※この作品はR-18です。

お姉ちゃんにお任せ   作:ボブ・ニンジャ

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第4話

 

 

雄一が居間に戻ると、照明は普段より一段階落とされていた。

間接照明の温かいオレンジ色の光が空間を柔らかく包み込んでいる。

 

「あっ、ユウくん。速かったね」

 

チェアに座っていた詩乃が振り返る。

何かヘアケアをしている最中らしく、両手で自分の髪に触れている。

 

「急ぐからもうちょっとだけ待って」

「別に、ゆっくりでいいよ」

 

雄一はそう答え、ラグの上にあぐらをかいた。

それとなく姉の方を見やる。

風呂上がりの詩乃は、ややオーバーサイズなTシャツにショートパンツという緩い服装だ。

むき出しの膝やふくらはぎ、素足の肌の白さがまぶしい。

 

「……姉ちゃん、それ何塗ってるんだ?」

「ん? ヘアオイルだよ。ドライヤーの前につけるの」

 

雄一の問いに、詩乃はデスクの上の整髪料を示して答える。

 

「あっ、もしかして匂う? 苦手な匂いとか」

「いや、そういうんじゃないけど」

 

少し躊躇しながらも、沸き起こった欲求をそのまま口にする。

 

「それ、俺がやってもいい?」

「え?」

「……姉ちゃんの髪、触りたい」

「……んー」

 

詩乃はユエシンの言葉を想起した。

「髪は必ずしも触らせなくても良い。理解のない男性には雑に扱われることもある」――

そういう教え。

詩乃とて髪のケアには人並みに手間をかけているし、痛めたり汚したりしたくないという意識はある。

 

「……じゃあ、お願いしちゃおうかな」

 

しかし結局、詩乃はその求めに応じた。

他人に髪を触られることへの戸惑いよりも、弟の欲求に応えてあげたいという感情が勝った。

 

ヘアオイルを手のひらで伸ばし、毛先に揉み込むようにしてつけていくこと。

地肌や根元にはつけないこと。

髪を引っ張らないこと。

詩乃のレクチャーを雄一は熱心に聞き、頷いた。

 

「毛先から、優しく……だな」

 

雄一は立ち上がり、チェアに座った詩乃の髪におそるおそるオイルを塗っていった。

ガラス細工にでも触るかのように慎重な手つきで、毛先へとオイルを馴染ませていく。

指先から伝わってくる少し湿った髪の感触と姉の体温が、雄一の脳をくらくらとさせた。

 

「……どう? 痛くないか?」

「うん、いい感じ。ユウくん器用だね」

 

詩乃は目を細めた。

女の命である髪を委ねて触ってもらうことが、不思議と心地良い。

……雄一を導くだけでなく、少しは彼に体を預けてもいいだろうか。

 

「あのね、ユウくん」

「ん?」

「年上ぶったこと言っちゃったかもしれないけど、私も初めてなの。その……セックスするの」

 

詩乃は不安を吐露した。

 

「できるだけ頑張るけど、うまくできなかったらごめんね」

「……」

 

雄一は、目の前で座っている姉の姿を見下ろした。

耳がほんのり赤く染まっているのは、湯上りだからというだけではないだろう。

彼女もまた、性行為に対して緊張や戸惑いを抱いている。

しかしそれを差し置いてなお、自分の気持ちに応じてくれている。

 

雄一は自分の中で燻っていた過剰な緊張やプレッシャーが消えていくのを感じた。

代わりに、じんわりとした愛情が沸き上がってくる。

自分だけが空回りしているわけではない。

姉もまた戸惑っているが、今日という日のために準備をして自分を受け入れようとしてくれている。

 

「……うん、大丈夫。姉ちゃん」

 

雄一は少し勇気を出して、詩乃を後ろから優しく抱いた。

触れて初めて、姉の体が服の上から見る以上に華奢なのを実感する。

雄一はどきりとしつつも、言葉を続ける。

 

「一緒に大人になろう。一緒に」

「……うん、そうだね」

 

詩乃もまた弟のスキンシップに体温が上がるのを感じたが、素直に受け入れた。

自分の首を抱く雄一の手を、自分の手で包み込むように握る。

 

 

 ◆

 

 

詩乃は、自分の髪をドライヤーでブローすることも弟に任せた。

まず地肌や根元、それから毛先の方へ。

温風を当てるごとに、詩乃のしっとりと湿っていた髪は指通り良く、滑らかになっていく。

 

それは性的経験のない2人にとって必要な時間だった。

これから肌を重ねるという事実を互いに再確認し、心と体の距離を縮め、行為のペースを合わせる。

前戯の前戯ともいうべきスキンシップだ。

 

