見ればわかるけど、次回はエロいです。
◇
これでも、最後の一線というものを俺たちは意識していたはずだった。
誰に言い訳するでもないし、誰かに話すような内容でないことも確かだ。それでも、最期の一線と言える部分に関しては忠実に守っていて、互いがその手前で快楽を味わうだけを繰り返していた。
歳を経るたびに自分たちがしていたことには理解が及ぶ。それでも日常になっているから、それをやめるようなことはしない。ただ、それでもセックスに及ぶことにだけは抵抗があった。それは性知識というものがゼロだったとしても、無意識に躊躇っていた。
そして、その意味合いを知ってからもそれはなお続く。端的に理由は簡単だ、その行為をしてしまえば子供ができてしまうから。
子どもができてしまう? 姉と弟で? 好きな人同士でもないのに?
いろいろな好奇心でドラマのようにキスをしたことはある。父親が隠していたアダルトビデオを見て、互いにそれを口に含むようにしたこともある。裸になって観察して、それでその手前まではやった。それでも、好き同士でもないのに子作りといえるセックスをするのは違う。そんなんだから、互いに愛撫だけを繰り返して、本番と言えるそれだけは絶対にやろうとしなかった。
◇
幼馴染と他愛のないことを会話しながら帰宅していく。会話の内容は覚えていない、ただ、なんとなく恋愛関係のことを話していたような記憶はある。
好きな人は誰? と聞かれて、ぼんやりと頭の中に思い浮かんだ存在はいた。ただ、それを思い浮かべても、ただ互いに互いを性欲を解消するためのペアとしか思っていないだけで、特に恋愛感情なんてない、ということを思い立って頭から拭っていく。
そんな会話をしながら帰った家。家には既に姉の靴があって、母親の靴はない。もとより父親の靴はない。どうせ仕事が終われば家に帰ることなく、そのままパチンコに出かけていくのだろう。いつものことだから、俺はなにも思わずに家へと上がった。
自室に行く前に、居間の方に顔を出してみる。一応、もしかしたらいるかもしれない母親の影とか、夕食のメニューは何にしようか、などのそんな確認。台所に足を運んで、カップ麺の補充が少ないことにため息をついていると、そんな頃合いで俺の帰宅に気づいたらしい姉が二階から降りてくる。
「もう帰ってたんだ」と興味がなさそうに声をあげる姉貴に「そっちこそ」と返す。姉貴はいつも帰宅が遅いというか、受験勉強関連で友人と学校に残ってから帰宅するので、その当時は夜に帰宅することが大半だった。
「まあ、今日はね」
そんな意味ありげな言葉を吐き出しながら、鼻歌を奏でながら俺の後ろを通って、冷蔵庫前へと足を運んでいく。なんか妙に楽しそうな姉の姿に、俺はなんでそんなに楽しそうなんだろう、と訝しむことしかできなかった。
◇
そのあとは特にイベントらしきものが発生することなく自室へ帰室。堅苦しく感じるワイシャツを適当に椅子へとかけてから、ぼうっとベッドで横になる。
いつもだったら姉はまだ帰ってこない時間帯。その当時の過ごし方としては、生真面目というべきか学校で指定された課題をよく取り組んでいたけれど、その日に関しては日中に終わらせてしまったし、今日に関しては姉貴がいる。
姉がいる、ということを認識すると、どこか心臓の鼓動が早くなるような感覚。これは別に恋愛的な意識をしているとか、そういうことじゃなくて、端的に性的なことを発散したいという衝動。
まあ、どうせ来るだろう、早く帰ってきてるし、なんか機嫌がよさそうだし。
そんなことを思いながら、ベッド付近で充電をしている携帯を取り出して、適当に暇を潰す。幼馴染からソシャゲの協力イベントの通知が来ていたけれど、どうせこの後時間が無くなることを考えて、返信せずに無視をする。……それをやってしまっている最中にも姉貴はやってくる。姉貴はやってきたうえで俺に愛撫を求めるし、俺の反応を楽しむように愛撫をしてくる。そんな状況に追い込まれるのだから、今日に関しては無視をするのが無難でしかなかった。
そう無視を決め込んだ頃合いで、がちゃっ、とドアは開く。いつかはコンコン、とノックをきちんと響かせていたのに、今となってはプライバシーなんてものは存在しない、と決めつけるように。
「ねえ、そろそろしたいんだけど」
「はいはい」
予感、もしくは想像通りというべきなのか、自分の性欲を発散したいタイミングで姉貴がやってきて、俺はそろそろと下着を脱いでいく。ただ、姉貴はいつまでも中学の制服姿のままで、脱いでいる俺を微笑みながら見つめている。それが自分の姉ながらどこか気持ち悪いような気がした。
「……しねぇの?」
「ん」
俺が下半身を露出した状態で訝し気に聞けば、それを突きつけるように姉貴は見せてくる。
銀色の小包、なんかわっかが強調されているような、そんな袋。
「なにそれ?」
素直に知らなかったから、俺はそう聞いてみる。それに姉貴は得意げに「コンドーム」と返す。
「コンドーム?」
「そう、避妊をするための道具」
「……ひにん?」
「……あんた避妊も知らないの?」
「……知らんわ」
聞いたことのない単語というか、知らなすぎる言葉。
それに俺は首を傾げながら、その銀色の小包を覗いては、それが何をする道具なのかと想像をする。ただ、思いつくものとしては、注射をする前に腕を消毒する用のアルコールの脱脂綿が入っているくらいしか予想できなかった。
そんな俺に。
「これをあんたのちんこにつけて、それで精液が中に入らないようにすんの」
「……」
ぴらぴら、と小包の端のギザギザを千切りながら、そうして姉はもう確定事項のように呟く。
「だから、するよ。セックス」
そんな浪漫の欠片もない雰囲気から、俺たちの初体験は始まった。
まあ、避妊できるならしますよね、セックス。こんな姉弟なら。