※この作品はR-18です。

天然ドSな彼女に抱かれ続けた結果、色々あって一緒に暮らすことになりました。   作:桃ノ木ネネコ

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第10話:双子の女王様(その3)

「あの松葉姉妹、おたくの大学に入学してたっスね、そういえば。」

翌日、バイト先の喫茶店でユキヤは浅葱から姉妹の事を聞かれた。

「え?!知ってるんですか?」

ユキヤは驚いて聞き返した。

 

「そりゃもう、そっち界隈では有名な姉妹っスから。」

「どんな感じなんですか?」

「ま、一言で言うなら「凄腕調教師」っスかね。」

「ち、調教って……」

ユキヤは少し引いてしまった。

 

「彼女らに預ければ、誰であれ短期間で優秀かつ従順な奴隷として

仕立て上げられると評判っス」

「へ、へぇ……そうなんだ……

って二人ともまだ子供じゃないですか!」

ユキヤは驚きを隠せない。色々とついていけない世界の住人のようだ。

「松葉家の女性は代々、そういった訓練を受けるって聞いたっス」

 

「そ、そうなんですか……」

ユキヤにはますます謎が深まるばかりだった。

「そのおかげで、あの家はお偉いさんにも

相当顔が利いているらしいっスよ」

「そ、そんなもんなんですか?……」

もうますます訳が分からない。

 

「まぁ、あの年齢で調教まで出来てしまうのは、相当な才能っスが……」

浅葱は感心するように言った。

「……俺、最近その双子によく声を掛けられるんですよ」

ユキヤは最近あったことを思い出して言ってみた。

 

「ほぉ、それは目を付けられたかもしれないっスね」

「えっ、どういうことですか?」

ユキヤは少し不安になった。

「実は、最近になってスキンヘッドが流行っているっスよね。

それが、彼女たちの仕業っスよ。」

「えっ、まさか!?」

ユキヤは驚いた。

「多分、『スカウト』って奴っすね。あの二人手が空くと、

自分たちで育てた奴隷を売り出したりするっスから。

恐らくめぼしい候補を探しているんじゃないかと思うっス」

「えっ?待ってください!それじゃ人身売買じゃないですか?!」

ユキヤは慌てたように言う。

 

「んー、厳密に言えば違うっスけど、そういう側面もあるっス。

それに、彼女らは別に人を『売る』わけじゃないっスから。

名目上、松葉家で運営している事務所に所属させて、

一種の『派遣社員』として派遣するという形をとってるっス」

「あー……それで派遣先で派遣社員が正社員になるなんて

珍しい事じゃないから……」

ユキヤは納得してしまった。

 

「まぁ、要するに彼女らを始めとする一族の人間が、

目にかなう人材をスカウト・育成して、

それを松葉家で売り出しているという感じっスね。

名目上は、本人の意思で辞めたり、

他の仕事に転職したりもできるっス」

「な、なるほど……」

ユキヤはやっと理解できた。

 

「なんか大掛かりなんですね……」

裏社会で行われてる一族ぐるみでやっている奴隷の斡旋……

まるでフィクションの世界だ。

 

「まぁ世の中色々あるっスよ。無理にわかる必要もないっス。

もっとも、彼女らのメインはあくまで依頼調教なんで、

そっちの方は大っぴらにやってないみたいっスが」

浅葱はそう言いながら、巨大パフェを口に運んでいた。

 

「じゃあ、今学校で坊主が増えてるのは……」

「ま、十中八九、例の姉妹が候補をマーキングしてるっスね」

「マーキング?」

「あの姉妹、調教の時には何故か相手の髪を没収する

習慣があるらしいっス」

「そっか……しかし悪趣味ですね。」

ユキヤはなんだか複雑な気分だった。

 

「でも俺声はかけられてるけど、何もされてませんけど?」

「まー、ユキヤ君にはもうすみれちゃんがいるっスからね。

基本他人のモノは無理に奪ったりはしないっス。」

「なるほど……」

そういう界隈でも、どうやら一定のルールはあるらしい。

 

「……って待ってください!俺、

あいつの所有物扱いなんですか?!」

うすうすは感じていたが、こうも具体的に言われると

流石にショックのようだ。

「すみれちゃんにあちこちいいいように開発されちゃってるのに

何を今更ほざいてるっスか?」

浅葱が呆れたような口調で言った。

「いやまぁ、確かにそうなんですが……」

これについては残念ながら否定はできない。

 

「ま、そういったルールがある以上、

変な真似はされないかなと思うっスよ」

「……でも気が付いたら裸で縛られてた……

なんて展開はゴメンですよ。」

「それ……日本でやったら明確な犯罪行為っスよ……」

浅葱はますます呆れて言った。

 