その後、2人はベッドの上に移動し、昼間に外で遊んだ時のことを少し話した。

やがて沈黙が2人の間を支配する。

ワンルームの部屋には、エアコンの微かな稼働音と互いの少し荒い呼吸の音だけが響いていた。

詩乃の小さな手に雄一の大きな手が重なって、組み敷いている。

 

「……姉ちゃん」

 

雄一がかすれた声で呼んだ。

 

「あの……抱きしめても、いい……?」

「……うん、いいよ」

 

詩乃は両手を少し広げる。

雄一はにじり寄り、その太い腕で彼女を抱き寄せた。

体格差のせいでほとんど覆い被さるような姿勢だ。

 

詩乃の口から思わず小さな吐息が漏れる。

部屋着越しに、雄一の高い体温が直接伝わってくる。

彼の心臓の激しい鼓動が直接響いてきて、自分の鼓動と同期していくような感覚。

 

雄一の首筋から漂う微かな石鹸の香りと男らしい匂いが鼻腔を満たし、詩乃の頭をクラクラさせる。

雄一はわずかに腕の力を緩め、少しだけ身体を離した。

目が合う。

 

「姉ちゃん……キス、してもいいかな」

 

雄一の問いかけには、まだ遠慮とためらいが混じっていた。

その瞳は自信なさげに揺らいでいる。

 

詩乃は小さく深呼吸をした。

雄一の顔を両手でそっと包み込むと、自ら顔を近づけ、雄一の唇にそっと自分の唇を重ねる。

ついばむような一瞬のキスだった。

唇を離すとき、ちゅっ、と水っぽい音が微かに鳴った。

 

「……えっ」

 

不意を突かれた雄一は、呆けたような小さな声を漏らした。

 

「えへへ。……キスしちゃったね」

 

詩乃は羞恥で耳まで赤くなりながら、ごまかすように笑う。

 

「こういう時はね、もうちょっと強気になってもいいと思うよ。ユウくんイケメンだから大丈夫」

 

少し背伸びをした、年上ぶったアドバイス。

その言葉が持つ破壊力を詩乃は正しく理解していなかった。

過酷な受験勉強の間ずっと抑圧されてきた少年の性欲に対し、それがどれほど危険な着火剤となるかを。

雄一の瞳が肉食獣のようにギラリと輝いた。

 

「……わかった。姉ちゃん」

 

次の瞬間、雄一は詩乃の華奢な背中をぐい、と無遠慮に抱き寄せた。

 

「あっ、んむっ……!」

 

今度は雄一の方から、強引に唇が奪われる。

先ほどの触れるだけのキスとは違う、深く、激しい口づけだった。

 

「んっ……!?」

 

詩乃はびくりと震えた。

雄一の舌がこちらの唇を割り、口内へと侵入してきたからだ。

その体温と唾液のぬめりを粘膜で感じた瞬間、詩乃の背中がびりっと痺れた。

 

当然、雄一はこうしたディープキスも初体験のはず。

しかし、彼の舌使いには躊躇が無かった。

分厚くざらざらした舌が詩乃の舌に絡みつき、上顎をなぞり、頬の内側をねぶるたび、詩乃の体に甘い痺れが走る。

数時間にも感じる数秒。

その後に雄一は舌を引き抜き、顔を離した。

 

「はーっ……ふうっ……」

 

彼の腕の中で、詩乃は自分を落ち着けようとするように深呼吸した。

唾液で汚れた口元を手の甲で拭う。

雄一は舌なめずりした。

 

「すごい。姉ちゃんのツバ甘い」

「そ……そんなわけ」

「ごめん、もう1回」

 

雄一は詩乃の答えを待たず強引にディープキスを再開した。

詩乃の口内の温度や感触、唾液の味。

父や母ですら知らない、世界で自分1人だけが暴いた姉の秘密だと思うと、どれほどむさぼっても足りなかった。

 

対して詩乃は、未知の感覚にただ戸惑うばかりだった。

雄一に口内をまさぐられるたび体が痺れる。

下腹部の奥底が少しずつ熱くなり、疼いてくる。

性的興奮だった。

子供を作るために女性の体に備わった機能が、実の弟の手で強引にスイッチを入れられていく感覚。

 

長いキスの後、ようやく雄一は唇を離した。

2人の口元に銀色の糸が引き、ふつりと途切れて胸元に落ちる。

 

「はぁっ……、はぁっ」

 

詩乃は荒く呼吸をした。

汚れた口元を拭う余裕もない。

自分の体が何かを求めて疼くのに耐えるだけで精一杯だった。

 

