Wplaceのハワイみたいな島に漂流した『あなた』の物語 作:生牡蠣
あなたの相棒のロトムです。
お金に余裕がないため型落ちの機種ですが、それでも便利機能が結構ある優れものです。
だけどこの島には電波が届かないため通話はもちろん、ネットにも繋がりません。
「あなたは……人間ですか?」
アシレーヌの言葉にあなたは反射的に頷く。
するとアシレーヌは「やはりですか…」と何処か納得したかのように頷いた。
「ニンゲン?……ママ、それはどういうポケモンなの?」
アシレーヌの言葉にシャワーズが疑問を投げかけた。
その言葉に、あなたは違和感を覚える。まるで人間を知らないような言い方だ、と。
そして、その違和感についてもアシレーヌから答えを聞く事となる。
「シャワーズちゃんが知らないのも無理はありませんね。私も海域の外に出た時に何度か見ただけで、このエロ―ラには人間はいないのですから」
アシレーヌの言葉にあなたは驚く。
あなたはシャワーズと出会った時から現在までの事を思い出す。その出来事中でペットボトルやビキニといった人間だ作り出したであろう物が何度も確認できていた。だからあなたはここにも文明を築き上げた人間がいるのだろうと心のどこかで思っていたのだ。
だが、アシレーヌから放たれた言葉は、あなたの考えを真っ向から否定するものであった。
「……少し、長い話になります。良いですね」
あなたの反応を察したかのようにアシレーヌが話し始めた。
まず、このエロ―ラ地方はとある海域に位置する島であるらしい。その周りには特殊な海流や積乱雲が発生しており、飛行機や船はもちろん、ポケモンのなみのりでさえ来ることが出来ない島だそうだ。
その為この島には人間は来ることは出来ない。だが、数年に一度ペースで一瞬だけ島に流れ着く海流が発生するらしく、あなたは船が転覆した際に偶然その海流に流れ着いた様だ。
ここまでの説明を聞いてあなたは疑問を抱いた。
人間が来れない特殊な島で何故ポケモンが生息しているのか、そして何故人間の姿をしているのかと。
その疑問に対して、アシレーヌはこう答えた。
―――「わかりません」と
アシレーヌ曰く、本当にいつの間にかこの島にポケモンが現れ、何故か人間の様な姿になるらしいのだ。
人間の様なポケモンが現れる現象は今も続いているらしく、アシレーヌ自身もこの島に長い事住んでいるが、原因は未だに分かっていないという話であった。
「う~ん…そう言えば、あたしも気づいた時にはもうこの島にいたな~。確かに最初はここが何処だかもわからなかったけど、周りの子たちが親切にしてくれて安心したからすぐに気にならなくなったから今まで忘れちゃってたよ」
アシレーヌの言っている事を証明するかのようにシャワーズが呟いた。
あなたはアシレーヌの話した内容がほとんど理解できなかった。
最大限理解はしようとした。しかし、おとぎ話や昔の言い伝えにありそうな突拍子もない内容に、脳が理解を拒んでいる感覚をあなたは感じていた。
『エラー、エラー……こんなのありえない、理解不能ロト…』
あなたの考えに同意するかのようにスマホロトムが話す。
理解力のキャパシティをオーバーしている様で、そのボディからは黒々とした煙が立ち上っているのが見えた。
「……えぇ、理解できないのも当然です。私だって理解していないんですもの。…ただ『そういうもの』とだけ認識していただければよいと思います」
そんなあなた達の様子見かねたのか、アシレーヌが最後にそう締めた。
確かに一理あるとあなたは思う。学者でもないあなたがいくら原因を考えた所で無駄なのだ。ならば考えるのをやめた方がいいのだろう。
『うっ…それはそれで悔しいロト』と隣でスマホロトムが歯噛みするが、納得はした様でその先は何も話すことはなかった。ロトム自身も考えるのを諦めた様だ。
「う~ん、あたしは難しくて何をしゃべってるか分からなかったけど…とりあえず、この子はニンゲンっていう、ポケモンとは違う生き物なんだよね? すごいなぁ、ポケモン以外の生き物なんて、あたし初めて見たよ!」
