこから浅く、ちょん、と突く。亀頭がGスポットのざらついた壁に当たった。
「ん……っ、そこ」
リチェの眉が寄る。
次は深く。腰を沈めて、奥まで——子宮口にこつんと当たる。
「っ……奥、いい……」
浅く。深く。浅く。深く。Gスポットを撫でてから、子宮口を突く。さっきまで別々に教わった二つの場所を、交互に——。
「丁寧に。魔法陣を描くみたいに、雑にしない」
リチェが、息の合間に言った。
「線が乱れたら、魔法は発動しない。セックスも同じ」
ユイニィは歯を食いしばって、リズムを守った。浅く、深く。浅く、深く。一定の速さで。丁寧に。亀頭が膣の天井を撫でる角度を意識して、子宮口を突く深さを調節して。
繰り返すうちに——腰が覚え始めていた。
体が、少しずつ分かってきている。ここで角度を変えればリチェの中が締まる。ここで深く突けば背中が震える。ここで浅く止めれば息が漏れる。リチェの体が、ユイニィの動きに応えている。
「……うん。いい感じ」
リチェが、目を細めた。
「ちゃんと、セックスできてきてる」
「ほ、ほんとですか……?」
「さっきまでと全然ちがう。ユイニィ、上手くなった」
上手くなった。その言葉が——射精の快感よりも、ずっと胸に響いた。
リチェのおまんこが、ユイニィのおちんちんで感じている。腰を動かすたびに、リチェの吐息が変わる。表情が変わる。淡々としていた青い瞳に、快感の揺らぎが灯り始めている。
ボクの動きで——リチェさんが、気持ちよくなってくれている。
自信。その言葉の意味を、ユイニィは初めて体で理解した。
そして——リチェの体にも、変化が起きていた。
吐息が深くなっている。浅く突いてGスポットを撫でるたびに太腿が震えて、深く突いて子宮口を押すたびに腰が浮く。おまんこの締め付けが、さっきまでより明らかにきつくなっていた。粘膜が亀頭にまとわりついて、抜こうとすると引き留めるように吸い付いてくる。
リチェの目が——潤んでいた。青い瞳に薄い膜が張って、快感をこらえるように睫毛が震えている。
「……もうすぐ、リチェもイく」
途切れ途切れの声だった。淡々とした口調を保とうとして——保ちきれなくなり始めている。息が混じる。言葉の切れ目が長くなる。
「だから、今のうちに言っておく」
腰を動かしながら聞く。ユイニィの腰は、もう止まらない。浅く、深く、浅く、深く——リチェの体が教えてくれるリズムに乗って、腰が自分で覚えた動きを繰り返している。
「リチェがイっても——すぐ出さないで」
「え……?」
「五秒だけ。そのまま突いて」
ユイニィの腰が、一瞬だけ乱れた。
「が、我慢……? リチェさんがイく時に、ボクは出しちゃだめなんですか——」
「だめ」
短く。でも声が震えていた。リチェも限界が近い。教えなきゃいけないことを、快感が押し流そうとしている。
「イき始めの、その数秒を追撃されると——」
ぬちゅ、とユイニィの腰が深く沈んだ。亀頭が子宮口を押す。リチェの腹筋がびくりと引き攣って、言葉が途切れた。
「——っ、ん……いちばん深く、長くイける」
息を整え直して、続ける。
「リチェ、それが好きなの」
好き。リチェが自分の好みを口にした。教えるため、ではなく。自分のために。
「だから、そこ我慢して。いちばん大事なとこだから」
我慢。フェラの時に知った、あの言葉。あの時は意味も分からず暴発した。騎乗位でもバックでも、結局耐えられなかった。
でも今は——分かる。
リチェさんをいちばん気持ちよくするために、ボクが我慢する。
「……やります」
声が——震えていなかった。前髪の奥の瞳が、まっすぐにリチェを見ていた。
「ボク、我慢します。リチェさんが、いちばん気持ちよくなれるように」
リチェの青い瞳が、一瞬だけ——大きく見開かれた。何か言いかけて、唇が動いて——でも言葉にはならなかった。代わりに、視線をふいとそらして。
「……じゃあ、もっと速くして」
それだけ。
ユイニィは腰のリズムを上げた。
