※この作品はR-18です。

厄災の魔窟 ―魔界の皇太子誕生―   作:裏の影

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 桁外れの力を与えられたうら若き女と青年。

 二人が殺し合っている頃、皇女はエヴァルールーへと聖剣を向けていた……。


始まる乱戦

土を固めて造られた、緩やかな階段。

 

その頂点には玉座があり、そこには、碧い瞳を持つ男児が鎮座していた……。

 

段を守るようにして、金色の髪を逆立て腹に赤い宝石を光らせる黒い姿と、獅子のたてがみのような頭髪を持つ黒き衣を纏う背の巨躯が『ユラリ』とそびえる。

 

「アモン!エルーク!」

二つの姿へと声を荒げる白銀の鎧の女。

 

金髪頭は天へと顔を上げて高笑いすると、女に言った。

「我らが主、玉座の間へようこそ……」

 

そして、指で部屋を囲む燭台を指し

「お前もあの蝋のような、燃え尽きカスにしてやろうか!」

と叫び声を上げた。

 

その言葉を合図とするかのように、エルークの体に斜めに構えられた長い剣が、邪悪な旋律を奏で出した。

 

禍々しい曲が流れる中、アモンは息を吸う。

 

「来る!」

鎧の女はそう言って聖剣を握りしめた。

 

歌われようとするその楽曲。

女が地面を蹴ろうとした、その時。

 

浅葱色の髪の少年が玉座の間に、その姿を現した……。

 

「ルシェイル!」

鎧の女は声を放つ。

 

その少年は腹の辺りに、木目調の弦楽器を構えていた。

 

指板を巧みに操る左指に、叩きつけるように振り下ろされる右手……。

 

彼の奏でる鋭い旋律が、悪魔の楽曲が発する攻撃性を相殺していた。

 

「ルシェイル……血迷ったか!」

金色の髪の悪魔が、浅葱色の髪の悪魔へと言葉を浴びせる。

 

弦をかき鳴らしながら彼は言った。

 

「ボクは、偽の王を認めない……」

 

アモンは玉座の男児を指差し、同胞へと声を上げた。

「見ろ!あの碧い瞳こそ、われらの主の証!」

 

「あれはただの操り人形だろ……?」

ルシェイルはそう返しながら、邪悪な旋律を打ち消していった……。

 

その頃、魔窟の長い坑道。

 

黒い虫の脚を裸体に絡ませた女と、黒き兜を被った革鎧の青年の対峙は、戦闘の硬直状態へと入っていた。

 

露出された女の股の隙間に侵入している虫の本体。

 

青年の兜の目庇(まびさし)より覗く漆黒の瞳が、それを見据えていた……。

 

女の胎内を突くように、その本体が『ヌルッ』と入り込んでいく。

 

「はあぁぁぁっ♡」

嬌声を上げ、白目を剥くうら若き女性。

 

その官能を支配する動きが止まると、女は革鎧の方へ向かって躰を前進させた。

 

足を『ジリッ』と地面へと擦り付けるようにして拳を構える黒い革鎧の青年。

 

彼は繰り出される拳を見切るように、右手で受け止めた。

 

押し付けられる拳骨が青年の手の平に食い込む……。

 

「こんなに近づいていいの?」

女はそう言うと、空いていた左拳で青年の頭部を襲った。

 

「ガッ!」

響く鈍い音。

 

「くっ……!」

青年は眉間を寄せて、膝を地面へと折る。

 

その上から被さるようにして、女は兜の一点を狙って殴打し始めた。

 

「これで、おしまいね!」

彼女は拳を振るい上げながら、大きく声を上げる。

 

そして

「これを破壊して、お前をエヴァルールーさまの元へと連れていくわ!」

と言って連打を続けた。

 

「ぐっ……」

唸り声を上げる青年。

 

彼の両手は彼女の股から這い出ている、虫の脚を掴んでいた。

 

青年は歯を噛んで、杭のように突き刺さったそれを引っ張る。

 

「はうぅぅぅっ……どちらが先に力尽きるか、勝負よ!」

女はそう言うと、拳の殴打で兜の表面を少しずつ窪ませていった……。

 

二人の泥臭い絡み合いを始める中、玉座の間では白銀の鎧の女がたてがみの悪魔へと、その華麗な剣技を振るっていた。

 

その隣では、熟れた年頃の女神官と金色の髪の悪魔が向かい合っていた。

 

悪魔の腹で大きな赤い宝石が、その妖しい光を放っていた……。




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