※この作品はR-18です。

『The Judas Hound -贖罪の牙-』   作:LCL Stuio R

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【SCENE 001:「商品」として】

 

割れんばかりの薄汚い歓声、飛び散る汗と涙。

 

リングの上で、無惨に組み伏せられ、尊厳をへし折られていく少女の絶望的な叫び――。

 

なぜ、私達はこんな場所に立っているのだろう。

 

ここ数日の訓練もあって、自信をつけて臨んだはず…だったのに…。

1週間程の記憶が、走馬灯のように少女達の脳内を駆け巡る。

 

時計の針は、十日ばかり前の「あの日」へと巻き戻る。

 

 

 

 

[記録日時:1月4日 14:00 / 対象:Puppys全個体]

海鳥の鳴く声が、遠くから微かに聴こえてくる。 目隠しをされ、別々のルートでヘリや船からこの絶海の人工島へと運ばれてきた6人の少女たちが、冷たい石の床の上に立たされていた。

 

目隠しが外される。 そこは、窓一つない無機質な地下空間。強烈なLED照明が彼女たちの青ざめた顔を容赦なく照らし出す。周囲を囲むのは、統一感のある黒服に身を包んだ警備らしき男達。そして、壁際に並んで彼女たちを「品定め」するように見つめる3人。2人は女性だが、1人は…性別が分かりにくい容姿をしている。

怯える者、睨みつける者、状況を把握しようと沈黙する者。 6人の反応は様々だが、共通しているのは「逃げ場のない圧倒的な閉塞感」に呑まれていることだった。

 

彼女たちの前に、先程の男達より明らかに仕立ての良いスーツを着た男が歩み出る。 彼は手に持ったタブレットに視線を落としながら、事務的な、それでいて底冷えのする声で口を開いた。

 

「——長旅、ご苦労でした。君達の背負っている『借金の額』はすべて把握しています。ここは君達にとって地獄かもしれないですが、同時に『唯一の希望』でもあります」

 

男は6人を見回し、薄く笑う。

「ルールはシンプルです。君達は『商品』としてあの闘技場のリングに立ち、我々に出資してくださっているMastersの皆様と、毎週2階、この離れ小島に船でやってきて下さる、素敵なお客様のために戦う。勝てば借金は減り、負ければ増える。ね、簡単でしょう?」

「そして、商品としての価値…『純潔』と『美しさ』を保つことも、君達の義務です。故意に自分達自身を傷をつけたり、意図的に醜態を晒した場合には、借金の上乗せと……相応の『躾』が待っているので、そのつもりでいて下さい。」

ざわめく少女たちを意に介さず、男は背後の重厚な鉄扉を指し示した。

 

「君達には、最高級のベッドと食事、そして完璧なトレーニング環境が与えられる。外の世界のトップアスリートすら羨む環境です。…ただし、そこから出ることは一切許されません。借金を、1セント残らず完済するまではね。因みにここは、国家として指定されていない、海に浮かぶ人工島。単体の大きな船のようなものであり、どの国の法律も適応されません。泳いで逃げるにも、常人が泳げる範囲には陸地もないです。因みに、この島のアトラクションの一つに『シャーク・ウォッチング』がありますが、 1匹も見れなかったら参加費だけでなく、クルーズの半額も返金されるそうです、素敵ですね。」

 

男が指を鳴らすと、先程の「性別不明の人」が歩み寄り、6人にそれぞれ色の違う真新しいトレーニングウェアを無言で、ニヤリと笑いながら押し付けた。

「明日は採寸とメディカルチェックです。商品に傷がないか、隅々まで確認させてもらいます。……ようこそ、『THE PIT』へ。お客様を退屈させないように。そして君達も…楽しむように。」

 

重い鉄扉が開き、彼女たちは有無を言わさず、眩いほどに清潔で狂気的な「檻」の中へと押し込まれていくのだった。

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