浅く、深く——の往復が速くなる。Gスポットを擦ってすぐに子宮口を突く。引いて、沈めて、擦って、突いて。リチェのおまんこが締め付けを強めるのに合わせて、ユイニィの腰も力を増していく。
ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅっ——ぐちゅ、ぬちゅっ。
結合部から愛液が溢れ出して、二人の恥毛を濡らした。水音が部屋に響く。リチェの吐息がどんどん短くなっていく。
「ん……っ、はぁっ……そこ……いい……」
声が高くなり始めていた。リチェの普段の声は低く平坦だ。それが——快感に押し上げられて、少しずつ高さを増している。無意識に。
「あっ……ん、ユイニィ……そこ、そこ……っ」
リチェの手が伸びた。ユイニィの背中にしがみつく。細い指がシャツの布を掴んで、爪が食い込んだ。
「っ——きた!」
リチェの全身が、ぴくりと震えた。
「……っ、きた!リチェも、イく……♡」
声が跳ねた。淡々を保とうとする最後の砦が崩れ始める。
「もう、ダメ——止まらない……♡」
おまんこの中が、激変した。
膣壁がぐにゅうっと亀頭に噛み付いて、粘膜の襞が波打つように収縮を始める。きゅう、きゅう、と律動的に締め上げてくる。精液を搾り取ろうとするみたいに——子宮口が、震えながら下がってきた。
降りてくる。リチェの子宮が、ユイニィの亀頭を迎えに来ている。
かぷっ♥——と。子宮口が亀頭の先に被さった。口づけるように咥えついて、吸い込もうとする。
「ぅ——っぁああ——っ!」
ユイニィの喉から、声にならない声が漏れた。
今までのどの瞬間より強い快感が、亀頭から脊椎を駆け上がった。子宮口が亀頭を呑み込む感触。吸い付いて、離さない。膣壁がびくびくと痙攣しながら竿を締め上げて、その奥で子宮口がくちゅくちゅと亀頭の先を嬲っている。
出る。出る。出してしまう——。
精液が尿道をせり上がってくる。下腹が引き攣って、射精の引き金に指がかかった。
——だめだ。
まだだ。リチェさんが言ったんだ。五秒だけ。イき始めの数秒を追撃されると、いちばん深く長くイける。リチェさんが、それが好きだと言ったんだ。
ユイニィは——歯を食いしばった。
腹筋が引き攣る。太腿が震える。射精の衝動が津波みたいに全身を突き上げてくるのを、全力で押し返す。出すな。まだ出すな。リチェさんのために。
腰を——止めなかった。
ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ——。
アクメの最中のリチェのおまんこに、ユイニィは腰を振り続けた。痙攣する膣壁を亀頭がかき分けて、締め上げてくる粘膜を押し戻しながら、Gスポットを擦り、子宮口を突く。
「……っ、く……ぁ——!」
リチェの無表情が——崩れた。
頭が後ろに仰け反って、白い喉が晒される。枕の上で水色の髪が散乱して、閉じていた唇が大きく開いた。眉が歪んで、目尻に涙の粒が浮かぶ。
リチェが。あの、何を考えているか分からないクールな顔の——リチェが。
「イく、イっちゃう……っ♡♡」
声が、高く跳ねた。
普段のリチェからは想像もできない、素の——高くて、細くて、こらえきれずに漏れ出した声。品のある喉が震えて、その隙間から快感だけが押し出されてくる。
「あ……っ、ぁあ……っ♡♡ ん、あ……っ、そこ……奥、きてる……♡」
おまんこの中が痙攣している。膣壁がぶるぶると震えながら亀頭に吸い付いて、子宮口がかぷかぷと亀頭を咥え直す。リチェの腰が寝台の上で跳ねて、背中が浮き上がった。細い脚がユイニィの腰に巻きついて、足首がぎゅっと交差する。
リチェの足が、ユイニィの腰を挟み込んで離さない。
「あ……っ、来た……♡ リチェの、奥——ユイニィに、吸い付いてる……♡♡」
吸い付いている。子宮口が亀頭を呑み込んだまま、ぐにゅぐにゅと蠕動して精液を求めている。まだ射精しない亀頭を、子宮が——搾ろうとしている。
五秒。
数えた。一、二、三、四——。
もう限界だった。
