TS転生橘ありす 作:湯けむり桶
「ふぅーっ……!!」
スタジオの鏡に向かって、私は大きく息を吐き出した。
体にまとわりつく熱気と、肌を流れる大量の汗。ソロデビューに向けたレッスンは、想像を遥かに超えて過酷なものだった。息は絶え絶えで、太ももやふくらはぎはパンパンに張っている。
だけど、私の心はこれまでにないほど高揚していた。
(ついに……ついに貰えたんだ。私だけの、橘ありすとしてのソロ曲を……!)
念願の楽曲のデモテープを初めて聴いた時の震えが、まだ胸の奥に残っている。前世でゲームの画面越しに聴きていたあの名曲を、今度は私がこの声で、この身体で歌うのだ。テンションが上がらないわけがない。厳しすぎるトレーナーのしごきすら、今の私にとっては極上のスパイスでしかなかった。
「ちょっと行儀が悪いですけど……背に腹は変えられませんね」
レッスンを終えた私は、少し気だるげに、歩きながらペットボトルのスポーツドリンクを口にした。ゴクゴクと喉を鳴らして渇きを癒やす姿は、いつもの品行方正な「橘ありす」なら絶対にしない不作法だったが、誰も見ていない廊下なら問題ない。
そう思って角を曲がった、その時だった。
ロビーのいつものソファー。柔らかな木漏れ日を浴びながら、静かに本をめくる美しい横顔が視界に飛び込んできた。
(あっ、文香さん……!)
見つけた瞬間、私の心臓が嬉しさで跳ねた。行儀悪く歩いていたことなど綺麗さっぱり忘れ、私は文字通り跳ねるような足取りで、彼女の元へと近づいていった。
私の気配に気づき、文香さんがゆっくりと顔を上げる。その涼やかな瞳が私を捉え、ふわりと春の風のような笑みがこぼれた。
「……お疲れ様です、ありすちゃん」
「はいっ!お疲れ様です、文香さん!……あの、隣、いいですか?」
「勿論構いません、どうぞ」
私が期待の眼差しを向けると、文香さんは隣のスペースをそっと手で示す。
「えへへ、ありがとうございます、文香さん♡」
ソファーに腰を下ろし、私たちはごく自然に他愛のない世間話を始めた。
あの衝撃的な仮眠室での行為以降、私たちは指導という名の甘い秘め事を何度も重ねてきた。身体の相性は言うまでもなく最高で、今や私のモノは文香さんの全てを知り尽くしていると言っても過言ではない。
……けれど。
こうして服を着て、普通に女の子同士として他愛のない会話を交わしているだけでも、私の心臓はいつだって小さくドキドキと警鐘を鳴らすのだ。肉体的な快楽だけでなく、私は精神的にも、この鷺沢文香という女性にどうしようもないほど惹かれている。
「文香さん、実は私……ソロデビューが決まったんです」
「そうですか……!それは、本当におめでとうございます」
文香さんは本をパタンと閉じ、自分のことのように嬉しそうに目を細めてくれた。すでにソロデビューを果たし、先輩アイドルとして前を歩んでいる彼女。その大きな背中に、少しだけ近づけたような気がして、私はさらにテンションが上がっていく。
「ふふ。これでやっと、文香さんに少しだけ追いつけました!」
私の弾んだ声を聞いて、文香さんは少し悪戯っぽく微笑んだ。
「そうですね。……その内、ありすちゃんに追い越されてしまわないように、私も……もっと頑張らないといけませんね」
「そんな、追い越すなんて滅相もないです!でも……文香さんにそう言っていただけるように、私、全力で頑張ります!」
お互いに高め合うような、そんな心地よい空気が二人の間に流れる。私の心は、ソロ曲への期待と文香さんとの会話で、これ以上ないほど満たされていた。
「……ところでありすちゃん。この後は、何か予定などありますか?」
ふと、文香さんが思い出したように首を傾げて尋ねてきた。
「この後ですか?いえ、今日のレッスンはこれで終わりですし、特に予定はありませんが……」
私がそう答えると、文香さんは少しだけ緊張したように、しかし嬉しそうに提案してくれた。
「そうですか。では……もし良ければ、一緒に何か食事にでもどうでしょうか?その……ソロデビューの、お祝い……と言っては何ですが」
(……ふゃっ!??)
