※この作品はR-18です。

厄災の魔窟 ―魔界の皇太子誕生―   作:裏の影

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 金色の髪の麗人と騎士を救い、あえて難路を選択した一行。

 騎士はかつて魔窟で全滅したという、帝国騎士団の生き残りであった……。


師弟の時間

女神官が撒いた聖水。

 

それに守られて皇女たちは、まとまった休憩を過ごす事が出来た。

 

まどろむものたちに先立って、食料の採取に行っていた金髪の麗人は、キノコや香草を腕いっぱいに持ち帰っていた。

 

その、ひだのある傘を頬張る女たち……。

 

もちろん重厚な鎧の男には、ひときわ大きな茸がエルフによって配られた。

 

彼はそれを口にしながら、栗色の髪の青年に声をかけた……。

「君は、自分の剣をいじるのが好きだね……」

 

青年は柄を掴む手を『パッ』と離し、顔を赤くした。

「――いつか皇女さまに一本入れるのが夢なんだ……」

そう呟いて彼は顔を伏せる。

 

「ははっ、恥ずかしがる事はないさ……」

重厚な鎧の男はそう言って、腰の大剣をいじった。

 

「俺にも、この剣を届かせたい人がいる……」

遠くを見るような目を見せる男。

 

青年は『んくっ』と喉を鳴らすと、自分に配られたキノコを口に入れた……。

 

出立前の軽い食事を終え、一行は再び狭い裂け目へと身を入れていく。

 

次々と現れる同じような空(うろ)。

 

乙女たちはそれをいくつも抜け、広い空洞に出た……。

 

白銀の鎧の乙女は、手を左右へと伸ばす。

 

「うぅん、ようやく広い所に出ましたね……」

 

栗色の髪の青年はランタンを地面に置いて、乙女へと言った。

 

「皇女さま!手ほどきをお願いします!」

 

響く弾けるような声。

彼はその精悍な顔に笑顔を浮かべる。

 

そして背嚢より木の剣を抜き、乙女へと立てて見せた。

 

「そうね、やりましょうか……」

彼女はそう返して背嚢を降ろすと、彼と揃いの剣を手に取った……。

 

壮年の男は、岩肌の隅でへたり込む。

 

岩へと腰掛けて脚を崩すうら若き女神官。

 

皆それぞれに、その荷物を降ろしていった……。

 

『カンカンカンカン!』

 

女神官が書類を処理する中、木を小刻みに打つ音が辺りに鳴っていた。

 

乙女は青年の繰り出す技を、その身のこなしで受ける。

 

――この子の弱いところは知っている……。

彼女は青年が見せる、くびれの隙を攻めた。

 

「くっ……!」

変幻自在に動く師の手に彼は腰を引く。

 

「どうしました!?腰が浮いてますよ!」

乙女はそう言いながら、手首を素早く返した。

 

「はうっ!」

下から襲いかかる攻め。

それは、青年の剣を掠めるように撫で上げられた。

 

「フフッ、私の攻めにいつまで耐えられますかね……」

乙女はそう言うと、抜き差しする手を速くする。

 

「はっ、はっ、はっ……」

青年は身を反らしながらそれに応えた……。

 

栗色の髪が跳ねる……。

 

青年は反射的に自分の剣を突き出した。

 

そして、日々の自己鍛錬で網羅している、師の躰へと剣を見舞った。

 

「はんっ……やりますね……」

彼女は彼の剣を横目に、女性の線を艶やかにくねらせる。

 

青年は彼女の躰に沿って、その技で彼女をじっくりと攻めた。

 

彼らの戯れを眺めていた黒衣の少女は、微かに唇を動かし始めた……。

 

「そんな浅い突きでは、届かないですよ……」

乙女はそう言いながら、青年の連続突きを受け止めていった。

 

黒衣の少女の、口の微動が止められる。

そして彼女は杖の先で青年を指した。

 

すると彼の腰の入りが早められ、その剣先が師のお腹へと触れる。

 

「はうっ!」

乙女は思わず臀部を突き出した。

 

碧眼を丸くする青年。

 

黒衣の少女は手で口を隠し、『ププッ』っと吹き出した……。

 

そのすぐ側。

 

騎士の胸にもたれかかって休む麗人が、その耳を『ピクピクッ』と動かした。

 

「何かいる……」

 

エルフは身を起こし、金色の髪をしきりに振り始めた……。




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