※この作品はR-18です。

厄災の魔窟 ―魔界の皇太子誕生―   作:裏の影

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 エルフのかつての恋人を襲撃して、その恨みを晴らした碧眼の勇者。

 彼は元騎士の情夫であるダークエルフから、黄金色の薬の真実を聞かされた……。


勇者捜索隊編成

広い空洞に張られた天幕。

 

その周りを慌ただしく、神官たちが行き来していた……。

 

女の怒鳴り声が幌を突き抜ける。

「あなたが必要以上に干渉するから、あの子が出ていってしまったのですよ!」

 

幕屋の中。

 

腰かけに深く腰を沈めたふくよかな男。

彼を白銀の鎧の乙女が見下ろしていた……。

 

「いや、御子は小さい頃より私が風呂に入れたりしておった……まさに、我が子のようなもの……」

男は声を震わせながらも、細めた目を乙女へと向けていた。

 

神官の一人が言った。

「大司祭さまは孤児たちを保護し、育てておられるような御方……」

 

「とっ、とにかく……これは一大事ゆえ、すぐさま捜索隊を編成する!」

大司祭エヴァルールーはそう明言し

「クーザー!クーザーはおらぬか!?」

と呼び声を上げた。

 

――はっ!

乙女は素早く身を起こし、腰かけより離れる。

 

近づいて来る、土を鳴らす音。

鎧の乙女の瞳が潤っていく……。

 

聖衣を纏った長髪の男が帳を開け、どすの効いた声を響かせた。

「オヤジ……呼んだか?」

 

彼は、肩で風を切りながら乙女を通り過ぎ、ふくよかな男の前で止まった。

 

大司祭が命を下す。

「いなくなった御子を探してまいれ!」

 

「分かった……」

長髪の男は、そう返事をした。

乙女は甲冑を『カチャリ』と鳴らし、身を前に出して言った。

「私も行きます!」

 

長髪の男は無表情で彼女を見る。

 

「なんと⁉だが、皇女に万が一の事があってはならん!」

ふくよかな男はそう言うと、乙女の後ろで控えるうら若き女神官に手招きをした。

 

「はいっ!大司祭さま!」

はきはきと返事をする女神官。

 

彼女は前に出ると、跪いて頭を垂れた。

 

男は彼女に命を下す。

「頼んだぞ、ステラよ……」

 

女神官は頭を下げたまま

「ハイ、ワカリマシタ……」

と声を発した……。

 

黒衣の少女が杖を抱いて、大司祭に言った。

「私は勝手にさせてもらうよ、おじさん」

 

長髪の男が眉を動かす。

 

「よい……この子は兄の娘ゆえ……」

ふくよかな男は手で狂犬を制しながら

「しかし、護衛は付けさせてもらうぞ」

と言葉を続け、近侍する神官を指で呼んだ。

 

「はっ!」

身を前に出す熟れた年頃の女神官。

 

そして

「手当は弾んでくれよ……」

壮年の男がそうボヤきながら幕内へと入って来た。

 

彼はふくよかな男へと跪く女性の方に顔を向けると、その表情を固くした。

 

「あなた……」

目を細める熟れた女神官。

 

大司祭は厳格な声を作り、男へと依頼した。

「お主は、この者の指揮の下……」

 

「行きますっ!是非イかせて下さい!」

身を乗り出して快諾する壮年の男。

 

「このスケベ野郎……」

黒衣の少女が低く呟いた。

 

「この度の失態、あなたには厳重な処分が下されるでしょう!」

大司祭は皇女の浴びせる言葉に、苦笑いを浮かべていた……。

 

皇女、クーザー、うら若き女神官。

 

黒衣の少女、壮年の男、熟れた年端の女神官。

 

二つの勇者捜索隊が編成された。

 

黒衣の少女は皇女へと耳打ちをした。

「上位悪魔たちを迎え撃つ為には、『聖剣ソリッドペネトレイター』の力が必要……」

皇女は静かに頷く。

 

少女は続けた。

「奪ってでも、あれを手に入れるのよ……」

その言葉に、乙女は目を見張った……。

 

幕屋に残る二つの影。

 

長髪の男の耳が、大司祭の顔へと降りる……。

 

「あの、やかましい小娘を大人しくさせろ……」

どすの効いた声が、闇で低く囁かれた……。

 

「そう言えば、ルシェイルはどこへ行ったのかしら……」

お供を待ちながら、皇女は辺りを見渡していた……。




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