東国の国家アシハラはこの事態を重視し、マヨヒガを下した謎の男を研究し、抹殺を企てる・・・
女判事が裁判所の中央で浮浪者に犯されていた。名はミッケーナ。齢33にして最高判事の一人に名を連ねる才媛にして、男ならば誰もが魅入る美貌の持ち主。
彼女は警視コールマ卿の罪を裁いていおり、有罪判決を出したところで浮浪者が闖入してたのだ。実はコールマ卿は冤罪であった。入念な陰謀により、陥れられたのだ。その陰謀に加担してたのがほかでもない、今裁判を仕切るミッケーナである。
ミッケーナは弁護士、検察、傍聴、意識を残す床に倒れた警備兵、その全てに一度目の絶頂の声を知らせた。明晰な頭脳を思わせる顔はいまや淫らに紅潮し、裏路地で春を売る女のそれとかわらなかった。
いや、それ以上かもしれない。どこで覚えたのか、浮浪者の陰茎を舐め、吸い、精を搾った。おそらく幾多の性暴力の裁判で知識だけは豊富だったのだろう。
知識を実技にすぐ還元できる器用さがミッケーナにはあった。
恐怖をおさえ、被告コールマ卿はよたよたと浮浪者に近寄り声をかける。
「やめられよ!その辱めを今すぐ止めるのだ。貴公、今までも様々な暴行を働いてきたが、報告を聞けば、いずれも被害者にもなんらかの落ち度はあったと個人的には感ずる。
しかし今、貴公が辱めているのは何の落ち度もない判事ではないか。貴公にも矜持があるならば、その判事、いや、ひとりの女性だ。その女性を解放するのだ。」
ミッケーナはここで性暴力によらぬ涙を流し始めた。浮浪者は一瞥することもなく淡々とミッケーナを犯し続ける。ミッケーナは助けにきたコールマの眼前で二度目の絶頂を迎えた。
ミッケーナは女の顔をしていた。切ない許しを請うような目をコールマに向け、ぱくぱくと口をひらき何かを言おうとしているが、浮浪者が髪の毛を引っ張り凌辱の続きが始まった。
そのとき、やおら裁判所内が暗くなる。誰しもがあたりを見回した。
はーはっははははは!
高笑いとともに、東国人女性が着る運動に適したタイトな服を着た若い女が空間から現れた。顔は黒い頭巾に隠れている。
「我が名はデラノ!貴様らが東国と呼ぶ、遥けきアシハラから来た。貴様らには全員死んでもらうぞ。
そしてマガツヒ!貴様をまず先に葬る!」
唐突に表れたデラノと名乗る謎の女性は浮浪者を指さし、マガツヒと呼んだ。
-アシハラ人はこの浮浪者をマガツヒと呼んでいるようだー
コールマはそういえばこの浮浪者に名をつけていなかったことに今更ながらに気づいた。口に出すのも忌まわしい所業の数々ゆえだったが、国家機関で追うものの、みな「浮浪者」「あの男」で通じるため、自然だれも名前を付けなかった。
デラノがなにやら複雑な術の所作を両手でなす。すると暗かった裁判所内は真の闇となる。しかし、人間は照らされ見ることができる。そして落下が始まった。
「アシハラ流密術その三十八「奈落」!」
全員が落下を始めた。あちこちで悲鳴が上がる。
みなが、底なしの空間に落ち続けるため、体の自由が利かない。みなじたばたともがいている。しかしデラノだけはゆうゆうと地面があるがごとく立っているのだ。
「我が術「奈落」は、その名の通りだ。空間を支配し、抵抗力を持たぬ者たちをすべて落下させる。ははは、なにもできまい!」
得意げに傍聴者たちにかたりかけていたデラノは勝利を確信し、高らかに叫ぶ。
「マガツヒ、貴様もまぐわいなどできぬであろう。落下中では、な!」
振り向くとミッケーナは三度目の絶頂を座位で果たしていた。
浮浪者は落下中の物理的な動きを利用した挿入をミッケーナに強いていた。ミッケーナはもう男に体を預け切っている。33歳独身。勉学と仕事に明け暮れ、男性と懇意の仲になったことはない。ひそかなあこがれと性欲はあったが、夜、一人静かに自ら慰めることで今まで過ごしてきた。浮浪者はデラノに顔を向けることもなく、その言葉を聞くでもなく、機械的にミッケーナを抱き続けた。
デラノ「なかなかやるな、マガツヒ!しかし貴様の運命もこれまでだ。マヨヒガを屠ったらしいが、マヨヒガのごときは半端な密術を体術でごまかしていた三流にすぎん。今日がお前の最期だ。その愚かな女を抱いて果てるのを待ってやろう。ハーハッハッハ!」
ミッケーナの絶叫が響いた。浮浪者が弁護士に命じてミッケーナの肛門から数珠を引き抜かせていたのだ。落下中の弁護士はさぞ苦労してミッケーナの肛門に数珠を入れたに違いない。
そしてさまざまなものがミッケーナの肛門から飛び出て弁護士の顔にもかかった。中年の弁護士が勃起しているのは下衣の張りからわかった。
