※この作品はR-18です。

3分後   作:すりーみにっつ

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今回は閑話です。
3人の男の話です。
タイトルの「分後」をやめるのはちょっと勇気がいりました。


3人の男

ベッドの中に男女が寝ている。

女は男に肌を合わせ、男は後ろ頭に両手を組んでいる。

女の寝息を聞きながら男は昔に思いをはせる。

 

俺は確かにあの時期、エジーニャ様のために死ぬ気だった。

導火針に電流を流し、ヤツとエジーニャ様、トルエンとノイマン5人で吹き飛ぶはずだった。

ところが奴は一枚も二枚も上手で結局俺たちは負けた。

 

う!

アマトールがうめく。股間が強く握られたのだ。

「アンタ、いま女のこと思ってたろ。」

「ああ、思ってた。見れたもんじゃねえ顔のな。」

「アンタ好みのかい。」

「いったろ、見れたもんじゃねえって。」

「じゃあなんだってそんな女のこと考えてんのさ。」

「昔、一緒に死のうと思ってたからさ。う!」

ヒューリがアマトールの股間をギュッと握った。

 

アマトールは二人の女の無念を背負っている。

かつての上司。そしてヒューリ。

二人の女の人生を破壊した男。こいつに一矢報いねば俺は男ではない。

 

 

空飛ぶ軍艦「アルヒューナ」

マチハバが持つ飛行軍艦で、気嚢には燃えにくく魔術で加工された軽燃気が充満している。

その浮力は106蟻滑空砲を3門と44発の砲弾、そして14名の兵員その他必要器材を運搬でき、滞空中に砲撃を実施できる能力がある。

 

アルヒューナはいま、邪龍トラスゴールの巣に近づきつつある。

アンカバ山に巣くう邪龍トラスゴールは1000年前から人類の山越えを阻んでいた。

なんども討伐が行われたが、いずれも返り討ち。その時代時代最強の武具や対策を練っていったが、無駄だった。挑戦が行われなくなりおよそ100年がたった。

 

「トラスゴールが向かってきます。」

「滞空、停止。」

「高度取れ。砲向け。」

砲の指揮をするのはトムルス竜兵少監

 

大昔に騎兵だったが、上司を守り切れなかった事件があり、それ以来馬を降りた。

ある日、竜に乗る機会があり、これからは竜兵だろうと思い立った彼は竜兵に転科したのだ。時代は下り、竜兵は空を飛ぶ兵器やその運用全般に携わることになる。

トムルスは大空の騎兵を志したのだが、今はアルヒューナの砲兵指揮をしている。

「なにやってんだろうね、俺は。」

と、独り言ちる。

トラスゴールは2体。

先行してくる1体に3門の砲がむく。

「撃て!」

アルヒューナの106蟻滑空砲が火を噴き、見事一発が命中した。

トラスゴールは墜落していく。もう1体は砲が危険だと察し、アルヒューナの後背に回り込もうと軌道を変えた。

 

「砲、転回。2番、3番。追随射。1番、狙え。」

トラスゴールに2番3番砲が火を噴く。牽制射撃である。トラスゴールはなかなか近づけない。

トラスゴールが右も左も危険と、制動をかけた瞬間を狙い、1番砲がトラスゴールを撃ちぬいた。

 

アルヒューナは基本的に純密で作られてはいるが、砲の照準には魔術が用いられ、精密射撃が可能だった。

 

トムルスは艦長に報告し、砲員に砲をおさめさせた。

「騎兵をやっていた20年前とは大違いだな。もはや人と人が剣を交えるようないくさはあるまいて。」

トムルスに苦い思い出がよみがえる。

 

若かったあの日、上官だった一人の女騎士を守り切れなかった。考えたとてせんないことであるが、あの時、アルヒューナが空にあり、奴を狙うことができていたら・・・

あの哀れな女騎士は今頃何をしているのだろうか。剣の腕は確かで、教えているうちにあっというまに技量を抜かれた。

快活な女性だった。若さと愚かさがまぶしかった。

ああ、アルヒューナで奴を撃つことができれば。

 

夕日が照らす山肌を部下たちと眺める。アルヒューナは母港へ向かっていた。

 

 

ぱぱぱぱん

一斉射が街角に響く。

反王政グループが立てこもるパブに長炮兵が射撃をする。

味方の射撃を援護とし、パブ入り口に近づいた兵が手投げ弾をパブに投げ入れる。

とたんに響く爆発音。

長炮兵たちがパブに突入した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

すでにパブ内には死体だけがあった。

反王政グループのみならず、いあわせた客や店員もみな死んでいる。

強硬なやり方にトリュー炮兵長は内心気分が悪かった。

なるほど、鬼畜アラシェリーケのやり方らしい。国王を奥の院に押し込め、摂政として専横を振るう女。アラシェリーケ。

反王政には苛烈にあたれ。犠牲はいとわない、と。

命じているのは兵杖総監ウラバロだが、あの揉み手上手の小心者にこれを命じているのはアラシェリーケだろう。

まあ、給料さえくれればひとまず文句はないのだがな。

しかしこの炮という武器はどうだ。魔術だの剣だ槍だの時代はいよいよ終わりか。

もっとも値段が馬鹿高いから揃えるのに苦労するのだろうが。

などと考えたところで俺が買うわけではない。心配することでもない。

それより、はやく金をためて家を買わねばならない。

 

トリューは妻と駆け落ちしたおかげで貴族も騎兵もやめてしまい、当時鼻つまみ者のふきだまりだった、出来たばかりの炮兵に身を転じたのだ。

ツーリカルの森林からも離れ、王都のごみごみした街区にひっそりと妻と住んだ。

以来妻には迷惑をかけっぱなし。子供はいない。妻が不妊か、我が不妊か。お互い不倫をしたこともないので確かめようもない。

老後は自宅を買ってしずかに二人で暮らすのだ。

静かに暮らすのが夢だが、トリューには一つ、できるならばかなえたいことがあった。

復讐である。妻を破壊した男に一矢報いねば。

それは普段は胸の内におさめ、誰にもみせない激情であった。

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