身を解き警戒を緩めた皇女の前に、クーザーが現れた……。
桃色に照らされた岩壁の小部屋……。
「嫌っ、止めなさい!」
硬い岩が乙女の叫びを吸収する。
彼女は胸を腕で隠すも、その躰を覆い隠す事は叶わなかった……。
長髪の男は、聖衣の上着をめくり上げながら言った。
「お前は前に、勝負を公平にしろみたいな事を言っていたな……」
はだけた肌より、彫られた絵の一辺を覗かせる。
――この男!?社会逸脱者……!
乙女の背に、冷ややかな物が走った。
衣服が敷布へと落ち、『バサリ』と音を立てる。
男はその雄々しい抜き身を見せ、冷たく言い放った。
「これで公平だな……」
「あっ……」
組み敷かれた乙女の躰。
――駄目!ワタシ、戻れなくなる……。
男は静かに言った……。
「俺のモノが欲しいんだろ?」
その、企みを見透かすような言葉。
乙女は胸の中を、『キュッ』と締め付けられる感覚を覚えた。
暫くの黙秘。
彼女は静かに頷いた……。
同じ頃。
黒衣の少女が静かに語り出した……。
「昔々、人間がまだ生き物の一つに過ぎなかった頃……」
壮年の男が固唾を飲む中、少女は続ける。
「天より舞い降りし鋭き塊、硬き不毛の丘を真っ直ぐに貫き通す……」
身を入れる男。
桃色の中に昇るお香の煙が『ユラッ』と揺れる。
女は胸を突き上げ、身をのけ反らせた……。
御伽語りは続く……。
「引き抜かれし初めての一撃、血でその身を染める……」
頬を流れ落ちる雫。
地を這うような雄々しい躍動に、二つの峰が激しく揺らされた。
「剣の形を仕込むが如く、打ち付けられる熱き塊……」
女は男の顎を見上げる。
――どうして、私を見てくれないのですか……。
突然身を伏せる男。
躰の往来が、速さを増した。
「ああっ!」
響く女の声……。
女は濡れる瞳を瞼で隠し、
――私を満たすことの出来る剣……これを得るためには仕方のない事……。
と聖剣を受け入れるため、自分にそう言い聞かせた。
「剣を納める女その力を受け入れし時、聖剣に秘められたるもの一気に放たれる……」
男の腰裏で交差させられる女の脚。
「最後の一突き、害をなす者は身を震わせ、裂け目の中へと生命の雫を降らせるなり……」
男は動きを止める。
お香の匂いが放たれる体臭と交ざり合い、事の終わりを示した。
「女はこうして、硬きを貫く剣、ソリッドペネトレイターを得た……」
語りを終え、黒衣の少女が顔を起こす。
すると目の前であぐらをかく壮年の男は、頭を上下に揺らしていた……。
「寝てるし……」
少女は膝を支えに、頬杖を付く。
皇女は敷布の上で半月状に身を寝かせ、その躰から男の臭いを強く漂わせていた……。
「雑に、しないで……」
感情を堪えるように放たれる泣き声。
涙の跡が、女の頬に映る……。
その目の前には一振りの剣が、添い寝をするように置かれていた。
男は言った。
「その剣は、俺のオンナになった証だ……」
彼は角を持つおどろおどろしい魔物が描かれた背中越しに、細い煙を昇らせて言った。
「お前が剣を抜き皆が俺のだと知った時、特にあの坊っちゃんはどんな顔をするのだろうな……」
女の脳裡へと瞬時にあの青年の姿が浮かんだ。
「うぅっ、うぅっ……」
胸の奥から込み上げる不快な感覚。
女は躰を転がして、男から背を向ける。
――私もこれで、彼と同じ逸脱者……。
言いしれぬ寂しさが彼女を襲った。
その時、女は男の体温を背中に感じた。
――あぁっ、彼を感じる……。
指を内へ折る女。
そっと太腿が上げられると、その心を満たすモノが深く深く埋め込まれて行った……。
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