※この作品はR-18です。

厄災の魔窟 ―魔界の皇太子誕生―   作:裏の影

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 黒衣の少女より語られた伝説。

 皇女は、ついに求めていた本物の『聖剣』を手にした……。


聖剣に依る心

短くなったお香。

立ち昇る白い線が激しく揺れる。

 

――ついに、私は相応しい物を手に入れた……。

女はその鞘に、最強の剣を納める喜びを感じていた……。

 

秘め事の後、男は言った。

「俺にとって、お前もこの煙草の煙と同じ……ただそれだけだ……」

 

空虚の中に消えていく白い煙の線……。

 

念願の剣を手に入れたはずの皇女の心が、言いしれぬ渇きを覚えていた……。

 

魔窟の中。

 

影は、時を選ばず姫剣士を襲った。

 

「あぁっ……」

――いきなり後ろから……。

 

剣が深く突き刺される。

「はぁっ♡」

 

その威力に身震いさせる女の躰。

長髪の男の眼光を、敏感な背中に受ける。

 

剣は身を襲うものが現れる度に、彼女の心を満たしていった。

 

――もう、鎧は必要ないわね……。

女は剣の威力に身を任せ、常に薄絹を纏っただけの姿で急襲を迎えるようになった……。

 

「ああっ♡この感触……ずっと欲しかったのぉ♡」

彼女は胸を揺らしながら、剣の切れ味に酔いしれた。

 

跳ねさせる躰。

夢見心地に紅潮する顔。

 

彼女に近侍する女神官はうつろな瞳で、影との激しい対峙を見守っていた……。

 

皆が腹を鳴らす頃。

 

長髪の男は地に腰を降ろし、両脚を前へと放り出す。

「ジュㇽㇽ……ジュㇽㇽ……」

女は剥き出された肉棒を頬張り、唾液の音を鳴らし始めた。

 

「皇女のくせに、随分とはしたないな……」

低い声で呻く男。

オンナは顔を上げて言った。

「あなたの育ちの悪さにあてられたみたいね……」

 

彼女は、彼の逞しい上半身を軽く突き倒す。

男はその戯れに身を寝かせた。

 

「もう、我慢できない……」

オンナは破廉恥にも自ら剣を帯び、その切れ味を堪能しにいった……。

 

魔窟を突き進む事、数日。

皇女はその躰より、血を見る事が無くなった……。

 

その頃、別の場所を行く捜索隊。

「来ない……」

黒衣の少女は、目の前の一本線を眺めて眉をひそめる。

 

「どうしたの?」

熟れた年頃の女神官が、少女へと顔を向けた。

 

少女は呟くように言った。

「魔窟の深部にも関わらず、魔物が一切現れない……」

 

「いいじゃねえか。血を見ずに済むんだろ?」

壮年の男は辺りを『キョロキョロ』と見回しながら言った。

 

「普通は喜ばしい事だけど。何だか……これはいけない気がする……」

少女が呟く中、男が大声を上げた。

「あった!お宝だぁぁぁ!」

 

岩壁の窪みに転がる瓶や箱。

壮年の男は背嚢の肩帯を掴むと、小躍りしながら走り出した。

 

「なんだ、ガラクタばかりじゃねえか……ん?」

男は積まれたゴミの中に、綺麗な木箱を見つけた。

「鍵開けなら得意だ!」

男はそう言って針金を出すと、箱の鍵穴へと突っ込んだ。

 

「罠よね……」

熟れた年端の女神官はそう言うと、

「罠ね……」

黒衣の少女は跳ね返すように答えを返した……。

 

「痛ぁぁぁっ!」

響く男の声。

 

二人の女は手で顔を覆った……。

 

「毒針だっ!体が悪い毒に侵されちまう……」

壮年の男は声をやかましくする。

 

「まったく!すぐに中和できる毒だったから良かったものの……欲に惑わされて身を誤った罰ねっ」

熟れた女神官は、男の腕の腫れた部分へと針を刺しながら言った。

 

黒衣の少女がその成果を尋ねる。

「でっ、どんなお宝が眠っていたの?」

 

「兜だな。しかも冴えない……」

彼はその戦利品を持ち上げて見せた。

 

「ちょっと待って、鑑定するわね……」

黒衣の少女がその冠りを鑑ようと視線を下げたその時……。

 

『ドコドコドコ……』

遠くより響く地鳴り。

 

天を突く針鼠のような頭髪が、遥か向こうに現れた……。




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