ミッケーナは力尽き、脱力した体で落下した。
デラノ「それだな、淫術の邪具、淫珠!この私も初めて見たぞ。」
コールマ「待て待て、待たれよ!デラノとやら。あなたは何者だ。いや、アシハラの者とはわかった。そこの男、マガツヒを殺すために参ったのか。」
デラノ「よくぞ聞いた、老人!貴様のことも利用させてもらった。」
コールマ「利用!?」
デラノは朗々と説明を始めた。とにかくこの女は早口だった。
いわく、アシハラでは浮浪者「マガツヒ」の抹殺計画が練られている。
マガツヒを徹底分析した結果、マガツヒが狙うのは、若い女性、美しければなおよい。その女性はマチハバではだいたい高位にある。
おうおうにしてなんらかの傲慢さをもつか、法で裁けぬ悪の属性を持つ。
そして謎の浮浪者「マガツヒ」は辱めの仕上げに第三者に数珠を渡して、女の肛門を数珠で犯させる。
場所はそのほとんどが衆人環視。絶対的な力で警備の兵は無力化される。オールスが魔導小隊を瞬時に壊滅させられたことから、およそ人知では対抗しえない力を持つことが考えらえる。
それらを踏まえて
デラノの弁舌はたくみだった。早口ながら、聴衆を聴き惚れさせる。
「我は罠を張った!マガツヒが狙う女としてミッケーナ判事に目をつけ、コールマ卿を利用することにした。二人の周囲に落とし穴をしかけた。我が変装し、ミッケーナ判事にはザレケン卿、コールマ卿には商人ツドルァルとして近づいた。」
法服を簡易にまとい、落下中のミッケーナは驚いた。「ザレケン卿は架空の人物!?」
デラノは勝ち誇った。「まさしく、その通り!」
コールマ「ツドルァル氏は架空の人物だったのか!?」
デラノ「まさにまさに!」
ミッケーナ「まさか先月私がザレケン卿に紹介してくだすったハンサムで金持ちで優しいカナンカさんも架空の人物!?」
デラノ「ハーッハッハッハ!あいつは本物だ。そのまま幸せになるとよい!」
とデラノは得意満面の笑みで言ったが
「あ、お前らは全員殺すから、それはかなわんがな。」と付け加えた。
デラノが巧みに仕掛けた罠はコールマ卿を冤罪による有罪に導き、そして弱みを握られ、地位と名誉を目の前にぶら下げられたミッケーナは職務の誇りを曲げ、コールマ卿に有罪を言い渡すことになったのだ。
コールマは叫んだ。「しかしなお、謎が残る!」
デラノがコールマを向いた。
「陰謀はわかった。してやられた。しかし、なぜそれをわざわざ我々に教えるのだ。それにどうせデラノ殿は我らを皆殺しにする算段なのであろう。余計に教える必要はないではないか。」
デラノは頭巾の上からでもわかるほどに「はっ!」という表情をし、右手を口に添えて狼狽した。
コールマにつかつかと歩いて近寄り(彼女は「奈落」の空間でも歩くことができる。)
デラノ「黙れ!」と一喝、平手打ちを食らわせた。
コールマは頬をさすりながら、他の皆は唖然としながら
「黙るべきはアンタだろう。」と、誰も口にせず意見を一致させた。
浮浪者マガツヒは落下しながら足を組んで寝ていた。
「それらを踏まえて我らは考えた。」
皆は「まだしゃべるのか。」と感心する。
「始末するならば異空間ではどうか。そして数珠は必ず一つ。それはなぜか。女を犯すが、それも一度に一人だけ。」
その饒舌にあきれながらもコールマは舌を巻いた。もしかしたらだが、浮浪者「マガツヒ」はこの女、デラノが葬るのかもしれない。
デラノは浮浪者を向いた。
「貴様は一度に二人の女を犯せない。我らの分析によれば、それは淫具である数珠の数に限りがあるからだ。一度に二つは持ち歩けまい。数珠は貴様の性欲と連動している。」
デラノは落下中の浮浪者を得意げに指さした。
「いかな力の持ち主と言えど、奈落の落下中は満足に動けまい。落下しながら女は犯せても、アシハラ最強の術者であるこのデラノの攻撃魔術、毒刃の連続攻撃には耐えられまい。」
浮浪者マガツヒは腕組みをし、落下しながらあくびをした。
「私は人間の表情、細かな動きでその者が何を感じているか察することができる。ははははは!マガツヒ、貴様余裕をみせるためにあくびをしたな。お見通しだ。」
デラノは高笑いをしながら魔術を込めた小さなナイフを何本も手に取った。ナイフは青白く光り、とんでもない魔力が込められていることがわかった。
あれを一本でも食らえば城壁にも穴が開くであろう。コールマは戦慄した。このデラノとかいう女、口だけではない。これだけしゃべるのも我らを全員確実に屠る自信があるからだろう!
