『The Judas Hound -贖罪の牙-』 作:LCL Stuio R
[記録日時:1月5日 13:00 / 対象:Puppys全個体]
午後。お腹を満たしてリラックスした状態の6人の前に、お茶とクッキーを持ったチーターが合流した。午前中の気まずさを引きずっている{れいな}たちに対し、チーターは明るくウインクをする。
「午後は座学よ〜。これから一緒に生活していくんだから、お互いのこと、もっと知りたいでしょ? 心理テストをやりまーす!」
チーターがホワイトボードに5つの動物のイラストを描く。
【 ライオン・馬・牛・羊・猿 】
「いい? アナタたちは今、この5匹の動物と一緒に、果てしない砂漠を旅しています。でも、水も食料も尽きかけていて、このままでは全滅しちゃう。アナタは生き残るために、一匹ずつ動物を置いていかなければなりません」
チーターは6人の顔を見回した。
「さあ、どの動物から順番に捨てる? そして、最後まで手元に残す動物はどれ? 直感で選んでね」
少女たちは真剣に悩み始めた。
「うーん……私は足手まといになりそうな猿からかな。最後はやっぱり、強そうなライオンを残す」(かすみ)
「私は、乳が飲めそうな牛を最後まで残します。最初に捨てるのは……ライオン。食べられそうだから」(ひなた)
それぞれの回答が出揃ったところで、チーターがパンッと手を叩いた。
「はい、終了〜! これね、深層心理で『アナタが人生で何を大切にしているか』、そして『困難な時に何を最初に切り捨てるか』が分かるテストなの」
ホワイトボードの動物の横に、チーターが文字を書き込んでいく。
ライオン = 【プライド・誇り】 馬 = 【仕事・夢】 牛 = 【お金・生活】 羊 = 【恋人・愛】 猿 = 【友達・仲間】
その答えを見た瞬間、部屋の空気が少しだけ固まった。 最初にライオン(プライド)を捨て、最後まで牛(お金)を残した{ひなた}。 最後までライオン(プライド)を残した{かすみ}。 最初に猿(仲間)を捨てた自分に気づき、ハッとする{つばさ}。
普通の境遇の人達であれば、ちょっとした心理ゲームだが、特殊な環境を経てここに来た彼女達は深刻に受け止めてしまう。
「あはは、あくまでお遊びのテストだからね! 当たってた〜?」
チーターは明るく笑っていたが、その奥にある観察するような目は、少女たちの本性を正確に値踏みしているようだった。
(この人達は、優しい。でも、絶対に逆らえない『飼育員』なんだ……)
{ひなた}は、甘いクッキーをかじりながら、自分たちの置かれている残酷な立場を、ゆっくりと、だが確実に理解し始めていた。