その頃、教会の狂犬は、姿を消した主を探すべく奔走していた……。
暗い坑道に光が伸びて、跳ねる足音が岩肌に響く。
白き衣を纏う長髪の男は、腰の剣を揺らしながら身を急がせていた……。
道の脇から誰かが現れる。
長髪の男は声を低くして唸った。
「お前が『アモン』か?」
獅子を思わせる大きく跳ね上がった髪。
線の模様が入った白い顔が口を開く。
「俺は玉園の守護者『エルーク』……」
エルークは目を細めて言った。
「ほほう……お前、剣を扱うのか……」
黒ずくめの姿が、人差し指で頭上に円をなぞる。
すると天に光の輪が現れ、その中から一振りの長剣が現れた。
「俺の名は、クーザー……」
その光景を見て名乗りを返す長髪の男。
彼は剣の柄を握り、応えた。
その時クーザーは、何かを思い出したかのように『ピクリ』と肩を動かした。
「フッ……」
彼は髪を前に垂らすと、不敵な笑みを浮かべた……。
その頃、碧眼の青年は夢を見ていた……。
彼の腕を引く二人の女性。
「――もおっ!いったい誰と結婚するの?」
右には麗しの皇女さま。
左にはいとけない魅力を放つ、黒衣の少女がいた。
腕に当たる対比するような胸が、彼を存分に魅了していた。
顔を赤くして、股間を膨らませる青年。
すると彼の後ろに、別の膨らみが当たった。
「私じゃ駄目かな……」
その耳元で、金髪の麗人が吐息を吐く。
青年は鼻息を荒くして目を閉じた。
すると、聞き覚えのある声が耳元で囁かれた。
「御子よ、私の最高の回復秘術で癒してやるぞ……」
「うわぁぁぁっ!」
碧眼を開ける青年。
彼は甘い夢から覚まされた……。
聞こえてくる荒い鼻息。
「んんんんんっ……⁉」
彼はその唇を、誰かに塞がれていた。
脂肪を蓄えた頬が顔から離れる。
「目を覚ましたか……はぁ、はぁ……」
その唇を舐める顎には、唾液が『ベットリ』と光っていた。
「ええっ!大司祭……さま⁉」
青年は声を震わせる。
薄暗い部屋。
栗色の髪の青年は勇者の前掛けを着たまま、寝具へと寝かされていた……。
「キス!?まだ誰とも……うわぁぁぁっ!」
彼は声を上げながら上体を起そうとした。
しかしその後ろ手に縛られた躰が、太い腕に押さえつけられる。
「おっと!」
男は、肥大して弛んだ肌を全て晒していた……。
『チュクッ、チュクッ、チュクッ……』
ふくよかな男から、何かを煉るような音が鳴りはじめた。
青年は音の方へと目だけを向ける。
男は桃色の柔らかそうな筒に、自分の股のモノをゆっくりと抜き挿ししていた……。
『ゴクリ』と言う音が鳴る。
「何だっ?……くぅっ……これが気になるか……」
男は、筒で搾り上げる蜜を纏った幹を見せつけた。
青年は素早く顔を反対側へと向ける。
男は妖しい音を鳴らしながら、青年へと体を密着させて耳元で囁いた。
「これは、これからお前が塞ぐ……んっ♡『逢魔の扉』だ……くうっ♡」
「ええっ!」
青年の顔が、瞬時に赤く染め上がった……。
暗い通路では長髪の男が、岩壁に背を付けて腰を降ろしていた。
転がるランタンが男の姿を照らす……。
所々引き裂かれた白き衣。
赤い斑点が腹を大きく染めていた。
彼は手を震わせながら、刃の折れた剣を目の前にかざした。
揺れる刀身が男の顔を映す。
心の真実を語るその表情。
『カラーン……』
金属の跳ねる音が、空虚に鳴り響いた……。
坑道を走る白銀の鎧の女。
彼女は抜き身の剣を握っている。
その前では彼女を導くように蒼き小さな獣が、暗い道を駆けていた。
――彼は無事ですかね……。
皇女は刃に映る、自分の顔を見た……。
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