「リチェさん——出しても、いいですか——」
「今! 出して、出して……っ♡♡」
許可が降りた瞬間——堰が切れた。
びゅくっ、びゅくっ、びゅくっ、びゅくうっ——。
今までで、いちばん激しい射精だった。
我慢した分だけ、精液がとんでもない勢いで噴き出す。子宮口が亀頭を咥え込んだまま離さないから、精液は逃げ場なくリチェの子宮の中に直接注ぎ込まれていく。どくどくと脈打つ亀頭が、子宮口の中で痙攣しながら白濁を吐き出し続ける。
「……あ……っ、熱い……♡ 中、いっぱい……出てる……♡♡」
リチェの声が——溶けていた。
淡々でも、からかいでもない。快感に浸された、とろけた声。精液の熱が子宮を満たしていく感触に、リチェの全身がびくびくと震えている。足がユイニィの腰をきつく締め上げて、二人の股間が押し付け合うように密着した。
射精が止まらない。ユイニィの腰がびくんびくんと痙攣するたびに、精液が子宮の奥に送り込まれていく。リチェのおまんこの中が白濁で満たされて、結合部の隙間から逆流した精液が太腿を伝い落ちた。
長い。長い射精だった。
ようやく最後の一滴を搾り出して——ユイニィの体が、がくりと力を失った。
「はぁ……っ、はぁ……っ……」
荒い息。額から汗が滴り落ちて、リチェの鎖骨に落ちた。腕が震えて、リチェの上に覆い被さったまま崩れ落ちそうになる。
チンポを抜こうとした。
「……だめ」
リチェの足が、ユイニィの腰を挟んだまま離さない。
「リチェまだ、アクメしてる……♡ 抜かないで」
「え……まだ——?」
「もうちょっと……このまま、いさせて……♡」
リチェのおまんこの中で、余韻の痙攣がまだ続いていた。膣壁がひくひくと竿を締め付けて、子宮口が亀頭をくちゅくちゅと嬲り続けている。射精を終えたおちんちんが、その痙攣に揉まれてびくびくと跳ねた。
長い。リチェのアクメが、まだ終わらない。
ユイニィはおちんちんを挿したまま、リチェの中で——じっと待った。リチェの体が震えるのを、全身で感じながら。おまんこが亀頭を搾る律動が、少しずつ——少しずつ、ゆっくりと、静まっていくのを。
リチェの足の力が、ようやく緩んだ。
青い瞳が——焦点を取り戻して、ユイニィの顔を映した。
「……最長記録」
かすれた声。息が整っていない。頬は真っ赤で、額に汗が滲んでいる。いつもの無表情は跡形もなく崩れていて——でもそこにあるのは、深い満足だった。
「今の、すごくよかった」
そう言って——リチェは、ほんの一瞬だけ微笑んだ。口角がわずかに持ち上がって、目尻が少しだけ下がる。リチェの笑顔を、ユイニィは初めて見た。
「自信、持っていい。これやられたら——たぶん、どんな女の子も、ユイニィのこと好きになる」
ユイニィの目の奥が、じわりと熱くなった。泣きそうだ。嬉しくて。
「……たぶん、リチェも……」
小声だった。ほとんど吐息みたいな——消え入りそうな声。
「え? リチェさん、今なんて——」
聞き返した。
リチェの手が——ユイニィの後頭部に回った。ぐい、と引き寄せられて。
唇が、塞がれた。
ちゅ、と。
柔らかい。温かい。リチェの唇は薄くて、少しだけしょっぱい味がした。汗の味だ。目を閉じたリチェの睫毛が、ユイニィの頬をくすぐった。
キス。リチェが——キスで、口を塞いだ。
聞かれたくなかったのだ。今の言葉を。
上と下——二つの口で繋がったまま、しばらく。部屋には二人の呼吸だけが満ちていた。窓の外で、森の木々が風に揺れている。魔法燈の光が、絡み合う二人の影を壁に落としていた。
◇ ◇ ◇
どれくらい経っただろう。
おちんちんを抜いて、二人は寝台の上に並んで寝転がっていた。リチェのおまんこから、ユイニィの精液がとろとろと流れ出して、シーツに染みを広げている。リチェはそれを気にする様子もなく、天井を見上げていた。汗が引いて、呼吸が落ち着いて——でも頬の赤みだけは、まだ残っている。
ユイニィも天井を見ていた。心臓がまだ少し速い。全身が心地よく疲れていて、指の先まで力が抜けている。
