Traveling the earth 作:つま先のアイドル
ねっとりと舌でつま先を愛撫する。
最初は親指の爪に沿うようにゆっくりと、それから舌先で関節を転がしながら、指の間に引き抜くように舌を這わせると、ネルは喘ぐように扇情的な息を吐いた。
「フェイト……」
フェイトのベッドに寝転んだネルが、手を伸ばしてくる。たったこれだけで、なんて潤んだ目をしているんだ、とフェイトは愛妻の手に頬を寄せ、キスをする。最初は手のひらに、それから指の腹に、続けて爪の先は舌で舐めとるように撫でる。それから指の間をしゃぶりつくすように、勢いよく往復した。
「ネル……」
ネルの長い指が、フェイトの唇に触れた。フェイトは導かれるように、ネルの唇に唇を合わせる。ついばむように優しいキスを何回も繰り返した後、ネルの小さな歯に舌をねじ込んで、吸いつくようにキスをむさぼる。
ネルの手が、フェイトの背中をつつっと流れるように走った。それだけでゾクゾクするような快感がこみ上げる。フェイトは完全にそういう気分だった。この部屋に入った時から、もっと言えば地球にネルと来ると決めた時から、この部屋でこうなることを夢見ていたのだった。下半身が充血しはじめていた。
ネルの舌に吸い付きながら、ネルの方はどうだろうかと考えた。ネルは舌を震わせながら、甘い吐息を漏らした。
「ネル」
ネルの口の中につぶやきながら、右手でネルの左脚に指を這わせた。施紋を下から上になぞって、内腿へ手を差し入れていく。指先がネルの敏感なところへ向かうにしたがって、どんどん熱くなっていることに気づいてフェイトは驚いた。
「ネル、こんなに熱くなってる……」
「違う……」
フェイトがつぶやくと、ネルは今更のようにTシャツを伸ばして腿まで隠した。何が違うというのだろう。いつもの軽い抵抗だと思っていたが、強めに腿を閉じようとするので、フェイトは退いた。
「今日は嫌?」
「い、嫌じゃない……けど……」
薄闇の中でもわかるくらい、ネルの顔がおろおろとして、視線がさまよっている。一体どうしたんだろう。
「どうしたの?」
フェイトは安心させるように、ネルの横髪を撫でた。もしかして生理だろうか、とその時ハッと考えがよぎったが、それはまだ半月前だったことを思い出す。とするとやはり、ネルの気持ちの問題だろうか。
フェイトは一旦、ネルの横に身体を下ろして、ネルの腕を撫でた。肘枕をして聞く体勢を取る。ネルの顔をエアカーの光がスッと通って一瞬明るくなる。
「どうしたの、一体……?」
するとネルは、もじもじとTシャツをいじくりながら、上目遣いに天窓を見上げた。
「外から見える……」
天窓を見上げると、夜も深まっているというのに、絶えることなく何台ものエアカーが飛び交っている。フェイトは「ああ」と合点がいった。
「あれは大丈夫だよ。ミラーガラスっていって、外からは鏡のように映って中の様子は見えないようになってるんだ」
「……本当かい?」
そうは言っても、ネルの方からは絶えず人の気配がするのは良い気がしないだろう。そう思い、フェイトはベッドサイドのタッチパネルを操作して、シャッターカーテンを閉めた。大きな天窓にシャッターが閉まり、何も見えなくなる。
「不安?」
今度はベッドサイドの間接照明だけの薄明かりになった中でネルに訊ねると、ネルは横に首を振った。フェイトは可愛くて思わず笑ってしまいそうになる。
「可愛いね。僕だけにしか見られたくないんだ」
「そんなっ……あ、当たり前だろ……!?」
