その首で光る白刃に、皇女たちは釘付けにされていた……。
尻を地に付ける男。
『カチャリ、カチャリ……』
その分厚い鎧が、部品ごとに外されていく……。
「やっ、やめろ……」
鎧の一部が地面へと置かれる度に、男の逞しい隆起が露わにされた。
――誉れ高き帝国のしるしが……。
土を付ける獅子を模した紋章。
白銀の鎧の乙女がその光景から顔を背けた時、男の最後の盛り上がりが彼女の視線の外で、『ブルン』と跳ね出されていた……。
「んくっ……」
鳴らされる喉の音。
サキュバス(ダークエルフ)の目が糸のように細められる……。
「あれっ?君はエルフの女の子が好きなはずだよね……」
褐色の艶めかしい顔が、男にねっとりと言葉を放った。
鎧の乙女が剣を構える。
しかし、捕らわれたエルフの首筋には、依然として白刃が向けられていた……。
「卑怯者!」
乙女は叫んだ。
銀髪から覗く長い耳が『ピクリ』と動く。
「卑怯者?……この白い奴に言っているのかな?」
褐色の顔がエルフの方を向いて言い放った。
頭をうなだれるエルフは
「最初は人間への好奇心だった……」
と、消えてしまいそうな細い声で言った……。
麗人はそのまま続ける。
「でも、キミが初めて唇を交わして来た時、私の中で何かが変わったんだ……」
逞しいものを晒す男は、エルフから目線を逸らした。
「それ以来、私はときめきを得るために性別を偽った……」
そう告白すると、麗人は口をつぐんだ。
碧眼の青年は、そのやり取りに釘付けにされていた……。
糸の様に細まる銀髪の目……。
その妖しく惑わすような顔が、男の整った顔面へと降りる。
下を向く女たち。
「やっ、やめろ……」
エルフが目を閉じた時、男の拒絶が鳴り止む。
白い頬に涙が伝った……。
訪れた暫しの沈黙。
凍り付いた空気の間を縫って、壮年の男のいびきが微かに流れ込んでいた……。
エルフはゆっくりと目を開ける。
すると想い人は、周囲をはばからず、夢見心地な表情を見せていた……。
「そんな顔しちゃって……」
褐色の顔はそう言いながら、碧眼の青年へと一瞬視線を送った。
すぐさま顔を逸らす青年。
サキュバスは周囲に聞こえるように
「この男は、その素質があるみたい……」
と声を上げた。
そして彼は男の目の前で両膝を立て、褐色の躰を開きながら妖しく言った。
「私がなぜ『サキュバス』と呼ばれているか、いっぱい教えてあげる……」
男は躰の真ん中を委ねるように、逞しい胸板を後ろへと反らせた……。
「んくっ……」
鳴らされる褐色の喉。
サキュバスは瞳を瞬くと、長い髪を耳へとかける。
そして口を開きながら、ゆっくりと男の中心へと頭を沈めていった……。
静けさに鳴る『クチャッ』という音。
褐色の躰が小刻みに震えている。
碧眼の青年はその光景を棒立ちになって、ただ眺めていた……。
浮き沈みする銀色の髪の小さな頭。
『ヌバッ、ヌバッ……』
背徳の甘味を味わう音が鳴る。
「ううっ、ううっ……」
男は抵抗を見せる事なく、恍惚とした表情を天に見せていた。
長い耳を平らにするエルフ。
しかし、その躰は震えていた……。
褐色の淫魔は頭を上げ、濡れた唇の淵を手の甲で拭う。
そして脱ぎ捨てた衣服をまさぐると、中から一つの小瓶をつまみ上げた。
瓶の中で輝く『黄金色の粘液』。
褐色の細い指がそれをすくい上げ、甘い匂いを辺りへと漂わせた……。
それを『ジッ』と見る目……。
最初から一部始終を静観していたうら若き女神官。
彼女は瓶のふたが開けられ香りが放たれた時、その眉を動かしていた……。
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