TS転生橘ありす 作:湯けむり桶
(南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏……私は橘ありす、苺が大好きな清純派アイドル……邪念を捨てなさい私……!)
レッスンルームのドアの前で、私は心の中で必死に念仏を唱えながら煩悩と戦っていた。とにかく目線を上げたら負けだ。足元だ、彼女たちのステップだけを見るんだ──。
「あ、ありすちゃんー! 見学しててくれたんですねー」
「──っ!?」
のどかな声にハッとして顔を上げると、いつの間にかレッスンが一段落したのか、スタジオの扉が開いて雫さんたちがぞろぞろと廊下に出てくるところだった。
「あっ……お、お疲れ様です……っ!」
慌てて挨拶を返した私の視界に、最悪のタイミングで、レッスン直後の及川雫の「胸」が飛び込んできた。
(ふっぉぉっ!?!?)
声にならない悲鳴が喉の奥で爆発する。
廊下でぶつかった時とはワケが違う。激しい運動を終えたばかりの彼女の身体からは、湯気が出るのではないかというほどの熱気が立ち上っていた。
「私たちのダンス、どうでしたかー?」
そう言って、雫さんがさらに一歩、ぐいっと私に近づいてくる。
薄いレッスンウェアは汗で完全に肌にぴっちりと張り付いており、その凶悪なボリュームと形がこれでもかと強調されていた。布地の向こう側に透ける境界線すら見えてしまいそうで、私の脳内回路は完全にショート寸前だ。
「は、はい……! み、皆さん、すごく、その、ダイナミックで、迫力があって、素晴らしいと思います……!」
混乱の極みに達しながらも、橘ありすとしての理性を総動員してなんでもない風を装って返事をする。しかし、会話をするために至近距離にいるせいで、雫さんの身体からむわっと漂う、汗の混じった、だけど信じられないほど甘くて濃厚な「女の子の匂い」が私の鼻腔を容赦なく蹂躙した。
(くっ……、あ、頭が、クラクラする……!)
抗えない生命の神秘、メスの匂い。
前世の男としての本能が、その濃密なフェロモンに過敏に反応してしまう。パジャマを汚した昨夜の記憶が呼び覚まされ、ズボンの下で、私の「男性の証」がじわじわと、しかし確実に熱を帯びて硬くなり始めていた。
(まずい、まずいです! 鎮まれ、鎮まりなさい……っ!)
必死の抵抗を試みる私の前に、さらなる追撃が襲いかかる。
「わぁ、雫ちゃんが言ってた新しいアイドルのお手伝いさん……じゃなくて、新人さんですかー?」
「ひゃいっ!?」
今度は逆サイドから、ふわりとした甘い声と共に、十時愛梨が至近距離まで顔を近づけてきた。
十時愛梨もまた、レッスン直後の汗だく状態だ。天然な彼女はパーソナルスペースという概念をどこかに置き忘れてきたのか、私の腕に自分の、これまた雫さんに負けず劣らずの規格外な爆乳を、むにゅっと惜しげもなく押し付けながら覗き込んできたのだ。
「私、十時愛梨っていいます! よろしくね、ありすちゃん!」
右からは雫さんの濃厚な汗の匂いと圧倒的質量、左からは愛梨さんの柔らかい感触とあどけない笑顔。
挟み撃ちである。12歳の橘ありすの肉体は、今まさに、アイドル界が誇る二大巨頭の圧倒的な肉感のパルプンテに囚われていた。
股間の熱は、もはや無視できないレベルで膨らみつつある。
私の『常識改変能力』が、この極限状態を前にして、静かに、そして怪しく発動の準備を始めるのを感じていた。
「よッ、君が新しく入った橘ありすちゃんだね! 私は愛野渚、よろしくッ!」
右から雫さん、左から愛梨さんに挟まれ、私の股間が限界まで膨らみかけていたその時、正面から愛野渚さんが弾けるような笑顔で元気に声をかけてきた。
(な、渚さん……! ああ、なんて眩しい笑顔……スポ根系アイドルの屈託のない姿に、汚れた私の心が洗われるようです……)
巨乳の双璧による精神攻撃から救われる一筋の光、そう思ったのもつかつかの間。私の視線が彼女の胸元に落ちた瞬間、その淡い期待は木っ端微塵に打ち砕かれた。
遠目でレッスンを見ていた時は、激しい動きのせいで気付かなかった。
しかし、至近距離で対面して初めて理解する。バスケ部キャプテンとしての自信と機能性を最優先した結果なのか、彼女の着ているレッスンウェアは、他のアイドルたちに比べても思いのほか生地が薄い。
おまけに、先ほどまでの激しいダンスで身体の代謝が限界まで高まり、興奮状態にあるせいだろうか。
薄い、本当に薄いスポーツウェアの布地を内側から丸く押し上げるようにして、ピンと立った彼女の「乳首」の形が、目視ではっきりと判別できるほどに突き出ていたのだ。
(う、嘘でしょ……!? 隠す気が皆無じゃないですか……っ!)
