※この作品はR-18です。

厄災の魔窟 ―魔界の皇太子誕生―   作:裏の影

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 魔窟を奥へと突き進む黒と白の衣。

 上位悪魔たちがその姿を次々と現している時、皇女はその討伐を決意していた……。


美しき黒と白の波動

「止めて下さい……あなたは仮にも……」

白銀の鎧を纏う女の腕にすがる、熟れた年頃の女神官。

 

「きゃっ!」

 

鎧の女はそれを跳ねのけて言った。

「悪魔たちは青い果実を狙ってここを襲うはず……そうなる前に私は、先手を打って奴らを叩きます!」

 

勇ましい声が幕屋の中に響いた。

 

彼女が出口の幕を開けると……そこには壮年の男が立っていた。

「おっと……戦うのは苦手だが、荷物持ちくらいにならなりやすぜ……」

 

鎧の女は額を少し下げ、

「ふふっ、勝手になさい……報酬は後で弾みます……」

と少し声を震わせた。

 

幕屋群をたつ鎧を纏う皇女の後ろへと、その経験値を物語る、使い古された革鎧の男が付き従う。

 

「もうっ!どうなっても知りませんから……」

その後を、熟れた女神官が早足で追った……。

 

闇が支配する部屋。

 

周りを囲む、おびただしい蝋燭がその戦闘領域を映し出していた。

 

黒と白、二色の衣の前に立ち並ぶ、六体の異形の姿。

 

黒衣の少女は、長い杖でゆっくりと空を横になぞりながら言った。

「お前たちは、異世界から来た本体ね?」

 

蒼い髪の少年が、涼やかな口調で答えた。

「そうだよ……僕たちは新たなる主の導きで、ここへと引き寄せられた……」

 

頭髪を鶏冠(とさか)のように逆立てた姿が息巻く。

「さあて、どうやっていたぶってやろうかな……」

 

その鶏冠頭は、一番左端で舌なめずりをしながら、握った拳を『ポキポキ』と鳴らした。

 

「神のご加護を……」

白き衣の女神官は、胸の前で手を組む。

そして戦棍の柄の横へと、そっと手を降ろした。

 

すると黒衣の少女の手が、その手を素早く握った。

 

「えっ……」

白き衣の女神官は、黒衣の少女を見た……。

 

少女は、その横顔で不敵な笑みを見せてうそぶいた。

「一体ずつ仕留める手間がはぶけたわ……」

 

黒衣の少女は、女神官に言った。

「あなたの体に潜む、魔法の力を借りるわ!」

 

黒衣の少女はそう言って、掴む手をすぼめる。

 

「何をする気だ……」

静かに呟く、金髪を逆立てた悪魔。

 

「私の魔力が失われようとも、あなたたちを葬る……」

少女は静かにそう言うと右手を天にかざして、高らかに声を上げた。

 

「黒き魔法の力よ!」

 

「白き神の加護よ!」

 

女神官も左手を挙げて言葉に続く。

 

「今、その力を解き放たん!」

黒衣の少女が声を上げると、二人の女子は片足を後ろに引いて、各々手を前へとかざした。

 

しかしその時……。

 

「ん?」

何かの違和感に、黒衣の少女の眉が一瞬動いた……。

 

二人の手の平より黒と白の混ざり合う、稲妻を帯びた大きな波動が放たれた。

 

足を踏ん張り、地を踏みしめる音が『ジリッ』と鳴る。

 

眩い閃光は黒と白の螺旋を描きながら、六体の悪魔たちへと迫った。

 

「ズィィィィィトォォォォォン!!!!!」

上がる断末魔。

 

左端にいた鶏冠の悪魔が、波動に巻き込まれて跡形もなく消滅した。

 

「ええっ!逸れた!?」

目を見開き声を上げる黒衣の少女。

 

彼女は、隣のうら若き女神官へと顔を向ける。

 

すると彼女は額を下げ、まるで生気を失っているような様相を見せていた……。

 

「ふふふふ……」

肩を震わせる、司祭服を纏うふくよかな男。

 

「あなた、彼女に何をしたの!?」

黒衣の少女が男へと叫ぶと、女神官の手が少女へと素早く放たれた。

 

「キャッ!」

その場へと押さえつけられる黒衣の少女。

 

女神官の手が、組み敷く少女の黒き衣を開いた。

 

晒される真っ平らな肌。

 

少女は素早く両腿を閉じる。

 

しかし晒された不毛の丘を、隠すことは叶わなかった……。




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