「でもあの二人の家が権力者と通じてるなら、

ちょっとやそっとの犯罪ぐらい、

いくらでももみ消したり出来ませんか?」

「それはテレビの見過ぎっス……」

ユキヤは真面目に聞いているのだが、浅葱は呆れ果てる……。

 

「……そんな面倒なことするぐらいなら

もっと正攻法で来ると思うっスよ。

その方が手間もかからないっス。」

「まぁ……それもそうですね」

言われてみるとその通りかもしれない。

 

「そうそう、私が君に近付いた時みたいにっスね。」

「……巨大パフェをおかわりするのが正攻法なんですか?!」

「少なくとも、こうやって君と雑談できる仲にはなったっスよ」

浅葱はほくそ笑む。「……まぁ、確かにそれは事実ですが」

ユキヤは苦笑いした。

 

***

 

「あ、あのね!松葉さんたちにお茶会に誘われたんだけど……」

ユキヤはバイトから帰るなり、ずっこける報告をすみれからされる。

確かにこれ以上はないほどの正攻法だった……。

「ちょっと、何帰ってくるなり脱力してるの?」

すみれが不思議そうに訊く。

「いや、何でもない……。」

ユキヤはため息をつくしかなかった。

(よりよってこんなド直球ストレートな正攻法で来るとは……)

 

「な、なんでそんなことに……?!」

ユキヤはクラクラする頭を抱えながら聞いた。

「ええとね、大学の休憩室で立ち話してたら、

何となくそんなことになったような……」

「なんとなくの立ち話で、たいして面識のない奴らの

招待を受けたんかい!!」

思わずツッコミを入れてしまうユキヤ。

 

「で、でも悪い人たちじゃなさそうだし……」

「それは分かるが……」

すみれの言うことも一理あるが、何か釈然としないユキヤ。

 

「それに、なんか面白そうじゃない?」

いや、確かに面白いかもしれないが、中身はお前以上だぞ……

と言いたいのをぐっと堪え

「てか、あの子たちとどんな話してたんだよ……」

「お互い共通の趣味についてかなー」

「……共通の趣味?」

ユキヤは嫌な予感しかしなかった。

 

「うん。私とユキちゃんのプレイとかかな」

すみれは平然と言う。「はあっ!?」

「だって私たち恋人同士だし、『そういうことするのは普通ですわよ』

って言われて……」

「……話したのかよ……」

ユキヤはうなだれた。

「話したというか……知ってたというか」

「……は?」

(やっぱり知ってたか……!)

姉妹の底知れなさにユキヤは身震いする。

 

「あ、でもそこまであからさま事は話してないから!」

「当たり前だ!!」

事情を知らないとはいえ、すみれの呑気さに

ユキヤは呆れつつツッコんだ。

 

【挿絵表示】

 

 

「……てかあいつらには関わらない方がいい。ハゲにされても知らんぞ。」

「え?何言ってるの?」

すみれはきょとんとする。

「……と、とにかく俺は行かないからな!」

苦々しい顔でユキヤは言った。

「えー『彼氏さんも一緒にいかがですの?』って誘われたのに……」

すみれが残念そうに言う。

「余計に行かんわ!!というか、いつの間に連絡先交換したんだ……」

「ついさっきだけど……」

「おい!」

と、行かないことを強調していたユキヤだったが、

ここで嫌な考えが頭をよぎる。

 

(浅葱さんの話を聞くに、あの双子の狙いはこの俺だ……。

だからこそ一番身近にいたすみれに話を持っていったんだろう。

もし俺がこの誘いを断ったら、奴らはまたすみれに何かするか……

或いはもっと酷い事を……)

ユキヤは険しい顔で黙り込んだ。

 

自分はともかくすみれに何かされるのは

何としても避けなくてはいけない。

 

「……どうしたの?」

すみれが心配そうに顔を覗き込む。

「……分かった行く。」

「本当!?よかったぁ~……でもどうしたの急に?」

すみれは嬉しくも不思議そうな顔になる。

「……気が変わっただけだよ。」

「そっか、ありがとうユキちゃん!」

すみれは満面の笑みを浮かべる。その笑顔を見てユキヤは胸を撫で下ろした。

「なぁ、すみれ」

「何?」

「俺がハゲても嫌いにならないでくれよ……」

「……だから何言ってるの?」

すみれが怪しむような目を向ける。

「いや、なんでもねぇよ」

ユキヤはごまかすように笑う。

 

(ハゲるのは嫌だが、すみれを守る為なら仕方がない。

ハゲになっても、ずっと愛してくれるよな?すみれ……)

ユキヤは少しだけ身を投げ出す覚悟をしていた。

 

つづく

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