上位悪魔たちがその姿を次々と現している時、皇女はその討伐を決意していた……。
「止めて下さい……あなたは仮にも……」
白銀の鎧を纏う女の腕にすがる、熟れた年頃の女神官。
「きゃっ!」
鎧の女はそれを跳ねのけて言った。
「悪魔たちは青い果実を狙ってここを襲うはず……そうなる前に私は、先手を打って奴らを叩きます!」
勇ましい声が幕屋の中に響いた。
彼女が出口の幕を開けると……そこには壮年の男が立っていた。
「おっと……戦うのは苦手だが、荷物持ちくらいにならなりやすぜ……」
鎧の女は額を少し下げ、
「ふふっ、勝手になさい……報酬は後で弾みます……」
と少し声を震わせた。
幕屋群をたつ鎧を纏う皇女の後ろへと、その経験値を物語る、使い古された革鎧の男が付き従う。
「もうっ!どうなっても知りませんから……」
その後を、熟れた女神官が早足で追った……。
闇が支配する部屋。
周りを囲む、おびただしい蝋燭がその戦闘領域を映し出していた。
黒と白、二色の衣の前に立ち並ぶ、六体の異形の姿。
黒衣の少女は、長い杖でゆっくりと空を横になぞりながら言った。
「お前たちは、異世界から来た本体ね?」
蒼い髪の少年が、涼やかな口調で答えた。
「そうだよ……僕たちは新たなる主の導きで、ここへと引き寄せられた……」
頭髪を鶏冠(とさか)のように逆立てた姿が息巻く。
「さあて、どうやっていたぶってやろうかな……」
その鶏冠頭は、一番左端で舌なめずりをしながら、握った拳を『ポキポキ』と鳴らした。
「神のご加護を……」
白き衣の女神官は、胸の前で手を組む。
そして戦棍の柄の横へと、そっと手を降ろした。
すると黒衣の少女の手が、その手を素早く握った。
「えっ……」
白き衣の女神官は、黒衣の少女を見た……。
少女は、その横顔で不敵な笑みを見せてうそぶいた。
「一体ずつ仕留める手間がはぶけたわ……」
黒衣の少女は、女神官に言った。
「あなたの体に潜む、魔法の力を借りるわ!」
黒衣の少女はそう言って、掴む手をすぼめる。
「何をする気だ……」
静かに呟く、金髪を逆立てた悪魔。
「私の魔力が失われようとも、あなたたちを葬る……」
少女は静かにそう言うと右手を天にかざして、高らかに声を上げた。
「黒き魔法の力よ!」
「白き神の加護よ!」
女神官も左手を挙げて言葉に続く。
「今、その力を解き放たん!」
黒衣の少女が声を上げると、二人の女子は片足を後ろに引いて、各々手を前へとかざした。
しかしその時……。
「ん?」
何かの違和感に、黒衣の少女の眉が一瞬動いた……。
二人の手の平より黒と白の混ざり合う、稲妻を帯びた大きな波動が放たれた。
足を踏ん張り、地を踏みしめる音が『ジリッ』と鳴る。
眩い閃光は黒と白の螺旋を描きながら、六体の悪魔たちへと迫った。
「ズィィィィィトォォォォォン!!!!!」
上がる断末魔。
左端にいた鶏冠の悪魔が、波動に巻き込まれて跡形もなく消滅した。
「ええっ!逸れた!?」
目を見開き声を上げる黒衣の少女。
彼女は、隣のうら若き女神官へと顔を向ける。
すると彼女は額を下げ、まるで生気を失っているような様相を見せていた……。
「ふふふふ……」
肩を震わせる、司祭服を纏うふくよかな男。
「あなた、彼女に何をしたの!?」
黒衣の少女が男へと叫ぶと、女神官の手が少女へと素早く放たれた。
「キャッ!」
その場へと押さえつけられる黒衣の少女。
女神官の手が、組み敷く少女の黒き衣を開いた。
晒される真っ平らな肌。
少女は素早く両腿を閉じる。
しかし晒された不毛の丘を、隠すことは叶わなかった……。
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