「自慢の数珠もない、満足にも動けない。貴様の運命はあと3分だ。」
3分後
デラノは房中術の限りを尽くしてマガツヒとまぐわっていた。
口に何本もの数珠をくわえさせられ、なさけなくよだれをだらだらとあふれさせている。後背位で犯され、男は何本もの数珠でデラノの尻や背中を折檻していた。
男がデラノの口から数珠をすっぽぬいた。唾液や鼻水がいやらしく散るやいなやデラノの舌が回り始める。
「マガツヒ!許せ、許せ!ああ!貴様のマラは、あぁ!硬すぎるのだ。わが房中術「虎歩」の構えにても、うぅん・・・受け・・・あぅ!受けきれぬ!」
男は淡々とデラノを突き続ける。あまりの速さ、勢いにデラノの女からは湯気が立ってきた。
「無駄だぞマガツ・・・ぅぅん・・・ガツヒ・・・我はアシハラで・・・あああっああー!」
デラノは何か言おうとしたが絶頂にて果て、さすがに言葉を失ったかに見えたが、続けた。
「マガツヒ!我を果てさせるとはたいしたも」
デラノはまたしても何かを言おうとしたが、今度は前から抱きつかれ、変形型の座位でマラを受け入れることになり、呻いた。
「ハァ、ハァ、貴様のハァ、やり方はハァ、わかっている!ああああー!」
先ほどより絶頂が格段に速い。デラノの股ぐらから熱い白い汁があふれ出る。
その後も何度か体位を変えては突かれ、デラノは絶頂し続けた。
「マガツヒ!いかに我を犯そうとも、うぅん・・・「奈落」は破れまい。ああああー!」
体位変換
「「奈落」を破らぬ限り・・・くぅん・・・」
体位変換
「貴様に勝利はない!あああぁん・・・」
男マガツヒは指をパチンと鳴らす。
すると突然、周囲の落下は止まった。
男はデラノの女からマラを抜いてデラノを床(はないが、床があればこのへんだろうという空間)に捨てた。
デラノは肩で息をしながら、早口でまくし立てようとする。
体液で濡れに濡れ、肌にまとわりつく不快感からデラノは黒頭巾をぬぎさった。
黒頭巾の下からは幼さが残る東国風の可憐な女の子の顔がのぞいた。
漆黒の髪の毛は短髪で、かわいらしいくりくりとした目。ちいさく整った鼻。
さくらんぼの口。どこかコミカルで愛嬌のある耳。
眉はちょっと太めでくりくりした目によく似合う。
が、しゃべり続けた。
「馬鹿な!「奈落」の落下は密科のことわりによる大地の引寄力によるものではなく、魔術による空間作用と密術の遠理作用をかけあわせた際に生ずる現象で、見ればこの不可思議な停止は魔術とも遠理とも判ぜられぬ。
もし我らの知らぬ密科のことわりをもって「奈落」をとめたのだとすると、遠理作用の急激な停止により魔術作用でそのひずみはこの空間すべての人間の感理を均等に増幅してはじけて消える。
それを人間が避けるには後頭部に両手を乗せ、丸まり、秘祭の詠唱をすればよいとされるが、実際は秘祭の詠唱でなくとも、とにかく口から息を断続的にでも吐き、あー、や、うーとか言っていればよいのだ!
これは密科の応用だ!