渚さん本人には、これっぽっちも悪気はないのだろう。しかし、私との身長差があるおかげで、私の目線のちょうどジャストな位置に、その自己主張の激しい胸元が堂々と鎮座している形になっていた。
ドクン! と股間で何かが跳ねる音がした。
(静まれ……静まりなさい私の『証』……! ここで暴発したら、私はただの変態ロリフタナリとして人生が終わります……!)
脳内が大パニックを起こし、視界がぐるぐると回り出す。
雫さんの濃厚な匂い、愛梨さんのむにゅっとした肉感、そして渚さんのダイレクトすぎる突起物。三方向からの凄まじい波状攻撃に、私の理性の堤防は今にも決壊寸前、股間のボリュームもパジャマの時以上に天を突く勢いで膨らみ上がろうとしていた。
「あの……え、ええと、初めまして……ぅ、うぅ、ふぇえん……っ」
そこへさらに、遅れてやってきた大沼くるみちゃんが、涙目で両手をきゅっと握りしめながらおどおどと声をかけてきた。
「お、大沼くるみでしゅぅ……。新しく入った子が、私より小さくて可愛くて……ど、どうしようぅ……いじめないでくださいぃ……っ」
「ち、違います、いじめません……っ! 初めまして、橘ありすです……!」
もはや意識が半分飛びかかっている状態で、なんとか引きつった笑顔を浮かべて受け答えをする。
くるみちゃんの気弱なロリ巨乳オーラすら今の私には劇薬だ。目の前で揺れるお姉さんたちの暴力的な肢体、そしてすぐ横で泣きべそをかく同年代の少女。
限界だ。
脳髄を駆け巡る圧倒的なエロティシズムと煩悩の嵐に抗いきれず、私のパジャマを汚したあの『オスとしての衝動』が、レッスンルーム前の廊下という最悪の舞台で、ついに完全に覚醒しようとしていた。
「ぐすっ……あ、あの、これから、よろしくおねがいしましゅ……ぅええん!」
涙目で噛み気味に挨拶をしてくれたくるみちゃん。そのあまりの初々しさと気弱さに、私の脳内のリミッターは完全に限界を迎えていた。
しかし、悲劇──いや、世界のバグは、その一瞬の刹那に引き起こされた。
「ひゃうんっ!?」
自分の涙で視界が遮られていたのか、あるいはレッスン後の疲労のせいか、くるみちゃんが何もないところで思いきり足を躓かせたのだ。
小さな身体が、重力に従って私の目の前へと倒れ込んでくる。
(危なっ──)
咄嗟に支えようとした私の身体。しかし、倒れゆくくるみちゃんが必死に何かを掴もうと伸ばしたその両手が、偶然にも、橘ありすのスカートの中で天を突かんばかりに怒張していた「男性の証」の根元から先端までを、正面からむんずと、容赦ない力で鷲掴みにした。
「──っっーーーーーっ!???!?!?!」
脳髄を、文字通り100万ボルトの電流が駆け抜けた。
レッスン直後の熱気、雫さんの濃密な匂い、愛梨さんの肉感、渚さんの突き立つ先端、そして、くるみちゃんの柔らかい小さな手のひらによるダイレクトな、あまりにも完璧なホールド──。
全ての煩悩と劇薬が、その一掴みによって一気に臨界点を突破した。
「ぉおっ!??ぉう゛っ……ふぁっ!!??おっ♡おっぉほぉっ♡♡」
12歳の女の子の身体から、およそ発してはならない淫らな、そして極上の快感に狂った悲鳴が廊下に響き渡る。
ビクビクッと橘ありすの華奢な身体が激しくのけ反った。
次の瞬間、くるみちゃんに掴まれた先端から、昨夜の比ではないほどの、ドロドロとした熱い塊が、スカートの布地を内側から突き破らんばかりの勢いでドクドクと、激しく放出された。
「ひゃぅっ!? ふ、ふにゃあぁっ!?」
掴んでいた手のひらに、生温かい、そして明らかに女の子からは分泌されるはずのない大量の液体がびゅるびゅると溢れ出てくる感触を覚え、くるみちゃんがパニックを起こして手を離す。
しかし、一度決壊したダムは止まらない。
ボタボタと廊下の床に白い軌跡を撒き散らしながら、私は目を丸くし、完全にトランス状態に陥ったまま、アイドルの聖地であるはずのレッスンルームの前で、あまりにも淫らな絶頂を迎え続けるのだった。
「お゛おぉっ♡ほぉおおぉぉ♡でりゅっ♡じぇんぶっ♡でりゅうぅぅぅっっ♡♡おふぅぅっ♡♡」
あまりにも強烈すぎる刺激に、場所が事務所の廊下であることすら完全に忘れて、私はただひたすらに、内側から溢れ出る熱い塊を勢いよく吐き出し続けた。華奢な身体がビクビクと痙攣し、パンツの隙間から溢れたドロドロとした液体が床に点々と白い跡を残していく。
(はぁ……はぁ……はぁ……っ!)
