第20話 3分後の月光
アラシェリーケの怒りをよそに悪徳貴族成敗を続けるベイリーとアゼミコンビ
ただ、彼女らは悪徳貴族成敗はついでで、あくまで
ベイリーはダスランの情報
アゼミはマガッヒの情報
これを探しています。
でも王政中枢の貴族であれば知っているかもしれない、程度の薄弱な根拠で貴族巡りをするので、必然的にだいたいどいつも大なり小なり悪いことをしているので搾性成敗が発生しているというだけですね。
今回は運悪くダスランに粘着された、どちらかというと被害者の貴族カギョーロルが成敗されます。
彼は本編の記述通り、本人に特に非はないのですが、小心者ゆえ、王政中枢の有力貴族ダスランの名前を出せず、ベイリーの搾性を受けてしまいます。
カギョーロルは運河の管理を任されている貴族で、運河の集荷や配送などの仕事をしています。
ごく狭い範囲の業務なので、それほど利権があるわけでもなく、格でいえば弱小貴族です。
近い将来アラシェリーケ一派に取り潰しの憂き目にあい、王政に吸収される運命ですね。
そういった焦燥感は彼も感じており、王政中枢にはかかわりたくないというのが本音なのです。そんなときにズカズカやってきて、元カノ犯したいから運河でのことは目をつぶってと迫ってきたのがダスランです。
ダスランからすれば、管理している貴族から「許可」さえ取れば何をやっても大丈夫という前世代の常識に過ぎないのですが、カギョーロルはその常識は知りつつも「今のご時世はだめなのでは・・・?」という困惑がありました。
中央は法律を決めますが、この世界で法律は弱いものが守るものという側面があり、地方ほど額面通りには守り、中央の権力者は公の場でこそ守る者の、意識のなかでは自分は免罪という考えがあります。
カギョーロルはそのはざまで苦しみましたが、搾性の苦しみがそれを上回ったため、すべてをベイリーとアゼミに吐きます。
劇中にはありませんが、ベイリーとアゼミは「あ、悪いことしちゃった。」とちょっと後悔します。
短期の作劇的には前半はカギョーロルを通じたダスランの悪事の証拠固めですが、長中期的には、カギョーロルと言う父性に二人が触れる回です。
カギョーロルも自分の陰茎を好きなように搾性され、傷心しますが、ベイリーとアゼミのあっけらかんとした風と、ダスラン憎しの目的が合致していたこと、話せば倫理観に共通点が見られたことで、それほどわだかまりを持たずに済みました。
二人とも話せば、所詮は小娘で、一人は恋愛脳のママ好き女子、一人は話し方こそ古風で思慮深く見えるけど基本的にはお馬鹿さんだと、教養や知識経験のあるカギョーロルは見抜きます。
話せば話すほど、二人の幼さが心にしみる。
かつて結婚した女性と子をなしていれば、このくらいの年代の子供と相対していたのだろうなと。
ふとカギョーロルは思い立ちます。今晩は大月が満月。
きっとこういう境遇の子供は聞いたことがないだろう。
300年前の音楽家が作曲した名曲。
自分が下半身を露出しているのも気にせず二人に名曲を聴かせます。
そのカギョーロルに幼いころに鍵盤式の楽器でその曲を習ったアラシェリーケに場面は移ります。
スルマリケの人物像はこの回で定まりました。
アラシェリーケは最後に最高の凌辱をするって決めてますが、それを見届ける人物が必要。
だってNTRが一番鬼畜で興奮するから。最低の動機ですね!!
満月の月光が降り注ぐ中、アラシェリーケが月光の曲を弾く雰囲気最高の場面でスルマリケは「なんだかんだお前は言うが、我らは多かれ少なかれみんな鬼畜なんだぞ?」と畳みかけられます。
そしてその後、情けないことにアラシェリーケにマガッヒのことで「アンタが好きなんや。アンタは国家第一でマガッヒに犯されたって気にせんかもしれんが、俺は気にするんや!」と、かなり引く告白をしてしまいます。
アラシェリーケもどうしていいかわからず、理解はするがあえて捨ておく、と返します。
でも「人に好かれる?この私が?ありえないんですけど。だって私、2級市民とはいえ売り買い積極派だし、間違いなく法律違反のダスランの殺害黙認とかやってっし。」と困惑しつつ、まんざらでもない。
だから自分がツーリカルでマガッヒと間接的に関係があるよ。
どこか詩的だよね。
なんて鉄血摂政らしくないことをスルマリケにご褒美におっしゃられたってわけ。
背景がある大人の恋愛って面倒くさいですね。いや、アラシェリーケさんのは恋愛に達してないけど。
第21話 30分後のアーチェラとアゼミ
百合です。イェーーーーイ!!
