※この作品はR-18です。

厄災の魔窟 ―魔界の皇太子誕生―   作:裏の影

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皇女が心酔していた碧眼の輝き。

それを失った少年は腰の辺りに手を触れながら、痛々しく横たわる彼女に近づいた……。


廻る汚辱と霪影の少女

『カチャッ……』

地に落ちて鳴る、ベルトの金具の音。

 

緩められたズボンが、脚を滑り降りる。

 

それを置き去りにして歩むその先は、横たわる女へと向けられていた……。

 

白濁にまみれる女の肢体。

 

「うぅぅぅっ……」

激しい嗚咽に肩揺れが重なる。

 

栗色の髪の少年は首裏の結びをその手で解いた。

 

すると胸板を隠す前掛けがめくれて、引き締まった体が暗闇に浮かんだ……。

 

布に覆われた股の真ん中では、男を愉しませる淫楽の玩具が、凶暴なとがりを見せている。

 

女の意識の中ではそれが、自分を穢した爪牙と重ねられた……。

 

感覚に広がる嫌悪感。

 

「ひぃっ……!」

悪寒を超えたその衝撃に、女は躰を『ビクッ』と震わせた……。

 

少年は股を縛る布切れを、震える手で下ろし始めた。

 

細い声で訴える女。

「あなたが清らかさを失えば……世界は……」

 

その時、彼女の踏みにじられた隙間から、白い種汁が『ドロリ』と落ちた……。

 

「くっ……」と歯噛みをする少年。

 

下がる下着の縁へと、若葉の実が引っ掛かる。

それが肌色の根元を見せて、硬い茎をしならせた時、女の意識は深く闇へと沈んでいった……。

 

「――はっ!」

乙女は目を開く。

その手には、折られたはずの剣が握られていた。

 

振り下ろされる槌。

 

乙女の記憶に刻まれた、一寸先の出来事がその分岐を告げる。

――確かこの槌に、私の剣は砕かれるのでしたね……。

 

彼女は身を引いて初撃をかわす。

そして洗練された女腰を捻らせて、手に持つ剣を横一文字に薙いだ。

 

地に転がり落ちる緑の頭。

 

乙女はそのまま残心を取りながら、皇女としての誇りを取り戻していった……。

 

しかし傍らで応戦する従者たちは、次々と魔物に押し負けていく。

 

彼女はその背筋に、強い寒気を走らせた……。

 

武器の隙間を縫うようにして、次々と魔物を屠って行く乙女。

このまま全てを倒し切るかと思われたその時。

 

小鬼の一体が着用する銀色の籠手に、乙女の剣が阻まれた……。

 

『カラーン……』

魔窟へと響き渡る、不吉な音。

 

――まさか!

彼女は手元の刀身を見る。

するとそれは、真ん中から折れていた……。

 

緑の小鬼は邪悪な笑みを浮かべる。

 

乙女の脳裏に蘇る、凄惨な陵辱の記憶。

姦魔の淫手が、彼女を深い淫欲に沈めていった……。

 

白濁の溜まりに、肢体を横たえる女。

 

彼女はかすかに聞こえる長い溜息を耳にしながら、その意識を遠のかせていった……。

 

「――えっ⁈」

またしても目を開ける乙女。

折れていない剣が彼女の視界へと映った。

 

――何なの⁉

少し躰を震わせる乙女。

 

この循環を何度も繰り返し、数回目でようやく魔物たちを全て倒し切った……。

 

漂う錆びのような血の臭い。

 

辺りには力尽きた従者たちと、斃した魔物の亡骸が横たわる。

 

相手が魔物とは言え初めて命を奪った感覚に、乙女の胸は早鐘を打っていた。

 

「はあっ、はあっ……」

息を荒げながら、彼女は剣をひと振りして鞘に納める。

 

すると、岩陰から乾いた拍手が鳴った……。

 

「皇女さまは、レベルが上がった……」

 

発せられる、抑揚のない女の子の声。

 

乙女はランタンを拾い上げ、声の主を照らした。

 

足先まで隠れるほど長い、黒い衣に身を包む少女。

起伏の無い身体が、その背丈より長い杖を手に携えている。

 

少女は、乙女の方へゆっくりと近づいて来た……。

 

「あなたは?」

乙女は彼女に名を求める。

 

少女は答えた。

「私は、霪影(いんえい)の魔法少女……」

 

彼女は湿った空気の中で、その不可思議な魅力を存分に放っていた……。




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