オレ様っ娘な相棒(ドラゴン)は、エロ本なんかに負けたくない!〜共に世界を救った二人が、人生のパートナーになるまで〜 作:APP3
『ただいまダイチ! もう寝るのか?』
「どっ、どっ、どうしたんだよその格好!?」
思わず両手を前に突き出し、後退りするダイチ。
握り締めていた置き手紙が宙を舞う。
『どうだ? この完璧なボディは!』
両腕を広げ、恥じらいもなく肌を晒すレッドラグーンの姿から目を離せない。
本の中でしか見たことのない、破廉恥な姿。
しかもそんな姿をしているのは親友であるレッドラグーン。
先程の落ち込んだ気持ちはどこへやら。
よく分からないこの状況を飲み込めず、後ずさりしている最中、足を滑らせ尻餅をついてしまう。
「いててっ……」
『おいおいダイチ。大丈夫か?』
ぺたぺた、と素足がフローリングを叩く音を立てて、レッドラグーンが歩み寄ってくる。
『ほらっ、立てるか?』
心配そうな声色と共に、鱗に覆われた小さな手ではなく、真っ白で華奢な手が差し出された。
レッドラグーンの顔と手に視線を行ったり来たりさせながらも、手を置くダイチ。
『よっと!』
「うわぁっ!?」
思ったよりも強い力で引っ張られた為か、よろけてしまい、そのままレッドラグーンの方へと倒れてしまう。
ダイチの顔が、レッドラグーンの控えめだがはっきりと分かる胸に当たる。
腕に伝わる、吸い付くような肌の熱。マシュマロのように柔らかく、けれど確かな弾力を持ったその感触に、心臓の奥が跳ねた。
『ダイチ? さっきからそんなに慌ててどうしたのだ』
「どうしたって、そんなの当たり前だろ!? なんだよその姿!!」
思考がショート寸前だったダイチだったが、何とか正気を取り戻し、レッドラグーンから離れる。
『ん? どうだどうだこの身体は! これでもう、こんな効率の悪いモノで満たす必要はなくなったな?』
そう言ってレッドラグーンは勉強机の上から何かを手に取り、ダイチに見せ付けた。
"例のアレ"。そう、エロ本だ。
「なっ、なんで! なんで持ってんだよ! 確かそれは──」
──片付けたはずだろう?
そう続けようと口を開いた瞬間、思い出す。
昨日、勉強机の上に置いたまま寝落ちしてしまった為、置きっぱなしになっていたことに。
「あ、あっ……」
声にならない声が、ダイチの開いたままの口から流れる。
『ダイチ…………オレ様たちは親友。そうだよな?』
「あっ、当たり前だろ?」
『なら、どうして一言言ってくれなかったんだ?』
「はぁ?」
『隠れてこんな物を読んで。まるでオレ様が"邪魔者"みたいじゃないか……』
「──へっ?」
"邪魔者"。
沸騰しかけていた脳が、冷水をかけられたかのように急速に冷めていくのが分かった。
『……って、オレ様らしくないな。すまないダイチ、今のは忘れてくれ』
なんでそんな顔するんだよ。
なんでそんな目でみるんだよ。
何故その本を持っているのだとか、何故女の子の姿になってしまったのか。
今はどうでもいい。
目の前で、こんなにも弱々しく笑う友達の姿が答えじゃないのか。
「ドラグーン。俺は、その……ごめん」
『なんで謝るんだ? 別に怒ってなんかいないぞ。ただ、まぁなんだ? ちょっと仲間ハズレにされたように思っただけだ』
頬をポリポリと掻くレッドラグーン。
──確かに、レッドラグーンの言う通り、邪魔者だと思ってしまったこともある。
でもそれは、なんだろう、こう、仕方ないじゃないか。
こんなこと、普通言えないだろう?