「ふふふっ、初めての生き物にも怖がらずに接する事が出来るなんて、シャワーズちゃんはいい子ですね~♪ そんなシャワーズちゃんにもう一つの
見るからにワクワクしている様子のシャワーズ。そんなシャワーズにアシレーヌが投げかけた言葉に、あなたは更に驚愕する事となる。
「このお客さんはこの島にはいない人間です。―――――そして同時に、
「オス?……オスってなぁに?」
アシレーヌとシャワーズの言葉を聞いて、あなたは耳を疑った。
人間がおらず、ポケモンの様な人間だけが生息している島という事実をやっとの事で飲み込めたのにも関わらず、更なる衝撃の事実を叩きつけられたのだから。
生物とは、基本的に雄と雌の2種類が存在している。
何故なら、それが自然の摂理であるのだから。種が数を増やし、繁栄する為には雄と雌の存在が不可欠であるからだ。
だが、アシレーヌの言葉とそれに対するシャワーズの反応は、そんな常識なんてここでは通用しないと言っているかのようであった。
『ちょ、ちょっと待つロト!あなた達がポケモンだって事はまだ分かるロトが、オスがいなってどういう事ロト!?まさか、この島にはメスしか生息してないロト!?』
「はい、この島にはオスは存在していません。島に住んでいるポケモンはみ~んなメスです。私自身もオスは外の世界で数える程しか見かけて来なかったので、最初あなたがオスである事に気付けませんでしたわ」
あなたの疑問を代弁するかのようにロトムが叫ぶ。そして、一番ありえないと思っていた可能性を当然の如くアシレーヌはそうだと答えた。
確かに、振り返ってみればここに来るまでに多くのポケモンの姿を見てきたが、雄の個体は見当たらなかったとあなたは思い出していた。
だが、それでも島一つにオスがいないなんてあなたは信じられない。まさか、この島は何から何まで自分の常識が通用しないのかとあなたは戦慄を覚えた。
『や、やっぱりオスがいないなんてありえないロト!そんな島、繁殖とかできずにすぐ滅んでしまうロト!!』
「……それは私にも分かりません。私も外の生物達がどのように増えているのかという知識だけはありますが、この島では外での繁殖行為を行われてはいません。本当にいつの間にか増えているとしか説明できないのです」
それでも納得できずに疑問を投げかけるロトム。それに対して淡々と自分の知っている事と今だに解明できていない事を説明するアシレーヌ。この両者のやり取りを聞いて、あなたは本当にそう捉えるしかないのだと驚きつつも不思議と納得していた。
「???????」
……いや、納得したというよりも、話の内容が理解できずに目を回しているシャワーズの姿を見て、自分も理解しなくてもいいやと投げ出しただけかもしれない。
この島についての疑問はもういい。それよりも帰る方法の方が重要だ。そう考えたあなたは興奮するロトムを抑えつつ、アシレーヌへと帰還の方法を尋ねた。
「あぁ、そうでしたね。帰還方法についてですが……残念ですが、すぐに帰還するのは無理でしょうね。先程も説明しました通り、この島は海流・空の状況などの周りの環境によって外の世界とは半分断裂されている状況です。これらが治まれば私が送り届ける事が出来るのですが、いつそれらが治まるかは誰にもわかりません。これまでの経過から考えるに年単位になる可能性も……」
アシレーヌの言葉を聞き、あなたは絶句する。
あなたは元々いた場所や環境に特別思い入れはない。しかし、その事と帰れないという状況は別の話だ。元々の環境は最悪であったが、住民登録など最低限の保証はあったし、何より自分みたいな底辺の立場でもあるスマホや家電程度の文明の力という恩恵は受けられていた。今思うと恵まれた環境であっただろう。
しかし、ここは
あなたの頭の中に漠然とした不安の影がのしかかる。
あぁ、これが絶望という物か―――――あなたは目の前がまっくらになる感覚を覚えた。