脳内の思考回路が、一瞬でショートした。
お食事。文香さんと、二人きりで、プライベートの、ご飯。
(これって、いわゆる……デートってやつでは……!?)
情事は何度もあったが、あちらは能力による「業務・指導」の範疇。しかし、今文香さんが口にしたのは、完全に彼女自身の意思による純粋なプライベートの誘いだ。
「お、お食事ですかっ!?も、勿論いきましゅ……っ!いきます!」
噛み倒した上に、裏返った声をあげる私。
「はっ!では、私、急いで着替えて来ますから!5分、いえ3分で戻ります!そこで待っていてくださいねっ!」
カバンを抱え、大慌てで更衣室へと走り出す私。バタバタと騒がしく去っていく私の後ろ姿を、文香さんは声を立てて楽しそうに、どこまでも微笑ましそうに見送っていた。
急いで着替えを済ませてロビーへと戻った私は、文香さんと連れ立って事務所を出た。
彼女が案内してくれたのは、事務所から少し離れた静かな路地裏にある、隠れ家のような落ち着いた雰囲気の飲食店だった。レトロな内装と柔らかな照明が心地よく、本を愛する文香さんが気に入るのも納得の、とても文化的な空間だ。
テーブルを挟んで向かい合い、運ばれてきた料理を口にしながら、私たちは自然とこれからの活動について言葉を交わす。
「……ありすちゃんも、すっかりアイドルになってきましたね」
文香さんはスープのスプーンをそっと置き、慈しむような視線を私に向けてそう言った。出会ったばかりの、ただ圧倒されて固まっていた私を知っている彼女だからこその、感慨深い響きが含まれている。
「いえっ、そんな!私なんてまだまだです!」
私は慌てて首を横に振った。
「ソロ曲をいただけたのは本当に嬉しいですが、まだスタートラインに立ったばかりですし……文香さんのような、周囲を惹きつける圧倒的な存在感に比べたら、私なんてほんの入り口にいるようなものです……」
前世の知識があるからこそ、トップアイドルの凄さも、文香さんの持つ唯一無二の魅力もよく分かっている。本気で謙遜する私を見て、文香さんはふふ、と小さく 零れるように微笑んだ。
「そうですね。アイドルとしての道は、とても長い道のりです。……ですが、焦る必要はありません。一歩一歩、一緒に歩んでいきましょう」
「……っ、はい!」
その優しい言葉が胸に染み渡り、じわじわと温かい幸福感が広がっていく。肉体の繋がりを抜きにしても、この人と一緒にいられる時間が、私はどうしようもないほど愛おしかった。
そんな和やかな空気の中で食事が一段落した頃、文香さんがデザートメニューに目を落とし、何かを思い出したように顔を上げ、私の目を見つめた。
「ありすちゃん。ここのお店、実は苺のケーキが絶品なんです。……どうですか、デザートに。良ければ、一緒に頼みませんか?」
「苺のケーキですか!?」
その単語を聞いた瞬間、私の目がパッと輝いた。橘ありすの身体に刻まれた、苺に対する無条件のパッションが弾け飛ぶ。
「はい!是非、是非いただきます!文香さんのおすすめなら、絶対に美味しいに決まっています!」
「ふふ、そんなに喜んでもらえるなんて……嬉しいです」
嬉しさを隠しきれずに身を乗り出す私を見て、文香さんは今日一番の、本当に綺麗な笑顔を咲かせるのだった。
「……ふぅ。本当に、素晴らしいケーキでした。文香さん、教えてくださってありがとうございます」
「いいえ。ありすちゃんがそんなに美味しそうに食べてくれて……私も、勧めた甲斐がありました」
絶品の苺ケーキを堪能し終え、お茶を飲みながら一息つく私たち。至福の時間はあっという間に過ぎ、お会計も済ませてお店の外へと出た。