ダイチの頭の中で、どうしようもない言い訳が湧いて出てくる。
『そこで名案が浮かんできたのだ!』
ああでもないこうでもないと頭を抱えているダイチ。
レッドラグーンは一歩踏み出し、ダイチの右手を両手で包んだ。
レッドラグーンの両手は、いつもの小さい体だった時と同じように熱く、冷え切ったダイチの右手を暖める。
『その欲求、オレ様で発散すれば! ダイチは効率良く欲求を満たせて、オレ様もダイチの役に立てて今回の件も仲直り! 一石二鳥、いや一石三鳥という訳だ!』
ずいっと顔をダイチへと近付けるレッドラグーン。
『……どうだ? ダメか?』
「…………」
あぁ、駄目だ。
「……ダメじゃ、ない」
そんな顔を向けられて、ダメだなんて、言えるわけがなかった。
◯───
開け放たれていた窓を閉め、カーテンを閉め切る。
自室の扉もちゃんと閉め、エアコンを操作し、いつもの温度より一度高めに設定した。
ふぅ、と一度息を吐き、ダイチは振り向く。
ベッドに腰掛け、足首をペタペタと動かすレッドラグーン。
『よし、じゃあ始めようか!』
「……おう」
パンパンとレッドラグーンは自身の隣を叩き、ダイチはおそるおそるとレッドラグーンの隣に腰掛ける。
『と、自信満々に始めようと言ってみたはいいが、どうすればいいのかなんて分からないのだがな』
「どうすんだよ……俺も知らないぞ?」
『んー。ならば一度、これを二人で読もうではないか』
そう言ってレッドラグーンは、雑誌をペラペラとめくる。
気恥ずかしさを覚えたダイチは開かれた雑誌に目を向けられず、部屋の隅の勉強机に目を向ける。
『ダイチ? そんなに離れていては見えないだろう? もっとこっちに寄ったらどーだ?』
「……」
『オレ様が寄れば問題ないな!』
「ちょっ、おい!」
肩と肩が触れ合う距離まで詰められ、何とか距離を取ろうと横にズレるも、壁にぶつかりこれ以上距離が取れない。
そして、もっと近付いてきたレッドラグーンの肩と太腿がダイチの肩と太腿にくっつく。
短パン越しに伝わる、柔らかい太腿の感触。
いつも使う、柑橘系のボディソープの香り。
そのどれもがダイチの心臓を跳ね上がらせる。
『ほーら、見るぞ?』
レッドラグーンがダイチにも見えるように、密着した太ももと太ももの間に雑誌を置き、開く。
視界の端から垂れる、赤く長い髪がダイチの頬を掠める。
あれだけ待ち望んでいた筈の光景が目に映っているにも関わらず、全く持ってその情報を処理できない。
『ダイチ。どうだ、満たせているか?』
「わ……わかんねぇよ……」
レッドラグーンのこちらの気を使う囁き声。
そんなことだけで呼吸がいつの間にか荒くなり、心臓の鼓動が大きくなっていく。
何とか抑えようと深呼吸するも、鼻腔をレッドラグーンの香りにくすぐられ、余計に苦しくなってしまう。
『こんなのが好きか?』
『こういうポーズ、オレ様がとってみようか?』
ページをめくるたび、レッドラグーンはダイチに問う。
その一言一言がダイチの心を掻き乱す。
そして──
『ダイチ……それって』
チラリとレッドラグーンへ目を向けると、レッドラグーンの視線は雑誌ではなく、ある一点を見つめていた。
ダイチもレッドラグーンの視線を追うと、ダイチの下半身へと向かっており、下半身は大きく熱を帯び、短パンを裏から膨らませてしまっていた。
雑誌を太ももの上に置いている為、レッドラグーンからも見えてしまったのだろう。
ダイチは自身の顔に、熱が集まってくるのを感じる。
『なぁダイチ。これ、やってみようか?』
そう言ってレッドラグーンは開かれたページを指差す。