わざわざそんな言い方するな、とネルが胸を小突いてくるので、フェイトはつい笑ってしまった。ネルの頬を愛おしい気持ちで触って、改めて訊いてみる。
「じゃあ、続き、してもいい?」
ネルはぼそっと、「いい……」と答えた。
「『いい』って、どっち? したいとも、したくないとも取れるんだけど?」
「もう……」
ネルはむっつり顔してフェイトを睨みつける。答えがわかっているのに、わざと深く訊いていることをわかっているのだ。
「ほら、こういうことはちゃんと聞いておかないと」
「しても……いい……」
ネルがか細い声で答えたので、フェイトはわしゃわしゃとネルの髪を撫でた。それからさっきのように深いキスをする。
「よかった。放置されたら、どうしようかと思った」
キスの合間にフェイトがぼやく。
「なんだいそれ。人聞きの悪い……」
「だってさ……」
フェイトはネルの手を取り、自分の股間へと導く。そこはすでに固くなっていた。
「フェイト……!?」
ネルは驚いてフェイトの目を見つめた。
「夫をこんなにして、ひどいよ」
そう言いながら、ネルの首元にむしゃぶりつく。甘いシャンプーの香りが鼻をついた。首筋に舌を這わせ、耳元まで吸い上げていく。ネルがビクビクと身体を震わせた。
「ネルを見てたら、固くなっちゃった」
「ばか……」
耳の中で囁いて、再び彼女の内腿を広げる。今度はもう抵抗しなかった。それなのに恥じらうように、顔を腕で隠す。それは彼女の癖だった。脚のあいだに、フェイトが身体を差し入れる。
「隠さないで……」
ネルの膝頭を触って、そこにキスをした。触ると膝の後ろが、少し汗ばんでいる。フェイトは顔を少し傾けて、そこを舌で舐めとった。
「……ぁっ」
ネルの声がか細く響いた。
フェイトは右手で足の裏を愛撫しながら、膝の裏の汗を激しく舐めとっていく。塩味がした。ネルの手がフェイトのつむじを撫でた。
キスは膝頭から、太ももの施紋にたどりついた。赤い点にキスして、その下の曲線に沿って払うように舐め取る。ある意味、冒涜的かもしれないな、とフェイトは思った。だが、欲望は止められなかった。施紋にキスしたり、舌を這わせたりして上にたどりつくと、今度は下着に手をかけようとした。しかし思い直して、口で歯を立てて紐を引っ張った。彼女は紐で結ぶタイプの下着をつけていたのだ。蝶結びがするするとほどけていく。逆側も同じように口で紐を引いた。むくむくと野性的な気分が盛り上がってくる。
「ネル、わざとこんな下着履いたの?」
「わざとって……?」
下着の中には、ぷっくりとした大陰唇が隠されていた。フェイトは迷わず、そこに口づける。膣からはもうすでに液が垂れていた。
「ネル、もうこんなに濡れてるの?」
「う……うるさい……」
「えっちだね……」
ネルのあたたかい股間から、体液を丁寧に舐め取る。ネルがのけぞるように長い息を吐いた。フェイトは優しく、時には力強く、繊細にネルの股の間の溝に舌を這わせていく。そうして熱い息を吐く度、ネルが「あぁっ」と呼吸するように悶えていた。そしてそのたびに、ネルの陰核がヒクヒクと動いた。本人にはとても言えないが、そこはフェイトにとってネルの好きな場所のひとつだった。まるでネルの表情のようにくるくると豊かに変わって可愛らしく映る、正直な場所だった。それを自分だけが知っているのだと思うと、もうたまらない気持ちになる。
「ひぅっ──」
そっとその場所を触ると、ネルが敏感に身体を震わせた。間髪入れず、その場所を唇で吸い取っていく。
「あっ……あぁっ」
ネルは悶えて、フェイトの髪をまさぐった。ネルの腰が引けてきたので、フェイトは尻の下に手を入れて膝を立てる。ネルの小陰唇が膨らんできて、フェイトの顎の下にチロチロと当たった。