アシハラからおしかけたアゼミとなんだかんだウマがあって仲良しともだちになれたアーチェラ。
勝手の知らないマチハバに来て最初に接触した「マガツヒ」の娘アーチェラとなんだかんだ仲良くなったアゼミ。
ただしアゼミは、なんだか我々の常識に照らしてちょっと変わった女の子程度の認識だと思うかもしれないが、系譜としては殺人機械のマヨヒガやデラノ(彼女は肝心なところでポンコツだっただけで殺人機械である点はマヨヒガと同じ)と同じ女性なのである。
しかしこれは実に幸運なことに、アシハラでもアゼミが3歳のころに大規模な体制改革があり、人の命は大切に、人の権利をむやみに侵害してはならない、といった方向性の教育がはじまっており、アゼミの世代は西国のアーチェラと倫理観をおおむね同じにしている。
ゆえにアゼミは冷淡ではあるが、アーチェラと怒りを共有できるのです。
アーチェラとアゼミがちゅっちゅらぶらぶやっちゃうところですが、作者的には
「お前、最近、悪徳貴族成敗が続いて性の解放が進んでおらぬか。」
「進んでおらぬ。」アーチェラがアゼミを押し倒してキスをする。
ここの下りが最高に好きですね。
「進んでおらぬ」って。相手の独特の口調をまねてからかいながら行為に及ぶって尊すぎる。
あと、この回はカギョーロルの役割が決定する回でもあります。
前回あれだけ二人に優位に立たれて酷いことをされてなお、彼は大人として、保護者として二人に相対し、勇気を振り絞って説教をします。
そして二人とも父親がいない。
最初は反発するけれども、自分等のやっていたことが後ろめたいことであるのは重々承知だったのでカギョーロルの叱責を受け入れます。
アーチェラが最終奥義「無精転生」を習得。
アーチェラとアゼミが性でもつながる。
カギョーロルが父性発揮
アーチェラとアゼミが父なし子同士で感じあう。
そういう回ですね。
最後にデラノ師匠の饒舌がでてきました。
第22話 3時間後のアラシェリーケ
アーチェラとアゼミが重臣を次々に干からびさせ、さしものシステムで動くマチハバも支障をきたしてくる。仕事は増え、指導不足、代替案を用意できない自責の念でアラシェリーケも荒れます。
ものすごいストレスです。
ひとり秘めやかに自慰をすることでは精神のメンテナンスができないと摂政の地位について痛感したアラシェリーケは「その道の達人」を頼ることになります。
アラシェリーケとすれば、セックスは精神のメンテナンス、ストレス解消手段。そして市井の男女の営みの一端を知る、政治的行為にすぎません。
そうありたい、ではなく、彼女はそうでなくてはならないと強く考えています。
そして行為のあとに無粋にも乱入してきた二人。
アラシェリーケは察します。
報告にあった謎の若い女賊
警備厳重なはずの私室にやってこれる者はいないはず。
これはあの女賊に違いないと。それとともに密科に頼り切った警備で魔術系の警備がおろそかだったのだろうな、と。アラシェリーケは「これでスルマリケをたしなめられるな。」と少し愉悦に。彼女もなんだかんだスルマリケを憎からずおもっているのですね。
鉄血摂政ゆえ、小娘ごときはいいくるめて余裕で退散させますが、やはり警備の緩さにちょっとスルマリケにムカつくアラシェリーケ。
これはからかってやらねば気が済まない。
「見たな。裸を。」
顔を青くしてぷるぷる震えるスルマリケをみられてアラシェリーケは大満足。
良い酒を飲めそうだ。
これが第22話です。