くわえて名をはせた「灼熱の鷹」がギルド内のいさかいで解散となったことも噂に上ってはいた。
しかしそこに謎の浮浪者がかかわっている共通点にマチハバの警視、貴族コールマは気づいた。
謎の浮浪者の噂は、庶民の間でも時折話題に上っていた。
冷酷無比な森林管理官貴族、修羅場をくぐった冒険者がその浮浪者には手も足も出ない。そのうえ標的になるのは、高慢ちきな権力者となれば法が裁かぬ悪を懲らしめる存在だ。人々は快哉を叫んでいた。
だが、もちろん警視コールマにとっては、こんな面白くない話はなかった。国内の治安を揺るがす不穏分子が存在し、庶民が好意を持っている。
これほど腹の立つことはない。
当の浮浪者の行方は依然杳として知れなかったが、そんな折、隣国オールスから衝撃的なニュースが飛び込んできた。
なんと、隣国の有力なギルド長の娘が、衆人環視の真っ只中でさんざんに陵辱されたというのだ。しかも犯人はフード姿の浮浪者だという。
護衛の腕利き冒険者たちは全員浮浪者に投げ飛ばされて人事不省だったらしい。
事の起こりについての報告はもってまわった言い回しの役所の文章でよくわからなかったが、コールマが調べたところ、要はギルドの権力を笠に着て傲慢に振る舞う娘が、通りすがりの貧しい車夫を足蹴にし、それを咎めた浮浪者に激しい悪罵を投げつけたことが発端だった。浮浪者はその傲慢なプライドを、もっとも屈辱的な形でへし折ったのだ。
なるほど、風体と所業に共通点がある。
森林管理官の若い女貴族も、ヒューリとかいう魔法使いも傲岸不遜であったと聞く。
コールマは事態の真相を探るべく、すぐさまオールスの知己へ使者を出すことを決定した。
使者に選ばれたのは、若く美しい親衛団の伯長、エーレカであった。凛とした美貌と確かな実力を兼ね備えた彼女は、信頼できる部下を3人選び、馬を駆って隣国へと向かった。
エーレカは茜色の髪の毛、後頭部で団子を作り、髪の毛を短くまとめている。
やや褐色の健康的な肌、強い意志を示す眉、やや垂れているが、橙色のきらめく目。武人ゆえ化粧っけはなく、紅はひいていないが、その唇は血色よく口を結ぶと美しく張った。
武芸に明け暮れた体は女だてらに筋肉質であったが、やわらかな胸、隠しようもないあでやかな腰のくびれは、まごうとこなくエーレカがひとりの女性であることを示していた。
気高い貴族の誇りを持ち、マチハバの治安を守る強い意志
エーレカこそは貴族チャルカッシャ家が育て上げ、国家に送り出した最高傑作であった。
エーレカの指南役トムルスは先月エーレカに技量を抜かれたが、なお重い信頼を置かれており、今回の早馬に選ばれている。
トムルス「エーレカ様は少々、やりすぎるし拙速なのが玉に瑕なんだよなあ。」とひとりごちるのが彼の悪い癖だった。「もう少し経験を積まにゃあ。」トムルスは騎乗し、エーレカをみやる。
エーレカは上官ではあるが、トムルスにとっては愛弟子でもある。
そよ風が頬をなでる。美しいエーレカの横顔はいつまでも見ていたくなる。
一行が街道を駆け抜けていた時のこと。行く手の道中央で、無邪気に遊んでいる子供の姿が見えた。
エーレカは迷った。このままいけば子供を踏み殺してしまうかもしれないが、若いエーレカは任務に忠実な自分に少々酔っているところがあったかもしれない。貴族からすれば庶民の命は安かった。
「止まるな! 突き進め!」
-まずいな-
トムルスはエーレカの拙速をただしたかったが、その暇はない。
子供をなんとか避けられるように先頭に立ち誘導を試みる。
エーレカには国家の急務に比べれば子供一人の命程度些事という傲慢さがあった。
しかし、どこからともなく現れた一人の浮浪者が、子供をかばうようにして道に割り込んできた。そのまま突っ込めば、馬の脚が絡んでこちらが落馬しかねない。
トムルスはこれ幸いと、手綱を強く引いた。「停止!停止!」
エーレカたちは急減速して止まった。
トムルスは心の中で舌を出し、浮浪者に感謝しながら叫んだ。
「そこの者、どけ! 我らは国王陛下の早馬であるぞ!」
浮浪者は何も言わず、ただ子供を優しく逃がすと、小さく会釈をしてそのまま立ち去ろうとした。
-ふん、ただの変わり者か。まあいいー
トムルスは前進をエーレカに具申しようとした。
その時、エーレカの部下の一人が不審な気配に気づき、浮浪者に声を放った。
「貴様、どこから来た! フードを上げろ!」
男の顔は深いフードに隠れて見えない。その風体に、エーレカがなにか感づいた。警視コールマ卿が言っていた浮浪者。
(……まさか、こいつが?)
