皇女は、ついに求めていた本物の『聖剣』を手にした……。
短くなったお香。
立ち昇る白い線が激しく揺れる。
――ついに、私は相応しい物を手に入れた……。
女はその鞘に、最強の剣を納める喜びを感じていた……。
秘め事の後、男は言った。
「俺にとって、お前もこの煙草の煙と同じ……ただそれだけだ……」
空虚の中に消えていく白い煙の線……。
念願の剣を手に入れたはずの皇女の心が、言いしれぬ渇きを覚えていた……。
魔窟の中。
影は、時を選ばず姫剣士を襲った。
「あぁっ……」
――いきなり後ろから……。
剣が深く突き刺される。
「はぁっ♡」
その威力に身震いさせる女の躰。
長髪の男の眼光を、敏感な背中に受ける。
剣は身を襲うものが現れる度に、彼女の心を満たしていった。
――もう、鎧は必要ないわね……。
女は剣の威力に身を任せ、常に薄絹を纏っただけの姿で急襲を迎えるようになった……。
「ああっ♡この感触……ずっと欲しかったのぉ♡」
彼女は胸を揺らしながら、剣の切れ味に酔いしれた。
跳ねさせる躰。
夢見心地に紅潮する顔。
彼女に近侍する女神官はうつろな瞳で、影との激しい対峙を見守っていた……。
皆が腹を鳴らす頃。
長髪の男は地に腰を降ろし、両脚を前へと放り出す。
「ジュㇽㇽ……ジュㇽㇽ……」
女は剥き出された肉棒を頬張り、唾液の音を鳴らし始めた。
「皇女のくせに、随分とはしたないな……」
低い声で呻く男。
オンナは顔を上げて言った。
「あなたの育ちの悪さにあてられたみたいね……」
彼女は、彼の逞しい上半身を軽く突き倒す。
男はその戯れに身を寝かせた。
「もう、我慢できない……」
オンナは破廉恥にも自ら剣を帯び、その切れ味を堪能しにいった……。
魔窟を突き進む事、数日。
皇女はその躰より、血を見る事が無くなった……。
その頃、別の場所を行く捜索隊。
「来ない……」
黒衣の少女は、目の前の一本線を眺めて眉をひそめる。
「どうしたの?」
熟れた年頃の女神官が、少女へと顔を向けた。
少女は呟くように言った。
「魔窟の深部にも関わらず、魔物が一切現れない……」
「いいじゃねえか。血を見ずに済むんだろ?」
壮年の男は辺りを『キョロキョロ』と見回しながら言った。
「普通は喜ばしい事だけど。何だか……これはいけない気がする……」
少女が呟く中、男が大声を上げた。
「あった!お宝だぁぁぁ!」
岩壁の窪みに転がる瓶や箱。
壮年の男は背嚢の肩帯を掴むと、小躍りしながら走り出した。
「なんだ、ガラクタばかりじゃねえか……ん?」
男は積まれたゴミの中に、綺麗な木箱を見つけた。
「鍵開けなら得意だ!」
男はそう言って針金を出すと、箱の鍵穴へと突っ込んだ。
「罠よね……」
熟れた年端の女神官はそう言うと、
「罠ね……」
黒衣の少女は跳ね返すように答えを返した……。
「痛ぁぁぁっ!」
響く男の声。
二人の女は手で顔を覆った……。
「毒針だっ!体が悪い毒に侵されちまう……」
壮年の男は声をやかましくする。
「まったく!すぐに中和できる毒だったから良かったものの……欲に惑わされて身を誤った罰ねっ」
熟れた女神官は、男の腕の腫れた部分へと針を刺しながら言った。
黒衣の少女がその成果を尋ねる。
「でっ、どんなお宝が眠っていたの?」
「兜だな。しかも冴えない……」
彼はその戦利品を持ち上げて見せた。
「ちょっと待って、鑑定するわね……」
黒衣の少女がその冠りを鑑ようと視線を下げたその時……。
『ドコドコドコ……』
遠くより響く地鳴り。
天を突く針鼠のような頭髪が、遥か向こうに現れた……。
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