「ネル……可愛いよ」
自分の唾液とネルの体液でグチャグチャになった小陰唇をかき分け、膣の中に指を入れると、そこはとろとろで、抜き差しするとちゅぷちゅぷといやらしい音を立てた。
「ネル……こんなに音がする」
「い、いちいち、言わなくて、ぁんっ、いいってばっ」
ネルはフェイトの指責めを受けながら、一生懸命言い返すのだった。フェイトは指で責めつつ、左手でネルの横髪を撫でた。ネルは熱い顔をして、とろけそうに口を開けていた。フェイトはネルの膣に指を入れたまま、そっと唇の横に口づける。するとネルが首を起こし、激しく舌を口の中に入れてきた。フェイトの上顎をつるんっと撫でていく。その快感にどうにかなりそうだった。思わず膣の中の指を曲げると、きゅっとネルが縮こまった。
「はぁっ」
激しい息遣いが二人から漏れた。フェイトは思わず、左手で自分のパンツと下着を脱いだ。屹立した下半身が裸になった。ネルへ挿れた指のそばの小陰唇へ、固くなった陰茎をなすりつける。
ネルの両手が、フェイトの背中をなぞった。ぞわぞわとした感触が股間をくすぐる。かと思えば、ネルの手は優しく首を撫で、鎖骨をなぞり、のどぼとけをいじくって、胸へと進んだ。するすると腹筋を下り、ゆっくりと下半身へ手が伸ばされていく。ネルの手がフェイトの内腿を通って、裏筋からなぞっていやらしい手つきで先っぽをもてあそんだ時、フェイトは「……あっ──あっ」と情けない声を上げてベッドに片肘をついた。脳天がはじけるくらいの快感が突き上げた。もう痛いくらい股間が勃起していた。
「ネル……出ちゃうよ」
ネルはやり返したとばかりに力なく笑うと、またフェイトの髪を撫でた。
「ちょっと待ってて」
フェイトは、ネルの膣から指を引き抜くと、さっき投げ出した服の中からコンドームを取り出した。最初からそのつもりだったので、ポケットに用意していたのだ。装着する手が思わずはやる。つけ終わった後で上半身の服も脱ぐと、ネルのシャツに手をかけた。
「脱がせるよ」
ネルの着ていたフェイトのTシャツを脱がせると、ネルの形のよい胸があらわになる。弾力のある乳房を、フェイトは手のひらいっぱいに握りしめた。
「どっちがえっちなんだい」
ネルがうつろな声でやり返してくる。
「へへ、どっちも、かな……」
フェイトは片手で乳房を握りしめたまま、ネルの口に深く舌を入れた。ネルの歯が、甘くそれを噛む。何度も何度も、舌をこすり合わせた。溺れそうな感覚だった。
「ネル……愛してるよ」
フェイトは指をネルの髪の中に入れながら、愛しげに囁いた。ネルの下腹部が、裏筋に当たっている感触がする。
「私もだよ……フェイト……」
ネルはため息のようにつぶやいて、フェイトの背中に指を這わせた。何度も何度もキスをした。
右手の中の乳首を、そっと指ではじく。ネルが口の中で喘いだ。ネルが息を吐く度、罰のように敏感になったそこをこねくり回す。
「ぅ……ん……フェイト」
それからネルの腹を下って、ぐちゅぐちゅに濡れたそこに戻った。十分濡れていることを確認すると、フェイトの下半身をそっと差し入れる。
「あぁっ……──」
ネルが思わずのけぞった。その反動でフェイトの下半身にも衝撃が走る。
「ネル……まだ動かないで」
狭い内壁にグッと押し込むようにゆっくりと根元まで差し入れると、ネルの中がヒクヒクして熱かった。その快感だけでイッてしまいそうになる。
「大丈夫? 痛くない……?」