「フードを上げろ」
今度はエーレカが命じた。
トムルスはまずいと直感した。
もしも、もしもだが、この浮浪者が例の奴だとすれば、森林レンジャー10人をのし、特S級の冒険者4人を沈めた実力者だ。
我らとてひけはとらぬが、なめてかかっては危ない。
エーレカの声が一段と冷たく響く。浮浪者が応じないのを見て、彼女は即座に腰の剣に手をかけた。
「抜剣!」
シャイン、と鋭い金属音が街道に響く。4人の親衛団員が浮浪者を取り囲んだ。トムルスは覚悟した。浮浪者の実力は並のものではない。そう彼は見抜いた。
トムルスはエーレカが逃げられるよう、部下とともに前に出た。
「エーレカ様、手練れかもしれませんが、3分もありゃ片付きますよ。サクッとひっとらえましょう」トムルスはおどけた声で言ったが、すでに彼は脂汗をかいていた。
3分後
浮浪者の陰茎を必死にしごくエーレカがいた。
街道に信じがたい光景。
トムルスを含む3人の部下たちは、剣を握ることすらできず、道端に転がっている。全員がなす術なく叩きのめされ、気絶して意識を失っていた。
そして親衛団伯長であるエーレカは、浮浪者の前に跪かされていた。
美貌は涙と鼻水でぐしゃぐしゃに歪み、すらりと伸びる右手は、浮浪者の猛々しい陰茎をにぎりしめ、必死になってしごいていた。
「ひっ、あ、うぅ……っ!」
プライドも、貴族の矜持も、すべては圧倒的な暴力と恐怖の前に消し飛んでいた。
彼女にできるのは、ただ目の前の怪物の機嫌を損ねぬよう媚びることだけだった。
(命だけは……どうか、命だけは助けてください……っ! お願い、お願いですから……っ!)
エーレカはぐずぐずと泣いていた。
一刻も早くこの悪夢から解放されたい一心で、必死に浮浪者の射精を促す。疲れる手を動かし続けた。
殿方は陰茎をこすり続け射精さえすれば満足する、とばあやに教えてもらったことがある。まさかその知識がこんなときに役立とうとは・・・
己の衣服を汚すことも、親衛団伯長の威厳も、今の彼女には何もかもがどうでもよかった。
ただ、この男の欲望を満たすことだけが、生き残る唯一の道だと本能が告げていた。
やがて、浮浪者の陰茎がかすかに震え、エーレカの顔や胸元に向けて、熱い精液が勢いよくほとばしった。
とんでもない量だ。頭からかぶる。
「はぁ、はぁ、はぁ……っ!」
エーレカは強い衝撃を受けた。陰茎の先端が小刻みに震えるや白い液体が襲い掛かってくるのだ。
熱い!そう感じた。
ばあやから聞かされていたものとは段違いだ。
顔にかかった白い液体を拭うこともできない。とにかく怖いのだ。怖い。この男が怖い。
エーレカは怯えた瞳で浮浪者を見上げた。
呼吸を荒らげ、懇願するように言葉を紡ぐ。
情けない媚態だった。
「こ、これで……私たちを解放する……してくれるのだな……?」にらまれた。
「 して、くれますか……っ?」
すがりつくような、哀れな物乞いの視線。
しかし、浮浪者はフードの奥から冷徹な視線を向けたまま、静かに首を横に振った。
エーレカの橙色の瞳から、すっと光が消え、絶望の色彩が広がった。
浮浪者は、ピクリとも眉を動かさない。その唇からは、勝利の勝ち名乗りも、エーレカを嘲笑う下卑た言葉も、ただの一言すら発せられることはなかった。
いっそののしられてほしかった。
なにもない。道端の石ころを何気なく蹴飛ばしただけなのだ。そう、この男にとってはそうなのだ。
世界の暴力のことわりそのものが体現したかのような、絶対的な強者の静寂がそこにあった。
街道の脇、泥の中に転がされたトムルスは、割れるような頭痛とともに辛うじて意識を取り戻していた。
だが、指一本すら動かせない。骨を砕かれ、気を断たれた身体は、情けないことに全く動かなかった。
他の2人の部下も、浅い呼吸を繰り返しながら、薄開きの目で地獄のような光景をただ見つめることしかできなかった。
親衛団の誇り、美しく高潔な伯長、エーレカ。
その彼女が、いまは、ただの家畜だった。
トムルスはかつて繁殖用の馬や牛を見たことがある。エーレカは家畜だった。
「いや……ひ、あうぅ……っ!」
浮浪者は一切の容赦なく、そして感情の起伏すら見せずに、エーレカの女を後ろから蹂躙していた。
エーレカは大木に両手をそえて体を支え、尻を突き出している。浮浪者の黒い鉄を思わせる陰茎はエーレカのやわらかな女にぶしつけに出入りしている。
暴力的なピストン。
エーレカの引き締まった身体が哀れに揺れる。すこし控えめな彼女の胸ははだけ、浮浪者の両手で乳首をつままれ、もみしだかれ、赤いあざがみえた
