男は今以上の関係を求めるように、彼女をじっくりと口説いていった……。
「だっ、駄目です!」
岩壁に響く、女の拒絶する声。
密室を照らす桃色の明かりが、出入り口に垂らされた幕の外へと、前後で揉み合う男女の影を赤裸々に映し出していた……。
突き出された女の桃尻が、左右に素早く振られる。
犬の口吻(マズル)のように突き出した男の股。
それが無防備に開かれた女の花弁へと、その鼻先を潜らせようとしていた。
「本当に駄目なんですって!」
うら若き女はその追撃をかわしながら、地面で波打つ水色の物体へとその手を必死に伸ばしていた……。
「なあっ!淫欲にたぎる俺を癒してくれよ!」
壮年の男は躰の下で暴れるものを鎮めるように、何度も腰を素早く突き出す。
花弁を狙う股先が女に逸らされて『ニュルッ、ニュルッ』と弓なりに反った。
前後で攻防を繰り返す躰。
しかし透明のそれは徐々に膨張し始め、複数の突起が表皮で波打ち始めた……。
「大人しく……俺の、女になれよ……」
壮年の男は焦りを見せるように、潰した声を女に出す。
そして股の動きを『ピタリ』と止めた。
「えっ!?」
猛攻の拍をずらされ、女は困惑の表情を見せる。
そして。
『ヌプッ!』
男の股先が刺さる音。
「きもっちぇぇぇっ!」
その快楽の声が辺りへと響いた。
女は目を見開く。
男の股先は配膳用の丸盆ほどの、水色の透けた半球体に埋まっていた。
「うわあぁぁぁっ!!」
男はそれに悲鳴を上げる。
「その聖具は精液を糧としています……搾精を果たせずに、暴走を始めてしまったようです!」
女は男に声を放つ。
球体が男の竿を透かしながら、絞るように収縮を始めた。
「はぁぁぁっ……きぃもち、いぃっ……!」
彼は涎を垂らしながら白目を剥き、恍惚とした表情を浮かべ始めた。
「駄目っ!このままでは、あなたごと吸いつくされてしまう!」
女は男に吸い付くそれの、両端を強く掴む。
「このぉ……抜けなさい!」
大股を開いて、男の腹に足を突っ張る女。
「はぁぁぁっ……」
彼は虚ろな目で天井を眺めていた……。
「そうだ!」
女は敷布の枕元へと顔を向け、細い煙を上げる香木を香皿から拾い上げる。
そして紅く燻ぶらせる先を、男の股を覆う円形へと押し付けた。
すると、水色の表皮は光を放ち、平らになって外側に反った。
女は再び、水色の端を両手で掴んで引っ張る。
すると水色の球体は『スルリ』と抜け、男の体は解放された……。
球体が地面に投げつけられ、『ビチャッ』という水を打つような音が鳴った。
虚ろな表情で尻を地に付ける壮年の男。
女は身を屈ませて、右手を振り上げる。
「ごめんなさい!」
振る女の手。
『パアァァァン!』
乾いた音が、あたりに響く。
「いてぇぇぇっ!」
男は片頬を赤くして目を見開いた。
彼の正面には、振り切った腕の下から下乳を覗かせる、女の姿があった。
そっと頬に手を当て、上下に擦る男。
「うん、目ぇ覚めた……」
彼はそう呟くと、飛び上がるようにその場に立った……。
依然として地面で蠢く透明の球体。
その胴体が『ヌメリ』と地を這い出した。
壮年の男は、女の手首を素早く引っ張る。
「あっ……!」
胸の双峰を揺らす、うら若き女。
「逃げるぞ!」
男が声を上げると、二人は着の身着のままの姿で幕を突き破るように外へと飛び出した。
魔窟の湿った風が、通路より静かに吹き抜けている。
その空気に素肌を冷やされながら、二人は密室を振り返った。
部屋の中に置かれたランタンの灯り。
それが垂らされた幕の隙間から這い出る、水色のおぞましい姿を映し出していた……。
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