※この作品はR-18です。

厄災の魔窟 ―魔界の皇太子誕生―   作:裏の影

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数千年前、とある帝国内に現れたダンジョン『厄災の魔窟』

魔物が巣くうその中で、様々な欲望が交差されていく……。


第一章 帝都に咲く白銀の花
乙女と少年


これは、ある異世界の物語……。

 

『カラーン』

石畳の上で軽やかに跳ねる木の音。

木製の剣を振り切った女性が、静かに口を開く。

「まだまだですね……」

 

【挿絵表示】

 

数多の名剣士を輩出したこの場所は、高い白壁が四方を囲み、外界の喧騒を完全に遮断していた。

 

木で作られた剣を『サッ』と振り、白い裾を翻して背筋を正す乙女。

 

その視線の先には、一人の少年が立っていた……。

 

落ちた剣を拾い上げる少年。

「皇女さま!もう一度お願いします!」

澄んだ声が石壁に鳴り響く。

その純粋な眼差しに、彼女はわずかに口元を綻ばせ額の汗を拭った。

 

「焦らなくても、先ほどの剣筋には目覚ましい進歩がありましたよ……」

穏やかな声色で褒める彼女。

 

少年は顔を赤くした。

 

しかしその上目遣いの視線は、ある一点へと釘付けになっていた。

 

――ん?

乙女は目線を下ろす。

 

白い薄手の稽古着が汗に濡れ、肌に張り付いて二つの豊かな曲線をくっきりと浮かび上がらせていたのである。

 

瞬く間に、乙女の頬が熱を持った。

 

彼女は腕で胸を覆い背を向け、「後は一人で励みなさい!」と放ち、鍛錬場を後にした……。

 

湯けむり漂う扉の前。

薄布で身を包んだ女性が頭を下げる。

 

その場所は、皇族だけが利用する事の許された聖域。

脱ぎ捨てられる衣服と同時に、皇女という仮面も静かに置かれる。

 

広い浴槽に身を沈め、女はゆっくりと目を閉じた。

 

鼻を通る湯気の香り。

乙女は疲れた身体を指先でなぞりながら、あの少年を脳裏に浮かべた。

 

彼と出会ったのは一年前……。

 

白夜の日に生まれたという少年。

彼は神聖教会の最奥で、神の加護のもと大切に育てられた。

 

神秘的な光を宿したエメラルドのような瞳と、綺麗で艷やかな栗色の髪。

伝承によれば、白夜の精は人に聖なる力を授けると言う。

 

――まるで、天の使いのよう……。

大司祭に導かれた眩い姿を見た瞬間、乙女は思わず息を飲んだ……。

 

だが少年は、生まれたその日から定められていた。

十八歳を迎えたならば、魔物が蠢く『厄災の魔窟』最深部、『逢魔の扉』を閉じるために旅立つことを。

 

その扉を閉じるまで、その身体は純潔を保たねばならない……。

 

――彼こそが運命の……。

乙女はその想いを、胸の奥に沈める。

指は自然と下腹部へと滑り落ち、その秘丘に触れた。

「んっ……」

湯気の中に溶ける甘い吐息。

 

「色魔のような不純な剣で、私が簡単に堕ちるとでも……?」

 

かつて求愛してきた貴族たち、剣士たちへと放って来た言葉……。

 

誇り高い彼女は、数々の縁談を自ら断ち切ってきた。

皇帝陛下はそんな娘に手を焼き、少年の剣術指南を命じたのである。

 

始めは煩わしさを感じるも、彼のひたむきさと、その秘めたる物に心を次第に許していった彼女。

そして二十四歳を迎えた今、それは乙女の密やかな解放の時間でもあった。

 

「はぁん……」

湯けむりに響く声。

敏感な花弁に指先で円を描き、己を執拗に虐めぬく。

 

表で見せる皇女としての清楚な顔。

しかし彼女は毎日淫らに咲かせるその部分が、いまだ乙女だと言う事を心に強く恥じていた。

 

――ここにいつか、ふさわしいモノを……。

 

乙女より溢れ出る想いが、蜜となって湯舟を染めていく……。

 

乙女と少年。

 

白い壁に守られて、毟られる事無く並ぶ二輪の花。

静かに育まれるその上を、空飛ぶ鳥が爪を広げて悠々と逍遥する……。

 

「あぁぁぁん……」

乙女は身を反らせ、目を糸のように細める。

 

花弁を割る沈められた指。

 

それは躰を刺す様な感覚を求め、乙女を禁断の覚醒へと導いていく……。




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