彼女の美貌はいまはみだらにゆがみ、助けを求める声ははりあげる嬌声となり周囲にひびいていた。
トムルスは必死に声を上げようとした。
『エーレカ様から離れろ!』と叫びたかった。だが、喉から漏れるのは、かすれた呼吸音だけだ。
圧倒的な実力差を見せつけられた絶望感だけがあった。ほかの2人もおなじだった。彼らにできるのは、自分たちの無力を嘆き、エーレカがあの怪物に徹底的に犯される様をながめることだけだった。
「もう、許せ、許して、いえ・・・」パアン!尻に、腰に平手うちが飛ぶ。
「許してください、許してください!」エーレカは口調を懇願に変えて叫ぶ。懇願は街道にむなしく響く。
浮浪者は哀願などとりあわない。視線すら合わせない。ただ機械的に暴威をもって、若き女伯長の女の穴を深くまで突き上げ続けた。
どこからともなく集まってきた野次馬たちが、遠巻きにこの惨劇の見物を始めた。なにやら若い女が容赦なく犯されている。周囲に騎士とおぼしき男たちが転がっているところを見ると、助けに行くのは自殺行為とわかった。
浮浪者は、ぐったりとうな垂れるエーレカの髪を掴んで引き起こすと、群衆の中のひとりの男を指差した。言葉は発しない。ただ、有無を言わせぬ絶対的な強者の眼光と、短い手招き。それだけで、指された男は蛇に睨まれた蛙のように硬直した。
「お、俺ですか……?」
四十路くらいの男はこわごわと、周囲の視線を浴びながら浮浪者のもとへと歩み寄った。逆らえばどうなるものか。街道に無様に転がる騎士たちをみればだいたい想像はついた。
浮浪者は懐から、怪しげな光沢を放つ数珠状のビーズを取り出し、男の手元へ放り投げた。そして、エーレカの完全に無防備になった臀部を顎で示す。
ぬらりとてかり、平手跡がついたエーレカの尻をみて男は勃起してしまった。
「ひっ……! い、嫌……それだけは、それだけは御免被ります……っ!」
エーレカは数珠を見て今から自分が何をされるかわかってしまった。警視コールマ卿からその話を聞いたときはなんとはしたない、獣の所業、絶対に許せないと憤ったものだったが、まさか自分がその犠牲者になろうとはつゆにも思わなかった。
エーレカはさめざめと泣きながら必死に首を横に振った。だが野次馬の男の手によって、大粒のビーズが彼女の最も屈辱的な窄みへと一粒ずつ、容赦なく押し込まれていった。
「あ、はぁっ……! 嗚呼……っ!」
異物が、球体が体内の未開の地を押し広げていく悍ましい感覚に、エーレカは身体を弓なりに反らせて身悶えした。
そして絶対的に否定したかったが、球が直腸を通るたびに快楽の波が全身に伝わったのは事実だった。
そんなものに反応する自分の女が許せなかった。情けなかった。
そしてすべての球体が彼女の最奥に収まり、一本の紐だけが外に垂れ下がる。
彼女はがくがくと震えて四つん這いになった。涙が、汗が、鼻水が、よだれが、愛液が、液体という液体が地面に垂れた。
ーゆるして・・・ゆるして・・・ー
浮浪者は満足した風でもなく、ただ冷淡な視線で男に次の指示を——顎をクイと動かすだけで——下した。
『一気に引き抜け』
男はその無言の圧力に圧され、生唾を飲み込むと、垂れ下がった紐を両手でしっかりと握りしめた。
「頼む、やめて、お願いだから優しく……っ!」
エーレカの必死の懇願が響く。しかし次の瞬間、男は全力でその紐を一気に引き抜いた。
「ーーーッ!!?!?」
声にならない絶叫がエーレカの喉から迸った。
まるで獣だった。女性が出していい声ではなかった。
連なった硬い球体が、彼女の最奥から括約筋を引き裂かんばかりの勢いで、猛烈な摩擦とともに文字通り「一気」に駆け抜けたのだ。
内臓を直に抉られるような凄まじい衝撃と激痛、そして強烈で狂おしい刺激が、エーレカの脳髄を真っ白に染め上げた。
「あ、が……あ、ああああああっ!!」
エーレカの身体は激しく痙攣し、そのままガクガクと震えながら自らの体液で泥となった地面へと崩れ落ちた。白目を剥き、口元からだらしなく涎を垂らしながら、彼女の尊厳崩壊はここに完成した。
その無惨な姿を、トムルスたちはただ血涙を流しながら見つめることしかできなかった。
浮浪者は無表情にを見下ろしていたが、やがて飽きたのか立ち去った。
トムルスが目で追ったが、すでにどこにもいなかった。
エーレカたちは騒ぎを聞きつけた近くの屯所から来た兵士たちに救助された。
4人は療養施設に入所し、警視コールマ卿からじかに事の顛末を聴取されたが、エーレカはなにもしゃべらなかった。しゃべれなかったのだ。言葉や感情を失ってしまった彼女はチャルカッシャの屋敷に引き取られた。