それを失った少年は腰の辺りに手を触れながら、痛々しく横たわる彼女に近づいた……。
『カチャッ……』
地に落ちて鳴る、ベルトの金具の音。
緩められたズボンが、脚を滑り降りる。
それを置き去りにして歩むその先は、横たわる女へと向けられていた……。
白濁にまみれる女の肢体。
「うぅぅぅっ……」
激しい嗚咽に肩揺れが重なる。
栗色の髪の少年は首裏の結びをその手で解いた。
すると胸板を隠す前掛けがめくれて、引き締まった体が暗闇に浮かんだ……。
布に覆われた股の真ん中では、男を愉しませる淫楽の玩具が、凶暴なとがりを見せている。
女の意識の中ではそれが、自分を穢した爪牙と重ねられた……。
感覚に広がる嫌悪感。
「ひぃっ……!」
悪寒を超えたその衝撃に、女は躰を『ビクッ』と震わせた……。
少年は股を縛る布切れを、震える手で下ろし始めた。
細い声で訴える女。
「あなたが清らかさを失えば……世界は……」
その時、彼女の踏みにじられた隙間から、白い種汁が『ドロリ』と落ちた……。
「くっ……」と歯噛みをする少年。
下がる下着の縁へと、若葉の実が引っ掛かる。
それが肌色の根元を見せて、硬い茎をしならせた時、女の意識は深く闇へと沈んでいった……。
「――はっ!」
乙女は目を開く。
その手には、折られたはずの剣が握られていた。
振り下ろされる槌。
乙女の記憶に刻まれた、一寸先の出来事がその分岐を告げる。
――確かこの槌に、私の剣は砕かれるのでしたね……。
彼女は身を引いて初撃をかわす。
そして洗練された女腰を捻らせて、手に持つ剣を横一文字に薙いだ。
地に転がり落ちる緑の頭。
乙女はそのまま残心を取りながら、皇女としての誇りを取り戻していった……。
しかし傍らで応戦する従者たちは、次々と魔物に押し負けていく。
彼女はその背筋に、強い寒気を走らせた……。
武器の隙間を縫うようにして、次々と魔物を屠って行く乙女。
このまま全てを倒し切るかと思われたその時。
小鬼の一体が着用する銀色の籠手に、乙女の剣が阻まれた……。
『カラーン……』
魔窟へと響き渡る、不吉な音。
――まさか!
彼女は手元の刀身を見る。
するとそれは、真ん中から折れていた……。
緑の小鬼は邪悪な笑みを浮かべる。
乙女の脳裏に蘇る、凄惨な陵辱の記憶。
姦魔の淫手が、彼女を深い淫欲に沈めていった……。
白濁の溜まりに、肢体を横たえる女。
彼女はかすかに聞こえる長い溜息を耳にしながら、その意識を遠のかせていった……。
「――えっ⁈」
またしても目を開ける乙女。
折れていない剣が彼女の視界へと映った。
――何なの⁉
少し躰を震わせる乙女。
この循環を何度も繰り返し、数回目でようやく魔物たちを全て倒し切った……。
漂う錆びのような血の臭い。
辺りには力尽きた従者たちと、斃した魔物の亡骸が横たわる。
相手が魔物とは言え初めて命を奪った感覚に、乙女の胸は早鐘を打っていた。
「はあっ、はあっ……」
息を荒げながら、彼女は剣をひと振りして鞘に納める。
すると、岩陰から乾いた拍手が鳴った……。
「皇女さまは、レベルが上がった……」
発せられる、抑揚のない女の子の声。
乙女はランタンを拾い上げ、声の主を照らした。
足先まで隠れるほど長い、黒い衣に身を包む少女。
起伏の無い身体が、その背丈より長い杖を手に携えている。
少女は、乙女の方へゆっくりと近づいて来た……。
「あなたは?」
乙女は彼女に名を求める。
少女は答えた。
「私は、霪影(いんえい)の魔法少女……」
彼女は湿った空気の中で、その不可思議な魅力を存分に放っていた……。
よろしければ、評価をお願いします。