夜の帳が下りた街路は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っている。
「……では、参りましょうか、ありすちゃん」
文香さんはそう言うと、私の小さな手を、躊躇うことなくそっと包み込むように引いた。柔らかく、けれどどこか確かな熱を持った感触。
「は、はいっ!」
私は手を引かれるままに歩き出し、ふと疑問に思って尋ねた。
「……えっと、文香さん。どちらに向かっているのでしょうか?帰りの駅とは、少し方向が違うようですが……」
てっきり、そのまま駅まで一緒に歩いて解散するものだと思っていた。
私の問いかけに、文香さんはふっと足を止め、繋いだ手に少しだけ力を込める。そして、街灯の光に照らされたその白い頬を染めながら、恥じらうように視線を伏せた。
「ええ……。最近、私も、スマートフォンの操作を少々覚えまして……」
「スマートフォンの操作、ですか?」
「はい。それで……ネットの、その、宿泊施設を検索できるページで……この後の、ホテルを、予約しました……」
「………………はい?」
あまりの爆弾発言に、私の思考が完全にフリーズする。
文香さんはさらに顔を真っ赤にしながら、しかし真っ直ぐに私の目を見つめて、消え入りそうな、だけど甘く蕩けるような声で続けた。
「……宜しいでしょうか、ありすちゃん。今日のお祝いの、続きを……」
(ほぁっ!?ほ、ホテルっ!?!?)
心臓が肉体を突き破らんばかりに跳ね上がった。
常識改変能力による「指導」ではなく、文香さん自らがスマホを不慣れな手つきで操作し、私のために夜の部屋を予約してくれたのだ。前世の記憶にある、本を読んでいる彼女からは想像もつかない、あまりにも大胆で積極的なアプローチ。
(うああああ!本物の文香さんが自力でホテル予約して誘ってくれた!!最高すぎる!!!)
「も、勿論宜しいですっ!嫌なわけがありません!い、行きましょう、文香さんっ……♡」
私は上ずった声で叫ぶように答えると、今度は私の方から文香さんの手をギュッと握り返した。
歓喜と期待に股間を早くも熱くさせながら、私たちは夜の街へと歩き出した。
そして長いような短いような時間を経て目的のホテルに到着し、部屋のカードキーをかざして中へと入る。
「うわ……何か、凄く良い部屋です……。さすが文香さん……」
広々とした洗練された空間に、大きなベッド。窓から見える夜景も美しく、私は圧倒されて室内を見回していた。文香さんが不慣れなスマートフォンで、一生懸命に私を喜ばせようと選んでくれたのだと思うと、それだけで愛おしさが爆発しそうになる。
すると、背後からスッと気配が近づき、私の肩に柔らかな手がそっと掛けられた。
「……では、一緒にシャワーを浴びましょうか、ありすちゃん」
耳元で囁かれた文香さんの吐息混じりの声に、私の身体は跳ね上がった。
「ひゃいっ!?」
裏返った返事をしながらも、流れるように二人でバスルームへ。
髪を綺麗にアップにまとめ、うなじを露わにした文香さんが、シャワーの温かいお湯を私の身体へと優しくかけてくれる。その無防備で大人びた姿を間近で見るだけで、視線のやり場に困ってしまう。
「では、洗いますよ、ありすちゃん」
文香さんは手際よくボディーソープを豊かな泡へと変え、私の小さな身体を包み込むようにして洗い始めた。滑らかな手のひらが肌を滑るたびに、全身にゾクゾクとした快感が走る。
「あ、あの……さっき事務所でもシャワーを浴びたので、そんなに念入りに洗っていただかなくても……っ」
恥ずかしさと刺激に耐えかねて声を絞り出すが、文香さんは手を止めない。