フェイトが訊ねると、ネルはこくりとうなずいた。その可愛らしさに、思わずキスを繰り返す。睾丸のあたりがぐにゃりとして、刺激がざわざわと下半身に広がる。一度、舐めるようにゆっくりと腰を動かした。それだけで、ネルの中が収縮してじりじりと快感がこみ上げる。
「動くよ……」
フェイトはネルの横に両手を突っ張って、腰を動かし始めた。ネルの喉が上向いてヒクヒクと震える。そこにキスをした。何度も、何度も、ネルが快感なのか苦しそうに呻く。裏腹に声は物欲しげに「フェイト……フェイト……!」と何度も名前を呼んだ。それに答えるように、「ネル」と呼ぶ度にフェイトは何度もネルを突き上げる。
そのうちにネルも腰を動かし始めた。そのたびに股間がギュッと激しく締め付けられる。両手で握られながら引っ張られているみたいに、ネルの子宮にどんどん吸い込まれていく。なんて愛しい人なんだろう。フェイトは快感でぼやけた視界の中、何度も何度もネルの髪を撫でた。汗ばんだ胸元でネルの乳房がぴたぴたと揺れる感触がする。
フェイトは腰のスピードを著しく上げた。激しく抜き差しする中、ちゅぷちゅぷとネルの水音がいやらしい音を立てる。
ネルの中が収縮する度、フェイトの股間がさらに太くかたくなっていく。
「あっ……もうだめ……い、く、フェイト……ッ!」
ネルの両腕が激しくフェイトをぎゅっと抱き締めた時、フェイトの下半身がビクビクと熱くなった。
「僕も……もう……!」
フェイトはうめきながら射精した。
もう何も考えられないほどの快感が、全身を貫いた。
頭が真っ白になって、そこに繋がりあった二人だけがいるみたいだ。
甘い甘い快感だった。
激しい息づかいで、はぁはぁとネルの乳房に顔を埋めた。ネルもまた、激しく胸を上下させながら、汗まみれで天井を見上げていた。
しばらく二人の呼吸音だけが部屋にきこえていた。
快感が何度もリフレインしていく。
しばらくして、ネルの頬に手をやると、唇にキスをした。
「ネル……すごく気持ちよかったよ……」
それからネルの顔の汗を指で拭ってやると、ネルはとろけきった顔で、
「私も……気持ちよかっ……た」
言ってから自分の台詞に恥じたようにフェイトの胸に顔をうずめた。フェイトは思わず笑う。
「やっぱりえっちだなぁ、ネルは」
ネルの頭を撫でると、ネルは悔しそうに上目づかいでフェイトを睨んだ。可愛い腹いせだ。
フェイトは繋がりあったまま、ネルの上下する乳房に頬ずりした。いつか、ここに涙さえ落としたこともある。ネルの心臓の音がドクドクと聴こえた。
「でも、よかったのかい? こんなことして……あんたの思い出の部屋なんだろ?」
シャッターのひらいた天窓を二人で見上げていた。いつのまにか空が白みはじめていた。
ネルは身体にシーツを巻いていた。フェイトは後処理を終えて、だらりと仰向けに寝そべっていた。
「だからこそ、したかったんだよ。ここで、ネルと」
「そんなもんなのかい……?」
ネルが不思議そうに首を傾げる。
「だって、ネルの実家でだってしたじゃないか」
フェイトが言うと、ネルは抗議の枕をぼふっと飛ばしてきた。
「いてて。まぁそれは冗談だとしてもさ。この部屋は僕が生まれてから、順調に育っていって、ゲームとバスケに明け暮れた大学生の時の僕までしか知らないんだ。それって変だろ」
「変、かい……?」
ネルが訝しむと、フェイトは「ああ」とうなずいた。
「ずっと一人でしてたのに、今はこうやって可愛い妻と幸せにやってることを知ったら、この部屋も喜ぶさ」
「ばか……」
ネルがフェイトの乳首をはじくと、フェイトはふたたび快感がもたげてきた。