しかし何ものかの声が、いびつに口を開ける亀裂から聞こえた……。
「我らダークエルフは、『神話の時代』よりこの場を住処としている……」
その言葉のさなか、縦に割れる裂け目より褐色の肌が次々と現れる。
「君たちの居場所を探るなんて、簡単だよ……」
銀色の長い髪をなびかせながら、声の主がその姿を見せた。
「おっ、お前は……サキュバス!」
重厚な鎧の男が、そのひときわ艶めかしい姿を指差し、声を震わせる。
「ふふっ、そのあだ名……光栄だね……」
唇を横へと伸ばす、褐色の美しい顔……。
白い肌のエルフはとっさに唇を動かし、魔法の言葉を紡ぎ始めた……。
「おや?精霊魔法かい」
サキュバスと呼ばれたダークエルフが、肌の色の違う同族に言った。
長髪のダークエルフは
「ざぁぁぁんねん!こちらはもう発動させてあるよ……」
と放ち、褐色の手を前へとかざした。
太い蔦が地面を裂きながら現れ、それがエルフの両脚に絡みついた。
「しまった……」
脚をよじるエルフ。
その時。
「後ろ!」
栗色の髪の青年が声を上げる。
華奢な躰の背後より、忍び寄っていたその姿。
それが麗しい白い肌を、素早く羽交い締めにした。
「くっ……」
絡み合う、白と褐色の色彩。
騎士は叫ぶ。
「俺はどうなってもいい、『彼女』は許してくれ!」
そして彼は両手を広げ、無抵抗を示した。
「彼女?面白いことをいうね、君……」
ダークエルフは動きを封じられたエルフへと近づき、股の布を『ギュッ』と掴んだ。
「やっ、やめて……!」
エルフが声を震わせる。
鎧の乙女たちはそれぞれの武器を、ダークエルフの方へと向けた。
「こいつの正体を見せてあげる!」
褐色の手が勢いよく股を暴く。
「えぇっ……!」
顔を急速に赤くする鎧の乙女。
雪肌の太腿の間。
そこにはオスの象徴がその愛の幻想を覚ますかのように、力なく垂れ下がっていた……。
想いを寄せる人へと晒された真実。
魔窟を通る冷たい風が、白い枝を揺らすように流れていた……。
「そっ、そんな……」
重厚な鎧の男は膝から崩れる。
「フフッ、ハハハハハ……」
銀色の長い髪から見せる褐色の顔。
それが笑い声を聞かせた。
エルフは頬に涙を輝かせた……。
「ごめん……キミを騙すつもりは無かった……」
琥珀色の躰が、鎧の男へと歩み寄る。
そして
「君たちは、男同士で愛し合っていたのさ……」
と言いながら、滑らかな躰を隠す交差させた布を解いて、その褐色の胸を晒していった……。
「ゴクリ……」
男の喉が音を鳴らす。
栗色の髪の青年は、立てた剣先を『サキュバス』へと向けた。
「おっと、動いたら、その男の子がただでは済まないよ……」
ダークエルフの言葉に、青年たちはエルフの方へと視線を集中させる。
するとその白い首へと、褐色の手が白刃をちらつかせていた……。
「くっ……!」
剣を引く青年。
「君も後で初めてを奪ってあげる」
サキュバスは見透かすように放つ。
青年は無言で顔を真っ赤にして、腰を少し引いた……。
碧眼の青年の純潔を奪うという世界の危機が明言された後、褐色の下半身が自らその覆いを解いていった……。
地に落ちる白い布。
重厚な鎧の男は、顔を背けてその色を隠す。
下へと垂れる枝を晒したダークエルフは、横を向く男の顎を摘み、ゆっくりと正面を見せた。
「君は、やっぱりそうだったんだね……」
重厚な鎧の男は、その分厚い鎧に隠していた感情を、顔の色で表していた……。
「フフッ、んくっ……ハハハハハハ……」
笑いを高らかに上げるダークエルフ。
彼はそのまま、男の鎧に手をかけた……。
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