「……気にせず洗わせてください。今日はありすちゃんのお祝いですから」
どこまでも優しい微笑みを浮かべ、私の背中やお腹、太ももをゆっくりと愛撫するように洗っていく。
「ふぁっ♡文香さんっ♡」
抗えない快楽に、私はされるがままになって声を漏らすことしかできなかった。
「……ふふ、ここも綺麗にしましょうね」
そう言って、文香さんの泡に塗れた手が、お湯と彼女の刺激によって早くも存在感を主張し、大きくなりつつあった私の男の証を優しく包み込んだ。
「ぁっ♡ そこっ……♡」
ダイレクトな愛撫に、私の身体がびくりと大きく波打つ。
すると、文香さんは私のモノを根元から先端へと優しく扱きながら、ふっと声音のトーンを落とし、どこか意味深な笑みを浮かべて言葉を紡いだ。
「……最近は、雫さんや蘭子さんとも、随分と仲良くしていましたね」
「けおっ!? ぃやっ、あのっ、それはっ……!……そう、なんですが……っ」
あまりの不意打ちに、心臓が止まるかと思った。まさか他のアイドルたちとの事後の気配や、能力の余波を、この鋭い洞察力を持つ最推しに見抜かれていたのだろうか。チート能力で常識は改変されているはずなのに、文香さんの前では私の秘密など全て見透かされているような錯覚に陥る。
あまりの狼狽ぶりに、文香さんは顔を真っ赤にして引きつる私を愛おしそうに見つめ、クスリと声を立てて微笑んだ。
「……ふふ、仕方ありません。ありすちゃんは、とても可愛いですから……」
全てを許容するような、圧倒的な包容力。怒るどころか、どこか独占欲を滲ませながら優しく、しかし確実に私を責め立てるその指先に、私は完全に形無しだった。
「け、けおぉ……」
消え入りそうな情けない声を上げながら、私は文香さんの意のままに、さらに熱く大きく膨らませていくしかなかった。
(このまま文香さんのペースに呑まれていては、橘ありすの面目が立ちません……!)
私は必死に理性を奮い立たせ、自分のモノを愛撫する文香さんの手をそっと制した。
「わ、私も文香さんを洗います!お返しですっ!」
焦りを誤魔化すようにして、私は文香さんの手からボディーソープの泡を奪い取ると、彼女の白く豊かな身体へと飛び込んだ。
今度は私の逆襲の時間だ。これまでの指導の経験を総動員し、私は小さな身体を存分に使って、文香さんの肢体を隅々まで洗っていく。
優美な鎖骨から、手のひらでは到底収まりきらないたわわな胸、そして鬱蒼としげる神秘的な股間へと、泡に塗れた手を這わせて執拗に刺激を刻み込んだ。
「……っはぁっ♡ふふ、ありすちゃん……。んっ♡いつもの、レッスンの成果が……よく出ていますね……♡」
私の愛撫に、文香さんは熱い吐息を漏らしながら、愛おしそうに私の頭を撫でてこれまでの成果を褒めてくれる。
「ぅむぅ〜、そうです!私、文香さんの身体のことは……もう、知り尽くしているんですから!」
生意気な口を利きつつも、彼女の手のひらの温もりに甘えながら、私は夢中でその極上の肉体を洗い清めた。
その後、私たちはシャワー室を出て、洗面台の鏡の前で互いの髪をドライヤーで軽く乾かした。温風が止まり、室内が静寂に包まれると、いよいよ本番の空気が部屋を支配し始める。
鼓動を速めながら、私たちは部屋のメインである大きなベッドへと向かった。
先にベッドに腰掛けた文香さんを見上げた瞬間、私の心臓は完全に跳ね飛ばされた。
「……さあ、ありすちゃん。不束者ですが……私を、お祝いの贈り物として、存分に楽しんでくださいね」
いつの間に着替えたのだろうか。