しかしそうすれば、それをなさぬ人間にひずみの力は集中してしまう。
なぜならそこは、密科のことわりが働くからだ。ひずみの力は生物に均等に分配される原理があり、この場にいる人間は43名ゆえ、全員が均等に受ければ、その力はかなり減殺される。
蚊に刺されたかゆみがアブに刺された痛み程度には増幅するが、ともあれ死ぬことはない・・・あああああーーー!!」
デラノの饒舌が止まった。解説に夢中になりすぎていた。気づけばミッケーナがデラノの肛門に数珠を入れていた。
幼く可愛らしい顔のつくりが切なく、醜くゆがむ。
「はっ、はぁーー!!」デラノが大きく口から息を吐き、感情と違和感による痛みと快感を抑える。
ミッケーナ「あなたにまんまと陥れられた。本当は法に仕える身だから、私刑は避けたいけれど。」
ミッケーナが一粒、また一粒と数珠の球を入れていく。
「馬鹿な。我は菊座を利用した房中術も・・・あっぁー」デラノの菊座にめり込んで消えていく数珠はわずかに青白く光っている。マガツヒのいたずらであろう。
なんとか息を整えたデラノがあたりを見回すと、空間にある全員は、マガツヒとミッケーナ以外みな後頭部に両手を添えて、あーとかうーとか唸っていた。
「だめだ、何をしている。蚊のさされがちょっと痛くなるだけだと教えたではないか、あぁぁうっぅー・・・うん!?」
ミッケーナが最後の球を入れ終え、防御姿勢をとりまるまった。片手は数珠から伸びた紐を握っている。
空間の軋みが音を伴い、術者ならぬ一般人にもその破綻が感じられてきた。
男は一物をおったて、仁王立ちでデラノとミッケーナを眺めている。
デラノは見苦しく暴れようとしたが、男のひとにらみで失禁しておとなしくなった。
「はわわわわわ・・・馬鹿な、馬鹿な。もうすぐ空間のひずみが我らに降りかかるのだぞ。マガツヒと我の二人でそれを受ければ、おそらくその感度は3000倍となる。まさか、それにあわせて数珠を引き抜くのではあるまいな!」
ミッケーナが丸まった姿勢で「なるほど!その手があったんだ!」を叫ぶ。
「やめろミッケーナ。謝る、この通りだ。おまえを陥れたのは我の不覚よ。カナンカ卿はお前を真に愛している。たとえお前が法卑とののしられようとお前をかばうはずだ!そういう不器用でまっすぐな愛を貫く。そんな男なのだ。きっと社会的に破滅したお前にも尽くすであろう!」
デラノは焦りから方向性が迷子の命乞いを叫ぶ。
空間のひずみの音と衝撃が強くなってくる。
「ミッケーナ、やめろ、やめろ!カナンカには、我が調べたお前の善きところをあれこれと並べ立て、好意の下ごしらえをしたのだぞ!
そうだ、お前の密かな好みがビールに唐辛子と牛乳を入れて一気飲みし、食道に刺激を受ける、アレ。あのマゾの所業をカナンカ卿に教えたのも我なのだぞ!」
「おまえやったんかーーーい!!!」
ミッケーナが紐を一気に引き抜くと同時に空間のひずみははじけ、防御姿勢をとっていなかったデラノに襲い掛かる。数珠の異物感が直腸と括約筋を刺激する痛みと快感とが3000倍に増幅した。
男にもまた3000倍の感度はおそい、一物は破局噴火して白いマグマはあたりに飛び散った。
さすがの男も表情を少し変えた。
ぬぽぽん
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
真顔だったデラノは数珠が抜けた音から一瞬おくれて真顔を絶叫に変えた。
デラノの体の穴という穴からあれこれが噴き出た。
しばらくデラノの叫びが聞こえたが、やがて静寂が訪れた。
気づくと、そこは裁判所内に戻っていた。
やれやれと皆がよろよろと立ち上がると、中央にはデラノが横たわって口をパクパクさせていた。耳をすませば、この期に及んで何やら解説している。
コールマが浮浪者マガツヒを探したが、やはりすでに見当たらなかった。
かくなる上はデラノの身柄を抑えようと、進み出ようとすると、デラノのそばに東国人の男女がなにもない空間から現れ、デラノをかかえるや、一礼「迷惑をかけたな。」と消えていった。
「東国人がみんなおしゃべりってわけではないんだな。」というのは所内にあった人々の無言の感想である。
東国のアシハラもまた謎の浮浪者撃破に失敗した。
しかしコールマはマチハバの浮浪者の分析が甘いことを痛感することになる。
なお、ミッケーナは判事を罷免されたが、ミッケーナに熱を入れるカナンカと遠くの街に引っ越して幸せに暮らしたらしい。