しかし、その苗床の正体が、声を戻したエヴァルールーよって明かされる……。
『ビュル!ビュルルルル……』
女の股の花弁に突き刺さった、逞しい授粉の肉棒。
そのほとばしる粘液が、一滴も残さぬ勢いで放たれている……。
栗色の髪の青年は、その顔面から色を失いながら声を震わせた。
「うっ、嘘だぁぁぁっ!……こんな若い女が、俺のママのはずが無い……」
司祭服を纏うふくよかな男が、手に持つ戦棍で前を牽制しながら語った。
「そのおなごは私と同じ魔法使いの血筋……しかしその躰に聖紋を宿す、稀有な存在として産まれた……」
白銀の鎧の女は剣の構えを崩さずに、男へと声を放った。
「それが彼とどう関係しているの!」
司祭服の男は舌打ちを鳴らすと、話を続けた。
「私はアモンの言に従い、聖紋のおなごが御子を産んだ白夜の日、魔蟲を遣わしてその意識を乗っ取った……」
栗色の髪の青年の出生が語られている頃、一糸纏わぬ碧眼の青年へと先の尖った虫の脚が迫っていた。
碧眼の青年がそれをかわす。
するとその体の横を、股に魔蟲を宿し、躰を甲殻の脚に縛らせた女が、突き出した二本の足先とともに通り過ぎていった。
女は青年の背で方向を転換する。
突き出される魔蟲の脚。
彼女は叫んだ。
「いいわぁぁぁっ!もっと私の魔法力を吸ってえぇぇぇっ♡」
魔蟲の脚がその太さを増す。
そして再び、突き刺す勢いで青年へと迫っていった。
それを横目に見る司祭服の男。
彼は再び話し出した。
「私が悪魔の力を借りて生み出した魔蟲……それには奴らと同じように、歳を取らぬ効力が宿っていた……」
静かに女の股より、その中で何度も果てた先を抜く栗色の髪の青年。
彼の見下ろす下腹部の聖紋は、その輝きを失っていた……。
「もうそやつは、魔法の力をも失ってしまったようだ……」
横たわり、異臭を下半身より放つ女の方へと目を細める司祭服の男。
女は、声を搾り出すように出した。
「坊や……やっと会えた……」
「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔窟内に響かせられる叫び声。
栗色の髪の青年は身を、自分の生命の汁を注ぎ切った母なる躰より後ろ向きで離した。
辺りへと首を振る青年。
止まった目線の先には、蒼い果実が転がっていた……。
青年はそれに手を伸ばす。
「ダメっ!」
「イカン!」
白銀の鎧の女と、司祭服の男が声を上げる。
その制止も虚しく、青年の手には蒼い実が鷲掴みにされていた。
「もこんな世界!どうにでもなれぇっ!」
青年がそう言って果実をひとかじりする。
飲み込まれる禁断の実。
もう、後戻りは出来ない……。
「えほっ!えほっ!」
少し咳き込んだ後、意を決したかのように青年はそれにかぶりついた。
白銀の鎧の女は負傷した左腕を下ろしながら、彼の下へと近づいていった。
「御子おぉぉぉっ!」
同時に、司祭服の男も青年へと足を進める。
果実を半分ほど食らったところで、膝を突く栗色の髪の青年。
彼はうずくまり、身震いを始める。
地面に落ちる、果実の半分。
鎧の女が立ち止まって声を上げた。
「あれは!?黒い……翼!」
青年の背中より盛り上がる漆黒の翼。
その顔面の模様が碧い光を放ち始めると、翼が左右に広げられた。
「ううううっ……」
唸り声を上げる青年。
彼はうずくまったまま、顔を押さえる。
「誰かの記憶が、流れ込んでくる……」
青年はそう言いながら身を震わせ続けた。
司祭服の男が青年の躰へと手を伸ばす。
「いってはならん!いってはならんのだ!」
立ち上がる栗色の髪の青年。
彼は近づくふくよかな司祭服の男を、右手の一振りで弾き飛ばした……。
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