普段の清楚な彼女からはおよそ想像もつかない、レースが肌を妖しく透かす、極めて扇情的な「黒い下着」をその身に纏っていたのだ。豊かな胸の膨らみも、引き締まった腰回りも、すべてがその黒い障壁によって、かえって凶悪なまでのエロティシズムを放っている。
「ふぉっ!?ふ、文香さん、何ですかその格好っ!?!?」
あまりの衝撃に、私の頭だけでなく、股間の男の証までがガチガチに硬直してしまった。前世で画面越しに愛でていたあの鷺沢文香が、現実の私のためにこんな、男を狂わせるための黒いレースを身に纏っている。その事実だけで、全身の血流が沸騰しそうだった。
「……さあ、どうぞ……こちらへ」
ベッドの上で横たわった文香さんは、熱い吐息を漏らしながら、自身の白い指先を黒い下着の縁へと掛けた。
ゆっくりと、焦らすように布地をずらしていく。露わになった彼女の秘部は、すでに私のために、溢れ出た愛液で蜜のように濡れて妖しく光っていた。彼女はそれを自らの指で、私を誘うように、優しく左右に開いて見せたのだ。
その視覚的破壊力に、私の頭の中で張り詰めていた理性の糸が、ブツンと完全に弾け飛んだ。
「っ、くぅぅ、文香さんっ……!」
私は獣のように、勢いよく彼女の身体へと飛びついた。
いつもなら「常識改変」による義務感や指導という名目が頭の片隅にあった。しかし今夜は違う。文香さん自らがスマートフォンでホテルを調べ、この衣装を仕込み、私を求めてくれているのだ。その事実が、私を初めて彼女を抱いたあの日のように、いや、それ以上に狂おしく興奮させた。
私は迷うことなく、天を衝くほどに猛り狂ったモノの先端を、彼女の秘部へとあてがい、勢いのままに一気にその奥深くへと侵入した。
「ーーっ♡ぁあ、ありすちゃん……っ♡」
肉壁がギチギチと私のすべてを締め付け、極上の熱が包み込む。
「ぁあっ、文香さんっ♡文香さんっ♡」
私は無我夢中だった。前世の憧れも、橘ありすとしてのプライドもすべて融解し、ただ目の前の愛しい女性を満たしたいという本能だけで、貪るように激しく腰を動かし続けた。
頭が真っ白になるほどの快感の波が押し寄せる中、文香さんは私の小さな背中に腕を回し、愛おしそうに、きつく、きつく抱きしめてくれた。私の激しいピストンをそのすべてで受け止めながら、彼女は至上の幸福に満ちた甘い悲鳴を、夜の静寂に響かせていた。
「う、うあぁぁぁーーーっ♡文香さんっ……♡」
高まる快感の絶頂で、私は文香さんの身体を強く抱きしめ、腰を限界まで深く押し付けた。
頭の中が真っ白な光で満たされ、猛り狂った証から、熱い塊が弾け飛ぶ。
ぶびゅうぅぅぅーーーーーーーーーっ♡ びゅぅうううぅぅーーーーーっ♡
黒い下着をずらしただけの、密着した文香さんの膣内へと、私のすべてを容赦なく何度も放出していった。逃げ場のない膣壁が、注ぎ込まれる熱量に激しく 痙攣し、私をさらに締め付ける。
「……ぉお゛っ♡……ありすちゃんっ♡」
逃げ場のない快楽の濁流に 呑まれ、文香さんもまた、身体を激しくしならせ何度も果てていく。密室のベッドの上で、互いの熱と愛液、そして解き放たれた白濁が 混ざり合い、濃厚な匂いが 部屋中に満ちていった。
それから、どちらからともなく再び求め合い、腰を動かし、果てる──という狂おしい営みが、夜が更けるまで幾度となく繰り返された。
やがて、汗に濡れた身体をぴったりと重ね、抱き合ったまま、ようやく二人の動きが止まった。
「ーーーーーっ♡……ふぅーーっ♡はぁーっ♡はーーーーっ♡」
私は文香さんの豊かな胸に顔を埋めたまま、肩を大きく上下させて必死に息を整えていた。少女の小さな身体は完全に使い果たされ、指一本動かす気力も残っていない。前世の記憶も含めて、これ以上の幸福は存在しないと断言できるほどの満足感が全身を包んでいた。