「えぇ~!?帰れないって大変じゃんっ!……よしっ、それならこの島にいる間はあたしがお世話してあげるよ!!」
しかし、絶望の中にも光があった様だ。
シャワーズの声が聞こえた瞬間、あなたは思わず顔を上げた。
「せっかくあたし達の島に来れたのに、そんな暗い顔されるのはあたしだって嫌だもん!どうせなら後で『またあの島に行きたいな~』って思える様な楽しい思い出いっぱい作って帰ってもらいたいもんね!」
シャワーズは目をキラキラと輝かせながらあなたに言った。
あなたは疑問に思う。今日出会ったばかりの不審な男、しかも未知の生物である自分に対し、彼女はどうしてここまで良くしてくれるのだろうと。
そう思ったあなたは、その疑問を自然と口にしていた。その言葉に対して、シャワーズは“キョトン”としながら答えた。
「えっ?どうしてって……この島で出会えた新しい友達なんだもん。友達が困ってたら助けてあげるのが当たり前じゃん」
あなたはそう言ったシャワーズの顔を見る。その表情や様子から、シャワーズは何か企みや打算で動いているわけではなく、完全に善意でその言葉を言ってくれている事が何となくあなたは分かった。
「ふふっ♪そうですねシャワーズちゃん、お友達は大切にしないといけませんからね。もちろん、この島で生活をするならば私もあなたに出来る限り協力しますよ。元の場所に帰れるその時まで、ね」
シャワーズの言葉に同意するかのようにアシレーヌも安心感を感じさせるような声で話しかけて来る。
その瞬間、あなたは“ツー”と頬に熱いものが垂れるのを感じた。
「わッ!?な、なんで泣いてるの!?……お腹痛いの?」
シャワーズの言葉に、あなたは頬に滴っているものが涙である事に初めて気が付いた。
あなたはシャワーズの言葉に『違う』と答える。そう、これは痛みなどで流れる生理的なものではないのだ。
あなたの脳裏に流れるのは、元々いた場所での生活。仕事ではハラスメントを受け、非正規という立場の弱さから後から入社した新人からも軽く扱われ、プライベートでは基本一人であった。挙句の果てには一人何も知らない地に取り残されてしまった。辛かった。心細かった。……心が、壊れそうであった。
そんなあなたが久しぶりに感じた暖かな温もり。それを心で感じ取り、自然と涙が流れてしまったのだ。
『ご主人…』
「……シャワーズちゃん、このお客さんはシャワーズちゃんに優しくしてもらえたのが嬉しくて泣いているのよ」
「え~、嬉しいのに泣くんだ。へんなの……でも、喜んでもらえてるなら良かったよ!」
何かを察した様子のアシレーヌがあなたの代わりにシャワーズに説明した。
シャワーズはその説明に不思議そうにしながらも、最終的には満面の笑みで「良かった、良かった」と繰り返す。
「お客さん、あなたがどんなに辛かったのかは、私には想像もできません。ですが、これだけははっきり言えます。―――――エロ―ラは、あなたを歓迎します」
遭難。
普通に生きてきたはずなのに、そんな人生のどん底に堕ちる様な経験をしてしまったあなた。これから先の見通しもつかない。そもそも助かるのかも分からない。
しかし、あなたの胸には希望が宿っていた。
何故なら、運の良い事にあなたの周りには、こんなにもいい人(?)達がいるのだから。
〇あなたの漂流メモ③ ~ママ~
この島に生息するポケモン全てのママ。それがアシレーヌです。
アシレーヌはエロ―ラのビーチで見かけることが出来ます。もしエロ―ラに来たならば一度挨拶をしておくべきでしょう。
身体が巨大なのですぐに見つける事が出来るでしょう。その大きさはダイマックスしたポケモンと同じくらいだと思われます。
しかし、怖がることはありません。彼女の母性は誰にでも与えられる無限のモノなのですから。
どうしよう、まだエロ描写書けてないのに少し飽きてきた…
も、モチベ…モチベアッププリーズ……!(感想乞食)
次辺りでエロの導入だけでも書きたい……
ここまでご拝読ありがとうございました