雄一はその姿を見下ろし、息を呑む。

何年もひそかに恋焦がれ続けた姉の艶めかしい姿。

詩乃の着ているTシャツの裾へと、手が伸びる。

 

「……脱がせるよ」

「ん……」

 

彼の言葉に抗う気力など残されているはずもない。

詩乃は素直に両腕を上げて応えた。

雄一が幼かったころ、「バンザイして」と言って着換えさせた記憶が頭をよぎる。

あの時とは逆だ。

 

Tシャツとキャミソールを剥かれ、詩乃の肌があらわになる。

肩や鎖骨、腹、小さなへそ。

そして、淡い水色のブラジャーに包まれた胸。

 

雄一はちらりと詩乃の目を見た。

何を問おうとしているかは明らかだ。

詩乃は目を伏せた。

そして、おずおずと胸元へ伸びてくる雄一の手を、ただ受け容れた。

 

雄一の太い指で、ブラジャーの留め具が外される。

固定を失った布地が優しくはぎ取られる。

ベッドの上で、詩乃の上半身は完全にさらけ出された。

 

雄一は息を呑んだ。

詩乃のバストは、下着による成形を失ってもなお一定のボリュームを保っていた。

その形は均整が取れて美しく、先端では淡い色の乳首がつんと主張している。

 

「すげえ、姉ちゃん……綺麗だ」

 

雄一の熱を帯びた視線が、食い入るように胸の起伏を舐め回す。

 

「そう……かな」

 

詩乃は気のない返事をした。

はじめは弟を思って羞恥に耐えていたが、やがて、自分の体を抱くようして胸を隠す。

 

「もう。見すぎだよ」

「ご、ごめん」

「……ね、ユウくんも脱いで。脱がせてあげるから」

「えっ、別に自分で」

「いいから」

 

詩乃はにじり寄って、雄一の服に手を触れた。

性的興奮に突き動かされていた。

ボタンを1つ1つ外し、ワイシャツをはぎ取る。

 

「ほら、バンザイして」

「んん」

 

アンダーウェアを脱がせると、分厚い胸板があらわになった。

過酷な練習で鍛え抜かれた筋肉の鎧だ。

ついで、雄一に腰を上げさせて、彼が履いていたチノパンを引き下ろす。

 

その瞬間、詩乃の視線は否応なしに雄一の下半身へと吸い寄せられた。

彼のボクサーパンツはテント状に引き伸ばされて歪んでいた。

風呂場で見たものと同質の隆起。

露骨で直接的な男性性の表れを間近で目にして、詩乃は息を呑んだ。

手が止まる。

 

「……姉ちゃん」

 

雄一が口を開く。

 

「脱がせてくれ。パンツも」

「……うん」

 

詩乃は頷いた。

雄一のパンツに手を触れ、決心とともに引き下ろす。

その瞬間、雄一の男根は布の拘束から解き放たれ、バネのように跳ねて姿を現した。

 

それは、詩乃の予想を超える代物だった。

固く張り詰め、血管がうっすらと浮き出た巨大な熱の塊。

限界まで勃起したそれは、圧倒的な生命力に溢れ、雄一の脈拍に合わせてびくびくと自己を主張している。

先端からは透明な蜜が溢れ、彼がいかに限界まで興奮しているかを雄弁に物語っていた。

 

(((えっ……お、大きくない……?)))

 

詩乃は思わず身体を強張らせた。

知識として男性器の形は知っていたが、現実に見るそれはあまりにも生々しく、威圧的に見えた。

これを女性の身体に挿入するのか。

自分の内側にこんなものが入るのか。

 

「姉ちゃん」

「えっ」

 

顔を上げると、不安げな雄一と目が合った。

こちらの動揺を見て取ったものか。

 

「……大丈夫? ……やっぱ、やめとく?」

「……ふうーっ」

 

詩乃は小さく息を吐いた。

性行為への不安を自分の奥底へと押し込み、強いて微笑む。

 

「ごめんね、ユウくん。ちょっと驚いちゃった」

 

手を伸ばす。

詩乃の白魚のような手指が根元に触れると、雄一のペニスはぴくりと震えた。

 

「……実の姉に興奮してこんなにしちゃうなんて、悪い子だなあ」

 

悪戯っぽく言って、上目遣いに様子を見る。

雄一は無言だった。

ただ、表情から不安は消え、目に肉食獣のような輝きが戻っている。

 

(((よかった。あの目に戻った)))

 

詩乃は雄一の復調に安堵した。

それは「弟に幸せな初体験をさせてあげられる」という、歪ながらも姉としての立場での安堵なのか。

「この男とセックスできる」という下卑た安堵なのか。

今の頭のゆだった詩乃には判断がつかなかった。

 

 

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