「……っ♡……もう、良いのですか……ありすちゃん……?」
耳元で、文香さんが息も絶え絶えになりながら、蕩けた声で優しく問いかけてくる。その瞳には、私に全てを 捧げ尽くしたことへの深い悦びが浮かんでいた。
「……はぁーっ♡……流石に、もう限界です……文香さん♡」
私がヘロヘロになりながら答えると、文香さんは愛おしそうに目を細め、私の額や、そして重なる唇へと、優しく、 慈しむように何度も口付けを交わしてくれた。
「えへへ……♡」
その柔らかい感触と、最愛の担当アイドルに包まれているというこの上ない安心感に身を委ねながら、私は幸福な余韻の中で、そのまま深い眠りへと落ちていくのだった。
カーテンの隙間から差し込む眩しい朝の光で、私は目を覚ました。
隣を見れば、昨夜の激しい情事の名残を残したまま、穏やかな寝息を立てる文香さんの美しい姿。身体を動かせば、昨夜の熱い余韻が腰のあたりに心地よい気だるさとなって残っていた。
その後、私たちは二人でシャワーを浴びて互いの身体を綺麗に洗い流し、身嗜みを整えた。ホテルのラウンジで軽く朝食をとり、チェックアウトを済ませてホテルを後にする。
外の空気は澄んでいて、朝の街を私たちは並んで歩き出した。周りの目を気にしつつも、文香さんの柔らかい手が私の手をそっと握りしめてくる。繋いだ手の温もりから、昨夜の出来事が夢ではなかったのだと改めて実感が湧いてきた。
前世ではただのファンで、今世では同じ事務所の後輩アイドル。だけど今、私はこの人の特別な存在になれている。
(……よし。改めて、覚悟を決めましょう。私は橘ありすとして、この世界でトップアイドルを目指す。そして、文香さんをずっと支えられるくらい、強い存在になるんだ)
私は繋いだ手にきゅっと力を込め、隣を歩く文香さんを見上げて、フンスと誇らしげに胸を張った。
「……あの、文香さん。昨日は、本当にありがとうございました。私、これからもレッスンも、お仕事も、全力で頑張ります!」
私の真っ直ぐな宣言を聞いて、文香さんはふっと足を止め、いつもの穏やかで優しい微笑みを浮かべた。
「……ふふ、ええ。ありすちゃんの努力は、私も一番近くで見ていますから。ずっと応援していますよ」
「文香さん……!」
胸が熱くなったその瞬間。
文香さんは私の手を握る手に、少しだけ、きゅっと力を込めた。そして、その綺麗な瞳の奥に、ほんの少しだけ悪戯っぽく、あるいは全てを見透かしているかのような妖しい光を宿して、静かに言葉を続けた。
「……でも。何事も、程々にしてくださいね、ありすちゃん」
「──えっ?」
何が、とは文香さんは口にしなかった。
けれど、その言葉の裏にある意味を、私の脳は瞬時に理解した。ソロデビューに向けたレッスンのことか、それとも昨夜のように彼女をめちゃくちゃに貪ってしまった夜の情事のことか。あるいは、蘭子さんや雫さんといった他のアイドルとの、チート能力を交えた行き過ぎたスキンシップに対する、静かな、だけど確実な釘刺しなのか。
大人の余裕と、確かな独占欲を孕んだ先輩の言葉に、私は背中に冷や汗を流しながら、コクコクと激しく頷くしかなかった。
「……は、はい……。何事も、程々に……程々にしたいと思います、文香さん……!」
情けない返事をしながら、私は文香さんの手をそっと握り返した。
前世の知識と、このちょっとワケありな身体、そして世界を欺くチート能力。色々持って転生してきたけれど、どうやら私の本当の『支配者』は、目の前で優しく微笑むこの女神のようだった。