「少しは、自信ついた?」
リチェの声は、もう淡々に戻っていた。先生の声。さっきまで♡♡を漏らして喉を晒していたのが嘘みたいに。
「……はい」
ユイニィは頷いた。小さく。でも——確かに。
「リチェさんのおかげです。ボク、何も知らなくて——リチェさんが全部教えてくれたから」
「お礼はいい。ユイニィが頑張っただけ」
短い。いつもの、それだけ。
沈黙が落ちた。穏やかな沈黙だった。窓の外の森が風に鳴っている。魔法燈の光が、天井の古い梁をぼんやり照らしていた。
「でも——」
リチェが、不意に口を開いた。
「まだまだダメ」
「え……っ」
ユイニィが首を巡らせると、リチェが横を向いていた。青い瞳が、いつもの眠たげな半開きに戻っている——けれど、その奥に。
いたずらの火が、ちろりと灯っていた。
「一人前には、遠い」
「と、遠い……? さっき、自信持っていいって——」
「持っていい。でも、足りない」
リチェが体を起こした。ワンピースの裾がはだけたまま、あぐらをかくみたいに膝を開いて、ユイニィの方を向く。
「アクメの瞬間に、手でお豆と乳首も触って、口でキスして、舌も吸えたら——もっと深く、長くイけた」
「……は?」
「同時に四つ。できる?」
ユイニィは絶句した。今の自分に必死で腰を振るだけで精一杯だったのに——同時に四つ。クリトリスを触って、乳首を触って、キスして、舌を吸う。それを、腰を動かしながら。
「そ、そんなのボクには無理ですよ……っ! 手が二本しかないのに、お豆と乳首と——いやそもそもキスしながら舌を——そんな同時に——」
「諦めるの、いちばんだめ」
リチェが言った。芯の通った声。
「練習すれば、できる」
——ユイニィはユイニィのままでできる。
また、あの言葉だ。何度でも。形を変えて、でも芯はいつも同じ。
ユイニィは前髪の奥で唇を噛んだ。無理だ。どう考えても無理だ。同時に四つなんて。
でも——リチェさんが言うなら。
「……が、頑張ります」
「うん」
リチェが頷いた。
それから——しばしの沈黙。
リチェの指が、自分のワンピースの裾をつまんだ。ゆっくりと持ち上げていく。太腿が露わになって、その奥——精液でべとべとに汚れたおまんこが、覗いた。
白濁がとろりと割れ目を伝い落ちている。粘膜が上気して赤く染まったまま、ぬらぬらと光っている。さっきまでユイニィのおちんちんが入っていた場所。四度の精液を受け止めた場所。
「……また練習、してみる?♡」
股を広げて。精液まみれのおまんこを見せつけながら。
リチェの唇が——にぃ、と笑った。
口角がはっきりと持ち上がって、目が細くなる。いたずらっ子の顔。子供っぽくて、無邪気で、それなのにどうしようもなく——色っぽかった。
ユイニィは呆気にとられた。さっきまで泣きそうなくらい感動していたのに。先生として厳しくて優しかったリチェが、今はただの——いたずら好きな女の子になっている。
言葉が出てこなかった。
代わりに——おちんちんが答えた。
四度の射精を終えたはずのそれが、むくむくと頭を持ち上げて、硬さを取り戻していく。
「……ふーん。体は、やる気♡」
リチェが、屹立を見下ろして言った。
「じゃあ、続き。今度は、四つ全部ね♡」
「よ、四つ全部——っ!? い、いきなり——」
「いきなり。本番は、いつもいきなり」
言いながらリチェは仰向けに倒れ込んで、膝を広げた。腕を伸ばして——ユイニィの手首を、ぐい、と引き寄せる。
引き寄せられて、覆い被さって、また繋がる。精液でぬるぬるのおまんこが、勃ち上がったおちんちんを迎え入れる準備をしていた。
ユイニィは——笑った。泣きそうな顔のまま、でも笑った。
無理だと思う。同時に四つなんて、絶対に。
でも。
「……やります。リチェさんに、一人前だって——認めてもらえるまで」
「うん。それでいい」
リチェの青い瞳が、ユイニィの顔をまっすぐに映していた。
若い二人のエッチな練習は——まだまだ、終わりそうになかった。