羞恥心によってぶっ倒れそうになる中、なんとか開かれたページに目をやると、女性が男性の大きく隆起した局部を触っている光景が目に入る。
「……ドラグーン、大丈夫、だから……」
『遠慮するなダイチ! 大丈夫、優しく触るからな』
ダイチの制止も虚しく、レッドラグーンのダイチの熱を吸い取ってしまいそうなほど白い指が、短パン越しの膨らみへと伸ばされる。
ぴとり。
人差し指が膨らみに優しく当たる。
「うぅっ」
短パン越し、されど短パン越し。
大きく膨らんだダイチのソレは、その一撫でで敏感に反応してしまう。
『ふふっ、変な感触だな?』
突いては揺らし、突いては揺らす。
人差し指で、何度も何度も、優しく突く。
火傷しそうな程の熱を帯びた猛りが、指先で揺らされる度に下着と擦れ、下着の下で糸を引いてしまっているのが分かる。
「ダメだ……うぅ……ドラグーン」
一突き一突きに翻弄されるダイチだったが、ちらりとレッドラグーンの顔を伺う。
『──ん? どーしたダイチ?』
いつもと変わらない声色に、いつもと変わらない笑み。
目と目が合ってしまったダイチはすぐに顔を逸らした。
『どうして顔を逸らすんだ? ほらっ、もっと見てもよいのだぞ?』
「うわっ」
空いた手で、ダイチの顎に触れ、逸らした顔を自分の方へと向けさせるレッドラグーン。
『ダイチの為に色んな所を飛び回って、精霊界にまで戻って創ったんだぞ?』
「ドラグーン……」
『いわばこの身体はダイチのモノなんだ。だから、逸らさず、真っ直ぐ見ていいんだ』
可愛らしくも美しい顔。
染み一つないシーツのように真っ白な肌。
そんな肌を彩る夕日のような赤髪。
ダイチの顔へ伸ばした腕によって寄せられ、触らずとも質感が伝わってくる二つの膨らみ。
そのどれもが今もなお、与えられ続ける快感に上乗せされる。
『こんなのはどうだ?』
人差し指が離れ、今度は掌で膨らみを上から包み込む。
全体に広がる、優しくも先程以上にかかる絶妙な圧力。
『よーしよーし。こんな感じか?』
それをまるで、赤ん坊でもあやすかのように何度も、何度も繰り返される。
「だめだ……待ってドラグーン…………」
レッドラグーンの掌が往復するたびに、自然と腰が浮いてしまう。
絶え間なく続く快感の波に耐えるべく目を瞑る。
しかし、腰の後ろから立ち登る感覚が、この行為の終わりを予感させる。
「待って、待って……! ……ドラグーン!」
ダイチは何度もレッドラグーンに呼び掛ける。
もう限界だと、やめて欲しいと懇願する。
それでも手の動きは止まらない。
目を開き、レッドラグーンの顔を見る。
『ハァ……ハァ……ダイチ、ダイチ……』
──その顔を直視できなかった。
頬を赤らめ、潤んだ瞳で膨らみを見つめながら、今まで見たこともない笑みを浮かべていたのだから。
それこそ太ももから落ちてしまった、本の中でしか見ることのないような笑み。
そんな顔を見て、心臓を鷲掴みにされたような、そんな激しい衝撃がダイチを襲う。
あぁ……もう、ダメだ。
その瞬間、激しい波がダイチを狂わす。
頭の芯が真っ白になるような感覚。
「うぅ…………」
ダイチは思わず目の前のレッドラグーンにしがみつく。
止まることなく溢れ出る欲の波。
その波がダイチの履く短パンに染みを作り出す。
波が収まると、辺りの音がどんどん遠ざかり、呼吸が変に落ち着き始める。
『だっ、ダイチ! すまない、夢中になってしまった! ──ってダイチ? ダイチ!』
遠ざかっていく音の中、レッドラグーンの焦る声と共に、ダイチの視界がチカチカし始め────最後に視界に焼き付いたのは、狼狽えながらも、どこか恍惚とした彼女の赤い瞳だった。