ひとしきり全てを出し尽くし、目の前がチカチカするような絶頂の余韻の中で、私は荒い息を繰り返しながら、急速に正気を取り戻していった。
(っ、やってしまった……!? ここは事務所のど真ん中、しかも先輩アイドルの目の前……ッ!!)
絶望的な状況に心臓が凍りつきかけた、その瞬間。私の本能が、眠っていたあのチート能力を限界突破で叩き起こした。
【常識改変・認識阻害(パッシブ/アクティブ)】
対象の「絶頂・放出」という破廉恥な事象を、周囲の人間にとって「激しい咳き込み」として上書き・改変します。また、付随する水分(体液)は「ただの床の汚れ/こぼした飲み物」として認識を書き換えます。
「っ、ごほっ! げほっ、ごほっ……! ぅ、くすん……っ!」
世界が、私のチート能力によって一瞬で書き換えられた。
私の口から漏れていた淫らな喘ぎ声は、先輩たちの耳には「突然激しく咳き込んだ少女の声」へと変換され、床にぶちまけられたドロドロの液体も、なぜか誰も気に留めない「ただの汚れ」として風景に溶け込んでいく。
「あらあらー!? ありすちゃん、大丈夫ですかー?」
能力のおかげで、事の真相を1ミリも疑う様子のない雫さんが、慌てて私の背中に手を添えて、優しく、ぽんぽんとさすってくれた。汗ばんだ雫さんの手のひらの温もりが、私の背中を通じて伝わってくる。
「う、うぇええん! ごめんなさいぃ……っ! くるみがドジしてぶつかっちゃったせいでぇ、ありすちゃんが喉を詰まらせちゃってぇ……っ!」
くるみちゃんは、自分の手が今さっきまで何を掴んでいたのか、そしてなぜ濡れているのかすらチート能力で記憶を歪められ、ただ「自分がぶつかってありすちゃんを激しく咳き込ませてしまった」と思い込んでボロボロと涙を流している。
(あ、危なかった……! 本当に、本当に馬鹿げたチート能力を持っていて良かった……!!)
もしこの能力がなければ、今頃私は警察に通報されるか、即座にクビになって社会的に抹殺されていたところだ。
私は激しく脈打つ胸を押さえ、まだ下半身に残るピリピリとした快感の余韻を必死に抑え込みながら、なんとか「橘ありす」としての声を絞り出した。
「はぁ……はぁ……だ、大丈夫、です……。ちょっと、びっくりして、むせてしまっただけですから……。くるみちゃんも、気にしないで、ください……」
顔を真っ赤に上気させ、潤んだ瞳で何とか切り抜ける私。先輩たちの目には、それが「可哀想に、激しく咳き込んで苦しんでいた健気な新人ちゃん」にしか見えていない。
「良かったぁ……。本当に気をつけて? 体調が悪くなったら、すぐに言ってね?ありすちゃん」
愛梨さんも心配そうに覗き込んでくる。
「はい……すみません、お騒がせしました……」
私はペコペコと頭を下げながら、スカートの下でじわじわと冷えていく熱い感触を覚えつつ、冷や汗を流していた。
危ういところで最悪の事態は免れたが、この身体とチート能力がもたらす「ドロドロとした期待」は、私の予想を遥かに超えて危険で、そして破滅的に気持ちが良いものだと、身をもって知ってしまったのだった。